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出発前、帰蝶は戻って来た弥三郎にある『秘策』を伝えた
「え?良いんですか?」
聞かされ、弥三郎は目を丸くする
「構うな。存分に撹乱してやれ」
「はあ・・・。でもなんか、卑怯な手のような気も・・・」
「仕合とは言え、戦に卑怯もクソもあるか」
「まっ、お下品なっ」
                
突っ込まれ、帰蝶も目を丸くする

墨俣攻略で使用した兜を小脇に抱え、帰蝶は貞勝の執務室に入った
「これは、殿。御用がございましたら、こちらからお伺いしましたものを」
貞勝は、向かい合っていた机から目を離し、帰蝶の方へ躰を向けながら言った
「いや、構うな。なつに用事があったからな、序でだ」
「そうですか。聞きましたところ、松平と戦をなさいますので」
「生死の薄い『仕合』だがな」
「しかし、ここのところ斎藤に感けてばかりで、良い気分転換にはなりましょう」
「だと良いが」
「ところで、その兜の被り心地は如何でしょう」
わかっていながら嫌味たらしくニヤニヤと、自分を見る貞勝に帰蝶はその兜を想い切り投げ付けた
「上々だ」
投げ付けられた兜を腹の前で抱き締めるように受け取り、貞勝は尚も笑う
「それはようございました」
                
腹が立って仕方がない
          もう少し軽く作り直せ」
負けを認めるかのようで、悔しくて仕方がない
「いっそのこと、被らず出られては如何ですか」
「無茶を言うな」
「はっはっはっ。殿も無茶の意味を、おわかりになられたのですね」
「吉兵衛」
帰蝶は貞勝の前に腰を下ろした
「わかってる。私はいつも、無茶ばかりを言っている。自覚している。だが、頼む」
「殿」
「私の無茶を、どうか聞いて欲しい」
殊勝な帰蝶に、貞勝もからかうのをやめた
「あなたの無茶を聞けば、おなつ様が悲しみます」
「吉兵衛」
「幾多の愛する人を見送ったおなつ様に、これ以上悲しい想いをさせる手助けは、私にはできません。ですが、殿が生きるための手助けなら、尽力も惜しみません。殿」
          なんだ」
「生きなさい。生き急いでは、なりません」
「吉兵衛・・・」
「この兜、殿をお守りするために誂えた物です。ですが、それがあなたの命を削ることになるのなら、私はこれをあなたから取り上げねばなりません」
「それは・・・ッ」
帰蝶は慌てて兜を取ろうと手を伸ばした
取らせまいと貞勝は、兜を持った手を背中に回す
「殿。          ご自分らしく、ありなされ。男の真似をする必要は、ございません。あなたはあなたらしく、ありのままで居てくだされ」
「吉兵衛・・・」
「あなたが答えを見付けるまで、この兜は私がお預かりいたします」
                
「無理を通せば、道理が引込むと墨俣攻略前、申しましたな」
          ああ」
「無理を通さねばならないことも、あるでしょう。増してやあなたは、女だ。したくなくとも、せねばならぬ無理もございましょう。ですが、殿は想い付いた全ての無理を通そうとなされる。それでは方落ちてしまいますぞ。この、兜のように」
「吉兵衛・・・」
「蝉丸も、可哀想に。羽根をこんなにされて」
と、綻びた羽根を指先で寄せ集めた
                
「殿。おなごが生きるには、今の時代はあまりにも過酷です。先代様が夢見た時代は、戦に泣く女が出ないようにすることでは、ございませんか?」
「そう・・・だ」
「なのに、おなごのあなたが泣かねばならない時代が来てしまっては、元も子もない。先代様はそんなこと、決して望んだりはしておりません。あなたが戦に出ることも、本当は望んでなどおられないのやも、知れませぬぞ」
「だけど・・・」
「それでも出られるのであれば、ご自分を見失なさいますな。あなたは織田信長かも知れない。ですが、その前に斎藤帰蝶であることも、忘れてはならないのです。その覚悟を以って、ここにおられるのでしょう?」
                

貞勝の言葉は、難しかった
何か課題を抱えたような気になって、帰蝶は頭の上の『天冠』を揺すった
「しっかり嵌ってますか?」
「はい、義母上」
天冠を冠る時、いつも市弥が世話をしてくれる
この日も市弥が自らの手で天冠を被せてくれた
市弥がそうしてくれた時の戦は負けたことがない
縁起の良い手だった
「ではね。仕合とは言え、くれぐれも怪我のないように」
「はい。では、種子島は残してゆきますので、宜しくお願いします」
「承知しました。心配なきよう、励みなさい」
「はい」
それまでは当たり前のように手にしていた種子島式を部屋に残し、帰蝶は龍之介の遺品である嵯峨野の弓を掴んだ
大人の男でも持て余すような大きさである
線の細い龍之介にしては随分と、無理をするものを手にしたものだと溜息を吐く
「それでは、行って参ります」
「気を付けて」
腰に二本の刀
背中に大弓
自分が何者なのか、試す仕合
義母の期待をも背負い、帰蝶は清洲を出た

「織田軍、出発ッ!」
馬廻り衆筆頭の成政の声が大手門に轟く
それまでの戦では先鋒を可成、弥三郎の部隊が受け持っていた
この日も先発はこの二人が担当する
「三左さんと組むの、久し振りだね」
「そうだな。墨俣では其々別の場所に居たからな」
『戦』とは言え所詮は『仕合』
そんな気の緩みも、どこかあったかも知れない
弥三郎と可成は雑談をしながら先頭を歩いた
先鋒の後衛を務める勝家と信盛は少し離れた場所を歩く
中堅・金森可近は少ない人数とは言え、正規での参加は初めてなため、緊張して仕方ない
「若、どうぞ落ち着いて」
後詰の長秀が、付き添う信良を励ました
「兵糧のない戦ゆえ、我らの出番は殆どないでしょうが」
「そそっ、そそっ、そうですねっ」
「だから落ち着けと申しておりましょうに」
可近と長秀の部隊の間を、織田本隊・帰蝶の部隊が馬廻り衆、黒母衣衆、赤母衣衆に囲まれ馬を進める
胸を借りるのは、もしかしたら自分の方かも知れないと想った

