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「もういいかい」
「もういいよ」
                
いつもより、佐治の返事が早い
見付かる気満々なのだなと、市は小さく溜息を零した
それまで一緒に過ごすことが多かったさちは、この頃義姉の弟の世話をするために武家長屋に出向いてばかりで、自分の相手をしてくれなくなった
尊敬する義姉の実弟でも、市は利治が好きになれない
大好きなさちを取ったからが理由だ
だけど、そんな想いも少しずつ薄れて行った
代わりに佐治が遊んでくれるようになったからだ
「佐治はどこかな」
見慣れた小袖の裾が、欅の端から覗いている
「どこかなぁ」
知っていながら市は、こっそり欅に近付いた
「佐治ぃ~」
ほんの少し、声を小さくして佐治を呼んでみる
それで、木の陰の佐治がどう反応するのか、見てみたかった
「佐治」
小さく、小さく呟く
          す・・・き」
その声は、近くに居る佐治には届かなかった
「佐治・・・」
側に居るのに、近付けない
どうしてか、市にはわからなかった
途端に心が悲しくなり、涙が溢れる
「佐治・・・っ」
小さく叫んだその声を聞き、佐治が欅の陰から出て来た
「如何なさいましたか?お市様」
                
佐治の顔を見て、安心し、零す必要のない涙が零れた
「お市様?」
目の前で涙を流す市に、佐治は目を丸くさせた
「佐治・・・・・・・・・・・」

          大好き

心の中で呟きながら、佐治の腰にしがみ付いて泣く
時々そうして、市は佐治に甘えていた
それは無意識のことだった

                
いつの間にか転寝をしていたか、市はゆっくりと目を覚ました
側に置いてある火鉢が、暖かな風を吹かせる
          おえい・・・」
そっと体を起こし、侍女のおえいを呼ぶ
「はい、奥様」
おえいは隣の部屋に居たらしく、直ぐに来てくれた
「お目覚めですか」
「佐治に、手紙を書こうと想うの」
「旦那様に?それはようございますね。紙と筆をご用意いたします」
「でも、何を書けばいいのかわからないの。城に行って、母様に聞いて来るわ」
「奥様、道中産気付いたりしたら如何なさるのですか」
おえいは頭に汗を浮かばせて市を止めた

「佐治」
短い軍議の後、佐治は帰蝶に呼び止められ、振り返る
側に居た藤吉も揃って立ち止まった
「はい、殿」
「市からこれを預かって来た」
と、面当てを差し出す
「これは・・・」
「戦の時は間違いなく被るように、とのことだ」
          移動の際には邪魔なので、断ったんですが」
苦笑いする佐治に、帰蝶も軽く笑う
「それでも、持っていてやれ。それだけで、市は安心するのだ」
「はい」
「で、そこに居るは藤吉か。蜂須賀のところの」
「はいっ」
名を呼ばれ、ずいと前に出る
「何か」
「佐治にくっついて、とうとう小牧まで来てしまったのだな」
「いやぁ、佐治さんと組んでる方が、仕事してるって甲斐を感じるものですから」
「蜂須賀のところは、生温いか?」
「と言うよりも、甲斐を感じないと言うか・・・」
顔を皺だけにして苦笑いする
「なら、本日付でお前を佐治の補佐に付ける」
「えっ?!ホントですかっ!」
「とっ、殿っ・・・!」
突然の帰蝶の申し出に藤吉は喜び、佐治は大慌てする
「それでは、蜂須賀様が」
「構うな。主の言うことを聞かぬ部下など、居ても扶持が無駄になるだけだと、寧ろ蜂須賀の方から放逐を申し出た。蜂須賀は今、墨俣に詰めているからな」
「そうですか・・・」
「遠慮せず、扱き使え」
「はい」
藤吉が喜んでいるのだから、自分も素直に受けねばならんかと、苦笑いする
その佐治に、帰蝶は付け加えた
「とろこで、良く使える侍女が市に着いて清洲に残っているそうだが、難儀はないかと市が心配している」
「あー・・・、飯炊きはこちらで調達しましたし、身の周りは弥三郎さんからお小姓さんをお借りしてるので特に問題は。ただ、風呂の世話をしてくれる者が居ないので、久し振りの自分の世話に戸惑っております」
「そうか」
「だったら俺が佐治さんの風呂の世話を。何ならうちの女房を寄越してもいいですよ」
と、藤吉が冗談を仄めかす
「いや、そこまで藤吉さんに面倒を掛けさせることは・・・」
「侍女は他に雇っているのか?」
「ええ、何人か」
「誰でも良い、兎に角お前は戦働きに専念できるよう、家のことは誰かに任せろ。市も出産が終わったら直ぐに駆け付けると言っているが、いつ出て来るかわからんからな、そんな先のことまで構ってられんだろ」
「そうですね・・・」
帰蝶からそう言われ、手間の掛かる風呂の周りのことだけでも、誰かに頼もうかと左兵衛に相談する
その、世話を買って出たのがお袖であった
まだ若いお袖に体の世話をさせるのは忍びなかったが、帰蝶が到着したことで自身も本格的に動かなくてはならない
帰蝶の言葉どおり、構っていられる場合ではなかった
若く動きの俊敏なお袖が、その担当に決まる
自分も納得したこととは言え、いざ若い娘の前で裸になるのには多少なりとも抵抗感を感じる
妻の前で全裸になるのとはわけが違うのだから
この辺りはまだ、農民だった頃の癖が抜け切れないのか
          無理をしなくとも」
「いえ、無理などしておりません」
下帯だけの姿で、最後の確認を取る
「奥様がお越しになられるまで、わたくしが面倒を見させていただきます」
「風呂くらいなら、一人でも入れるんだけどなぁ・・・」
と、苦笑いする
「お武家様が一人湯など、とんでもない話でございます。遠慮なさらず、なんなりとお申し付けくださいませ」
「じゃ・・・、あ・・・」
ぎこちない声で応え、急いで下帯を外して手拭を巻き付ける
清洲の屋敷では市か、市が動けない時はおえいが世話をしてくれていた
妻以外の若い女に肌を見せたことのない佐治にとっては、大問題であった

