忍者ブログ
濃姫擁護しか頭にないHaruhiが運営しております / Haruhiの脳内のおよそ98%は濃姫でできております / 生駒派はReturn to the back.



[311] [312] [313] [314] [315] [316] [317] [318] [319] [320] [321
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

永禄四年九月十日未明
半月に及ぶ睨み合いの中、明け方と共に開戦の烽火は上がった
同時に、元康も岡崎を出発する
織田家である可近は、この時だけは家紋の軍旗を捨て、松平の軍旗を背中に背負う
この作戦に参加したのは、指導者である石川数正、平八郎率いる本多家、榊原康政、いつもの小笠原氏清、そして、不承ながら同行した酒井忠次
遠江国では井伊家が松平の受け入れ要請を承諾
元康は遠江の井伊谷を目指した
そこから井伊家の先導で駿府に入る手筈である
全て、上手く行く
元康はそう信じていた
そう、信じたかった

「あの・・・」
黙りこくる帰蝶に、居た堪れなくなった巴が声を掛ける
本丸の対面所に向かい合う空気が擦れ、嫌な雰囲気になろうかとしていた
          多過ぎましたでしょうか・・・?」
恐る恐る声を掛ける巴を見る
まるで怯えたかのような顔をしていた
「何がだ?」
「その・・・、人数・・・を」
そんなにも、守りたいのかと感じる
愛しい男を
覚えのないことではなかった
心配するなとでも言いたげに、帰蝶は少し声を張って応えた
「少ないな」
「え?」
「この上総介の子に、傅役がたったの三人か」
と、三人の顔を見渡した
帰蝶の言葉に、義政の胸が痛みを訴える
握った、畳の上の拳が震えて仕方なかった
「上総介様・・・」
「まあ、良い。木造家からも遣してもらえるとは、ありがたい。巴、お前の能力も中々の物だ。お能にも匹敵するぞ」
「上総介様・・・」
誉められ、巴は頬を軽く染めて俯いた
「某、木造家家臣、平屋勘六成氏と申します。以後、お見知り置きを」
「木造家には、坂の手伝いを申し訳ないと想っている。何れ伊勢を訪れた際には、木造の助けを多く必要とするだろうが、よしなに」
「はっ。主からも織田家への尽力を惜しむなと、お達しが出ておりますゆえ、どうぞ気兼ねなくお使い下さいませ」
「その言葉、受け取った」
平屋成氏は四十を少し越えた辺りの風貌に見える
この中では纏め役に徹してくれるだろう
目尻に多くの皺が走っているのも気に入った
人当たりが柔らかい証拠である
「坂家家臣、大内与四郎友成にございます。如何せん海育ちの粗暴者ゆえ、当家にご無礼のなきよう心掛けとう存じます」
大内と名乗る男は、平屋と岡本の間に位置するかと想える年齢だった
然程若くもなく、しかし中年と呼ぶほど年老いているわけでもない
精々二十代後半か三十代前半と言ったところか
若干眉間に浅い皺があり、普段はしかめっ面が良く似合うと見受ける
この中では最も教育者に相応しい人格だろうと感じた
「構うことない。こちらは平野育ちの荒くれ者が多い家だ。存分に競い合うと良い」
「お言葉、感謝致します」
友成が平伏から復帰して、それから義政が名乗りを挙げるのにしばらくの間があった
          岡本七左衛門義政にございます。ご当主様に於かれましては変わらずのご活躍ぶり、坂の誉れにも等しき祝着に存じます」
声が少し震えている
そんなにも憎いか、この私が、と、帰蝶は心の中で想った
「いつぞやは織田への尽力、謝す。正式に坂に入ったか」
あの当時でも坂の家臣の一つと数えられていたが、まだ単独で動けるほどの力はあった
それを鑑みて、坂が盛り返していると言う慶次郎の言葉に偽りはなかったことを知る
「はっ・・・。今後のことも踏まえまして」
「岡本は、確か・・・。坂の傍流だったか。いや、大和の名門にもあったな」
「明日香の岡本宮」
「ああ、そうだ。その由縁か?だとしたら、お前は」
「我が祖は若狭より伊勢に移りし一族。言い伝えに因れば、新田義貞公の西上に伴い同行したのが始まりともありますし、人に因れば織田様の仰る明日香の岡本とも仰る方がいらっしゃいます。しかし、岡本の始まりは岡本だけのもの。口外は宣伝になる、それを善しとはしない。そんな、偏屈な一族にございます」
口上を述べながら深々と頭を下げる義政に、「詰まらぬ詮索はするな」と言われたような気がして、帰蝶はこの義政が気に入った
「氏より育ちと言うが、確かにそうかも知れんな。大事なのは、今のあり方だ」
「上総介様・・・」
義政の態度に、巴は仲裁に入ろうかとしていた
だが、想ったより帰蝶が穏やかなのを感じ、ほっと胸を撫で下ろす
「岡本」
「はっ」
「腹の子のため、存分に働け。そして、巴の手助けをしろ」
          御意」
平伏したまま、義政はつらそうに眉を寄せた
それは知らないことである
巴は腹の子のことを誰にも口外しなかった
素直に受け取れば子は、目の前に居る織田上総介信長と、坂巴との間にできた子である
本当の父親が誰なのかを、義政自身、聞かされていなかった
「それとは別に、伊勢から那古野までの船旅に疲れたであろう。表座敷にて歓待の用意をしてある。寛がれよ」
「ありがたき幸せに存じます」
代表して平屋が辞儀をする
それに続いて大内
義政は少し遅れて頭を下げた
「時に、岡本」
「はい」
「過日の鈴鹿越えに関して、お前より伝授願いたい旨がある。少し、庭に出れんか?」
「わたくしが、で、ございますか?」
指名され、義政は目を丸くする
「上総介様?」
巴も、何故義政を呼び出すのか、その意味がわからない
まさか、気付いたのか、と心配する
「巴も一緒に来い。お前達二人が組んで鈴鹿周辺を押えた経緯、それが聞きたいだけだ」
          はい」

平屋と大内の二人は資房が世話をすることになり、隣の表座敷に連れて行かれる
それを見届け、帰蝶は自ら障子を開け放ち庭に出た
「上総介様」
巴も慌てて後を追う
巴を追うかのように義政も、菊子が用意した男物の真新しい草履を履き難そうにしながら足に着け、小走りに駆け寄った
「雨が上がると、空は美しい青に染まる」
「上総介様・・・」
巴に背中を向けたまま、帰蝶は懐かしそうに話した
「桶狭間山で今川治部大輔を倒した後も、綺麗な青の染まる空だった。あの空に吉法師様がいらっしゃるのかと想うと、私は空が遠く感じた。届かない場所に感じた。実際、手が届く場所ではないのに」
                
