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「そうか、そうか、それが理由か」
          怖い
秀隆は素直に、そう想った

あれからなんとか合流を果たし、然したる損害も出ず清洲に戻れたのは良いが、表座敷で蜂須賀正勝から『墨俣ではなく加納に詰めた』理由を尋ねれば、お能が「墨俣ではなく加納だったら、実家に近くて便利なのですが」と一言付け加え、「ならば加納にしましょう」と帰蝶の承諾も得ず向かう先を勝手に変えてしまったと言うのが要点だった
それを恐縮しながら話す正勝は、いつもの居丈高な態度はどこかへ消えてしまったかのように小さくなっている
大人しく聞いている帰蝶の顔が妙にニコニコしているものだから、何だか怖くて仕方なかった
この奥方様は、頭に怒りが達すると、兎に角鉄砲を持ち出す気性のお方なのだから、今居る表座敷に惨状が広がらなければ良いのだがと、心配で堪らない
「で、お前に墨俣ではなく加納に『行かせ』たお能はどうしている」
「はっ。お能様は最前線である加納に残っておられて、万が一斎藤が動くようなことがありましたらその御身がいたく心配でございますので、できましたら某も今直ぐ加納に戻りたく         
「その必要はない」
正勝の言葉が終わらぬ内に、帰蝶はそれを拒絶した
「加納には義弟の弥三郎が居る。なんら心配はなかろう」
「し、しかし」
「お前は小牧山に向い、これから動くであろう犬山の対策に当れ」
「え」
お能と離れ離れになることに、正勝は目を点にして呆然とする
「では、お能様は・・・」
「お能はそのまま加納に残ってもらう。お前に異存があるとは想えないが?」
「そそ、そんなぁ」
いい年をした中年の男が、何が悲しくて涙顔をしているのかと、鈍感な帰蝶は首を傾げた

別室では清洲に戻った織田を追い掛けて、市橋城から市橋長利が直々に参上した
向かい合う佐治も恒興も、苦虫を噛んだような顔をしている
対峙する長利も同様だった
「丸毛殿の、突然の寝返りは、私にしても寝耳に水でした」
そうだろうと、恒興は内心想う
この長利が佐治の想いに応え、丸毛長照の説得に当ってくれたのだから
本来なら顔を合わせるのも憚られて止むを得ないものを、こうして清洲まで足を運んでくれているのだから、話を聞かないわけにはいかない
「丸毛殿は、何故・・・」
                
佐治の質問に、長利は直ぐには応えなかった
黙っているところを、恒興が間に入る
「前年の争いでは、親族方が斎藤に着き、丸毛家はみな斎藤方だと想っておりました。しかし、市橋殿の説得に応じてくれたことに、とても嬉しく感じておりましたが、やはり・・・」
「親族と言っても、だから団結力があるわけではございません」
恒興に、長利は異を唱えた
「この度の丸毛殿の離反、その理由を聞いてください」
「ご存知なので?」
「直前まで、知らされておりませんでした。ですが今朝方早く、私の許に丸毛殿から書状が届きまして・・・。それで、こちらにお伺いした次第でございます」
「書状が?」
「ずっと押し悩んでおられたようです。斎藤方稲葉家に、丸毛殿の娘後が嫁いでおられて、その娘御を人質に取られたようなのです」
「え?」
長利の言葉に、佐治は大きく目を剥いた
「斎藤に味方しない場合、娘殿の命の保障はないと」
「そんな・・・」
「なんてことを」
丸毛長照が娘想いの親なのかどうかまでは知らないが、それを自分に置き換えれば成す術なしの状態であることなど容易に想像付く
寝返りは仕方がなかったのかとさえ想えた
「では丸毛殿は今後も、斎藤側に?」
「私としましては、後味の悪い想いはできる限りしたくありません。このままどちらに着かずあやふやな状態で居るにも、居心地と言うものが後を引く。ですが、やはり表立って織田の味方と言うわけにも参りません」
「今後も、秘密裏にこちらの加担をと?」
「都合が良いと仰るかも知れませんが、我らの居る大垣周辺は斎藤方長井、稲葉、氏家、そして安藤の勢力で固まっております。孤立無援の状況で、織田の旗を振るわけにも参らないのです」
「なら、堂々と織田の旗を立てれる状況になれば、今後も違って来ると?」
「できるのなら、の話でございますが」
できるのか?と、恒興は佐治の顔を見た
佐治はできると応えたくてうずうずした顔を見せる
「佐治・・・」
「はい。          市橋様のご要望、織田なら可能でございます」
「池田殿・・・ッ」
「佐治」
どうやってと、言いたげな顔をする恒興を、佐治は微笑んで応える
「殿なら」
恐らく、そうする
そんな予感を抱え、佐治は力強く長利に告げた
「丸毛殿のこと、杞憂には及びません。どうか心安く居て下さいますようにと、市橋様からもお伝えいただけますか」
「池田殿・・・」
「大丈夫です。稲葉家に人質に取られている娘様のことも、案ずる必要はありません。今までどおりで居てくださって結構です」
「その言葉、信じても構いませぬか」
「どうぞ。私に任せてください」
「池田殿・・・ッ」
互いに刎頚の想いを抱え、織田に内通している
長利にとって長照は『同志』にも等しい存在だった
その長照を見殺しにせずに済むのでは、と、俄に希望が立ち上る
「佐治・・・」
隣では未だ恒興が心配げな顔をしている
「大丈夫です、勝三郎様。殿にお任せしましょう」
「殿に・・・」
「はい」
恒興はまだ、佐治の考えが読めなかった
帰蝶に任せれば大丈夫な、その理由(わけ)を

織田を追い返せたのは良いが、絶好の機会とも言える織田総大将の拿捕をみすみす取り逃がした利三は、やはり守就の槍玉に挙げられていた
「稲葉殿の話では、向うから餌を持ってやって来た織田の惣領を、態々逃がしてやったとの話ですが、相違ございませんか」
一鉄はできる限り、利三の肩を持つ心積もりではいた
だから、守就への話も、何か考えがあってのことではないかと付け加えていたが、それに応じる守就ではなかった
一鉄の擁護などお構いなしに利三を責め立てる
「よもや本流斎藤が主家に対して弓引くとは、想像すらしておりませなんだ。どう言ったお考えか。まさか、既に織田と通じてらっしゃるか」
「私は、そのような・・・」
一方的に責められ、利三もしどろもどろになる
「あなたほどの人間なら、たった一騎で向う織田上総介など、赤子の手を捻るよりも容易いはず。何故、取り逃がされた。その理由をきっちりお話いただけるか」
                