佐治が小牧山に到着したのとほぼ同じくして、市のお腹の子も益々活発になって行った
「もしかしたら、そろそろかも知れませんね」
おえいにそう言われ、市も頬を緩ませる
「生まれたら、佐治に逢える・・・」
口の中で小さく呟いた
それを聞き、おえいも市に微笑んだ
「では、いつお生まれになられても良いように、ぼちぼち準備をいたしましょうか」
「ええ、お願い」
今はただ、お腹の子が出て来るのが楽しみだった
小牧山で佐治がどのような暮らし向きをしているのか、そこまで考える余裕はなかった
そう想えば、言い訳になるだろうか

秋も深まり、犬山攻めに向け佐治が動く
それと等しく、藤吉も動いた
小牧山の砦には、帰蝶の世話をする小姓、それに紛れてなつと、なつが連れて来た侍女達が付き添う
そこに加わったのは、藤吉の嫁の寧であった
小柄で少しずっしりとした体格
朗らかさが滲み出ているような、笑顔の似合う少女であった
歳を聞けばまだ十四だと答える
十四で二十六の男に自分の意思で嫁いだのだから、余程のしっかり者かと想えば、それ以上の『しっかり者』だった
「殿、先程お使いになられた筆を、拭っておきました。乾きやすいよう、縁側に少し置いておきますので、お足元にご留意くださいませ」
「ああ、気が利くな、お前は」
「いいえ、当然です。そろそろお茶もご用意いたしましょうか。お口添えに香の物は如何ですか?殿は塩気の効いた物が好みだと伺っておりますので、白菜を用意しております。小さく刻んだ方がよろしいでしょうか。それとも、お口に合うよう短冊切りがよろしいでしょうか」
「では、短冊切りで頼む。一々箸を持つのも億劫だからな」
「ならば、楊枝をお持ちします」
「頼む」
「直ぐに」
そう言うと一礼し、寧は体に似合わぬ機敏さで部屋を出た
                
残されたなつは、呆然としている
「どうした」
「いえ」
少しして、帰蝶に躰を向けた
「私のすることが、何もなくて」
「ははは!お前が張り切って働くこともなかろう?清洲では引っ切り無しで動き回っていたのだからな、ここに来て少しは安め」
「そうは参りません。殿のお世話をするために随行した者が、下の者を動かしてのんびり優雅に休暇とは、大方様に申し訳ございません」
「誰もお前のことを義母上に告げ口などせん。良いから、のんびりしておけ」
「ですが・・・」
「いざと言う時は、お前に出張ってもらわねばならんかも知れん。その時のためだと想えば、少しくらいの休暇も悪いことではないだろう?」
「殿」
自分を庇ってくれるのは嬉しいが、それでもやはり、帰蝶の身の世話を志願して同行したのだから、何か一つくらいはやり遂げたい
なのに、何かに手を付けようと想った尻から、寧がてきぱきと片付けてしまう
仕舞いには、帰蝶の爪まで切っているのだから、なつには寧の存在が疎ましい
かと言って、悪い女でもないので、愚痴を言えば角が立つ
事実、気は利く、手先は器用、人付き合いも上手く、なつに付いた侍女達からの評判も頗る良かった
ここで寧に対して不平を言えば、途端に自分が悪者になるのは目に見えている
尚更、想うことが口に出せなくなる
「殿・・・」
「心配せずとも、お前に黙って何処かに行くことなどせん」
                