義政が近寄り、帰蝶は口を噤む
「あの・・・、それで・・・」
近くに義政を感じ、巴は落ち着かない
「岡本」
          はい」
『信長』が、側室の巴ではなく何故か自分を優先するのが気になった
そんな義政を気にも留めず、帰蝶は突然巴を抱き寄せる
巴も義政も、酷く驚いた顔を見せた
「巴が伊勢に居る間、世話になったな」
『信長』の腕の中に居る巴を、引き戻すことなど、できる筈もない
          いいえ・・・」
苦悶の激しい顔を俯かせ、義政は応えた
「上総介様・・・ッ」
声は掛けても、巴は『信長』の腕から逃れようとする仕草はない
巴にとって『信長』はやはり同性であり、同志でもある
義政が『信長』に対してどのような感情を持っているかなど、今は考えにも及ばなかった
「私の鈴鹿越えの際の、周辺豪族を取り纏めた能力、高く評価している」
「恐れ多い・・・」
「結果、私の落馬で斎藤を取り逃がしてしまったが、それに至るまでの経緯、実に手際が良いと感じていた。そのお前が坂の軍門に下ったこと、何より心強い。これからも巴を頼む」
「はい・・・?」
巴の頭を一撫ですると、帰蝶はその手を離した
「上総介様?」
手放した巴を義政の許に行かせようと、軽く突く
「あっ・・・」
「巴様ッ」
少しよろけた巴を、義政が咄嗟に支えた
「巴の腹の子を、頼む」
「上総介様・・・」
「織田様・・・?」
巴は帰蝶の言葉に軽く驚き、義政は何を言っているのか理解できていない
「巴の腹の子は、織田の子だ。生まれた子がお前をどう想おうとも、織田の子に変わりはない」
                
何を言っているのだろう
この方は、何を自分に話しているのだろう
義政はそう、感じた
「その、織田の子を、お前が育てろ」
          え・・・?」
「巴の子だ。大事に育てろ」
「上総介様」
「大切なのだろう?巴が」
                
見透かされたかと、義政は口唇を噛んだ
相手が相手ならば、問答無用で打ち首は免れない
自分の軽率な行動で巴を巻き込んでしまうかも知れないと、義政は巴から手を引いた
「私が巴を抱き寄せた時のお前の顔、見ものだったぞ」
「織田様・・・」
「死にそうな顔とは、正にあのことを言うのだろうな」
「そっ・・・」
そんなにも顔を歪めていたのかと、義政は恥しい気持ちになり頬を染めた
その義政に頭から言い放つ
「自分の子のように厳しく、そして、大切に育てろ」
                
義政は、黙って平伏した
短い言葉の中で、感じ取ったからだ
この方は、全てご存知だ、と
知っていながら、それでも黙認するつもりだと
どう言った思惑があるのか、わからない
だが、それでも巴の腹の子を自分の実子として養育するつもりなのだ、と
巴が腹の子の父親を言わないのは、そのためか、と
ならば自分も問うてはならない
生まれて来る子の父親が誰であろうと、産む母親は一人きりだ
その、一人きりの母親を守る使命を今、受けた
それを大事にして行きたいと、義政は改めて感じた
『織田信長』から直接、託されたのだから

胸に秘めた想い
一つは潰え、一つは叶った
大事と想える人の側にただ控え、ただ守りたい
たったそれだけの小さな想いは実り、いつか花開くだろう
それはきっと、この、『織田信長』と言う人の側で開花するのだろう
義政はそう、想った

          なるほど、甲賀にも話を付けたか。やはりな」
「予見なさっておいでで?」
巴の坂家と共に、鈴鹿山脈一帯を丸め込んだ経緯を帰蝶に話す
帰蝶はその間一言も発せず話に聞き入り、ある程度終わった段階でそう言った
「織田が入った時にも感じたことだが、やけに静かだった。斎藤が予め言い伝えているだろうと言うことは想像していたが、それは近江との連携があってこその話。だが、坂が近江、甲賀と繋がりを持っていない状態で鈴鹿を越えることは、戦をしながら突き進むことになるだろうと想定していたものを、実際はそうでもなかった。その静観さが気になっていたのだが、今の話で合点が行った」
「恐れ入ります」
「尚更、伊勢への警戒は怠れない。岡本」
「はっ」
「お前はこの尾張に残り、人脈を作れ」
「え?」
帰蝶の発言に、義政は耳を疑った
「お前が傅役として能力を発揮できるのは、子が生まれてからになるだろうが、その時生かせるよう、今から伊勢と尾張の人脈を繋げろ。他の二人にも、それを伝えるのだ」
「はい・・・」
説明を受けても、それでも義政はしばらくぽかんとする
そんな義政に、巴は苦笑いを浮かべた
「巴の側に居なさい、ってことですよね?上総介様」
「え?」
巴の言葉に驚いて、巴と『信長』を交互に見る
「どう受け取ろうが、お前達の勝手だ。だが、巴はこの上総介の側室である立場を忘れるな」
「はい」
「お前もだ、岡本」
                
巴と『信長』の交わす短い会話に、義政は立ち入ることなどできないかのような顔をして、黙って頷くことしかできなかった

信濃の川中島と呼ばれる、川に挟まれた小さな中州で、その戦いは幕を開けた
その隙を突き、元康は軍勢を一気に遠江に入れ、桶狭間山で戦死した井伊直盛の嫡男・直親の手引きで遠江を抜ける
同時に駿府に入り愛鷹の待つ、嘗て自身も暮らしていた屋敷に到達した
これまでは、順風満帆だった

「愛鷹!佐久夜!佐久夜ッ!」
鎧兜のまま、元康は馴染んだ屋敷をどかどかと走り回る
「旦那様!」
家人が気付き、顔を出した
「愛鷹と子らは無事かッ?!」
既に脱出の用意ができていることは、前以て知らせてある
いつでも屋敷を出れるようにも達してあった
「こちらに!」
屋敷を護っていた家臣らが元康らを案内した
通された奥座敷に妻と二人の子が自分を待っている
          旦那様・・・ッ」
「愛鷹・・・ッ」
少し顔色の悪い妻の許に駆け寄って、その肩を抱き締めた
「大事無いか」
「はい、お陰様で」
愛鷹は小さな声で応えた
妻の躰は、小さかった
生まれ付き小さいと聞いている
肩も華奢で、触れれば折れてしまいそうな腕も相変わらずで、雪のような真っ白な肌は美しいというよりも寧ろ病弱なほどだった
それでもこんにちまで大した病にも掛からず、子供も二人産んだ
しかし、紅で隠した口唇の色を見れば、今日が調子は良いか悪いかくらいは、わかる
例え梅のような色の紅を付けようとも、愛鷹の様子が芳しくないのは手に取るようにわかった
「佐久夜、すまない、遅くなってしまった」
「いいえ、全然」
小さな口唇を釣り上げ、愛鷹は愛くるしい笑顔で応えた
「父上ー」
嫡男の竹千代が駆け寄り、母を抱き締めている元康の腕に抱き付く
「おお、竹千代、息災だったか」
「はい、父上」
「そうか、そうか、良かった、良かった」
乳母に連れられ、長女の亀も遅れてやって来る
「父様・・・」
「亀」
元康は片腕を愛鷹から離し、竹千代と亀の三人を抱き寄せた
「遅くなってすまんかった。心細かったであろう。だが、これからは父が着いている。お前達を守ってやるぞ」
「父上・・・」
「竹千代、お前は男の子だな?」
                