石ヶ瀬手前の、手配していた寺で佐治為興と合流する
「此度は織田の遊びに付き合わせて、すまぬな」
「いいえ、丁度暇を持て余していたところでしたので、兵士らも朝からソワソワと落ち着きがありませんでした」
為興の爽やかな笑顔に、帰蝶も自然と微笑めた
「憂さ晴らしにも良い頃合でしょう」
「そう言ってもらえると、こちらも心置きなく背中を預けられる。我らが手零した兵の始末は、そちらに任せた。煮て食うなり焼いて食うなり、存分にしろ」
「はっ」
立ち寄った寺で軍議を行なう
「先ずは松平の先鋒だが、恐らく石川か酒井が出るだろう」
「何故おわかりに?松平が知らせて参りましたか?」
勝家が訊ねた
「そうしてくれると助かるのだがな、この間の宴の様子を見ていると、松平の諸将を仕切っているのはどうも、石川のようだ」
「そうですか」
秀隆が相槌を打つ
「松平の将を仕切る石川か、あるいは二郎三郎の義叔父にして従兄弟でもある酒井が先鋒と睨んで間違いないだろう。まあ、私としては、酒井が先鋒でいてくれると助かるのだがな」
「どうしてですか?」
「こちらには『お弥々殿』がいらっしゃるからな」
「お弥々殿?どなた様ですか?」
と、可成が聞く
自分の隣に居るのがその『お弥々殿』だとは知る術もない
「どうした?弥三郎」
深く俯く弥三郎に、可成は声を掛けた
「いや、気にしないでくれ・・・」
                 ?」
「こちらの先鋒は、三左、弥三郎、いつもの組み合わせだな」
可成、弥三郎が揃って一礼する
「三左の後衛に右衛門」
「はっ」
「弥三郎の後衛に権」
「はっ」
「権、先頭は織田きっての特攻屋だ。遠慮せず後ろからでもガンガン攻めろ」
「承知」
「犬千代」
「はいっ」
「お前は前に出るな、権の補佐に尽力しろ」
「はぁい」
釘を刺され、利家は不貞腐れる
「中堅、五郎八」
「はっ」
「頑張れ、五郎八!」
信良が合いの手を打った
可近はそれに応えるかのように、少し照れ臭そうに俯く
「五郎八はこれが織田の戦、初めての参戦となる。八郎殿」
「はっ」
「援護をお願いできるか」
「喜んで」
為興は笑顔で応えた
「遊撃部隊に、蜂須賀」
「お能様は、どちらに」
正勝が返事の前に訊ねる
「お前の働き次第だ」
「頑張ります」
                
お能など来ていないのを気の毒に感じたか、兵助は少し眉を寄せて正勝を見た
「後詰に五郎左、三十郎」
「はっ」
「はいっ」
「小牧山に張っていたのをこちらに呼び戻し、調子もまだ上がってないだろうが五郎左、三十郎を頼む」
「お任せください」
「松平は小賢しい輩の集まりだ。桶狭間でも左之介の部隊を壊滅させた」
一門でもある左之介盛重の死を想い出し、信盛は眉を寄せる
「だからと言って右衛門、これは仇討ち合戦ではない」
          はい」
「松平に、織田の底力を見せ付けるための『仕合』だ。良いか、お前達。遺恨は残すな、仇(あだ)を産むな、明日には笑っていられるよう全力を出し尽くせッ!」
「応ッ!」

元康が送り付けた仕合の条件は、こうだった
お互い鉄砲は持ち込まぬこと
刀は相手の致命傷にならぬよう、配慮すること
槍は先端を竹の皮で包むこと
弓は鋼を外すこと
つまり、最悪でも酷い怪我の程度で済ませられるように、とのことである
勝敗を決めるのは、『本陣』に飾られた錦の扇子を奪った方の勝ち
扇子を傷付けるのもありとのこと
要するに、扇子を無事に守っていられた方が勝ちともなる
元康が送って来た扇子を手に眺め、帰蝶は少し眉を上げて北痩笑んだ
「見せてやろうとも。織田流の戦い方をな」
「うわー、嫌な予感」
側で弥三郎が声を漏らすのを、帰蝶も嫌な顔をして睨んだ

「なつ。ここに居たの?」
          大方様」
局処の帰蝶の私室、信長の小さい仏壇の前
ここから帰蝶を見送った市弥が戻って来ると、そこにはさっきまで居なかったなつが座っていた
「落ち着かないの?戦じゃないのに」
「ええ・・・。自分でも莫迦だと想うんですが」
そう苦笑いして、なつは応えた
「莫迦とか、そう言うことじゃないと想うわよ。人を心配するのは」
「大方様・・・」
「私もね、もっともっと、子供達を心配すれば良かった。・・・って、何度も後悔することがあるの」
「大方様が?」
「ええ」
なつの隣に腰を下ろし、信長の仏壇と向かい合う
「もう、何もかも手遅れなのよね。だけど、それでも想うの。どうして、吉法師を心配できなかったのか。何故、三法師を心配できなかったのか。私はどこかで、自分の育て方を過信していたのかも」
「そんな・・・。大方様はご立派に、お子を育てられてます。過信だなんて、そんな・・・」
「その反動かしら。今は上総介が心配で堪らないの」
          私も・・・、です」
苦笑いする市弥に、なつも釣られて眉を寄せて笑った
「池田の一人息子である勝三郎よりも、何故か殿のことが心配で」
「だって、しょうがないじゃない、ねえ?上総介は、人に心配を掛けさせるのが得意なんですもの」
                
カラカラ笑う市弥に、なつも笑わずにはいられない
それでも、笑いたいのを堪えた
笑っている場合ではないと想い
「さっきね、三十郎を見送って来たの」
「そうですか。若も武者始めにしては、聊かご不満なのではありませんか?」
「普通はそうなのでしょうけどね、あの子、物凄く緊張してたわ。上総介の前だものね。織田の人間じゃない女が、織田の先頭に立って戦ってるのよ。男の、織田の人間の自分がそれ以上のことをしなきゃいけないって、逆にそれで気負ってるみたい。カチコチになってて、見てておかしかったわ」
「そうですか」
「でもね、あの子が引っ張ってくれるから。だからみんな、着いて来れるのね」
「大方様・・・」
少しだけ、声の調子が下がる
信長の前だからか、どこか懐かしい感情も呼び戻されたのかも知れない
「あの時、なつは末森に居たから聞かされただろうけど、吉法師が上総介を嫁にもらった時の披露宴で、二人とも那古野の城から抜け出しちゃって」
「ええ、それ伺いました。ちょっとした騒動でしたものね」
「親にとんだ恥を掻かせて、って、私、吉法師を恨んだわ。憎くて憎くて、仕方なかった。だけど今ならね、それも許せるの」
「どうしてそのように?」
「吉法師に着いて行けるような嫁じゃなきゃ、相手は務まらなかったんだ、って」
「そう・・・ですか」
信長の仏壇を見詰めたまま、穏やかな顔をしている市弥に、なつも胸を癒される
「あの子だから、吉法師は全てを許せたのね。全てを委ねられたのね」
「大方様」
「あの子を理解できた時、私は、理解できなかった吉法師を理解できるかも知れないって想った」
「え?」
「今は、あの子を理解できてるのかどうか、私にはわからない。それが理解できてることになるのかも、わからない。時々は驚かされるし、だけどそれが上総介だからって許せる部分もある。なつ」
「はい」
市弥は仏壇からなつに視線を移した
「私ね、わかったの」
「何をですか?」
「理解するんじゃないの。『受け入れる』のよ。上総介を」
「大方様・・・」
「上総介は、吉法師を受け入れたのよ。そして、吉法師も上総介を受け入れたの。理解し合うとか、そんなことじゃないのよ。それよりも、もっと深い部分でわかり合ってたの。そう言うことじゃないのかなって、最近、そう想うようになったの」
「そうですか・・・」
『理解』とは、人其々形が違うものなのだなと、なつは想った
自分は市弥とは違う意見を持っているからだ
だがなつは、敢えてそれを口にしない
すれば口論になるだろうと予想した
「あなたが上総介に傅いているのを見て、腹が立ったこともあった」
「え?」
市弥の告白に、なつは少し驚いた顔をした
「でも、あれは傅いてるんじゃない。『寄り添って』いたのね」
                