あれは、織田上総介なんかじゃない
・・・・・姫様だ
そう言いたいのを、飲み込む
「斎藤殿。若殿様の前でもそのように、押し黙ったままでおられて、それで通じるとお想いか」
「そのようなことは、決して」
「なれば、さっさとお話くだされ。織田軍が清洲に引き上げたとしても、まだ墨俣、加納の両砦を押さえられたままなのでございます。その対策も講じねばならぬと言う状況の中、身中に虫を抱えたままでは想うように動けませぬ」
「私は         
「斎藤殿は」
そっと、夕庵が間に入る
「美濃の人間にございます。織田に通じているなど、恐れ多いことを」
「夕庵殿」
「僭越ながら、斎藤殿は安八磨郡の丸毛家の攻略に、成功しております」
「何と?」
夕庵の言葉に守就だけでなく一鉄らも驚きの顔を見せる
「稲葉殿」
「は、はい」
「確かあなたの家は、丸毛家から嫁御をいただいていると存じますが」
「如何にも。武井殿の仰る通り、丸毛から倅の嫁を頂戴しております。それが何か」
「その嫁御殿を通じて、この斎藤殿が攻略を奏しました。それが今回成功し、丸毛家は織田を追い出すのに尽力してくださったのです」
「え?」
一鉄はわけもわからず、ポカンと口を開く
「斎藤殿の奥方が、その攻略に一役買ってくださっております」
                
なんのことやら、一鉄には全く話が見えない
「あん殿が、稲葉に嫁がれた丸毛家の娘御に手紙を認め、斎藤の争いに尽力するよう申し出た。その結果、丸毛はそれに応え、此度は織田を美濃から追い出したと言う次第でございます。ご理解いただけましたか」
「そのようなことが・・・、いつの間に・・・」
「織田を、結果的には追い込んだ斎藤殿を、このように槍玉に挙げるのが美濃三人衆の遣り方ですか。聊か誉められたものではございませんな」
「武井殿、言葉が過ぎますぞッ」
珍しく夕庵が皮肉を告げるのを、氏家直元が反論する
「安藤殿は疑わしきことを晴らそうとなさっただけにございます。それを我らを含め批難することこそ、斎藤の流儀でございましょうか?!」
「言葉が過ぎると仰るのでしたら謝罪しましょう。ならば、安藤様にも同様に、此度の作戦の功労者を内通者のような口振りで斎藤殿を批難したことに対する謝罪も、要求申し上げます」
                
夕庵と直元との諍いに、自分が巻き込まれて謝罪しなくてはならない事態へと発展したことに、守就は眉を顰めた
どちらにしても、利三の失態は不問にされる
夕庵はそれを狙っていた
守就は夕庵を陥れる機会を失い、内心、口唇を噛んだ
確かに守就の見立てた通りであった
夕庵は利三に「帰蝶を傷付けるな」と命じてある
帰蝶が戦場に立っているとするなら、それを実行できるのは実働部隊の中では利三だけが可能であり、利三が帰蝶を逃がしたことが発覚した場合、咎を受けぬように調略を掛けさせた
結果、帰蝶を逃がしたとしても利三には織田を追い出したという実績だけが残り、守就の目論みは外れる
守就が夕庵の疎外を狙っているとするならば、夕庵は斎藤と美濃三人衆の剥離を狙っていた
こうなってから初めて、利三はあんを調略に使えと言った夕庵の真意を読み取った
稲葉家の人間が関わっていれば、一鉄は自然とこちらの味方をせざるを得なくなる
ただ単純に『姪の夫』だけで一鉄を引き込むには、余りにも稚拙な理由でしかないからだ
最大の味方である夕庵の策略に気付き、利三は心の中で冷や汗を掻く
こんな人物に育てられたのだ
彼の方は         
「では、このことは双方痛み分けと言うことで、宜しいでしょうか」
不意に直元がそう告げるのを、守就ははっと目を見開いた
「致し方ございません。お屋形様が亡くなられてまだ日も浅いこのような時に、内部分裂はそれこそ織田が喜ぶだけでございましょうから」
                
守就は、突如として前に出る直元を、じっと睨んだ
その直元が誰かと目配せをした
まさかと咄嗟に夕庵を見る
夕庵は誰かに顔を向けているわけでもなく、じっと自分の膝元を見詰めているような仕草をしていた
もしもこの時、夕庵も直元もそのどちらも視界に入っていれば、勘の良い守就は気付いた筈である
『身中の虫』は、利三ではないことを         

散会し、其々想う場所に向かう途中、利三は一鉄に呼び止められた
「斎藤殿」
                
厳しい目付きをしている一鉄の言いたいことは、何となくだが想像が付く

「此度の謀略、あんが一枚噛んでいるとは想像だにしておりませなんだ。何故、仰ってくださらなかった」
「言ってはならぬこと、黙して実行せねばならぬこと。謀略とは、そう言ったものにございます」
稲葉山城の表座敷に程近い中庭で、利三は岳父にも似た存在の一鉄と向かい合った
「確かにそうではありましょうが、せめて私にだけは話していただきたかった。そうでなければ、安藤殿にも一言申せたものを」
「尚更、言えぬ理由もございましょう」
「斎藤殿。あなたは安藤殿を誤解なさっておられる。確かに安藤殿はあのように腹に二持つ三持つ抱えた方ではございましょうが、これまで美濃を守り抜いて来た御仁。嘗てはあなた方とも争った相手。だからこそ、直ぐには理解し合えない間柄かも知れませんが、安藤殿を敵視なさるのだけは、お止めくださらんか」
「ならば同様のことを、安藤殿にも」
「斎藤殿」
勝気な顔をする利三を、一鉄は一言で制した
「『年功序列』はご存知か」
「勿論」
「なれば、どうか年少の斎藤殿から折れていただけぬか」
「何故、私が。対立しているのは安藤殿と夕庵様の筈。私はいつもその二人に巻き込まれているに過ぎません。安藤殿が個別に話をと仰るのでしたら、私はいつでも構いません、席に応じましょう」
          その武井殿と斎藤殿だが」
一鉄は少しずらしていた躰を真っ直ぐ、利三に向け直した
「武井殿は斎藤道三殿に最も近しい人物。その武井殿と懇意にされておられるからこそ、安藤殿も要らぬ不信感をあなたに持たざるを得ないのではないでしょうか」
「要らぬ不信感?」
「あなたと武井殿は、余りにも親密過ぎる。まるで実の親子のような」
「光栄とは言え、それは言葉が過ぎましょう」
「武井殿の娘御が嫁がれた金森家が、織田に与したとの情報。長井に敵の御旗を立てたと聞き及びます」
「金森家が・・・」
それは与り知れぬことだったのか、初めて利三が表情を崩した
「土田も、今では織田の手足となる勢いで加担しているそうで」
「土田も・・・」
義龍が死んで、土田も頼れる相手を見失ったのか
だから、織田に流れたのか
そう想った
「斎藤殿、おわかりか」
「何を」
「織田は、我らの目のゆき届かぬ内に、どんどんと美濃を侵蝕して来ている。土田家、金森家の離反に伴い、東美濃は完全に織田に着いた。理解されるか、この事態を」
「稲葉殿?」
俄に顔色の曇る一鉄を、利三は訝しげに眺めた
「あの頃、あなたはまだ幼少であったろうが、余りにも酷似している」
「何を・・・で、ございますか」
「道三殿が美濃を盗ったあの時代が、また、始まろうとしている」
「まさか・・・・・・・・・」
「私は二度、『蝮』と戦う羽目になった。因果応報か、これが美濃の運命か」
「稲葉殿・・・」
「今度は、斎藤が蝮に食らわれる。そんな気がして、ならないのです」
                
利三は、言葉を失った
一鉄の言う蝮は、それは即ち、『帰蝶』のことである
聞き返さずとも、利三にはわかった
同じ時代が再び美濃を襲う
守就も一鉄も、それを恐れていたのだと言うことを