まだ幼いながらも、母似の竹千代はきりりとした顔をして頷いた
「これから三河に戻る。今川がどう打って出るか、父にはわからん。だが、なんとしてでも振り切って、三河に戻ることにした。だから竹千代、母を守れるか」
          はいっ!」
力強く応える竹千代に元康は満足げな顔をして微笑み、頭を撫でる
その光景を見ていた忠次は複雑な表情を浮かべた
自分がやろうとしていることは、正しいのか
竹馬の友でもある元康を悲しませることにならないか
いいや、松平のこれからを考えれば、自分のやろうとしていることは間違ってなどいない
そうだ
これも松平のため
元康のため
今川に、捨て駒にされ死んで行った者達のため
この光景で感傷に浸っている場合ではない
例え憎まれようとも、誹られようとも、恨まれようとも、『自分が成さねばならない』ことを、忠次は自覚した
この先の未来を考えるならば尚のこと、自分一人が『悪者』を演じれば良い
ただ、それだけのことだった

清洲城の局処局長に返り咲いて久しく、部下も増えて行った
徳子もこの手を離れ、少しずつ自分の世界を持つようになっていた
毎日の生活にゆとりを感じるようになったある日、ふと、想い出したくないことを想い出す
お七とその息子は、元気だろうか
帰蝶の侍女だった過去が幸いし、夫が死んでも娘二人を養うのに充分な知行をもらえる立場におり、長男は実家の跡取りとして引き取られ、手元に残った次男は今、貞勝が養育している
屋敷を持つのにも余るほどの財産を築いているからか、他を心配する余裕があるのだろう
お能はドクンドクンと鈍く鳴る胸を押えて城を出た
場所は知っている
ただ、足が向かなかっただけである
死の直前まで夫が通った愛人の家だ
行きたいわけがない
それでも、気になった
ひもじい想いはしていないだろうか
暮らし向きはどうなっているのだろうか
あの親子はまだ清洲に居るのだろうか
とっとと小牧に帰ってくれていたら、どれだけ気が楽か・・・
帰ろうか、と、思い悩みながら清洲の城下町を歩く
賑やかな商人の声
往来を渡る人の話し声
風の流れる音
馬の蹄
自分の脇を走り抜ける童達
自分に見惚れる男達の視線には気付きもせず、お能は久方振りに一人で町を歩いた
青い空はどこまでも青く遠く、浮かぶ雲の白さに驚かされ、時親が死んでからこれまでずっと、上を見上げている暇がなかったことも想い出した
空を眺めていた顔を元に戻し、ふと目の前に小さな男の子が自分をじっと見詰めているのを知る
                
誰だろうと、お能はその男の子を見詰め返す
すると子はとことことお能の側に駆け寄って来る
清洲に知り合いは確かに居るが、この辺りには居ない
ここは庶民が暮らす地域であり、自分の暮らす場所は上級武士の家が並んだ地域である
方向が違う
増してやその子は、みすぼらしい身形をしていた
          誰かに似ている
そう、想った
三歳か四歳くらいだろうか
「坊や・・・」
お能は屈むように腰を落とす
そのお能に向って、子は懐の中から小汚い小さな手拭いを取り出し、差し出した
「どうしたの?」
「うん」
子は多く語ろうとはせず、黙って差し出し続ける
「なあに?」
「拭け」
「え?」
「泣くな、駄目。女は笑った顔が一番良い」
「え?」
その時、屈んだお能の小袖の膝にぽとりと滴が落ちた
                
雨か?と空を見上げる
だが、白い雲は浮かんでいても、雨など降ってはいなかった
どこから・・・と、顎に何かが伝う感触がする
お能はやっと気付いた
自分が泣いていることを
「私に・・・?」
「うん」
薄汚れた顔をくしゃくしゃにして、童は笑った
「ありがとう」
「うん」
そう応えると、男の子はたったと走り去った
「あっ、待って、坊や!お礼を」
「いい!」
「じゃあ、せめて名前を」
「平次!」
                 ッ」
ドクン!と、胸が鳴った
それは痛みを伴うものだった
          平・・・次・・・。まさか・・・」
足が金縛りに遭い、お能はきちんと育っている平次を、そして、まだ清洲で暮らしていることを知り、その場から動けなくなった
その笑顔は、余りにも慈愛に満ちていた
夫が自分に差し向けてくれる、あの笑顔にも想えた
平次のくれたよれよれの手拭いを握り締め、お能は泣いた
人の好奇の目など構うこともできず、泣いた

幼心ながらも、良いことをしたと言う自負があったのだろうか
今年三歳になる、時親の外腹の子・平次はニタニタしながら、父の買い与えてくれた家のある民家の群れの中を走り抜けた
その平次の姿を見付け、近所の悪童達が周りに手招きする
家に入る前には井戸で手足と顔を洗って入るよう、母親から言い付けられていた
それを守ろうと井戸に駆け寄り、既に汲まれていた水を側にあった他人の家の盥に零しながらも注ぎ入れ、両手を突っ込んだ
小さな手で水を掬い、顔を洗う
それから足を突っ込んでジャブジャブと足踏みし、懐に手を突っ込む
しばらくごそごそするも、目当てのものは触れない
「そっか」
いつも懐に入れてある手拭いをさっき、綺麗な小母さんにあげたことを想い出す
よれよれの袖で顔を拭い、濡れた足のまま盥から出て来た平次の前に五~六人の年上の子供らが立ち塞がった
「平次、何してんだよ」
                
自分をにやにやと笑いながら見下ろす、その中心的な、一際大きな童子の手の中には石がちらついている
「さっさと出て行けよ、売女の子ッ!」
その子は突然、手に握っていた石を平次に投げ付けた
「出て行け!」
周りの子らも、それに倣うかのように平次に石を投げ付ける
「出て行け、売女の子!」
手の石がなくなれば、周りにある石を探してでも平次に投げ付ける
投げ付けられた平次の米神から血が滲んだ
腹にも当る
顔を庇っている腕にも
頭にも
足にも
ありとあらゆるところを石が当る
平次は抵抗できず、身を丸めてその場にしゃがみ込んだ
それでも子供らは遠慮も容赦もなく、平次に石を投げ続けた
背中に当る度に、平次の小さな体がビクンと震える
的が低くなったことで、態々近付いて、平次の頭に石を投げ付ける子供も居た
「出てけ!売女はここから出て行け!」
「お前達親子が居るから、俺達まで白い目で見られるんだ!」
          かーちゃんは、売女なんかじゃない・・・!」
                 ッ」
やられる一方であった平次の口答えに驚いたのか、石の投げ付けが止まった
「違う!」
「う・・・、うるせえ!うちのかーちゃんが言ってたぞ!お前んちのかーちゃん、夜出て行って明け方帰って来るって。男に体売ってるから、夜出掛けるんだって言ってたぞ!」
「嘘だッ!」
「嘘なもんか!」
「だったら聞いてみろ!」
一人が、石投げを再開した
もう一人がそれに続く
三人目が続こうとした瞬間、その手が止まった
そして、石を投げ捨て一人、二人とそそくさと散開する
突然投げ付けられる石が当らなくなったと不思議に想い、しばらくしてから平次は立ち上がった
それから、辺りをキョロキョロとする
あれだけ居た童子らが一人も居ない
                 ?」
首を傾げながら、痛むのかペタペタと脚を引き摺りながら自宅に向う
その平次を物陰から胸を押えたお能が、青い顔をして見守っていた
子供らの言ったことは、本当だろうか
生活のために、お七は体を売っているのだろうか
怖くて確かめることができない
もしもそうだとしたら、自分の責任だと感じた
あの親子の面倒を見たがっていた時親の遺志を、守ってやれなかったのだから
どうすれば良いのか、今のお能にはそれを考える余裕などなかった