この人が、『信長』の母親たる所以を、なつも理解した
          ありがとう・・・ございます・・・」
「どうしてなつがお礼を言うの?」
おかしくて、市弥は頬を崩して笑った
「なんとなく・・・」
「ふふふっ。なつって、上総介に感化されたみたい。あ、私もか」
「大方様」
おどけた表情をする市弥が、尚更おかしい
二人は声を上げて笑った
信長が生きていた頃には考えられない光景である
「さて!」
両手をパンと叩き、市弥が立ち上がった
「じゃあ、始めるわよ、なつ」
「本当になさるので?」
「だって、こんなに良い天気なのに、勿体無いじゃない」
「そうですけど、半端じゃない数ですよ?」
「四の五の言わずに着いてらっしゃいッ!」
「はい・・・」
張り切る市弥に、なつも口答えできず立ち上がった
「帰って来たら上総介、驚くわよ~?」
「気付いてくれたら、良いんですけど」
そう言って、市弥の後ろを着いて帰蝶の部屋を出る
どうしてだろう
こんなにも空気の流れが穏やかに感じられるのは
ここに帰蝶は居ないのに、どうしてかそう、感じられた

石ヶ瀬の布陣図をじっと見ている元康に、平八郎が声を掛ける
「殿、そろそろ出発を」
「ああ、そうだった」
広げた布陣図を畳み、懐に仕舞う
「何かおわかりになられましたか?」
「ううん、全然。ははは」
「殿」
「織田と戦うのはこれで二度目になるが、今回は上総介様との直接対決だからな。上総介様がどう出られるのか、予想もつかない」
「予想がつけば、我らは桶狭間山で勝っておりました」
「そうだな」
至極当然のことを言う平八郎に、元康も目を丸くして現実を見詰めた
「うん、そうだ。上総介様の行動は、想像がつかない。だから、お屋形様は負けたんだった・・・」
床机から立ち上がり、元康は数正らが集まっている場所へ歩いた
「殿」
「布陣は決まりましたか」
「そうだな」
帰蝶がどう出るのかわからないが、これまでの戦の流れを考慮すれば、応えは自ずと決まった
「力には、頭脳。          先鋒、石川」
「はっ」
「与七郎の後衛に小笠原、榊原」
元康は頭の中で描いた布陣を口頭で伝えていった
「小平太の補佐に、菅沼。平八郎は前回同様、私に着け」
「はっ」
「さて」
一通り作戦を伝え、元康は仕合に参加した諸侯の顔を見回した
「此度の宴、織田がどう受け取るか、私には皆目見当が付かない。本気で掛かるか、それとも遊びと見るか。遊びと想うてもらえたら、我らの勝利だ。だが、相手は織田上総介。真に可愛げのない御仁。恐らく何人かの死者は出るだろう。それは故に、織田を舐めていた証拠にもなる。そうならぬよう、みな、気を引き締めてくれ」
「ははっ!」

これに勝てば
勝てずとも、引き分けに持ち込めば
そうすれば
「佐久夜・・・」
鎧の胸元に拳を当て、自分の願いを、望みを、ぎゅっと押し込んだ

空に鳶が舞い、白い雲は流れ、辺りを静寂で包み込む
法螺が鳴るのを、じっと待つ
松風に跨り、正面から緩い風を受け、帰蝶の髪が棚引く
横髪が目蓋に掛かり、それを指先で払った瞬間、開戦の烽火が上がった
「織田軍、進撃ッ!」
「松平軍、前進ッ!」
帰蝶、元康の其々が鬨を上げる
追い駆けるように陣太鼓が鳴った

先鋒の可成、弥三郎の部隊が飛び出す
特に弥三郎は加納砦に張り続けていた間、戦らしい戦もしていない
鈍った肩をぐるぐる回しながら、久し振りの血腥い戦場の空気に酔い痴れる
弥三郎が肉体派なら可成は頭脳派
弥三郎の部隊を補佐するように松平の先鋒を切り裂き、道を広げた
「後方、前に詰めよッ!」
可成の指揮が飛び、透かさず信盛の部隊が隙間を埋めた
そこに入り込もうとしていた松平の兵が、悉く潰される
「さすが、森殿」
「さすが、佐久間殿」
離れた場所に居る可成と信盛は耳に届くことはないが、互いの指揮を誉め合った
「先陣、右翼の先端を潰せッ!」
後ろから弥三郎の指揮が飛ぶ
「弥三郎さん」
側に居た利治が声を掛けた
「私は出なくて良いんですか?」
「本式の戦じゃないからね。それに新五さん、戦で血ぃ見たら人格ぶっ飛ぶって慶次郎からも聞かされてるしね」
「私には全く身に覚えはないんですが・・・」
「それに、新五さんに怪我させたら、さちに何言われるかわかったもんじゃない」
「そんな・・・」
妻の心配に頬をぽっと染める利治は可愛らしいが、場所が場所だけに微笑めない
「兎に角、新五さんはここに居て、援護を頼む」
「では、弥三郎さんは」
「俺?前に出るに決まってんでしょッ!殿の命令もあるしね」
「殿の命令?」
「まあ、極秘ってことで頼んます」
「え?」
キョトンとする利治を置いて、部隊長である弥三郎が馬を走らせた
「弥三郎さん、お気を付けて!」
そう叫ぶのが精一杯だった