一頃落ち着き、帰蝶は漸く局処に入った
手には長細い桐の箱を携えて
戻って早々、やるべきことはたくさんあり、留守の間清洲を切り盛りしていた資房、貞勝を其々労い、それからやっとの想いでなつの部屋を訪問した
「殿・・・」
なつも心置きなくじっくり帰蝶の顔が見れると、安堵の表情をする
「留守の間、大儀であったな」
「いいえ、なんでもありません。大方様が上手く事を進めて下さったお陰で」
「ああ、聞いた。土田がとうとう、織田に両手を挙げたそうだな」
「両手を挙げたなんて」
「近々清洲に、それまでの詫びを入れに来るそうだ」
「殿は如何なさいますので?」
「そんな暇はないから、これからの働きに期待すると言うことで、これまでのことは不問に掛けると義母上には申し出た。義母上もそれが良いと仰ってくださった」
「そうですか。それが一番ですね。今更顔を合わせたところで、どうにかなるものでもなく」
「それに、長良川の合戦では、土田も相応の損失を出してる。今味方をしたからあの時の賠償をと言われても、頭に血が昇るだけだしな」
「確かに。それで、殿はそのご報告に、態々私のところへ?」
理由がなくとも、帰蝶が訪問してくれるのは嬉しいことだ
いつもはこちらから出向いてばかりで、帰蝶が自室に来てくれることなど滅多にないのだから
「それもあるが、みなに土産物を配って回っていてな」
「まぁ!お土産?!殿が!」
なつは目を丸く剥いて驚いた
「初めての遠征だからな、城に残したみなには不自由を掛けたと想って」
「殿の留守を預かるのは、私(わたくし)共の役目です。そのようなお気遣いは」
「そう言うだろうと想って、男共には用意しておらん」
「まあ・・・」
「しかし、お前達女を邪険にすると」
「子孫七代祟られる。でしょう?」
                
言葉の先回りをするなつに、今度は帰蝶が目を丸くさせた
「それで、何をお持ちいただいたのですか?」
「なんだ、楽しみなのか」
「外に出ることのない私達にとって、外で買われた物は些細なことでも楽しみなのです」
「そうだな」
幼い頃から城の外に出ずっぱりだった帰蝶には、その気持ちはよくわからないが、「何かを楽しみにする」ことの想いは理解できる
「数が多い場所には反物にしておいた。義母上には化粧道具と、美濃和紙」
「美濃和紙ですか」
「以前、紙を多く必要にされていた時期があったのを想い出してな、要るかと想って」
「そうですか」
恐らくそれは、犬山に嫁いだ伊予へ手紙を送っていた頃のことだろう
手紙のことまでは気付いていない様子だが、才女の誉れ高い義母のことだから、局処の遊びにでも使うのだろうとしか考えていない
「それは大方様もお喜びになられるでしょう」
「それと、お前に」
部屋に入るまで手にしていた桐の箱を差し出す
「何ですか?」
「茶器だ」
「茶器?」
「ほら、以前に美濃焼きでも土産にと、話していただろう?」
「あ・・・、そう言えば」
帰蝶が金森家と謁見する前の話だ
なつはそれを想い出す
「美濃焼きと言えば、土岐の茶器が特に有名だ」
「そうですか・・・」
嬉しさの余り、なつは多くの言葉が掛けられない
何でも良い
道端に落ちていた石ころだとて、帰蝶の想いが籠ったものなら何でも嬉しかった
「天目とまでは行かないが、店主の見立てで良いものを選んでもらった。と、想う」
「ふふふ」
中身までは見ていないのだな、と、帰蝶の正直な言葉に苦笑いする
「拝見しても良いですか?」
「勿論だ。そのために買って来たのだから」
「大きさから行くと、煎茶一式ですか?これだと殿にもお茶をお出しできますね」
そう言いながら、ワクワクした気持ちで箱を結んでいる細紐を解く
それから蓋を開け、一瞬唖然とする
「どうだ?気に入ったか?」
「あ、えーっと・・・」
「気に入らんか?」
「気に入ったとか入らないとかではなく」
「何だ」
ポカンとしているなつが気になる
「殿。これ、茶碗です」
「茶碗?」
「それも、『夫婦茶碗』」
両手に取って、なつは柄の揃った大小の茶碗を翳した
          私は茶器をと、店主に言ったのだが」
「聞き違えたのでしょうか」
「あの店主め。道理で茶器にしては妙に高いと想ったんだ」
「はぁ・・・」
尾張の大名になって数年
未だ金銭感覚だけは主婦の頃のままであることにもおかしくなるが、それ以上に『無頓着』なのも変わらないと、呆れる反面笑い出したくて仕方がない想いもする
中身を改めもせずに買い物をしているのだから
それよりも、大名自ら買い物に出向いたのかと想うと、それもおかしいやら呆れるやら、嬉しいやら、なんとも複雑な心境になる
「すまん。後家のお前に夫婦茶碗は嫌味だったな」
「いいえ」
謝られても、そう気にすることでもない
首を振るなつの左手にあった男茶碗を、帰蝶はそっと自分の手に取った
「殿?」
「なら、男茶碗は私がもらおう」
                 ッ」
帰蝶のこの言葉に、なつは一瞬、息を飲み込んだ
「茶器が茶碗に変わってしまったが、これなら問題なかろう?」
「でも・・・、殿がお使いになられるにしても、大き過ぎます・・・。それに・・・」
『夫婦茶碗』ですよ?と聞きたいのを、どうしてか、聞けば「そうだな」と帰蝶が捨ててしまうような気がして、怖くて言い出せなかった
「加減するよう、命じておけば良い」
「そうですけど・・・」
「私と揃いは、迷惑か?」
                
なつは慌てて首を振った
その逆です、の言葉も、一緒に飛んで行ってしまう
「問題はないな?」
そう言って、自分を魅了し続けるあの笑顔を振り撒く
こうなってしまっては、軍配は帰蝶にしか挙がらない
「殿が・・・、それでお宜しいのであれば・・・」
「私は構わん。お前がどう想うかが、大事だ」
「私も・・・」
莫迦みたい、と、自分の心を詰る
まるで少女みたい
愛や恋に疎い、初心(おぼこ)の少女みたい
子供を二人も産んでおいて、もう良い年の大年増なのに、と、自分の心を詰った
「殿に差し支えがなければ・・・」
「そんなものはない」
                
そう言い切ってくれる帰蝶を、なつは眩い光を見る想いで見詰めた

最初の夫も、二度目の夫も、自分で選べる権利はなかった
だが
一生を捧げようと決めた主は、自分が決めた
帰蝶に寄り添うことを、自分で決めた
選んだ主に間違いがなかったことを、なつは改めて自負した