無我夢中で愛鷹の手を引き、屋敷から連れ出す
「松平様!こちらです!」
表では金森可近が手招いた
「今川が動きました!」
「え?!」
こんなにも早くに?と、元康の顔が青褪める
「殿・・・」
隣では夫の顔色を見た妻が、眉間を寄せた
「心配するな、佐久夜。お前達は、私が必ず守ってみせる」
                
夫の力強い言葉に、愛鷹は震えながら頷く
子供らを守るように屋敷から出て来た忠次を確認すると、数正は馬に飛び乗ると同時に叫んだ
「松平軍、出発ッ!」
今川が押し寄せる前に駿府を出なくては、全滅は免れない
義元亡き後とは言え、今川には充分な兵の蓄えもあれば、財力もある
例え武田の侵攻を受けていても、松平如き追えぬほど弱り切っているわけではなかった
「何とかして振り切らねば・・・ッ」
帰蝶から期待を寄せられている可近は、後ろを振り返りながら考えた
目視できる数は千には少し足りないか
だが、今の松平の兵の数では、到底対抗できるものでもなかった
なんとしてでも松平の覚えもめでたくさせるには、正妻を守り切ることが近道である
可近は馬を左側に向かせ、反転した
「松平家奥方を守るぞ!」
その声に合わせ、可近の部隊が愛鷹の乗る籠の後ろに回り込んだ
「金森殿・・・」
自分の身を挺してまで妻を守ってくれる可近の部隊に、振り返った元康の目が潤んでいた
                
ただ、言葉にならない言葉が、口唇の前で空回りする

戸口がガタンと音を立て、布団に入っていたお七は目を覚ました
次男だろうか
どれとも、三男だろうか
まだ寝足りない目を擦り、体を起こした途端に起きる軽い目眩もいつものことと少しだけ頭を振り、それから布団を出る
「喜三郎?平次?」
次男は武家の子供だった
だから、武家らしい名前を付けることができた
三男は武家の子ではあるが、認知はされていない
父親が武士でも、武家らしい名前を付けることはできなかった
その名前を交互に呼ぶ
玄関口の側にある竃に、平次の後姿があった
水瓶から杓子で水を汲んで足を洗っている
「平次、帰ったの?」
「うん」
平次は慌てて顔を逸らす
「どうしたの?平次」
「なんでもない」
「足は表の井戸で洗って来なさいって、何度も言ってるでしょ?」
「うん」
「しょうがない子ね」
お七は苦笑いして踏み石の側まで寄った
「足、ちゃんと拭ってから入りなさいよ?」
「うん」
だが平次は、洗った足を拭おうとはしない
「平次?どうしたの?手拭は?いつも持たせてるでしょう?」
平次は少しだけ振り向いて、申し訳なさそうな顔をして告げる
「手拭、落とした・・・」
「まあ」
一瞬お七は目を丸くさせたが、それでもしばらくすると笑った顔をして平次を手招いた
「しょうがない子ね、本当に」
「ごめんなさい・・・」
謝る平次の頭を撫でる
茶筅のような髷が手に当たった
癖の強い髪で、何度櫛を通しても直ぐにくしゃくしゃになる
仕方がないので紙縒り糸で一本に縛っていた
いつの間にか茶道に使う、『茶筅』のような髪になってしまった
そんな髪を撫でながら、お七は側にあった手拭で土だらけの平次の足を拭ってやる
「これ、あんたにあげるから、今度は失くさないようにね?後で洗っておくのよ?良い?」
「うん」
「お兄ちゃんは?」
「知らない」
「そう」
それから、平次の額に瘤ができているのを知った
「平次、あんたおでこ、どうしたの。怪我してるじゃない」
          転んだ」
「転んだだけ?」
「うん」
咄嗟に吐いた嘘
それでもお七は深く追求せず聞き流す
「そう。じゃあ手拭は、その時落としたのかもね」
「うん」
「冷やさなきゃ」
「うん」
平次は母の手にある手拭を握り締め、水瓶の側まで走る
そんな平次の動きが年相応に可愛く見えた
お七は微笑みながら、平次を見守った

生まれて来る子の傅役となる義政らをしばらく尾張に住まわせるため、帰蝶は資房と可成の二人に案内をさせ、自身は巴を連れ局処に引っ込む
織田家の人間ではない男達を、例え同盟を組んだ相手であろうと清洲で面倒を見るわけには行かないからだ
代わりに義政達を大手門まで見送り、戻ったなつは清洲の本丸の中庭で縁側に腰掛ける菊子に気付き、足を止めた
少し俯き加減で腹を擦っているようにも見える
「菊子?どうしたの?帰命の若様は?」
急に声を掛けられ、菊子は驚きながら振り返る
          おなつ様・・・」
「一人で居るなんて珍しいわね。休憩?お腹、どうかしたの?」
「いえ・・・」
困ったように笑う菊子に、なつは早合点してしまった
「もしかして、できたの?」
「え?」
「赤子よ。二番目、懐妊したの?」
          いえ・・・」
「菊子?」
様子がおかしいと、なつは菊子の隣に腰を下ろした
「どうしたの、いつもと違うわね。何かあったの?」
「いえ・・・、何も・・・」
「もしかして、体調でも悪いの?だったら午後のお勤めは良いから、屋敷に戻りなさい。・・・あ、でも、弥三郎、確か今日は松平の援軍で留守だったかしら。それじゃあ、新五様もいらっしゃらないわね」
「いえ・・・」
「いらっしゃるの?」
          いえ・・・」
「菊子」
いつもならはきはきと言葉を話す菊子が、今日に限って大人しい
「違うんです」
「え?」
「妊娠なんか、してません・・・」
「菊・・・」
          できないんです」
                
悲しそうに、それでも努めて微笑もうとする菊子に、なつは自分の早合点で傷付けてしまったことを知った
「折角、殿が加納から旦那様を呼び戻してくださったのに、子供ができないんです・・・」
「菊・・・子・・・」
「私、石女(うまずめ)なのかも知れない」
「何言ってるの!じゃあ、瑞希は誰が産んだと言うの」
叱るように声を張り上げ、励ますようになつは笑った
「おなつ様・・・」
「あなたは、石女なんかじゃないわ。そう、ね・・・。あなたも弥三郎も、今じゃすっかり責任のある立場に居るから、二人の息が合わないだけかも知れないじゃない。それに、私だってそうよ。勝三郎と稲との間に、何年差があると想っているの?」
「ですけど・・・」
「殿と若も、そうだったじゃない。欲しい、欲しいと祈っても、子供はできなかった」
                