なつは目を見開いて帰蝶を見詰めた
「あ・・・、あの・・・」
帰蝶の世話をする寧の姿を目にして、少しだけ、帰蝶を遠く感じていた
心のどこかで、期待していた
「自分の世話は、なつがしてくれる。だから、お前は不要だ」と言う言葉を
だけど帰蝶は、それを口にはしなかった
少し苛立った気持ちを持っていたことに、変わりはない
それを見抜かれたかと、なつは顔を赤くした
「私は、そんなにわかりやすく・・・?」
「ははは。『素直』と言うことだろう?」
笑われ、なつは袖で顔を隠す
帰蝶の笑い声が一層、高くなった

故郷を離れ、どれくらいが経ったのだろうか
ある日突然弥三郎の実家である馬屋から、織田家に仕官したのを、実家の母や兄はどう想っただろうか
そんなことを考える余裕もないまま、こんにちまで過ごしていた
武家の元服も行わず武士になり、氏族名までもらった
妻も得た
子も、生まれる
最初にどんな挨拶をすれば良いのかわからず、佐治は数年振りの古里に足を運んだ
目的は犬山周辺を探るためである
美濃の大垣周辺は恒興に任せ、佐治は本格的に犬山織田攻略に乗り出した
その付き添いは当然だろうが藤吉だった
「へええ、ここが佐治さんのご実家で」
「いや、もう少し先の村だよ」
辿り着いた先は、過疎感の否めない小さな町だった
周囲の風景を見渡しながら訊ねる藤吉に、佐治は少し笑って応える
「どんなとこですか?っても、これから向かうんだから、聞くだけ無駄ってとこでしょうけど」
「あはは」
藤吉の言い回しが可笑しく、佐治は軽く笑った
「特に目立った村じゃありません。何度も戦火に巻き込まれて、何度も侍に田畑を踏み躙られてます。          憎い筈の侍に、私はなりました」
「佐治さん・・・」
淋しそうな佐治の声に、藤吉は足の歩みが遅くなった
「それでも、守りたいものがあるから。だから、私は向かいます。捨てた故郷に」
                
少しだけの後ろめたさと、今、自分にすべきことの間で揺れ、それでも前を向いている佐治を、藤吉は自身のことのように誇らしげな目をして微笑んで見詰めた
「行きましょう」
「はい!」
再び歩き出す佐治に、藤吉も声を張り上げて応えた
まるで従者のような
盲信者のような
そんな足取りで佐治の少し後ろを歩く
自分の歩く道を照らしてくれた人だから
だから、藤吉にとって佐治は、『特別な人間』だった

市の腹の子が活発に動くのと同時に、巴の腹の子も動き始める
元々細身だったからか、それほど膨れても居ない時期から腹が目立っていたのが気に掛かった
帰蝶の留守の間、自分の世話は義理の母である市弥が積極的に見ている
気配りの細かい女性なので、何も言わずとも欲求を満たしてくれた
「そろそろ腰巻の用意でもしましょうか。朝の寒気が目立ち始めてるものね」
と、声を掛けてくれる
「恐れ入ります」
自分の孫ではないのに、腹の中の子を気遣ってくれた
「気にしないで、一々謝ることはないのよ」
そう言って、市弥は笑って見せた
自分の孫ではない子供の世話など、徳子で馴れているのだから、今更他人の子が一人増えたところで大差はない
倅の信長が死んだとわかった時から、本家の孫など望んではいない
後は信良が嫁をもらって子供を作れば、それは自分の孫になる
「大方様」
と、実の孫の帰命が祖母の部屋の襖を開け、部屋に入って来た
「あら、帰命。今日のお勉強は、終わったの?」
母が留守の間、帰命は依存する相手を祖母の市弥か、乳母の菊子に限定していた
「少しだけ、ご休憩です」
「まあ」
まだ幼いからか、言葉の使い方が少し可笑しい
市弥はそれに笑い、帰命を膝の上に座らせた
「それで、婆様に甘えに来たのですか?」
「菊子が忙しそうなので」
「選ぶ相手がなかったのですね?」
                
帰命は遠慮なく、素直にコクンと頷いた
それに市弥は怒るわけでもなく、笑い出す
笑顔が天道のように明るく、『清洲のお日様』と呼ばれている由縁がよくわかる笑顔である
巴は市弥に釣られて笑い出した
清洲は穏やかな空気に包まれていた
少し離れた先で戦が起きようとしているとは、到底想えない程に