それから、帰蝶に伝えなくてはならない重要な件も想い出す
「あの・・・、殿・・・」
帰蝶は怒るだろうか
敵が増えたことを
「大事なお話しが・・・」
恐る恐る話す
「どうした、改まって」
「どうかお怒りにならず、落ち着いてお聞きください」
「だから、どうしたんだ」
なつの様子が変わるのを、帰蝶は訝しげに見詰めた
「津川が・・・」
「犬山に寝返ったのだろう?」
          ッ、・・・ご存知で」
驚きと共に、なつは目を見開いて帰蝶を見詰め返した
想ったより落ち着いているのは、帰蝶の方だった
「さっき、義母上から聞かされた」
「あ・・・・・・・・」
そうか、先に市弥が話してくれていたのか、と、少し安心する
それと同じく、市弥から聞かされ、帰蝶が少しも動じていないのが悔しい
市弥はどうやって、帰蝶を宥めたのだろうか、と
「そう・・・でしたか・・・」
「義母上には、さっさと決めてしまわないからこうなるんだと、叱咤された」
少し苦笑いしながら言う
                
帰蝶は、嫁いだ伊予を気遣っていただけなのに、そう想うも、敢えて叱咤したと言う市弥の心遣いにも感心した
今の帰蝶には、慰めるよりもそちらの方が効果的かも知れないと、なつも想ったからだ
「それで、殿は如何なされるのですか・・・?」
「今はまだ決めていない。岩竜丸がどう出るか、どうするのか。それを見定めてから決めようと想ってる」
「そうですか・・・」
項垂れるなつに、帰蝶は溜息を零しながら少し微笑んだ
お前が心配することではないだろう?とでも言いたげに
「そうだ、少し躰を休めたら本丸に戻る」
「はい」
「お前も一緒に来い」
「え?」
「私の側に居ろ」
                
何気ないたった一言で、なつの頬が赤く染まるのを、帰蝶は面白げに見た
「なつの顔は、秋の山のように変わりやすいな」
「そんな・・・ッ」
慌てて袖で顔を隠しても、遅きに失することである
帰蝶は今度は声を上げて笑った

一鉄と別れ、今度は偶然か必然か、城を出ようとした利三の前に夕庵が現れた
私室を本丸に持ってはいるが、夕庵の屋敷も城の外にある
かち合わせるとしても不自然ではなかった
「大儀でございましたな」
「夕庵様・・・」
「お清殿の活躍、奥方もさぞやお喜びになられることでしょう」
                
表座敷で目にした守就との遣り取り、一鉄から聞かされた話
それが混ざり合い、それまでなんでもなかった夕庵への眼差しの色が変わるのを、利三は自分でも自覚した
「恨んで、おられるか」
「何をでございますか」
「あなたの御内儀を利用したこと」
「それは、姫様のためを想ってのこと。増してや、あんは武家の妻です。これくらいで動じるような教育は、受けていないと想います」
「そうでありましょう、名門稲葉家のご息女です。しっかりした教育の下、お育ちなされておいででしょう」
「夕庵様」
利三は正面からきっと、夕庵を睨み付けた
「何故、私にも黙っておられたのですか」
「何をでしょう」
「あんを使って丸毛家を寝返らせ、姫様を逃がした私への叱責が免れるよう仕組んだのは、夕庵様ではございませんか」
「それが、如何なさいましたか」
「夕庵様・・・ッ」
開き直る夕庵に、虞(おそれ)を見る
そんな自分を奮い立たせるため、利三は敢えて言葉を荒げた
「何故、初めから仰ってくださらないのですか。それとも、私ですら信用できないとでも?」
「お清殿」
「私をお清と呼ばないで下さいませッ!その名は、姫様との間で温めて来た名でございますッ!」
                
「あ・・・」
怒鳴り散らし、それから、夕庵の微笑んだ顔を前にして、我に返る
          申し訳ございません・・・」
「いいえ」
一歩、ゆっくりと前に出て、利三に近付く
「あなたにとっても、姫様は特別なのでございますね」
「夕庵様・・・」
「あれから、もう、何年。姫様が嫁がれて、十二年が過ぎます。なのにまだ、あなたにとって姫様は特別な存在のままなのですね」
「身分不相応と、お笑いになられますか」
「笑って欲しいのですか?あなたのその、真摯な想いを」
「私は         
「妻も子も、居る立場。それでも、あなたの心に咲く花は、一輪だけ。知っておりますとも」
          夕庵様・・・?」
優しい微笑みのまま、夕庵は言った
「だから私は、あなたのそのお心を、利用させていただきました」
                 ッ」
その言葉に驚愕する
「あなたは決して、姫様を傷付けたりはしない。例えその身に危険が及ぼうと、あなたは決して姫様には刀を向けたりはしない。私は存じております。ご自身よりも、姫様が大事であることなど」
「あなたと言う人は・・・」
どうしてか、利用されたと知り、それを態々自身の口で告げる夕庵に、怒りが込み上げる
「だから、あなたしか居なかった。姫様を連れ帰れるのは」
「夕庵・・・様・・・?」
「織田の進撃に、美濃は分裂の危機を迎えております。此度の争いでは、東と西が見事に別れた。織田は東を手玉に取り、我らは身の内にまで敵を抱えることとなってしまった。お清殿」
「はい・・・」
「それでもあなたは、戦いなさるか。相手が姫様であろうと、その拳を向けられるか、如何でしょう」
「それは・・・」
「できないのでしょう?だから、私の言葉に従った。違いますか」
                
応えられない
夕庵の指示があれば、帰蝶を無傷で美濃に連れ帰ることができると信じていたから
だから、実行した
自分の信じたものが間違いだなどと、言える筈がなかった
「お清殿」
                
「お清殿」
返事をしない利三に、夕庵はもう一度名を呼んだ
          はい」
「私が信じられないのなら、どうぞご自分の想った通りになさってください。私は私で、姫様を美濃に連れ帰す手段を講じます」
「夕庵様は、何故、そんなにまでして、姫様を美濃に取り返したいのですか・・・」
利三の疑問に、夕庵は変わらず優しい微笑みで応えた
「『夢の続き』だからでございます」
「夢の・・・続き・・・」
その『夢』とは、一体なんのことだと言うのか
恐らく、訊ねても夕庵は応えないだろうと想った
夢なら自分も、何度も見た
何度も願った
共に同じ道をゆく自分と、帰蝶の姿を

夕庵への不信感が拭えぬまま、利三は屋敷に戻った
「お帰りなさいませ」
出迎えは、あんが直々に行なう
後ろめたさに、利三はあんをまともに見れない
「織田を追い出したそうですね」
「ああ。お前の便りが、役に立った」
少しだけ顔を向ける振りをして、何気ない口調を装い、応えた
「本当ですか?旦那様のお役に立てて、嬉しいです」
破顔して応えるあんに、自分は夕庵とどう違うのかと自問する
己も利用したではないか
妻を
愛する人を想い、自分を信頼してくれている妻を利用したではないか、と
自分は夕庵のやったことと、どう違うのか、聞かれて答えられるわけもない
同じだと、自身を責める
そんな利三の目先に、男物の草履が見えた
「客が来ているのか?」
「ええ」
にかっと笑うあんの姿が、視界の隅に映った