帰蝶のことに、菊子は黙り込んだ
「祈れば祈るほど、遠退く願いもある。だから殿は、祈ることをやめた・・・」
「おなつ様・・・」
「ごめんなさいね。私の勘違いで、あなたに嫌な想いをさせてしまった」
「いえ、そんな・・・」
首を振り、菊子は想い直したかのように告げた
          私が、こんなだから・・・、だから、旦那様に側室を持つように言ってみたんです・・・」
「弥三郎に、側室?」
胸が痛むかのように、菊子は苦しそうな顔をしながら話した
「私の部下で、良い子が居るから、その娘に旦那様の子を生んでもらおうと想って・・・。それを旦那様にお話したら喧嘩になってしまって、仲直りできないまま三河に向かわれて・・・」
「そう。それで塞ぎ込んでいたのね。それで、弥三郎は何て?」
「鰾膠(にべ)もなく断られてしまいました」
「そう」
「嬉しいんです、それはそれで。旦那様が私だけを大事にしてくださるのは、素直に嬉しいんです。だけど、土田家の跡取りは旦那様だけだから、どうしても土田の跡を継いでくれる子が欲しいんです」
「そう・・・ね」
「お坊はお能様のご実家に引き取られ、もう岐阜屋の跡取りとしての教育を受けています。お勝は将来、村井様の養子になることが決まっています。今更、土田家の跡取りに返してくれとは言えません。だったら、私が生むしか・・・。なのに、できないんです・・・」
「菊子」
なつはそっと、菊子の肩を抱き寄せた
「こんなに肩肘張って。それじゃぁ、余計なところに力が入って、できる子もできなくなってしまうわよ」
固まった肩先を撫でながら、そう言う
「そうね。弥三郎の出世で、土田も随分盛り返してしまったものね。さちも、武家である新五様に嫁いで、尚更その重圧は菊子に圧し掛かってしまうわね」
「おなつ様・・・」
「そう。弥三郎は、あなたの申し出を断ったのね」
少し照れるように、菊子は俯いて微笑んだ
「だけど、それじゃぁ土田の家を継いでくれる子がいなくなります。殿・・・も、先代様がご存命中、何度もご側室を持つよう進言なされて、その度に軽い言い争いなどもありました。私は、あの光景を見ているから、だから、強く旦那様に言えなくて・・・」
「大丈夫よ、弥三郎もちゃんと考えていると想うわ。そうね、確かにお坊とお勝が土田の子でなくなってしまったのは、遅きに失することかも知れないわね。土田の嫁があなたしか居ないんじゃあ、尚更あなたの心の負担になるかも知れない。でもね、菊子。それでも、殿は若様をお産みになられたわ。若を失うと言う大きな痛手を受けたけれど、殿はそれでもお産みになられた。勿論、あなた達夫婦が殿と同じ道を辿るとは言えない。縁起でもないものもね。でも、あなたは瑞希を産んだのよ。二番目ができる可能性だってあるのよ。二人とも、まだ若いんだもの。これから先、まだまだ機会はあるわ。そう落ち込むこともないのよ」
「おなつ様・・・」
いつもは厳しく、だが、人の心が弱っている時のなつの励ましは、どんな良薬よりも効いた
「それで、帰命の若様は?」
「あ・・・、はい。只今、お勝丸と一緒に、堀田様のご講義を聞いておいでです」
「まあ、講義ですか。まだ幼いのに、随分とご無理を」
「殿の達ての希望だとか。若様に自分で考える力を養ってもらいたいと、仰っておいででした」
「自分で考える力」
「城の中に居ては、目にする世間も狭いから、ならせめて自分の考えは自分で構築できるように、と」
「そう」
だとしても、漸く四つになったばかりの帰命に、それができるだろうかと心配になる
「殿は、特殊な環境でお育ちになられたから、おなごでありながらあのような立ち振る舞いができるのでしょうが、普通なら・・・」
「確かに・・・。私も稲葉山城に上がる前、姉から伺った殿の行動などは聞いているだけでは、到底信じられるものではありませんでしたが。でも・・・」
いつも、そこに、『陰』なり『日向』なり見守る少年が傍に居たから
だから帰蝶は、『自由な蝶』のままで居られた
菊子は『お清』を知らないなつに、何故か利三のことを話す気にはなれなかった
信長以外の男のことを口にするのが良いことなのか悪いことなのか、判断できなかったからだ
          上手く言葉にできないんですが、それが殿でいらっしゃるのだなと、最近、想うようになりました」
菊子はそう、苦笑いしながら言った
「そうね」
菊子の言葉は半分理解でき、半分はわからない
きちんと伝わっていないことと、『想い』が上手く表現できないためである
「それはそうと、若様をお探しなんですか?」
「え、ええ。殿が局処に戻られたので、若もお連れしようかと想って」
「でしたら、ご講義が終わりましたら、私がお連れします」
「そう?頼んで良いかしら」
「はい。おなつ様はご遠慮なく、お先に局処にお戻りあそばしてくださいませ。殿がご心配なのではありませんか?」
          そ、そんな・・・」
何故か頬を少し赤らめ、なつは苦笑いしながら俯いた

身重の巴を休ませるため、義政には早々に引き取ってもらうことにした
その見送りをなつに任せ、自身は巴を伴って局処に入る
「ゆっくり休め。伊勢に戻ってからここのところ、気を休める暇もなかったろう?」
「いえ・・・、そんな・・・」
やはり帰蝶は、自分の選んだ主は、細かい心配りのできる人間だと改めて理解し、それが嬉しくて、巴はほんのり頬を染めて俯いた
「巴の部屋をなるべく風通しがよくなるよう、工夫してやってくれ。梅雨が明けたとは言え、残暑もまだ厳しい。水気のものも充分摂るよう、注意してくれないか」
そう、付き添う侍女に言い付ける
「私は自分の部屋に居る。用事があれば吉兵衛に言ってくれ」
「承知しました」
「上総介様・・・」
笑顔では居ても、どこか疲労の色も濃い
巴は腹を擦りながら帰蝶を心配した
その巴らと別れ、自室に戻る
巴と義政を引き裂いたのは、自分でもやり過ぎかと心を痛める
だが、巴にはどうしても『信長』の子を産んでもらいたかった
帰命の代わりとなる子の存在も大事だが、『信長』が『坂家』の娘を孕ませたと言う事実も、帰蝶にとっては必要なものだった
もしも巴が自分だったなら・・・
恨まず、織田家の子として産み、育てることができるだろうかと考え、悩む
自分にできないことを巴にさせているのではないかと、気を病まずには居られない
「ここからは一人でできる。みなも躰を休めてくれ」
「ありがとうございます」
一礼し、帰蝶の許を離れる
離れてゆく侍女達の背中を見送りながら、帰蝶は自らの手で襖を開けた
のんびり寝るのも良いだろうか
さっきから右の肩が凝って仕方ない
揉ませようにもなつに知れたら、また無理をするからと説教を食らうだろう
わかっていても、言葉にされると正直、堪える
横になるとそのまま寝入りそうな気がして、帰蝶は縁側の障子から緑を眺めた
そこへ、人の話し声が廊下から聞こえて来る
声の様子を伺うと、市弥のように想えた
「あら」
その市弥が襖を開け、きょとんとする
「戻っていたの?」
「義母上」
「坂家の歓待は終わったの?」
「はい、恙無く」
「それはよかったわ」
「義母上は、如何なさいましたか」
「あなたの部屋の空気を入れ替えに」
「そんな、義母上が態々されなくとも、侍女にさせれば」
「序よ、序。ここの管理をしていたさちが嫁いでから、代わりになる者も置かないのだから」
にかっと笑う市弥の笑顔は、やはり親子だからか信長に良く似ていた
「あなた達、もう良いわ。呼ぶまで好きにしててちょうだい」
後ろに控えている侍女に声を掛け、市弥は帰蝶の居間に入って来る
「お茶でも淹れましょうか?」
「はい、では遠慮なく」
「遠慮しなくて良いのよ。          親子、でしょ?」
「義母上・・・」
息子を死に追い遣った身の上で、何をほざくかと自分を詰るかのように、市弥は苦笑いを浮かべる
そんな市弥に帰蝶も微笑みで返すしかなかった