さっきまで秋風を吹かせていた空が穏やかになった
小姓や道空を退かせ、一人、新築の部屋から雲を眺める
その帰蝶の耳に秀隆の声が届いた
「殿」
「どうした」
「犬山の動向ですが」
「入れ」
「失礼します」
周りに誰も居ないことに、少し遠慮しながら部屋に入る
帰蝶を『女として』見なくなって、どれくらい経つだろうか
それでもこうして一対一で向かい合うと、その美しい面(おもて)が女らしさを醸し出し、男としての感情が湧き上がってしまう
「犬山が動いたか?」
「ええ、そうですね。兵糧を蓄え始めています」
「平城では通り道を塞ぐのに難儀はない、だが、通り道は無限に存在する。その一つ一つを封鎖するのも簡単なことではないだろうが、山城に比べれば兵糧攻めも容易い」
「殿のその指示もあったので、今、通路の封鎖に当たっております」
「仕事が速いな、感心だ」
「恐れ入ります」
帰蝶が誉めてくれる時は、『失敗を許さない』時である
鼠一匹通せないようにしろと、無言で合図したのと同義だった
「それと、清洲から報せが入りました」
「何かあったか?」
「いえ、城からではなく、池田屋敷・・・、佐治の方ですね」
「佐治、と言うと、市か?」
「正しくは、侍女のおえいさんからですけど、そろそろ出産の準備を始めますとのことで、それを佐治に伝えたかったんですが、聞きましたら調略に出ているとか」
「そちらか。ああ、佐治なら生まれ故郷の村で情報を集めるとか言って、藤吉を連れて朝早くに砦を出たぞ」
「藤吉・・・。蜂須賀殿のところの」
普段聞き慣れない名前に、秀隆は簡単には思い出せなかった
「蜂須賀の仕事に加わらないのでな、三行半を突き付けられた。なのにヤツと来たら喜んで、佐治の後をほいほい着いてったぞ」
「ははは。大垣攻略の頃より、佐治にくっついて回ってましたものね。余程、相性が良いのでしょうか」
「佐治の人柄だろう。勝三郎も、あれにやられた。人好きを誘うような男ではないが、気が付けば佐治の魅力に当てられる。市がそれでころりと行ったのだからな、男でも弱いところを見せてしまうだろう」
「何より、佐治は頭が回りますからね」
「機転が利かねば、平民に士分は与えれん」
「それを見出されたのは、殿ですね」
                
秀隆の何気ない一言に、帰蝶は自分でも驚くほど皮肉めいた苦笑いを浮かべた
「殿?」
「私が佐治を見出したわけではない。佐治が自ら志願した。それを受け入れただけだ」
「ですが、殿は佐治がまだ馬屋の手伝いをしていた頃より、佐治に目を掛けておられました。ですから、時折り那古野にも来ていたのではありませんか」
「あれは、小牧や近隣の国の情報を得ようとしただけだ。佐治の持つ才能までには気は回らなかった」
「そうですか」
なんとなく、秀隆はそれ以上物を言おうとしなかった
帰蝶の気質は良く知っている
「あなたはそうだ」と言えば言うほど否定することを、知っていた
「佐治の采配が上手く行くと良いですね」
「藤吉も着いてるのだから、失敗は先ずないだろう」
「余程信頼されているようで」
「美濃遠征でも、佐治は池田部隊を一人、守り抜いた。それだけの力量のある男が組んでいるのだ。藤吉もただの雑兵ではなかろう?」
「そうですね」
秀隆は、帰蝶の『人を見る目』が時折り狂うことも、知っていた
それは些細なことから始まり、やがて大きな巌となり行く手を塞ぐ
しかし、それを跳ね返す力も持っている
今はそれを信じるしかないと考えていた
「上手く、行くと良いですね」
小さな声で、祈る
自然と頭が擡げた
「何を心配している」
帰蝶は立ち上がり、秀隆の背後に回った
「お前は、いつもそうだ。心配し過ぎて、出番を見失う」
          殿・・・」
「莫迦だな」
                 ッ」
背中に、重い感触を覚える
少し首を後ろに回せば、帰蝶の髪が見えた
「少しは私を信頼しろ。私は、信頼している。だから、お前に背中を預けられる」
「殿・・・・・・」
「安心して、戦場を駆けられる」
                
秀隆は、背中に感じる帰蝶の温もりを受け、挙げた頭を再び降ろした
          はい」
小さく返事しながら
微かに瞳が光ったのは、男涙でも浮かんだか
それを帰蝶は知らなかった
今もところどころで増築を続けている、槌の打つ音を聞きながら、帰蝶は秀隆の背中に凭れたまま目を閉じた
こんな風に、いつの間にか、誰かに背中を預けられるようになった自分を、少しだけ可笑しく感じる
『自覚』してから、自分が変わったこともわかっていた
以前のように勝手も利かない
それが、『大人になる』と言うことなのだろうなと、帰蝶は想った