「父上」
父の利賢が待っている居間に、慌てて入る
「如何なさいましたか」
「おお、清四郎。待っていたぞ」
実兄の孫九郎が石谷に取られ、利三に家督を譲った後、利賢は現役を退いた
それに伴い屋敷も利三に譲り、自身は稲葉山を降りて隠居生活をしてる
その父が屋敷を訪れるのは久し振りのことだった
あんを娶ってからは初めてのことである
「如何なさいましたか?急に来られるとは、珍しいことですね」
「いやいや、お前の留守中に上がり込んでしまって、すまんな」
「いいえ、ここは元々父上の屋敷です。ご自分の家のように振舞ってください」
「忝い」
父は大袈裟に軽く頭を下げてみた
それはまるで、家臣が君主に頭を下げるかのように
「父上。何かありましたか」
そんな父の姿を見て、利三は何かを以ってここに来たのだと言うことに気付く
「そうだな。久し振りに、孫九郎の顔を見た」
「兄上の?」
数年前、土岐郷の石谷に養子に取られた兄の顔を想い浮かべた
「兄上が、如何したのでしょう」
「ふむ」
小さく鼻で溜息を漏らし、覚束ない目をして応える
「土岐に、織田が現れた」
          え・・・?」
利賢の言葉に、利三は目を剥いた
「土岐郷、に、織田・・・が?」
何故そんな場所に織田が現れたのか、その理由がわからない利三は焦りの余り頭に血が昇り、逆上せる感覚を覚えた
一鉄の、「東美濃は全て織田に抑えられた」と言う、あの言葉を想い出す
「まさか、兄上も、織田に・・・」
「それはないと想う。あれでも蜷川が後ろ盾になっているからな、有事の際は越前がでしゃばるだろう。だが、孫九郎は懸念していた」
「何を、ですか?」
「東の雄、遠山が織田と組んだ頃から、東美濃は少しずつ織田に傾いていると。しかし、それでも遠山家だけに限った話だった。ところが」
「多治見の金森も、織田に着いた」
          知っていたか」
利三に、利賢も少し目を見開いた
「先の争い、その金森家が長井に向って行きました。その所為でとまでは申しませんが、斎藤は織田の総大将を取り逃がした」
取り逃がしたのは自分自身だが、例え父とは言え帰蝶が戦場に立っていることなど話せる筈もない
「可児の土田も、そのようですね」
「そこまで聞き及んでいたか」
「可児は元々、明智家の領地。その明智家が去った後、織田の縁者として遠山が入り込み、土田家とも一触即発の状態でした」
「しかし、それも回避した。土田が織田に転ぶと言う形でな」
「織田には、姫様・・・が、着いている」
帰蝶を呼ぶ自分の声が震えるのを、利三は必死になって平静を装った
「明智の外孫である姫様が居れば、織田が遠山と手を組むのも不自然ではない。それに、明智の旧領地の相続権利は、明智の人間が美濃に居ない今、姫様にも発生する。だからそうならないためにも、土田は遠山との連携を重視し始めた。兄上が心配されておられるのは、そこではありませんか?」
「当らずんとも遠からずと言ったところか」
「まだ他にも?」
「東美濃の有力な国人や豪族は、遠山に倣えと言わんばかりに織田に靡いている。その上、斎藤と争っていた金森までもが流れてしまっては、東に属する石谷も従わざるを得ない」
「まさか」
「長森の『岐阜屋』が、織田に入った」
「え・・・」
西美濃に限らず、全ての美濃に権力の及ぶ大店・岐阜屋が織田に加担したとなれば、今後の美濃の情勢を占う上でも分が悪いのは目に見えている
利三はまさか商人まで取り込んだとは想って居なかっただけに、受ける衝撃も半端なものではなかった
油も火薬も鉄砲も船も馬も、戦には必要なもの
その全てを掌握している岐阜屋が織田に関与していると言うことは、斎藤は今後、戦をする上で武器なしで戦わなくてはならないのも同義だった
それは恐らく、帰蝶と共に尾張に入った岐阜屋の娘、お能が関係しているのだろうと容易に想像が付く
女は、そこまでのことができるのか
丸毛家をこちらに寝返らせたと喜んでいるのが、愚かにも見える
相手はそれ以上のことをやってのけたのだから
茫然自失とする利三に、利賢は尚も話しする
「可児家が、様子見の姿勢で居るのが不安で堪らないそうだ」
「可児家まで?」
「あれで織田に反抗する姿勢を見せれば、心強い味方となるものを、動かず動ぜず、何もしない。おまけに、その可児の地に織田が通り過ぎるのを、じっと見ていただけだとか」
「え・・・・・」
「東はもう、織田に取られたも同然だ。そのような状況の中、石谷だけが反抗するわけにも行かない。時勢と言うものが、動き始めている」
「そんな・・・」
「故に孫九郎は、斎藤に与することも叶わなくなった、と」
「兄上・・・が」
「『すまん、清四郎』。そう伝えてくれと、目を潤ませて言っておった。石谷を守らなくてはならない責務が、私にはある、と」
                
父の言葉に、利三は呆然となった
あれほど強固な軍事力を誇っていた斎藤が、瓦解する瞬間を目にしたかのような気になったのだから・・・

局処で束の間の暇を取り、庭先で瑞希と遊ぶ帰命の楽しげな姿を確認すると、帰蝶はなつを伴って本丸に戻る
本丸の自室に待たせてある金森可近と話をするためだった
「お能を局処局長に復職させようかと想ってる」
その道中、正しくは廊下でだが、歩きながらそう話し掛ける
「まあ、局長にですか?」
「徳子の乳母でもあるしな、何と言っても加納砦を落とした後、斎藤が打って出れなかったのは岐阜屋がこちらに付いてくれたからだ」
「そうですね、お能も充分、織田に貢献しているのですもの。文句は出ないでしょう」
「お前がそう言ってくれるのなら、心強い」
「そんな・・・」
帰蝶の後から来るなつは、照れながら少し笑う
最も、そんななつの表情など、帰蝶には知る由もないが
「それと、松平へのお返事は、なされましたか?」
「ああ。ここに来る途中、道空に頼んでおいた。非公式でもいいから、一度遊びに来いと。木曽川の様子も含めてな」
「お越しいただけると、ようございますね。木曽川は如何でしたか?」
その木曽川で昔少女時代、見知らぬ少年を射殺そうとしたのを想い出し、帰蝶は顔を俯かせてくくくと笑った
「どうかなさいました?」
「いや、なんでもない」
少女時代の想い出には、必ず利三が付いて回る
それを話す気にはなれなった
「木曽川沿岸付近には、急いで溜池を増設している最中だそうだ。義母上も早めに手を打って置いた方が良いと仰ってたそうで、もう既に動いていた」
「まあ、大方様が。木曽川の近くで育った大方様が仰るんでしたら、間違いないでしょうね」
「木曽川の氾濫はまだ経験したことはないが、長良川が氾濫したことなら幼い頃聞いたことがある」
「ええ。池田の夫が生きてた頃の話で、私が嫁ぐ以前のことですから、殿がお生まれになられる前のことですね」
「兎に角氾濫だけは避けなくては」
「今年は雨がなごうございますね」
廊下から雨雲が走るのを、なつは見上げて呟いた