「やはりな」
可近の後ろに付けた帰蝶は、前方の松平の動きに注視した
「こちらの隙を突くのが上手い」
知能派である可成には、同じく知能派の信盛を
肉体派である弥三郎には、肉体派の勝家を付けさせた
帰蝶はそれによって松平がどう動くのか確認したかったのだが、想うように動く松平にくすりと笑う
「五郎八」
「はい」
「出ろ」
「は、はいッ!」
やっと出番が回って来たと、可近は竹の皮で先端を包んだ槍を握り締めた
「八郎殿」
「はい」
可近と違って為興は余裕の表情で居る
「松平は恐らく、左翼の弥三郎の部隊に突入するだろう。そこを横から突いてもらいたい」
「承知」
「五郎八、聞いたな?」
「はい」
「八郎殿に先導してもらい、お前は松平の、          あの家紋は」
目を細め、軍旗を確認する
「はっはっはっはっはっ!石川かっ!これは良い」
豪快に笑い出す帰蝶に、可近は驚く
「と、殿・・・?」
「先陣は弥三郎に任せ、お前は中衛以降の兵を潰せ。大丈夫だ、簡単に潰せる。何も心配するな」
「は・・・、はい」
そう返事するしかない可近は、疑心暗鬼になりながら馬を進めた
「八郎殿、出られませい」
「はっ!」
可近と為興を見送り、余裕の笑顔を浮かべる帰蝶に、兵助は嫌な予感を起す
「殿、まさかとは存じますが」
「何だ」
「そろそろ、その『腰の物』を本陣旗に差してくださいませんか」
「どうしてだ」
「それがあると、松平が殿に殺到してしまいます」
「おおう、操の危機かの?」
少し色っぽい声を出しておどけてみる
「殿、おふざけにならず、お貸しください。差しますゆえ」
「そうだなぁ」
いつもなら、そこにあるのは『種子島式』ではあるが、今日は持ち込むことを禁止されているため別のものを差している
龍之介の弓は大き過ぎて背には負えないので肩からぶら下げていた
大きさ長さはあっても、幅としては通常のものとそう変わらないのが幸いした
「もう少し、持っていたいな」
「殿。負けてもよろしいのですか?」
「誰が負けるか」
「では、お渡しください」
「あっかんべー」
と、帰蝶は右の下目蓋を指で広げて下を出した
「殿!」
「これが私の戦い方だ」
そう言うと、帰蝶は跨っていた松風を突然走らせた
「殿ッ!」
追い駆けようにも、兵助は馬には乗っていない
「殿ぉーッ!」
追い駆ける手段がなかった
「全く、もう!」
消えゆく帰蝶の背中を、兵助は悔しそうに見送った
「ははは。また、殿の無茶が始まりましたか」
馬廻り衆筆頭の成政が騎乗したまま近寄って来る
「佐々殿、のんびりしていないで殿を連れ戻してくだされっ」
「ご勘弁を。暴走する殿をお連れするのは、命懸け。某、まだ妻を残して他界しとうはございませんので」
「ああ、そう言えば秋津殿、ご懐妊なさったとか」
「お陰で村井様の監視の目が厳しゅうなり申した」
他愛ない雑談が始まる
「ははは、娘孫は初めてでございましょうに、心配で堪らないのではございませんか?」
「そう仰る猪子殿は、いつまで独身を貫かれるので?」
「殿が落ち着くまでは、おちおち妻も娶れません」
「それは永劫ありませんでしょうに」
「はっはっはっ」
『仕合』とは言え、ここが仮想の戦場であることなど忘れたかのように、長閑な笑い声が続く
何をしにここまで来たのか忘れてしまうほどに

なるほど、『仕合』と言うからにそこには鬼気迫るものは薄かった
弥三郎が受け持った石川隊の群を避けるように、帰蝶は可成と信盛の居る側を走る
それは難なく行なえた
「殿・・・。また、『始まった』か」
独走する帰蝶の姿に、可成は苦笑いする
帰蝶から相当離れて馬廻り衆が追い駆けている姿が見えた
「おやおや、河尻殿は置いてけぼりか」
いつもなら帰蝶の側に居る秀隆の馬が居ない
「ははは、しょうのないお方だ」
今頃秀隆が慌てて帰蝶の姿を探していることだろうと想像できる
「どれ、殿に松平が集中せぬよう、少し気張るか。佐久間殿」
可成は信盛に向って陣太鼓を鳴らした
          え?前進?」
松平が上手く弥三郎の方へと流れているのに、どうして今頃になって突入するのだろうかと、信盛は疑問に感じた
「しかし、森殿にも何か考えがあって・・・。あ」
漸く、前方に帰蝶が走っているのが目視できた
「殿、『また』でござるか・・・」
帰蝶が突出するには馴れているので、信盛もそう驚くこともない
しかし、帰蝶に対して『過保護』である勝家は違った
                
右翼側から帰蝶が松平本陣を目指して走っているのを確認し、苦々しい顔で睨み付ける
「権の叔父貴!右側がガラ空きだ。押し込むには良い頃合         
「犬千代、丁度良いところへ来た」
「へ?」
「あのじゃじゃ馬をひっ捕えろ!」
「え?」
利家は目を丸くして驚いた

本陣で見たとおり、松平の先端は弥三郎の部隊に突っ込んでいる
力押しでしか進めないと想ったか、崩しやすいと睨んだか
確かに弥三郎は頭で考えるより体を動かしている方が割に合う仕事をしている
しかし、それだけで斬り込み隊を任せているわけではない
弥三郎は幼少の頃より父の仕事を手伝い、武士の『癖』と言うものを知り尽くしていた
戦になればどう動くか、馬を商売にすることで熟知している
それを松平の先鋒・石川は知らない
弥三郎の潜在能力を
「よし、良いぞ。そのまま弥三郎に張り付いていろ」
石川隊の動きを横目で目視しながら、帰蝶は離れた場所から元康の本陣を目指した
一方の松平は、織田の本陣を目指している
『そこ』に『それ』があるからだ
まさか目的のものが別の場所にあるなど、想像もしていないだろう
織田の本陣を目指す松平の部隊を可成が受け持つ
数が弥三郎に流れたとしても、それ以降の部隊はまだ生きている
軍旗の家紋は酒井忠次の部隊であった
「さて、松平古参の武将の動きは、どのようなものか」
試すかのように信盛との間を広げる
そこに入り込むかと想えば、酒井隊は警戒してか可成と距離を開ける
「ふむ、警戒心は強いな」
折角前を詰めたのだからと、開いた場所に信盛の部隊を入れた
「これで松平は、どう動くかな」

「う~ん。左翼は兎も角、右翼は頭の切れる人間が張っているようだな」
後方からこの様子を眺めていた元康は、可成の動きを注視した
「あのままなら挟み撃ちに遭うな。小平太では分が悪いか。しかし、補佐を付けたのだから、小平太もそう困ることもないだろう」
直ぐに動いてこちらまで潰されては敵わないと、元康は留意するに留まった
この時元康は、慌てて動かずに良かったと後にほっとする
「左の部隊は動きが活発だ。多分桶狭間山を切り崩した部隊の一つだろう。左の突出した部隊に遊撃部隊を充てろ。これ以上松平に近付けさせるな」
「はっ」
元康も的確な指示を本陣から出した
それを伝えるための陣太鼓が鳴り響き、伝令のため馬廻り衆が走る
松平にも『母衣衆』は存在したが、織田のような『黒』と『赤』に分ける組織には至らない
それでも補って余るほど元康の松平軍は統率力があった
元康の伝令を受けると、即座に石川隊、酒井隊が動く
押していた石川が引き始め、その反動で弥三郎が前のめりに出てしまう
酒井はこちらの挑発には一切乗って来ず、可成は想うように動けない
弥三郎も可成も、突然動きを変えた松平軍に翻弄された