「斎藤の様子は、どう?小康状態に落ち着いてるかしら」
「はい。義母上が土田家を通じて斎藤に牽制を仕掛けてくださっているお陰で、向こうも下手に動けないようです」
「それは良かった」
帰蝶好みの温い湯で茶を淹れる
茶葉が開くのに暇が必要なため、通常よりも出るのが遅い
「こちらに仕掛ければ土田に背後を突かれる、土田を警戒しようにも更にその後ろには金森家、遠山家が控えている。東美濃を警戒すれば、西美濃の大垣周辺の国人が挙兵するかも知れない不安に、恐らく猜疑心くらいは持っているでしょう」
すらすらと言葉を述べる帰蝶に、市弥は息を吐く
「あなたは、心理戦が得意なのね」
「力なき者の、精一杯の抵抗です。非力な女が男を相手に立ち回るには、そうするしか方法がありませんでした」
「そうやって、あなたは稲葉山で少女時代を過ごしていたのね」
「呆れるでしょう?大人しく花嫁修業をしていたかと想いきや、私はこの手に弓や木刀を握っておりました。          そんな生き方しか、できませんでした」
「だからこそ、あなたは吉法師の嫁が務まったのよ。物静かな女に、吉法師の伴侶は無理でしょう。あなただからこそ、あの子は短い人生を輝かせられたの。胸を張ってちょうだい」
「義母上」
苦笑いする帰蝶に、市弥は励ますかのような言葉を投げ掛ける
受けた帰蝶は少し眉を寄せて微笑んだ
「それにしても、随分疲れたような顔をしているわね」
と、湯呑みに茶を注ぎながら付け加える
「夜はきちんと眠れてる?」
          はい」
「嘘仰い」
帰蝶の前に茶托に載せた湯呑みをそっと指先で差し出しながら、その指で帰蝶の両方の目尻を同時に突付いた
「目の下に、薄っすら『隈』ができてるわよ」
「え・・・?」
「眠れなかったのではないの?巴の方のこと、気にしていないわけではないのでしょう?」
「いえ・・・」
「吉法師の子ではないのを、吉法師の子として育てようとしている。あなたの気持ち、わからなくもないわ。帰命だけでは心許ないのでしょう?あの子に万が一のことがあれば、織田家は断絶してしまう。三十郎にはまだ子が居ない。妻も娶っていない。だから、全ての責任はあなたのその肩に圧し掛かっている。だから、いつもよりずっと、無理をしている」
                
「完璧でなくても、良いじゃない。どこか失敗があっても、良いじゃない。そのために、私達が着いているのよ?あなたの掌から零れた水は、私達が受けます。だからあなたは、今より少しは楽をしてちょうだい」
「義母上・・・」
市弥の言葉に、帰蝶は目尻から涙が溢れそうになるのを自覚した
「失敗して、子を二人も失った私が言うの。間違いないでしょ?」
「・・・っふ」
自虐なその一言に、零れそうな涙が一度に乾いた
「そう、ですね。少し、肩の力を抜いた方が良いのでしょうね」
「そうよ。なつほど寝心地は良くないでしょうが、私の膝だって、いつだって貸すわよ。好きな時に使ってちょうだいな」
「ありがとうございます」
もう、すっかり親子のような関係で居られる市弥に、帰蝶は軽く頭を下げた
それから、気を取り直して市弥の淹れてくれた茶を啜る
                
近江出身のなつの、茶の淹れ方は軽い
白湯にほんのりと緑の香りが漂うような、気取らない淹れ方をする
物足りないとは想いつつも、何杯も立て続けに飲み干す際には、なつの淹れ方が一番喉越しが良い
市弥は自分と同じ美濃出身であるため、味覚だけなら自分に一番近い
茶もたっぷりと出てから湯飲みに注ぐ
渋い色に渋い味
その中を漂う茶本来の甘みと、ぎっしり凝縮された緑の濃い香りが鼻腔を擽った
なつと市弥、其々違う味を出し、それをはっきり分ける茶の味に舌鼓を打つ
本丸に居る間は『織田信長』で居なくてはならないが、局処に戻れば『斎藤帰蝶』で居られる
そうしていられるのは、『気が強い』姑の市弥と、『気が強い』側近であるなつのお陰だと想えた
だから自分は『ただそこに居るだけの織田の嫁』と言う立場で居られる
局処の取り仕切りまで行わなくて済む
故に、戦にのみ専念できる
ふと、背中がぽっと温かくなったような気がした

局処に戻ったのなら、帰蝶は自分の部屋に居るのだろうと、なつは迷わず真っ直ぐ帰蝶の居間に向かった
この頃一人で自由気侭に動いている所為か、以前は侍女や部下で固めていた身の周りが、今では誰も居ない
だからか、歩く早さもそそくさと言った感じで、そそくさと帰蝶の居間の前に到着した
「殿、ご在室でしょうか?」
「はぁい」
中から市弥の声がする
「大方様?」
キョトンとして、なつは襖を開けた
                
目の前に、市弥の膝枕で眠っている帰蝶と、その帰蝶を団扇で煽っている市弥の姿が浮かぶ
なつは一瞬、胸をドキンと鳴らした
「どうしたの?」
「いえ・・・。殿、眠ってらっしゃるのですね」
取り繕うかのような引き攣った笑顔を浮かべ、部屋の中に入る
そっと膝を落とし、帰蝶の寝顔を覗き込んだ
「うとうとしているだけよ。声を掛ければ目が覚めるわ。掛けてみたら?」
「いえ、起こしてしまっては気の毒ですので、このままそっと・・・」
「ふふっ。膝枕なんて、夫以外の誰にもしたことがないから、くすぐったいわね」
「え?」
「心の奥深い場所を擽られるような、それがなんだか嬉しいような、何かが湧き上がって来るような、そんな感じよ」
「そうですか」
「上総介だからかしら」
「え?」
市弥の言葉に、なつは何度も聞き返す
「女だってわかっているのにね、凛々しい青年武将にも見える。ふふふっ。吉法師より男前なんですもの、母親としてはなんだか悔しいわ」
「大方様・・・」
市弥のこれには、なつも上手く返事できず苦笑いする
「無理をするなと言えば、無理をする子なのよね、上総介は」
          ええ・・・」
「逆手を取って、じゃあもっと無理をしろとも言えない。私がこのくらいの時は、何をしていたのかしらって、想うのよ。自分の想い通りにならない吉法師が憎らしくて、毎日苛々していた。いい想い出なんて、何一つない。なのに、今、とても幸せを感じているの。吉法師も三法師も、居ないのに・・・」
「大方様・・・」
「まさか、息子の嫁に生き甲斐を感じることになるなんて、想像もしていなかったわ」
少し眉を寄せ笑う市弥に、なつもさっき感じた詰まらない勘気など忘れたかのように帰蝶を見詰めた
ほんの一瞬、穏やかな風が流れる
このまま穏やかなまま日々が過ぎればと祈ってしまう
だがそれは、儚い夢であることを想い知らされる
「殿ッ!」
突然、庭から可近の叫び声が聞こえた
その瞬間、帰蝶が『待っていた』とばかりにがばりと起き上がる
「殿・・・」
なつの胸がまた、どきりと鳴った
起きていたのか、眠っていたのか
自分達の話を聞いていたのか、聞いていなかったのか
そんな質問などさせてはもらえないとわかるほど、帰蝶の全身からピリピリとした空気が発せられる
「どうした。松平の作戦は遂行できたのか」
縁側に立ち、可近の顔を見下ろす
「松平正妻の身柄は、無事、三河に送り届けました。しかし、今川が・・・」
「動いたか」
それは予め、帰蝶も予想していた通りだ
「戦線は延びているのか?」
「いえ、国境沿いで弥三郎さんの部隊が食い止めています。三河からこちらに入る気配はありません。ですが、武田が・・・ッ」
「信濃で上杉と睨み合いをしていると聞いているが?」
「今川が動いたことに乗じて、尾張に向かっていると我が実家より報告が!」
それを聞いて帰蝶は、顔色一つ変えず号令した
「迎え撃てッ!」