中々使い勝手の悪い小姓らの代わりに、こうしてなつが側に着くのは珍しくない
今更ながらも、龍之介の抜けた穴は大きかった
可近を待たせてある私室に入ると、信良が同席し、当然のように生母である市弥も側に居た
「義母上」
「ごめんなさい、お邪魔しちゃって。どうしても三十郎から墨俣の話が聞きたくて」
見事長井軍を撃退した話が通っていたのか、市弥の表情は極めて明るい
土産を持参した時にはなんでもない様子だったので、自分がなつに面会している間にでも、誰かから聞いたのだろう
「いえ、必要ならばお呼びしようかと想っていたところです。どうぞ、気兼ねなく」
「ありがとう」
帰蝶に礼を言う市弥に、後から来るなつが軽く頭を下げた
そのなつに、市弥も軽く微笑む
昔の確執がまるで嘘のようだなと、帰蝶は感心する
男は肉体的に成長を遂げるものなら、女は精神的に成長するものなのかも知れないと想い浮かべながら
「五郎八」
「はっ」
「先程大方様が述べられたように、長井の撃退、お前の連れて来た金森の兵士による活躍あってのことと聞いている。大儀であった」
「恐れ多い」
可近は深く頭を下げ、その可近を傅役に持つ信良は誇らしげに鼻を高く突き上げた
「が、戦の度に一々実家から兵を連れるのも難儀なことだろう」
「と、申されますと?」
相変わらず美しい面(おもて)をしている主君の顔を見上げ、少し頬を染める
「この際だ、お前も部隊を持たんか」
「え?」
帰蝶の申し出に、可近は目を丸くした
「いきなり軍団を形成しろと言うのも難しい話だろうからな、私からお前に兵を八十名貸与する。お前はそれを元手に、できる限り短期間で自分の兵を集めろ。一人では無理だと言うのなら、多治見の実家を頼っても良い。兎に角、お前が自由に動かせる部隊を作れ」
「それは・・・」
「お前を、織田の一軍として迎え入れたい」
                
余りの突然の出来事に、可近は俄には信じられず目を丸くしたまま帰蝶を凝視する
その可近の腕を揺さぶって、信良は大声に喜んだ
「やったな、五郎八!戦に出られるんだぞッ?!」
「わ・・・、若・・・」
「おめでとう、五郎八。それにしても上総介、粋な計らいですね」
「いえ、そうでもありません。馴染みのない五郎八にまで戦に出ろと言うことは、織田は相当困窮していると想って間違いありません」
「上総介・・・」
帰蝶の言葉に、喜びも束の間、可近も信良も顔を引き締める
「金森と土田だけでは、足りないの?」
「当然です。東美濃は遠山家がこちらに協力してくれていると言う形で、反抗するであろうその他国人や豪族を抑えております。しかし、今後の戦で形勢逆転、織田が攻める側から攻められる側に回ってしまうと全て水の泡」
                
帰蝶の背中を見詰めるなつは、後どれくらい戦に勝ち、敵城を奪えば、帰蝶は安心してくれるのだろうかと、心を病んだ
「三十郎にも本格的に、後詰を学んでもらいたいと考えております」
「そう・・・」
我が子も戦の役に立つ日が来たのかと想うと、武家の母として嬉しい反面、『息子の嫁』はどういった使い方をするのかもわからず、不安がないと言えば嘘になる
「ですが、殿。そうならないために、危険を承知で加納砦を抑えたのではありませんか?」
後ろからなつが口を挟む
「そのつもりだが、こちらの思惑通りに事が進めば苦労はしない」
少しだけ顔を向かせて、帰蝶は応えた
「取り越し苦労と言う言葉もございます。心配に越したことはないでしょうが、過ぎればただの気苦労にしかなりません。殿はその加減がよくご存知ではないから」
「気を大きく持たせて穴にでも落ちれば、誰が拾い上げてくれる。織田の今の状況を、よく考えろ」
「考えた上での意見です。殿はこの期に及んでまだ、遠山家を信頼していない。いいえ、利用しようとしてらっしゃらない。どんな由縁が殿と遠山家にあるのか存じませんが、少しはどんと構えられては如何ですか」
「今は懐を大きく広げる時ではない」
「ですが」
「好い加減になさい、二人とも」
議論が終わりそうにもない帰蝶となつを、市弥が止めに入る
「上総介もなつも、あるかないかわからないことを、とやかく言い過ぎです」
                
帰蝶となつは、揃って市弥に会釈した
「これから先、答えの出ぬ議論も出るでしょう。その度に、右へ左へ大騒ぎするつもりですか?」
「いいえ、そのような」
「上総介」
「はい」
「なつの言ったことにも、一理あるわ。遠山家だけじゃない、あなたは利用できるものを敢えて利用しようとしない。すぐに自分一人で何とかしようとする。それこそ、今のままではいけないのではないの?」
「義母上」
「土田だって、そう。私に頼み事をするのに、気が引けるの?」
「いえ・・・」
「だったら、どうして『土田を抑えろ』と命じないの。以前のあなたらしくないわ」
「義母上・・・」
「昔のあなただったら、利用できるものは何でも利用して来た。それこそ、配偶者まで。なのに今のあなたはどう?帰命が生まれてから、守りに入ってしまってる。いいえ、美濃を攻めているのだから、守りに入ってると言うのは語弊があるわね。でもね、上総介」
「はい」
「『使える駒がある』のに、どれも寝かせた状態だわね?まるで『身内だけで美濃を攻めている』みたいに見えてしまうわよ?それで美濃を落せるの?取り返せるの?」
「義母上・・・」
「西に斎藤の息が掛かっているのなら、東美濃を完全に落しなさいな。別に、領地にしてしまうだけが『落す』意味ではないのでしょう?軍事のことは、私にはよくわからないことだけど・・・」
「いえ。義母上の仰るとおりです」
少し、顔を上げ直す
「そのために五郎八に部隊を持たせようと言うのに、私は根本で義母上の仰るとおり、『身内だけで』戦をしようとしていました。反省するべきことです」
「上総介・・・」
理解の広い帰蝶に、市弥は嬉しそうに頬を緩める
「ですから今は、それら『寝かせている駒』を動かせる配下を育てている最中にございます」
「え?」
                
じっと黙って自分を見詰める帰蝶の瞳に、市弥は何故そうするのか、逆に理解した
『女だから』
自分は『信長ではない』から、これ以上顔を晒すわけにはいかないのだ、と
例えそれが織田の家臣であろうとも、自分の顔を広く晒すわけにはいかない
幼い頃の信長、つまり『吉法師』を知る者にとって今の信長は『信長』ではないのだから
それを懸念して、帰蝶は『自分を知る』身内も同然の家臣しか、戦には連れて行ってない
あるいは『吉法師』そのものを知らない『斯波の一部家臣』だけ、と表現した方が正しいか
「そう・・・ね」
『信長ではない』ことが、どれだけ帰蝶の足枷になっているか、市弥は理解した
手を広げればそれだけ、顔を合わせなくてはならない相手が増える
それもまた、自分の正体を知られる危険が生まれる
帰蝶はそれを心配しているのだと言うことを知った
          中々に、難しい問題だわね。でもね、だったら土田の窓口の一切を、私に任せてくれる?悪いようにはしないわ」
「それは、もう。義母上のことは、『信頼して』おりますから」
「まあ」
そっと笑う市弥の顔に、帰蝶の後ろに居るなつは少し、嫉妬した
自分は支えるだけで、『助け』にはならないと想ったのか