清洲の南本殿局処の庭一面に、無数の畳が立て掛けられる
女達は其々手に長い物差しを掴み、振りかぶった
その中心に三角巾を被った市弥の姿が
隣には同じく三角巾に襷姿のなつが立っている
「それじゃみんな、一斉に行くわよ?!そーれッ!」
市弥の合図と共に、手にしていた物差しがほぼ同時に振り下ろされた
そして、バシン!と畳を叩く良い音が鳴り響く
「そーれッ!」
バシン!
その音に局処で事務仕事をしていた貞勝が顔を上げる
「ああ、始まったか」
目蓋に浮かぶ女達の微笑ましい光景に、頬を緩めた
「吉法師様」
小さく名を呟き、それから心の中で語り掛ける
          あなたの残された女達は、どれも強い女ばかりですね
さぞや、安心してゆけたことでしょう
筆を置き、天井を眺めるかのように顎を出す
「殿も、今頃存分に暴れてらっしゃる頃か」
くくく、と苦笑いをする
・・・・・あの方が嫁いで来なければ、あなたはもっと長生きができたかも知れない
だがそれは、果たして幸せな人生だったかどうか、私にはわかりません
短い人生、それでもあなたはきっと、幸せだったのだと願いたい
この世の誰よりも幸せなまま、あの世にゆかれたのだと想いたい
「吉法師様」
どうか、殿をお守りください
あまり無茶をしないよう、しっかり見張っててやってくださいませね
「村井様」
ふと、襖の向こうから子供の声がした
          お勝丸かい?」
「はい」
返事と共に、お能の次男・勝が襖を開ける
「手習いは済んだのかい?」
「はい。ですが、堀田様がこれから若と一緒にどうですかとお誘いくださったので、村井様のお許しを頂こうと参りました」
「そうか、若と学べるのか。堀田様なら文句はない。存分に習って来なさい」
「はい、ありがとうございます」
まだ幼さを残しながらも、少しずつ大人になろうとしている勝は習い通り丁寧に頭を下げ、静かに襖を閉めた
「頼もしい後継者であったろう。土田殿も         
生きていたなら、この光景に安心できたものを・・・と、少しだけ物淋しい想いをする
戦は真、無情なものだと貞勝は胸を痛めた

「押されたら押し返す」
後ろから弥三郎の動きを見ていた利治は、確認するかのように言葉にする
しかし
「引かれたらまた押すって、弥三郎さん、押しっぱなしじゃないですか!」
兎に角前進している弥三郎に、突っ込まずには居られない
「新五さん、どうします?隊長、引き戻しましょうか」
同僚の青年が何人か、利治の許に駆け寄った
「いや、弥三郎さんは殿から直接何か、指示を出されてるようなんだ」
「指示って?」
「それは聞いてないけど、まぁ、『殿』のことだから、『碌でもない』内容だと想うんだよな」
                
どんな指示なんだと、全員が黙り込む
「殿が絡んでる以上、下手に手を出して作戦でも失敗したら、俺達全員の首が飛ぶぜ?」
「じゃあ、隊長に任せておいた方が良いってことですね」
「藪を突付いたら蛇が出たって、馬鹿馬鹿しいだろ?」
「確かに」
突付けば出て来る『蛇』が姉であることだけは、いくら同僚でも言えない
「まあ、何にしても、弥三郎さんが危なくなったら即座に出れるよう、準備だけしとくか」
「そうですね」
お互いの配置を確認し合い、青年達は元の場所に戻った
「それにしても、弥三郎さん。いつにも増して、押すなぁ・・・」
可成の部隊と離れ、突出している弥三郎の直属部隊の光景には、さすがに『織田の斬り込み部隊』と呼ばれるだけのことはあると関心する
背後に勝家が着いているとは言え、怖いもの知らずな突っ込み方だからだ
孤立すれば全滅は免れない出方をしている
これも姉の作戦だろうかと、利治は内心想った

前進一方だと想っていた石川の隊が後退し、自然と自分は前に出る
これは予め計画していた通りだが、向うから引かれるとこちらの思惑が生かされない
「しまったな」
馬の上から小さく呟いても、押しの一手を得意とする自分の部隊の兵士らに「戻れ」と言ったところで、素直に戻るとも想えなかった
かと言って、押し続ければ敵の罠に掛かってしまう危険性も否めない
どこで罠を張っているのか想像できない弥三郎は、馬から降りて直接指揮を執った
「権さんの部隊に伝令!石川との間合いを詰める。背後を守ってくれ!」
部下の青年武士がその伝令を伝えに走る
「新五さんはそのまま待機!合図があるまで、石川と距離を置くように!」
「はい!」
それを利治に伝えようと、別の青年武士が走った
「五人、俺に着いて来い!敵の懐に飛び込むッ!」
「はいッ!」
「他は援護頼む!」
「はい!」
志願した五人を連れ、弥三郎は石川隊の中心に入り込むため、隊列を抜けた
それを狙ったかのように、為興が可近に合図する
「今です」
どーんと、陣太鼓が鳴った
それを聞き、可近は右側から石川隊の中枢部に向って走る
側で織田軍が前進するのを、石川隊は止めるに止められない
膨らめば正面からぶつかっている土田隊に拡散されてしまうからだ
兵力の分散は、何より恐れる事態である
少数精鋭でもない石川隊は、数で勝負が正直なところだった
そこへ、遊撃部隊である正勝の部隊が応援として駆け付けた
「佐治殿!」
「ああ、蜂須賀殿。ご足労です」
「で、某はどう動けば宜しいでしょうか」
「はい、私の部隊の背後に、『隠れる』ように着き、私の合図と共に石川隊を背後から突いて下さいますか。恐らくそれに驚いて、左翼の酒井隊も戦列が崩れるかと想います」
「酒井は」
兜と眉の間に手を水平に置き、遠くを睨み付ける
「森殿が当ってますな」
「向うは心理戦のようです」
「え?そうなんですか?」
見た感じでは、全くわからない
「間を空けて様子を伺い、あちらの列が乱れるのを狙っているようですが、今は多少難航しているようですね」
「はあ」
そう言われても、理解できるような動きはしていない
「余力があれば、あちらの援軍にも回りましょう」
「え?!」
そんな余裕があるのかと、正勝は驚いた
どう見ても、松平の方が兵の補充で勝っている
そんなことよりも、お能はどこかと探していたのだから、突然為興に呼び出されたことも遺憾であった
それにしても、こんな場所にお能様は本当に来ているのだろうか
どこにおられるのだろうかと悩む正勝の背中を、中々動かないと為興は力強く押した
「ほら!行きますよ!」
「ああ、ちょっと、しばしお待ちを・・・!」