懐かしい光景
生まれ育った小さな寒村
忘れていた故郷
その村に、一歩足を踏み入れるには勇気が要った
「佐治さん?」
急に足取りが遅くなった佐治を、うっかり追い抜いてしまった藤吉が振り返り、顔を傾けて訊ねた
「どうかしましたか?」
          いえ、なんでも・・・」
「久し振りだから、緊張してるんですか?」
藤吉は人の心を読み取る天才だと、佐治は感じていた
誤魔化しても、きっと、しつこいくらい聞いて来る
そう想った
「かも、知れません。ははは」
「俺も覚えありますよ。十五十六で村を出て、あっちへこっちへふらふら、どこに仕官しても充分に使ってもらえず不満ばかりが溜まって、結局、故郷の尾張に戻って来ました。でも、敷居が高くて、村にも実家にも帰ってません」
「藤吉さん」
「俺も、家に帰れと言われても、素直に帰れるかどうか、自信ありません。ああ、多分逃げちまうかも知れない」
「まさか、藤吉さんに限って」
「佐治さんがこんなに及び腰なんだ。俺だってどう出るかわかんねえ」
                
藤吉の顔は、いつものように朗らかに笑っている
だけど、目は笑っていなかった
                
何を想ってここに来たのか、佐治は思い出そうとした
犬山に程近い故郷の村での情報収集
それを帰蝶に持ち帰る
織田を優勢に運ぶため
なんのために
          妻と、生まれて来る子のために
          藤吉さん」
佐治は小さな声で囁いた
「ありがとう」
「え?」
よく聞き取れなくて、藤吉は聞き返した
「行きましょうか」
「佐治さん・・・」
自分に顔を向ける佐治の表情は、いつも見慣れた朗らかで、だけどどこか計算しながらの自信に溢れたものにも見え、藤吉も頬を綻ばせた
「はいッ!」
元気よく返事し、歩き出す
その脚が早く、佐治を残して行ってしまい、慌てて引き返し佐治の後ろに付く
そんな藤吉の動きが面白くて、佐治は滅多に大声では笑わないものを、ゲラゲラと腹を抱えて笑った
藤吉も、元気な佐治の姿を見て、笑われたことが嬉しくて、一緒になって笑い出した
何が可笑しいのか自分でもわからない
ただ、佐治が笑っていてくれることが嬉しかった

痩せた土が多く、これと言った豊作も見込めない
高価な野菜が採れるわけでもなく、戦が起きる度に畑は荒らされる
時には木曽川の氾濫で家ごと流されることもあった
何度も何度も死んで行く畑を見ては、自分のやっていることが無駄に想えていた
幼い頃、戦をする侍から畑を守ろうとした父に流れ矢が当たり、困窮していた佐治の家庭は更に貧しさを味わされた
弱い者が戦で泣かずに済むにはどうしたら良いのかと思いあぐねていた時に、帰蝶に出会った
それから数年が経ち、佐治の想いは固まった
自分が侍になり、戦をさせなければ良いのだ、と
帰蝶との出会いで、佐治の願いは少しずつ現実に近付いていた
故郷の村は犬山に近い場所にあるが、犬山の支配は受けていない
こうして侍の姿をした男が何人入ろうと、村の迷惑にはならない筈だった
小さな集落でもある村だ
目に入る顔は、どれも見慣れたものばかりだった
だが、一人一人に声を掛けている暇はない
佐治は真っ直ぐ、実家のある畑へと向かった

「あら?」
小用で席を外していたなつが戻って来た
戻るなり、キョトンとした顔を帰蝶に向ける
「どうした?」
「いえ。シゲが来てたかと想うのですが」
「シゲ?ああ、来ていたぞ。シゲに何か用でもあったか?」
「いえ、シゲではなく」
「どうした、なつ」
いつもと違って口篭るなつに、首を傾げる
「あの・・・、清洲で何かあったのかと想いまして・・・」
「清洲で?何故だ?」
「市姫様のご出産も控えておりますし、年明けには三河から松平が訪問する予定ですし、なのに殿はそれを待たずして小牧山に移られたものですから、清洲から帰還要請でもあったのかと」
「来て早々帰って来いなど、義母上様が言うわけなかろうが」
「そうですけど、大方様もここ心配性の気がございますし」
「だとしても、お前ほどではないだろうよ」
                