加納と墨俣付近での斎藤との睨み合いは続き、気の緩める暇もないまま六月に入り、三河の松平から手紙が届いた
近い内に訪問させてもらうと言う、気の良い内容だった
この頃にはお能も加納から戻り、局処で徳子の世話をする毎日に明け暮れる
そのお能を正式に局処局長に任命し、なつも少しは手が空ける状態に落ち着いた
「道空様の提案で溜池を作り、木曽川に溜った雨水もそちらに流れているそうで。この分だと川の氾濫も避けられそうですね」
こうして帰蝶の側に居て、いつものように茶を淹れることが今更のように嬉しく感じる
「佐治から、良い報告が入ったそうですね」
「ああ。丸毛家の置かれている状況を鑑みて、策を想い付いた」
「まあ、どのような?あ、秘密事項ですか?」
「いや、それ程のことはない」
少し苦笑いしながら応える
「丸毛が稲葉の人間から脅しを受けたのなら、こちらは稲葉を脅せばいいだけの話」
「稲葉って、美濃三人衆の?」
「そうだ」
「脅せるんですか?」
「やらなきゃしょうがないだろ?」
「そうですけど」
そっと、茶を差し出す
それを受け取り、好みの温さになっている茶を一口、口に含んだ
「まあ、見ていろ。一両日中には美濃三人衆の一つを、落してみせる」
「あら。松平が来るとわかって、気が大きくなられてる」
「ははは」

義龍亡き後直ぐの戦では、帰蝶は勝つことには固執せず、砦を奪うことのみに集中していた
そのため、勝家の撤退に巻き込まれた敗走ではあっても、特に気に留めた様子もないことに胸を撫で下ろす
ただ、命令違反をした蜂須賀小六正勝には、厳しい仕置きが待っていた
心寄せるお能が局処局長に返り咲き、徳子の乳母も兼任しているため多忙になり、中々庭に出て来てくれないと言う日が続く
これは正勝には厳しいものだった
          お能様・・・」
恋しいお能の姿を見れない日が長く続き、呆然と局処近くの庭先に佇む正勝の、哀愁を漂わせる姿を見た者は、何故だか自分まで物悲しくなるほどである
「殿は、人の色恋には割と鈍感だけど、人の嫌がることに関しては機敏ですよね」
菊子がそっと囁くのを、なつは苦笑いして聞いていた

梅雨が明けようかと言う七月、松平元康から連れ立つ家臣の名簿と手紙が届く
添うのは前回甚目寺で謁見した際と同じ顔ぶれ
それらに加え、見知らぬ名前も記載されていた
          本多平八郎」
その名簿を秀貞に見せる
「名前からして、まだ元服間もない小姓か何かでしょうか」
「お前も知らんか」
「本多と言う姓なら、松平の譜代に名を連ねていますが、その本多の嫡男の名前とも違うようですし、かと言って無縁の輩を連れて来るわけがないし。なんとも判断に苦しみますな」
「まあ、何か企んでいるのなら、こうして態々名簿を送り付けるような真似はせんだろうが、かと言って油断して懐を広げて喉元に刀を突き付けられるのも、厄介だしな」
「殿の場合、本当に懐を広げられると洒落にならんのですが」
「誰がそのような下種いた真似をするか」
いつの間にか、息の合う二人となっているのを、なつは少し離れた場所から複雑な想いで見守っていた
「で、その本多平八郎なる者の身元を、調べろと?」
「お手の物だろ?」
「仰いますな」
「兎に角だ、松平との窓口の一切は、お前に任せる。当日の接待の準備を頼む。予算は吉兵衛に試算させてあるから、それを受け取って準備を進めてくれ」
「場所は、寺ではなく?」
「寺でも良いが、今は斎藤の動向が気になる。城を空けるわけにもいかん」
「では、この清洲城で」
「今回の謁見は非公式だからな、約定を交えることもないだろうし、シゲ達を女装させて潜伏させる必要もない」
「あれは愉快でしたな」
「代わりに、今も時折シゲから嫌味を言われているのは私だが?」
「主なら、全ての矢面に立つお覚悟でいらっしゃいませ」
「お前も無茶を言うようになったもんだ」
「貴方程ではありませんが?」
溜息交じりで応える帰蝶に、秀貞はさらっと言ってのける
「いいからさっさと行け。お前と話していると、頭痛がする」
「随分な嫌われようでございますな」
「好かれてるとでも想ってたのか?目出度いな」
帰蝶も秀貞も、特に気にした風な様子でもなく、互いに何気ない顔をして辛辣な言葉を投げ合う
笑うものかどうしようか、なつは悩んだ

それでも仕事の早い秀貞は、早々に松平の受け入れの日取りを段取りし、とんとん拍子に準備が進む
加納砦は引き続き弥三郎が担当し、弟の利治もそれに付き従ってはいるが、そろそろさちの出産も近付いたと言うことで、弥三郎の計らいにより一時帰宅を命じられた
一ヶ月振りに見る弟は、突然変異かそれとも姉から離れていたからか、随分と男臭い顔立ちになって帰って来た
少しだけ、死んだ兄の義龍に似ているな、と想った
顔立ちこそ母に似ているが、体付きはなんとなくだがどこか義龍を想わせる
背が伸びたのだろう
その利治から加納砦の報告を受け、墨俣砦を張っている恒興からは佐治を遣して状況を聞かされた
恒興の配下となった荒尾から相当数の兵士が送られ、こちらも斎藤の動く気配はないと聞き、一先ず安堵する
しかし、佐治が読んだ近江の浅井の動向だけは、気になって仕方ない
予想通りなら、そろそろ美濃に入る準備をしているだろう
気の置けないまま、元康と逢う日がやって来た

元康を出迎えるのは顔馴染みでもある秀貞が務め、先頭に立つ石川数正と形式上の挨拶を交わす
供をしている酒井忠次が辺りをきょろきょろしているのが訝しい
「如何なさいましたか?」
ついと聞いて来る秀貞に、忠次は首を振る
「いえ、なんでもございません」
「どうかなさったのですか?」
後ろから小笠原氏清も訊ねて来た
側には子息だろうか、少年が立って氏清と同じく後ろから忠次を覗き込んだ
「なんでもありませんと申してございましょう」
「どうしたんだ?小平次」
「殿まで。しつこうございますぞ」
「す、すまん・・・」
立腹顔の忠次に、元康は背中を丸めて謝罪した
そんな、大人達の下らない遣り取りに、一人だけ涼しい顔をしている少年の姿が目に映った
少し背が大きい方か、肉付きはどことなく利家を匂わせるような、がっしりとした体格の持ち主である
「もしや、そなたが名簿に記載されていた」
秀貞はその、背の高い少年に顔を向けた
「某、本多平八郎と申します。ご挨拶が遅れ、面目次第もございません」
「いやいや、気になさらず。伺いましたところ、松平にその人ありと言われた、槍の名手、本多肥後守様の甥御殿だとか。本多平八郎忠勝殿。先にそのお名前をお伺いしておりましたら、こちらも構えて出れましたものを」
「申し訳ございません。元服したてのまだ未熟者ゆえ、諸先輩方と同じように名乗りを挙げるのはおこがましいと想ったもので、不躾な行いをしてしまいました」
丁重に頭を下げるまだ年若い少年・平八郎忠勝には、秀貞でなくとも息苦しい想いをする
「とんでもありません。先の今川と織田の戦いにも、参戦なされておられたのでしたな」
「わたくし如き小者をお気に留め下さり、恐悦至極に存じます」
四角四面な少年に、秀貞は苦笑いしながら告げる
「そう固くならず、肩の力をお抜きなさいませ。これからあなたが対面なされるお方の前でもそうであると、懐の扇子が飛んで参りますぞ」
                