表座敷に戻りながら、可近からの報告を受ける
元康の妻・愛鷹とその子供らは無事、三河の岡崎に入ることはできた
だが、今は松平家の家臣に嫁いでいる元康の生母が、愛鷹の岡崎城入城を拒んでいると言う
今川の人間を岡崎に入れるのなら、松平から離反すると脅しを掛けたと聞かされる
愛鷹と子供の三人は城には入れず、その近くの寺に預かりの身となっているとのことだった
それを手引きしたのが酒井忠次だと可近は告げる
「信頼していた家臣に裏切られたか」
「殿・・・」
「しかし、それでも次郎三郎は酒井を切り捨てることはできんだろうな」
今川に追われ右往左往していたのなら、尚更、家中の団結力を優先して然るべきだろう
元康の決断を批難する気にはなれない
「松平よりも、今は武田を先に片付けねばならん。信濃で上杉と乳繰り合っているものと想っていたが、甲州にまだ余力を残していたか」
「僅かながらも」
「その僅かな数に驚いていては、斎藤に足元を掬われるだけだ。私は清洲から出るわけにはいかん。権を連れ、お前は三河に戻れ。先の指揮は権に一任する。なんとしてでも武田を追い出せ。そして、松平に恩を買わせろ。いいな?」
「はっ!」

武田と小競り合いをしている隙を突いて、斎藤に尾張の地を踏ませるわけにはいかない
市弥を使い可児の土田家に伝令を飛ばし、加納と墨俣に少しばかりの援軍を送り込む
お能に岐阜屋との連絡を取らせようと、帰蝶は本丸の居間に呼び出した
何がそんなに悲しいのか
今、自分の目の前に居るお能に、帰蝶は違和感を感じていた
話を聞かされ、それでもどちらにも同情できない自分がここに居た
さめざめと泣くお能の手には、古びたボロボロの手拭が握り締められている
帰蝶は気付いた
自分に『女』としての感覚が欠如していることを
「そうしたいのか」
静かに訊ねる
お能は声なく頷いた
自分がそう決めたことに、何故この世の終わりのような顔をして泣くのだろう
覚えはあるが、想い出せない
それはいつ失ったのか
『お清』と別れたあの朝からか、それとも、夫が死んだあの春からなのか
帰蝶には想い出せなかった

ある想いは潰え、ある想いは叶った

「殿!三河の街道が見えて参りましたッ!」
妻と子を連れ、今川に追われながら三河に戻る
殿(しんがり)を買って出た織田の金森可近の活躍もあって、松平にはなんの損失もないまま帰還できた
石川数正の叫び声に、漸く一息吐くことができた
なのに・・・・・・・・
          母上・・・ッ!」
「いいですね?竹千代。お前は松平の、唯一の跡取りなの。松平の血を、穢すわけにはいかないのよ。関口の娘は、直ちに今川に引き渡します。お前は黙って私に従いなさい」
                

運命に抗うあなたなら、どうしただろうか
自分の親に逆らって、それでも自分の想いを貫き通すだろうか
それとも、この時だけは従うのだろうか
元康は心の中で『御母様』を想い浮かべ、縋った
教えてください、御母様
私は、親不孝者なのでしょうか
訊ねど応えなど返って来るわけもなく、元康は口唇を噛み締めながら空を仰ぎ見た
助けてくださいと、情けなくも涙が零れそうな想いをしながら

弥三郎の援軍に勝家と可近を送り、墨俣砦、加納砦にも増援軍を配備させ、犬山織田が動けぬよう蜂須賀小六正勝を小牧山に送り込む
正勝は何人かの味方を引き連れ、清洲を出発した
この頃漸く、使えるようになった
そして帰蝶自身は、清洲から動かぬ姿勢を決め込んだ
「殿にしては珍しく、静観をなさるのかしら」
そう、なつは首を傾げる
なつだけでなく、誰もがそう考えた
清洲の城の人間を不思議がらせた帰蝶は、利家を伴い城下の住宅街に足を運ぶ
夜もすっかり更けた頃であった
「権の叔父貴と一緒に行くつもりだったのに、なんだって殿は俺を」
「お前はこの付近に詳しいと聞いてな、道案内だ。高級住宅街に住んでるシゲじゃあ、護衛にもならない」
「まあ、確かに」
口調は厳しくても、間違えたことは言っていない
帰蝶の性格をよく把握する利家は反論をやめ、素直に案内した
「この辺りは商売人の家が多くて。商売人と言っても、商店を営んでるんじゃなくて、物流の方ね」
「甚目屋のようにではなく?」
「ええ。吉法師様が推し進めた楽市ですが、全ての百姓が自由に物を売買できるわけじゃありません。小規模の農地だと、村単位で物を売るしか。それに、借りている畑だと地主にその権利があって、やっぱり百姓が自分の自由で畑の物を売ったりはできないんですよ。だから、そう言った生産者側と小売の間を取り持つ『卸し』と言う業者が存在するんですが、ここらはその『卸し』が多く住んでて」
「そうだったのか」
「まあ、謂わば『中流家庭』が建ち並ぶって言えば話は早いかな」
「確かに、大きな屋敷を構える平三郎が、別宅で屋敷を持つのは金銭的に無理だな」
「かと言って、自分の勝手でこさえた妾を、ボロ長屋に住まわせるのも聞こえが悪いですしね」
「男は難儀なものだ。世間体も家庭も考えねばならん」
「殿にはそんな心配がないから、他人事で居られますけどね」
                