呆れたような顔をしてはっきり言われ、なつはぽかんと帰蝶の顔を見詰めた

村の出入り口でもある杉の木が二本並んだ道を入る
何年振りだろうかと、改めて想いが込み上げた
襤褸一枚を纏って村を出た少年が、今は立派な武士の姿をして戻って来たことに冷やかされたりはしないだろうか、驚かれたりはしないだろうか、と、佐治は酷く胸を擽られる
「佐治さんちは、どの辺りですか?」
「小川の近くです。村でもみすぼらしい家ですから、直ぐに見付けられます」
そう自分を笑うかのように言う
「うちだって、そうですよ。立派な御殿なんかじゃない。でも、今の国を支えてるのは、そう言ったみすぼらしい家で暮らす、底辺の人間だ。豪華絢爛な生活をしていないからこそ、俺達が食う米を作ってくれている。綺麗な小袖を着た人間に、畑仕事が出来ますか?」
                
はっきりと、だけど微笑みながら言い切る藤吉に、佐治は少し目を見開いて、それから一緒に微笑んだ
「そうですね」
気を改めて、村を歩く
佐治が歩けばそれは、幼い頃出た時と然程変わらない、相変わらず小汚い村の風景に一筋の光りが差すような、そんな雰囲気だった
誰も彼も、身形の立派な侍が村を歩く姿に目を奪われる
中年の男がそれを見付け、声を掛けた
          お前、もしかして、佐治・・・か?」
「お久し振りです、権吉さん」
                
変わり果てた佐治に、権吉と呼ばれた男は、しばし目をぱちくりとさせた
「うちの家族は、変わらずですか?」
「え?」
「母も兄も、健在でしょうか」
「それは・・・・・・・・・・」
佐治の姿に驚き、その後、顔が翳る
隣で見ていた藤吉は、いつもと違い、一言も口を利かなかった
「お前のおっ母さんは・・・・・・・・・・・・」

「お帰りなさいませ」
ここのところ、侍女のお袖が佐治の世話をしたがるのか、玄関で出迎える光景が当たり前になっていた
          ただいま戻りました」
努めて微笑もうとするが、頬が引き攣って上手く笑えない
「お疲れのようですね。先に湯浴みをなさいますか?支度はできております」
「気が利きますね、ありがとう。そうしようかな・・・」
今は飯も酒も、喉を通りそうにない
ともすれば足元から崩れてしまいそうな、そんな気持ちにさえなる
「では、お世話いたします」
「いつもありがとう」
「いいえ、当然のことにございます」
軽く頭を下げると、お袖は佐治の先に歩いて湯殿に誘導した
若い女の前で裸になるのも、少しは馴れて来た
お袖が表情を崩さないで居てくれるお陰だろうか
ただ今は、そんな個人的な感情などどうでもいいかのように佐治の心は重く、まるで泥でできたかのような苦しい胸の内を抱えていた
湯殿の隅で火に焙られた炭が『パチン』と音を立てている
ああ、もう直ぐか
そう、言葉が浮かぶ
もう直ぐ、息子か、娘が生まれるのだな、と
こんなことでくよくよしてどうする、と、自分自身を励ます
それでも、今だけは気持ちの切り替えが上手くできない
自然と頭が垂れた
まだ真新しい檜の風呂椅子に腰を降ろし、お袖が背後に回るのを待つ
やがて、少し冷えたお袖の手が肩に乗せられ、背中を拭う感触が伝わった
          旦那様。お躰の疲れは、中々抜けそうにございませんね」
「いや・・・」
躰が疲れているわけではない
心が、疲労していた
「私は、構わないのです」
肩に置いた手が離れ、衣擦れの音がした
「え・・・?」
何事かと、普段気にもしなかった背後を振り返る
「お袖・・・・・・・・・・・・・・・」
お袖は着ていた小袖を脱ぎ捨て、その瑞々しい裸体を晒していた
「私は、一向に構いません。どうぞ、お好きになさってください」
今、お袖を抱けば、心は軽くなるのだろうか
忘れたかったこと、忘れていたこと、全て、なかったことになるのだろうか
                
手が、お袖の乳房に伸びた

          そうか」
砦の表座敷では、この時だけ藤吉が帰蝶・信長の前に座っていた
帰蝶の傍には、女房の寧が控えている
女房を迎えに来て、その序にはなってしまったが、村での出来事を報告した
話を聞き、帰蝶の眉間に僅かな皺が生まれる
「あの・・・、殿・・・。佐治さんは・・・」
「その先どうするか、それは佐治の判断に委ねる。特に注視していない村だ。情報は他からでも拾える」
「そう・・・ですよね」
「何故、お前が落ち込んでいるのだ」
「落ち込まないわけ、ないでしょう?佐治さんは、俺の道標・・・・・・・・・。いえ、なんでも」
言い直し、藤吉は改めて土下座した
「ただ、殿には心に留め置いていただきたかっただけにございます。どうかしてくれなどとは、考えておりません。ご無礼を、お赦しください。謁見までしていただいたのに、俺・・・・・・・・・・・」
「お前は、佐治に心酔しているのだな」
                