動きの止まった可成を不審に想い、信盛は馬を走らせた
「森殿、如何なさった」
「佐久間殿」
「先程から膠着状態が続いているようですが」
信盛が馬から舞い降りるのを眺めながら、可成は唸るように応えた
「いえ、どうもこちらが『陽動部隊』であることに、勘付かれたようで」
「ええ?」
「困りました。あのまま弥三郎と挟み撃ちを仕掛けるつもりだったのですが、全く動こうとしない。かと言ってこちらが動いて向うに挟まれては、目も当てられない」
「確かにそうですが、かと言ってこのまま睨み合いでは埒が明きませんでしょう」
「ごもっともではございますが、だからと言って迂闊に動いてこちらが全滅を食らっては、何のために先鋒を二手に分けたのやら」
「う~ん」
信盛は顎に拳を当て考え込んだ
考え込みながら、呟くように話す
「先程、殿が先行されるのを見ました」
「何かお考えがあってのことかと想うのですが」
「私も同様ですが、想いますに、殿は我らには内緒で何か策でも立てておられるのではないでしょうか」
「策?」
可成は信盛の言葉に目を丸くする
「だから、弥三郎と森殿を分けたのでは」
「なら、私にも何かしら伝え入ってもおかしくはありませんが、私は何も伺っておりません」
帰蝶から何も聞かされていないのは、憤慨なことであった
「いや、しかし『殿』のことですからなぁ」
信盛は可成を慰めるかのような口調で続ける
「桶狭間山でも、そうでござった。殿はどこに向うかは伝えたものの、向かった先で何をするかまでは仰らなかった」
「そうでございましたか・・・」
「殿は、必要最低限の相手にしか、作戦を話しません。もしも今回、その相手が弥三郎に限ったことであるのなら、私達は私達で勝手に動いても構わないと言うことになります」
「しかし」
軍律違反になったりはしないかと、ある意味心配になって来る
「何もするなとの意向であったなら、殿からお叱りを受けるでしょうが、事前の軍議でも殿は配置しか口にされておりません。つまり」
「勝手にしろ、と言うことでしょうか」
信盛の言葉の続きを、可成が継げた
「その通り」
「佐久間殿」
信盛はニカッと笑って見せた
「殿が何をお考えか、その考えを探り当てながらの戦いは、困難の極みでございます。なれば我らはこれまで培って来た経験で、この『仕合』を進めねばなりません」
「そうですな」
「そうなると、森殿のするべきことは」
          『特攻』しか」
「ございませんな」
                
笑顔で応える信盛に、可成は「やれやれ」と言った表情で首を振った
「それでは、胎を括りますか」
「充分に援護いたしますゆえ、ご存分にお働きくださいませ」
「忝い」
気楽なんもんだと内心悪態を吐きながら、可成は馬に跨った
「森隊、前進!」
「佐久間隊、森隊の援護に入る!」
なんとなく、信盛が帰蝶の薫陶を受けていたかのような気がしたからだ
ただ忠実に帰蝶の言葉だけを受けている自分が、莫迦に見えた

風が色を付けて纏わり付くような感覚がする
それは桜の色にも見えて、天道の色にも見えて、海のような、草(くさ)原のような、雲のような、懐かしい、小袖の一色にも見える
それがまるで矢筋のように一本の線となり、自分と向かい合うように無数に流れた
子供の頃見た流れ星も、こんな風だったかと想い浮かべる
真っ直ぐ
ただ、真っ直ぐ
当たり前のように、当然のように、その場所を目指して松風を走らせる
肩口で揺れる龍之介の弓からふと、竹の香りが漂った

「奥方様、またそんな無茶をなさって」
「奥方様、無茶でございます」
「奥方様、無茶をなさいますな」

みんなそう、自分を窘めた
無茶をするなとみんな、口を揃えてそう言った
だけど一人だけ
夫が死んだ後の自分の無茶を、黙って見守ってくれていた者が居た
その少年は添え木のように、自分を支えてくれていた
自分でも理解できぬ自分の心を常に理解し、自分でも具現できぬ言葉を表し、いつもいつも、雨が降れば差す傘のように、日が差せば影を作る庇のように、自分を守ってくれていた

可成の部隊を影にして進み、弥三郎の部隊に注意が反れている間に詰め、帰蝶は一人、元康を目指して走った
          いつの間に」
目前で立ち上がる土煙に、元康が最初に気付く
「殿!」
「まさか奇襲を掛けて来るなど・・・ッ!」
巨躯である松風に気付き、周りの小姓や馬廻り衆らが元康を守ろうと取り囲んだ
松風に向けて刀や弓が構えられる
「放てッ!」
平八郎の合図で、その弓が一斉に射られた
先端の鋼を外した状態だとしても、当れば相当の怪我を負って避けられない数である
その矢を避けるかのように松風が頭を下げた
「何?!」
頭を下げた馬の鞍には、誰も居ない
「そんな莫迦な・・・」
「ふふっ」
驚く平八郎の隣で、元康が小さく笑った
その瞬間、右側の鐙から人の影が浮き上がるように現れた