一言多い利家の頭に、帰蝶は想い切り拳を突き立てる
利家は黙って頭を抱えて蹲った
「で、お能から住まいは聞いて来たか?」
「はい。お能様の話では、この先の小路を抜けた突き当たりから三軒目だと言っておられました」
「そうか。近いか?」
「そうですね。そう、距離もありません。ですが、なんでお能様はご自分で行かれないのですか?」
「知るか。亭主の浮気を心配する立場にはない私に、わかるわけがないだろう?」
「ああ、棘を刺せば棘を刺し返す。殿って、潔いお方ですなぁ」
「喧しい。吉兵衛の口真似をするな」
その口を裂いてやろうかと言わんばかりに、帰蝶は兼定を構えた
利家は慌てて土下座する

利家を先頭に、お七と平次、父親違いの兄が住むと言う家に向う
夕暮れが少し過ぎた頃に城を出たのが、いつやらかすっかり日も暮れ月が浮かんでいた
この時分、いつもなら床に入っている
正直、帰蝶は眠くて仕方なかった
「大丈夫ですか?殿」
「なんともない」
瞼を擦って、目を覚ます
「無理しないで」
「無理などしておらん」
「だって、いつもだったらもう・・・」
それでも、ふと想った
帰蝶は今も、『悪夢』に魘されているのだろうか
龍之介が生きていた頃のように
今も、まだ・・・
「殿・・・」
じっと、戸口を見詰める帰蝶に声を掛けようとしたが、その眼差しが真剣なものに気付き、利家は口を摘むんだ

そろそろか、と、次男の喜三郎を呼ぶ
「良い?今夜も平次の面倒を見てやってね」
次男の喜三郎はもう十に手が届くくらいの年齢だった
充分しっかりしている
ただ、『田舎育ち』だったのが『都会』に来て、少し臆病な性格にはなってしまったが
「うん、わかった」
「じゃあ母さん、行って来るから」
「行ってらっしゃい」
健気に玄関まで母を見送る
この頃、子供が起きているような時刻ではない
大人の帰蝶が眠くなるような頃合なのだから、喜三郎が起きていられるわけもなかった
それが平然としていると言うことは、それが日常の習慣なのだろう
お七は喜三郎に手を振りながら家を出た
決して大きな家ではないが、時親の与えてくれた家である
大切に使いたかった
だが、場所が場所だけに維持費も掛かる
税も掛かる
養ってくれる男は居ない
自分が働くしかなかった
喜三郎に「いつまで起きているのか」と叱れるような環境にないのは、お七自身自覚していた

「あ、出て来た。殿、あの人じゃないんですか?」
お能の示した家から出て来る女を指差し、利家は訊ねた
          わからん」
名前は知っていても帰蝶も、お七と顔を合わせたことは一度もなかった
当然、顔を知らない
「でも、あの家に間違いないんだから、あの人なんでしょうね」
「そうだな」
「着けますか」
「当然だ。そのために、ここまで来たのだからな」
お七に気付かれないよう、帰蝶と利家はその後を着けた

運命が交差する
誰の手でもなく、己の心のまま
導かれるまま
心と心
手と手
想いと想い
重なり、捩れ、壊れて行く・・・・・・・・・・
PR
この記事にコメントする
name
title
mail
URL
comment
pass   
Secret
無題
Haruhiさんこんにちは。
10000カウント、ゲットしちゃいました^^
今日、今ココへ来てよかったです。
久しぶりの帰蝶、遠距離恋愛の恋人に逢うようなドキドキでした。

また運命が…動くんですね…?
mi URL 2010/12/21(Tue)13:56:12 編集
こんばんは
いつもコメント、ありがとうございます
この拙い創作物がまさか年内で10000カウントに到達するとは思っていませんでしたので、とても驚いております
これも偏にmiさんや、そっと見守ってくださっった皆様のお陰と存じます
この場をお借りして、お礼申し上げます

>今日、今ココへ来てよかったです。

すみません
まだ先のことだと思っていたので、何も用意しておりませんでした・・・

>久しぶりの帰蝶、遠距離恋愛の恋人に逢うようなドキドキでした。

お待たせしました
まだ煮詰まりな状態ですが、帰蝶姫への変わらぬ愛をエネルギーに変えて、少しずつ進めて参ります
これからも変わらぬご愛顧、よろしくお願いいたします

>また運命が…動くんですね…?

はい、動きますとも(ニヤ
Haruhi 【2010/12/21 23:23】
濃姫(帰蝶)好きの方へ
本日は当サイトにお越しいただき、ありがとうございます

先ずはこちらのページを一読していただけると嬉しいです→お願い

文章の誤字・脱字が時折混ざっております
見付け次第修正をしておりますが、それでもおかしな個所がありましたらお詫び申し上げます

了承なしのリンクは謹んでご辞退申し上げます
管理人の独り言も混じっております
[11/04 Haruhi]
[08/13 kitilyou]
[06/26 kitilyou命]
[03/02 kitilyou命]
[03/01 kitilyou命]
ゲームブログ
千極一夜

家庭用ゲーム専用ブログです
『戦国無双3』が絶望的存在であるため、更新予定はありません

◇◇11/19 Nintendo DSソフト◇◇
『トモダチコレクション』

おのうさま(帰蝶)とノブ(信長)が 結婚しました(笑

祝:お濃さま出演 But模擬専…     (戦国無双3)


おのれコーエーめ
よくもお濃様を邪険にしおってからに・・・(涙

(画像元:コーエー公式サイト)
オンラインゲームにてお濃様発見


転生絵巻伝 三国ヒーローズ公式サイト:GAMESPACE24
『武将紹介』→『ゲーム紹介』→『Exキャラクター紹介』→『赤壁VS桶狭間』にてお濃様閲覧可
キャラクター紹介文
絶世の美貌を持つ信長の妻。頭が良く機転が利き、信長の覇業を深く支えた。
また、信長を愛し通した一途な妻でもあった。

(画像元:GAMESPACE24公式サイト)
勝手にPR
濃姫好きとしては、飲めなくても見逃せない

岐阜の地酒 日本泉公式サイト

(二本セットの画像)
夫婦セット 吟醸ブレンド(信長・濃姫)
本醸造 濃姫
カップ酒 濃姫®=爽やかな麹の薫り高い、カップとは想えない出来上がりのお酒です
吟醸ブレンド 濃姫® ブルーボトル=自然の香りのお酒です。ほんの少し喉を潤す程度でも香りが深く体を突き抜けます
本醸造 濃姫®=容量的に大雑把な感じに想えて、麹の独特の香りを抑えたあっさりとした風味です

今現在、この3種類を試しておりますが、どれも麹臭い雰囲気が全くしません
飲料するもよし、お料理に使うもよし
お料理に使用しても麹の嫌な独特感は全く残りません
奇跡のお酒です
何よりボトルがどれも美しい

清洲桜醸造株式会社公式サイト

濃姫の里 隠し吟醸
フルーティで口当たりが良いです
一応は『辛口』になってますが、ほんのり甘さも残ってます
わたしは料理に使ってます

清洲城信長 鬼ころし
量的に肉や魚の血落としや、料理用として使っています
麹の香りが良いのが特徴ですが、お酒に弱い人は「うっ」と来るかも知れません
どちらも一般スーパーに置いている場合があります
ブログ内検索
ご訪問、ありがとうございます
あまり役には立ちませんが念のため
解析

Copyright © Haruhi … All Rights Reserved. / Powered by NinjaBlog ・ Material By 苑トランス , KOEI

忍者ブログ [PR]