藤吉は、帰蝶の一言に頭だけを上げ、上目遣いで見上げた
月光に照らされる、その美しい面(おもて)を
「私にも、覚えはある。今のお前を責めるつもりはない。これまで通り、佐治に尽力せよ」
                 ははっ・・・!」

指先が、お袖の白い乳房に当たった
もっと触れてくれと言わんばかりに、お袖自身から胸を突き出して来る
その行動に、佐治は咄嗟に手を引っ込めた
                 旦那様・・・」
「お前に恥を掻かせるのは、忍びない。だが、私はそう言った教えは受けていない」
乾いた声で、気持ちを言い表す
「私は、旦那様を」
お袖は佐治の手首を掴み、自分の乳房に押し当てた
「妻にしてくれとは申しません。側室で、構いません。一目見た時から、私は旦那様のことを」
その手を、振り解きながら返す
「やめないか。私を誘惑するのは」
「え・・・・・・・・・?」
「風呂場でお前の操を散らせる必要性など、どこにもない。亭主を探しているのなら、屋敷には私以外の男も居る。若い連中だ。気の良い者も居る。急いでいないのなら、じっくり吟味するのも良いだろう。だが、私はその相手にはなれない」
そう言い、落ちたお袖の小袖を拾い上げ、押し付ける
「屋敷の男で不満足なら、河尻様に斡旋してもらおう。あそこは条件の良い相手が大勢居る」
「私は」
「このことは、私も忘れることにする。今日は湯殿の世話は良い。私も疲れた。寝かせてもらう」
                
まるで、逃げるかのように、佐治は湯殿から出て行った
お袖には、そんな佐治を追い駆けるだけの気力は残されていなかった

脱いだ小袖をそのまま羽織りながら、廊下に出る
出た佐治とたまたま遭遇したのか、左兵衛とぶつかりそうになった
「どうした、左兵衛」
「だっ、旦那様!旦那様!」
「だから、どうした。何を慌てているんだ」
左兵衛の表情がおかしく、佐治は細帯を締めながら笑った
「おっ、奥様がっ!」
「市?          市に何かあったのかっ?!」
市の名に、佐治も慌てふためく
まさか、市の身に何か良からぬことでも起きたのではないかと
「とっ、兎に角お越しくださいませ!」
と、左兵衛は佐治の手首を掴み、廊下を走り出した
今日はやけに手首を掴まれる日だな、と想いながら、佐治も脚を速める
連れて来られた居間の襖の前で、左兵衛が一言声を掛けた
「奥様、お連れしました」
                 え・・・?」
「どうぞ」
襖の向こうで、愛しい妻の声がした
待っていられず、佐治は自分の手で襖を開け放つ
そこに、赤子を抱いた市が座って、自分に笑顔を向けていた
「市・・・・・・・・・・」
傍にはおえいも居る
おえいは佐治の顔を見て、直ぐに平伏した
「お待たせしました、旦那様」
「市・・・・・・・・・。え?」
抱いている赤子に、目を丸くする
「生まれ・・・・・・・・・・・・?」
「はい。おなごです」
「娘・・・・・・・」
「ごめんなさい。跡取りじゃなくて」
「いや、そんなこと・・・。それより・・・・・・・・・」
いつ生まれたんだと聞きたくて、仕方がない
なのに言葉が出て来ない
いや、その前に、ここに居る市は本物なのか
幻ではないのか
そんな想いが次々に去来し、ただ呆然とした顔で佇むしかできなかった
「生まれたの。やっと」
「うん・・・・・・・・・・」
「それで、急いで来ちゃった」
「うん・・・・・・・・・・」
「早く、佐治に逢いたくて」
「うん・・・・・・・・・・」
「旦那様、奥様を叱ってやってくださいな。まだお躰をお休めにならなくてはならないのに、大方様が止めるのも聞かず、ここに来てしまったのですよ?」
と、おえいが苦笑いしながら、まるで冗談でも言うかのような表情で告げる
「いつ、生まれた・・・・・・・・・・・?」
「四日前」
「手紙なんて、来てないぞ?」
「うん。なんて書けば良いのかわからなかったし、私、筆不精だし。それで」
市は佐治に向き直して続けた
「あれやこれや考えるより、佐治に逢いに行こう、って想って」
                