「龍之介。お前の呉れた命、どうだ。今はこんなにも咲き誇っている」

弓が大きければそれだけ弦も長くなる
女である帰蝶の腕の長さには、扱い切れるものではなかった
真っ直ぐ向ければ弦の固さに負け、横にすれば胸に当って弓が引けない
帰蝶は弓を斜めに構えることで、この困難を克服した
龍之介の弓を斜めに構え、本陣旗目掛けて一気に矢を放つ
その矢は鮮やかな閃光を煌めかせ、真白な軌跡を描いて真っ直ぐ、松平の本陣旗に走り、そして、本陣旗に翳していた金色(こんじき)の扇子の中心を射抜いた
「御母様・・・」
肝を抜く帰蝶の行動に、元康は小さく呟く
「織田の勝ちだな、松平ッ!」
さりとて、この場を脱しない限り織田に軍配は上がらない
帰蝶の腰にも、それと同じものがあるのだから
松風の走る先を先行し、平八郎が立ち塞がった
「尋常に、勝負ッ!」
「受けて立つッ!」
槍を構える平八郎の寸前で、帰蝶は鐙を外し松風から飛び降りた
降り際、二本の刀を鞘抜きする
右手に兼定
左手に長谷部
帰蝶は腰を下ろして構えながら平八郎に言った
「右手は修練の賜物で、何とか半人前にはなった。だがしかし、左手は鉄砲しか持ったことのない鈍ら剣だ。首を落とさぬ自信がない」
「それでも、殿を守るのが某の役目。それを放棄することは、万死に値するッ!」
「上等!掛かって来いッ!」
計らずとも、『負けず嫌い』な帰蝶の性格が禍して、平八郎の一騎打ちを受ける結果になった
二刀で何をするのかと、なつが側に居たら大目玉を食らうところであろう
帰蝶が単独で松平の本陣に突入したことを知らない弥三郎は、予定通り少数で石川数正の隊に回り込み、その中心に居る部隊長・数正に接近した
当然、弥三郎達に気付く者も居る
それらを刀や先端を包んだ槍で薙ぎ払い、時には拳で突き進む
ゴチャゴチャと兵が入り乱れ、想うように先には進めない
だが、混雑していた中で不意に左側に隙間ができたことに首を傾げる
同じ頃、酒井を相手にしていた可成が、石川隊の後方に可近の部隊と為興の部隊が着いたことに気付いた
「あれは・・・」
二隊の前方に蜂須賀家の家紋をあしらった軍旗が揺れている
「おや、蜂須賀殿が出られたか」
勇猛さでは勝家にも勝るとも劣らない正勝の動きを予見し、可成も自分の進む方向を定めた
「金森殿、突入なされ!」
為興の合図に乗り、可近が揃えたての兵で石川隊に突入した
帰蝶から八十、叔父の助けを得て二十の兵士を集めた
合わせて漸く百
これは弥三郎の持つ部隊の数にも間に合わない
しかし、それでも何とかしなくてはならないのが現状だった
無理だからと後ろに下がることは許されない
金森家の再興が、自分の両肩に圧し掛かっているのだから
「金森隊、突入ッ!」
可近の号令に隊の兵士が横一列に一気に石川隊に襲い掛かる
前方の土田隊、自分の右には味方である酒井隊が迫る勢いで接近していた
          周囲を、ぐるりと取り囲まれた
これは数正にも忠次にも予想外の出来事だった
まさか味方同士が障壁になろうとは、想像もしていない
「酒井隊、さっさと引け!」
「石川隊が退け!」
互いが互いの逃げ場を奪い合う
更には土田隊、森隊に押し込まれ、その後援部隊である柴田隊、佐久間隊に押される
追い討ちを掛けるかのように蜂須賀隊、金森隊、佐治隊に間を裂かれ、心配していた『分裂』が起きてしまった
一気に戦列が乱れる
その騒動に、弥三郎を取り囲んでいた石川隊の兵士の数が激減した
「どう言うこっちゃかわかんねーけど、兎に角助かったな」
下の口唇をてろりと舐め、弥三郎は手にしていた刀を握り直し、それでもまだ自分達を囲む敵兵を殴り倒しながら先に進む
一方の利治も、俄に石川隊が形を崩し始めたことに気付き、弥三郎の援護のため歩を進めた
「土田隊、前進ッ!」
利治を中心に、若い連中が最初に突入した
松平軍は其々分かれていた部隊が一つの塊にされ、それを横一文字、縦一文字、上から見れば十字に切られたように分散する
片目で帰蝶と平八郎の対峙を見守っていた元康が、自軍の総崩れを目の当たりにしてもまだ、諦めた様子はなかった
ここに、帰蝶が居る限り         
「うおぉぉぉぉぉーッ!」
まだ年若い平八郎には手に余るであろうその槍を斜めに構え、一気に前へ駆け出す
受けて立つ帰蝶も下ろした腰を安定させるため、爪先を広げた
竹の皮を包んだ槍が、帰蝶目掛けて振り下ろされた
それを刀を交差して受け止め、左へ弾き飛ばす
「どうした!それが最初の一手かッ!」
帰蝶の右の兼定が空を切り、平八郎の頭目掛けて真っ直ぐ降りる
それを受け止める暇のない平八郎は、体を反らして刀の軌跡から脱した
「ほれ、どうしたどうした!」
長さでは圧倒的に負ける筈の刀に、追い詰められる
帰蝶の繰り出す剣筋は、どれも見極めることができない
どちらの刀がどの方向から飛んで来るのか、予想できないからだ
「くっ、くそっ・・・!」
必死で槍の柄で自分の躰を庇うも、それにも限界がある
相当の名刀か、丈夫な柄が削られて行く
腕に巻いた籠手が刀で切られ亀裂が入る
飛んで来る刀から身を守ろうと躰を捻らせたり槍を激しく振れば、亀裂の入った籠手がどんどんと避けて行く
「さっきの威勢はどうした!それで二郎三郎を守れるのかッ!」
          ッ」
挑発されても、体が想うように動かない
前に出ようとするのに、煌めく刃先がそれを阻む
「平八郎ッ!」
帰蝶の躰が素早く捻れた
それを目で追う間に間合いが詰まり、平八郎の槍は左の長谷部に弾かれ、上空へ飛んだ
「勝負あり、か?」
                
鼻先に突き付けられた兼定の冷たい感触に、平八郎の米神から冷や汗が流れる
どうして、こんな細い躰で、これほどの技が出せるのか、と
不思議で仕方なかった
自分を取り囲む松平の兵に二本の刀を差し向け、帰蝶は松風を呼んだ
松風はいつものように戦列から離れた場所に避難し、そこから帰蝶の許に戻って来る
行かせて堪るかと、馬廻り衆や旗本が一斉に帰蝶に襲い掛かった
「待て!お前達!勝負は決まっているッ!」
慌てた元康がそれを止めようと大声を張り上げるも、それは誰の耳にも届かない
避け切れぬ槍の先端が帰蝶一人に集中するその直後、背後から塊となって織田軍馬廻り衆と利家が乱入した
「殿ーッ!」
その追い討ちを掛けるかのように、酒井隊とぶつかっていた可成の部隊が松平を切り崩し、松平軍の馬廻り衆を蹴散らした
          三左」
可成の働きに、帰蝶はにやりと笑う
この『仕合』、可成と弥三郎を敢えて引き離したのには、わけがあった
いつものように組ませれば、可成は弥三郎の援護に回る可能性が大きいと読んだのだ
そうなれば、初めから単独で松平の本陣に押し入るつもりだった自分の安全が、確保されない
帰蝶はそれを狙って、独断で動けるように、可成を自由な場所に配置したのだった
それでも、だからと言って松平の本陣から脱出できるほど、元康は容易な布陣は組んでいない
本陣の急変に気付いた数正が戦列を整えようと号令を出す
「後方、本陣に帰還!殿を守れッ!」
その数正の背後に弥三郎が素早く回る
そして、耳元でこう言った
「お弥々でぇ~す」
          え?」
驚いて振り返れば、そこに立っている美丈夫の刀の柄が振り下ろされる
次の瞬間、数正は気を失った

加納から戻った弥三郎に『お弥々』のことを訊ねてみれば、それは自分のことかも知れないと聞かされた帰蝶の作戦は、こうだった
『お弥々』に惚れている忠次にお弥々を演じれば、逆効果で俄然張り切る
しかし、忠次のために『お弥々』を探している他の連中なら、何としてでもお弥々を連れて帰ろうとするだろう、と
その『お弥々』が想わぬ場所、ここに現れたら当たり前のように気が緩む
相手が怯んだ瞬間を決して見逃すなと、帰蝶は弥三郎に『秘策』として伝えていた
その秘策が面白いように的中したのだから、弥三郎自身も驚いてしまう
加えて、松平三将の顔を知っている弥三郎だからこそ、成し遂げられた作戦でもある
「いやぁ、まさかこんな声色で油断するとは、想ってなかった」
気絶している数正を見下ろしながら、弥三郎は少し気が悪いような想いをする
部隊長・数正の沈黙により、石川隊は戦列を保てなくなり、負担が酒井隊に全て圧し掛かった
これが松平軍瓦解の一部始終である
後は逃げ惑う一方の松平の軍勢に助けられ、可成は一気に帰蝶の側へと馬を走らせた
「殿!お待たせしましたッ!」
「三左」
馬から飛び降り、自分を庇うように自慢の槍を松平の将に突き付ける可成の背中に、微笑む
「来てくれると、信じてた」
「え・・・?」
帰蝶の言葉に、可成は少しだけ振り返る
「お前なら、松平の壁を突き破ると、わかってた」
「殿・・・」
「何も言わなくても、お前なら」
          私をわかってくれると、信じてた
                