秀貞の、脅迫とも忠告とも取れぬ言葉に、平八郎は肩を震わせた
殿はこれからどんな人物と会うと言うのだろうか、と
「ははは、心配するな。林殿は茶目っ気のある方なだけだ。お前をからかって遊んでおられるのだ」
そう、愉快そうに笑いながら話し掛ける元康に、平八郎は益々眉間に皺を寄せた
そんな家臣を抱える『織田信長』とは、一体どう言った人なのだろうかと、俄に不安が過る
「それよりも、一刻も早く上総介様にお目通り叶いたい。案内して下さらんか」
忙しない家臣の遣り取りなどお構いなしに、元康までワクワクした表情で言う
「はい」
秀貞は苦笑いを浮かべて応えた
しかし
「某も、早くお逢いしとうございますっ」
「はい?」
気の逸る忠次にはキョトンとする
「お弥々殿にっ!」
「誰ですか、それ・・・」

清洲城に元康らが到着した報せを受ける
「参るか」
いつものように不敵な微笑みを浮かばせ、いつもより少しまともな小袖に身を包んだ帰蝶が立ち上がった
「やはり、その恰好で?」
呆れた顔をして、なつが言う
「当然だ。今日は非公式の座談会なのだからな」
袖のない信長の遺品ではない真新しい小袖だが、女と違って幾重にも重ねているわけではないのだから、多少はその胸が前に出っ張っている
もしも元康が側に寄れば、『信長』が男ではないことを知られてしまう
なのに、敢えてそうあっても構わないとでも言いたげな行動を取る帰蝶に、なつは何を考えているのやらと、心の中ではさっきから何度も溜息を零していた
「行くぞ、なつ」
それでも
「はい」
こうして声を掛けられれば、無条件に動いてしまう自分が居る
恨めしく眺めながら、なつは帰蝶の背中の後を着いて歩いた
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無題
残暑厳しいですが…
体調崩されてませんか?

なつのほっぺがぽっと紅くなっている姿が思い浮かびました。
この情熱が帰蝶を支えてるんだなぁって。

弱きもの、汝の名は女なり。

なんてシェイクスピア劇の中にありますが…
なつもしっかり帰蝶の役に立ってますよね。
なつがいなきゃ、帰蝶がもっと暴走する!

夫婦茶碗…出来れば吉法師さまと使ってる姿も見たかったです。
mi URL 2010/09/04(Sat)10:44:13 編集
Re:無題
>残暑厳しいですが…
>体調崩されてませんか?

ご心配いただき、ありがとうございます
食欲がないくらいで、特に壊れたところはありません
あ、頭の中は別として(笑
残暑、確かに厳しいですね
miさんも体調が崩れたりしていませんか?
こちらよりも暑い地域にいらっしゃるので、過ごしにくい夏だと思います

>なつのほっぺがぽっと紅くなっている姿が思い浮かびました。
>この情熱が帰蝶を支えてるんだなぁって。

なつは使い方を間違えたらあらぬ方向に進んでしまう人物ですので、結構気を遣います
もう、帰蝶が男だったらとっくの昔に一線越えてもおかしくないくらい親密になっているし、いつの間にか口の利き方も悪くなってます(帰蝶の方が)
でも、そんな場合はなつの方から少し距離を置かせて、『母』と『娘』のような掛け合いにさせておいて、なんとか凌いでます

>弱きもの、汝の名は女なり。

されど、母は強し
by ユーゴー
なつも帰蝶も『母親」ですからね、強いですよ~
いざって時は

>なつもしっかり帰蝶の役に立ってますよね。

立ってますとも
なつが居なかったら

>なつがいなきゃ、帰蝶がもっと暴走する!

その通り(笑

>夫婦茶碗…出来れば吉法師さまと使ってる姿も見たかったです。

すみません・・・
始めた頃は(これもごめんなさい、私、史実の信長は余り好きではないので)「信長、さっさと殺してやろう」と意気込んでいたもので、二人の生活の情景と言うのは殆ど考慮していませんでした
書けば書くほどこっちの信長(吉法師)に感情移入してしまって、今ではもうちょっと丁寧に書けばよかったなぁと後悔しきり
自画自賛なんですけど、前回更新時の冒頭、吉法師の回想はキーボード打ってて楽しかったです
春の風のように穏やかな少年だったのを、自分なりに上手く表現できたなぁと思ってます
Haruhi 【2010/09/04 19:11】
濃姫(帰蝶)好きの方へ
本日は当サイトにお越しいただき、ありがとうございます

先ずはこちらのページを一読していただけると嬉しいです→お願い

文章の誤字・脱字が時折混ざっております
見付け次第修正をしておりますが、それでもおかしな個所がありましたらお詫び申し上げます

了承なしのリンクは謹んでご辞退申し上げます
管理人の独り言も混じっております
[11/04 Haruhi]
[08/13 kitilyou]
[06/26 kitilyou命]
[03/02 kitilyou命]
[03/01 kitilyou命]
ゲームブログ
千極一夜

家庭用ゲーム専用ブログです
『戦国無双3』が絶望的存在であるため、更新予定はありません

◇◇11/19 Nintendo DSソフト◇◇
『トモダチコレクション』

おのうさま(帰蝶)とノブ(信長)が 結婚しました(笑

祝:お濃さま出演 But模擬専…     (戦国無双3)


おのれコーエーめ
よくもお濃様を邪険にしおってからに・・・(涙

(画像元:コーエー公式サイト)
オンラインゲームにてお濃様発見


転生絵巻伝 三国ヒーローズ公式サイト:GAMESPACE24
『武将紹介』→『ゲーム紹介』→『Exキャラクター紹介』→『赤壁VS桶狭間』にてお濃様閲覧可
キャラクター紹介文
絶世の美貌を持つ信長の妻。頭が良く機転が利き、信長の覇業を深く支えた。
また、信長を愛し通した一途な妻でもあった。

(画像元:GAMESPACE24公式サイト)
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(二本セットの画像)
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本醸造 濃姫
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本醸造 濃姫®=容量的に大雑把な感じに想えて、麹の独特の香りを抑えたあっさりとした風味です

今現在、この3種類を試しておりますが、どれも麹臭い雰囲気が全くしません
飲料するもよし、お料理に使うもよし
お料理に使用しても麹の嫌な独特感は全く残りません
奇跡のお酒です
何よりボトルがどれも美しい

清洲桜醸造株式会社公式サイト

濃姫の里 隠し吟醸
フルーティで口当たりが良いです
一応は『辛口』になってますが、ほんのり甘さも残ってます
わたしは料理に使ってます

清洲城信長 鬼ころし
量的に肉や魚の血落としや、料理用として使っています
麹の香りが良いのが特徴ですが、お酒に弱い人は「うっ」と来るかも知れません
どちらも一般スーパーに置いている場合があります
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