懐かしい市の笑顔に、膝がガクガクと震え、佐治は腰を降ろした
「そう・・・か。無理をして、来てくれたのだな・・・」
「無理はしてないわ。私が、そうしたかったの」
そう言いながら、生まれたばかりの娘を佐治に手渡す
「少し、小さいでしょう?」
「そう、だな・・・。うん、ちょっとわからない・・・」
「ふふふっ。帰命様に比べたら、少し小さいの。母様に、そう言われた」
「そう・・・か・・・」
小さくとも、ずっしりと来る重さを腕に感じながら、我が子の寝顔をじっと見詰める
目元が市にそっくりだった
帰命も目元は母親の帰蝶に良く似ている
赤子とはそんなものなのだろうかと単純に想った
この光景を、お袖が襖の陰から見ている
そんなことなど気付く筈もない
          名前は?」
「まだ」
市は首を振りながら応えた
「佐治に決めてもらおうと想って」
「私が?良いのか?」
「当たり前じゃない、父親でしょう?」
「でも・・・・・」
「私も、名前を付けたのは父様よ。母様の名前の一文字を頂いただけなんだけど」
と、苦笑いする
市を見て、佐治もやっと頬を緩めれた
          佐治」
囁くように、声を掛ける
「つらいこと、あった?」
          え・・・?」
市はそっと佐治に寄り添い、頬に手を当てた
その光景を見て、おえいは静かに席を外す
共に左兵衛も部屋から離れようとして、少し離れた場所に居たお袖に気付き、去るように手で合図する
お袖は不承ながらその場を去った
あれが旦那様の妻か、と言いたそうな表情で
「泣きたそうな顔、してる」
                
気持ちを理解してくれる者は大勢居ても、心を理解してくれるのは、妻だけだった
佐治は頼りなさげな顔で薄く笑い、それから
「市・・・・・・・・・・・」
小さな声で話し始めた
市は黙って聞き入った

腕の中の小さな娘
冬に生まれたのを由来に、名を付ける
生まれて来てくれて、ありがとうと感謝して
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漸く更新できました
愛用していたパソコンが動いたり動かなかったり
修理に出しても動いたり動かなかったり
無駄に修理費だけが掛かり、どうにもこうにも
それならと、いっそのこと買おうと、馴れないノートを買いました
キーボードが頼りなくて、打ち難いです

ずっと更新していませんでしたが、だからと言って帰蝶への想いが消えたわけではなく、更新を止めていた間の物語の繋ぎを考えていました
創作の途中でパソコンから離れていたので
以前のような頻繁な更新は無理ですが、今までどおり地味に活動していきます
Haruhi 2012/11/04(Sun)10:45:24 編集
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おのうさま(帰蝶)とノブ(信長)が 結婚しました(笑

祝:お濃さま出演 But模擬専…     (戦国無双3)


おのれコーエーめ
よくもお濃様を邪険にしおってからに・・・(涙

(画像元:コーエー公式サイト)
オンラインゲームにてお濃様発見


転生絵巻伝 三国ヒーローズ公式サイト:GAMESPACE24
『武将紹介』→『ゲーム紹介』→『Exキャラクター紹介』→『赤壁VS桶狭間』にてお濃様閲覧可
キャラクター紹介文
絶世の美貌を持つ信長の妻。頭が良く機転が利き、信長の覇業を深く支えた。
また、信長を愛し通した一途な妻でもあった。

(画像元:GAMESPACE24公式サイト)
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濃姫好きとしては、飲めなくても見逃せない

岐阜の地酒 日本泉公式サイト

(二本セットの画像)
夫婦セット 吟醸ブレンド(信長・濃姫)
本醸造 濃姫
カップ酒 濃姫®=爽やかな麹の薫り高い、カップとは想えない出来上がりのお酒です
吟醸ブレンド 濃姫® ブルーボトル=自然の香りのお酒です。ほんの少し喉を潤す程度でも香りが深く体を突き抜けます
本醸造 濃姫®=容量的に大雑把な感じに想えて、麹の独特の香りを抑えたあっさりとした風味です

今現在、この3種類を試しておりますが、どれも麹臭い雰囲気が全くしません
飲料するもよし、お料理に使うもよし
お料理に使用しても麹の嫌な独特感は全く残りません
奇跡のお酒です
何よりボトルがどれも美しい

清洲桜醸造株式会社公式サイト

濃姫の里 隠し吟醸
フルーティで口当たりが良いです
一応は『辛口』になってますが、ほんのり甘さも残ってます
わたしは料理に使ってます

清洲城信長 鬼ころし
量的に肉や魚の血落としや、料理用として使っています
麹の香りが良いのが特徴ですが、お酒に弱い人は「うっ」と来るかも知れません
どちらも一般スーパーに置いている場合があります
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