そんな、帰蝶の想いが流れて来たかのような気になれた
嬉しくて、さっきまで気落ちしていたのが嘘のように、心が晴れた
帰蝶の言葉には、言霊が眠っている
嘗て秀貞がそう言った
その一言で喜んだり悔しがったり、悲しかったり嬉しかったりする自分がそこに居るのを、可成は自覚した
織田総大将を取り囲んでいた筈の自分が、逆に取り囲まれる形となり、元康を守っていた兵士達は降参の意味を込めて手にしていた武器を投げ下ろす
「これで勝負ありだな?二郎三郎」
帰蝶がついと、元康の前に出る
元康の側には悔しそうに口唇を噛み締める平八郎が控えていた
「ははは、見た感じではそうですが、勝負とは最後の最後までわからぬものでございます」
「え?」
キョトンとする帰蝶の前に歩み出て、元康はその躰に抱き付いた
「じっ・・・」
「殿ッ!」
元康の行動に、織田も松平もその場に居た全員が驚く
元康は背が低く、抱き付けば顔が帰蝶の胸の先端に当たる
最も、鎧を着ているのだから性的被害は何もないが
その元康が帰蝶の背中で交差していた手を腰に下ろす
そして
「引き分け、で、ございますかな?」
「あ         
元康の手には、送った『錦の扇子』が握られていた

「だから申しましたでしょう!総大将自ら目印を持つのは如何なものかと。さっさと渡してくだされば、織田の勝ちだったのでございますぞ?」
元康が用意してくれていた寺の広い庭で、俄に宴会が始まる
周りには誰もなく、帰蝶と元康の対峙に兵助が割り込むような形で収まっていた
目的は当然、帰蝶への説教だ
「こちらの本陣は無事だったのに、殿がそのような暴挙に出られるから、折角の勝ちが逃げてしまったではありませんか」
「もう勘弁してくれ。それが手元にないと、安心して特攻できなかった」
「ですから、総大将自ら特攻するのが、そもそもの間違いだと申しているのです!」
「ははは」
隣には、にこやかに笑う元康の姿があった
「だが、二郎三郎。私がそれを持っていたこと、よく読んだな」
「総大将は、本陣を守ることが義務です。本陣はそこから各部隊に伝令を出し、戦を有利に進める責務がございます。その責任を放り出したと言うことは、上総介様の手元にこの扇子があるのだろうと、読んだのでございます」
元康はそう話しながら、手にしていた扇子をもう片方の掌の上にポンポンとはたいた
「そうか」
「ほれ、ご覧なさいませ。松平様も本陣の役割をきちんと説明なさっておいでではありませんか。殿は何かにつけてすぐ、その責務を放棄なされる。すぐ、本陣を出られる。本当に、一つどころにじっとできぬお方でございますな」
「煩いぞ、兵助。それ以上口を開くのであれば、今ここで縫ってやろうか」
「なれば、残りはおなつ様に委ねますゆえ、某はこれ以上何も言いますまい」
          耳に痛い名前を出すな」
帰蝶は片耳を手で押さえて顔を顰めた
「二郎三郎」
「はい」
「『教え』、謝す」
「え?」
突然礼を言う帰蝶に、元康だけでなく兵助も目を丸くする
「わかったような気がする」
「何をでございますか?」
「私の役割だ。戦で私は、何をすれば良いのか、わかった」
「上総介様・・・」
「殿         
「こんな性格だ。兵助の言うように、じっとできなかった。お前のように、本陣で構えていることができなかった。私は、私が何者であるのか、知りたかった」
          おわかりに、なられましたか?」
穏やかな口調で、元康は訊ねた
「ああ。私は」
澄んだ瞳で真っ直ぐ、元康を見詰める
「織田の総大将だ」
                
帰蝶のこの言葉に、元康は目を細めて微笑み、兵助は漸く自覚してくれたのかと安堵した
この答えが全てではないが、それでも、自分がどんな人間であるのかはわかって欲しかった
その想いが通じたような気がして、兵助は嬉しかった
少なくとも、『それ』を自覚してくれている間は、本陣で帰蝶を守ることができる
もう、単騎駆けに心を痛めることもなくなる
何故あなただけがそうせねばならないと、胸を痛めることもなくなる
あなたは本陣の安全なところから、戦を眺めていてくだされば良いのです
あなたが織田の、総大将なのですから
そう言いたかったことを、帰蝶は自分で理解した
それがただ、嬉しかった
合戦仕合で得たものを、帰蝶は早くなつに話したくて、仕方なかった
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キャパシティーオーバー
ブログでもキャパシティが存在し、押し出し更新となりました
中途半端な終りになってますが、ご了承ください

桶狭間山で帰蝶を庇って死んだ龍之介の遺品の弓を、どうしても使いたかった
その願望がこんな形となりました
実際の戦では、若き日の信長は鉄砲を得意とし、戦には必ず持ち込んでいました
その信長の銅像の中で弓を構えたものがあり、なんだか信長らしくないなぁと想っていたのですが、美麗な帰蝶(自分で書いちゃったぞ)が構えたら恐ろしいほど様になるんじゃないかと想像しながら創作しました
ただ、馬上弓だと小さくてショボいので、槍の代わりにもなるくらい大きな龍之介の弓なら絶対、かっこよく創作できるはず!と想ったのですが、私がやるとやはりショボいままでした・・・
合戦の光景も頑張ったんですが、平和な時代の更に争いごととは無縁な私には、やはり壮大な合戦シーンは無理でした・・・

ここのところつらつら更新できていますが、またいつ止まるかわかりませんので、ご了承ください
Haruhi 2010/09/22(Wed)13:16:09 編集
濃姫(帰蝶)好きの方へ
本日は当サイトにお越しいただき、ありがとうございます

先ずはこちらのページを一読していただけると嬉しいです→お願い

文章の誤字・脱字が時折混ざっております
見付け次第修正をしておりますが、それでもおかしな個所がありましたらお詫び申し上げます

了承なしのリンクは謹んでご辞退申し上げます
管理人の独り言も混じっております
[11/04 Haruhi]
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◇◇11/19 Nintendo DSソフト◇◇
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祝:お濃さま出演 But模擬専…     (戦国無双3)


おのれコーエーめ
よくもお濃様を邪険にしおってからに・・・(涙

(画像元:コーエー公式サイト)
オンラインゲームにてお濃様発見


転生絵巻伝 三国ヒーローズ公式サイト:GAMESPACE24
『武将紹介』→『ゲーム紹介』→『Exキャラクター紹介』→『赤壁VS桶狭間』にてお濃様閲覧可
キャラクター紹介文
絶世の美貌を持つ信長の妻。頭が良く機転が利き、信長の覇業を深く支えた。
また、信長を愛し通した一途な妻でもあった。

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本醸造 濃姫®=容量的に大雑把な感じに想えて、麹の独特の香りを抑えたあっさりとした風味です

今現在、この3種類を試しておりますが、どれも麹臭い雰囲気が全くしません
飲料するもよし、お料理に使うもよし
お料理に使用しても麹の嫌な独特感は全く残りません
奇跡のお酒です
何よりボトルがどれも美しい

清洲桜醸造株式会社公式サイト

濃姫の里 隠し吟醸
フルーティで口当たりが良いです
一応は『辛口』になってますが、ほんのり甘さも残ってます
わたしは料理に使ってます

清洲城信長 鬼ころし
量的に肉や魚の血落としや、料理用として使っています
麹の香りが良いのが特徴ですが、お酒に弱い人は「うっ」と来るかも知れません
どちらも一般スーパーに置いている場合があります
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