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利三が屋敷に戻ったのは、帰蝶と刃を交えた翌日のことだった
圧倒的な大勝利と言っても、損害が全く出なかったわけではない
あんを娶ってから利三は、その叔父であり養父でもある稲葉一鉄良通とも近しい間柄になった
その一鉄と共に戦後処理を済ませてから屋敷に戻ったのだが、動く足は途方もなく重かった
          姫様・・・」
相変わらず、色気のある薄めの口唇だった
その口唇に何度、触れただろうか
薄い皮膚越しに帰蝶の体温を何度感じただろうか
その奥にある舌を、何度絡ませ合っただろうか
若気の至りと言えど、あの頃の、身を焦がすような情熱が今頃になって息を吹き返す
姫君は女で、自分は男で、だから、男と女のあるべき姿で情を通わせることができたらと、何度も願ったあの拙い夢や幻想が現実味を帯び、利三を狂わせ、平常では居られなくなる
ぼんやりと目に映る見慣れた光景、自分の住まう屋敷の玄関が見えた
そこに入れば、自分と帰蝶は生きる世界が違うことを再認識してしまう
だけど
「お帰りなさいませ」
出迎えてくれるあんが居る限り、そこに入らずには居られなかった
「ご無事のご帰還、祝着至極にございます」
「ああ・・・」
「戦も勝ったそうで。織田上総介と言う方は、大したことがないのでございますね」
それはあんなりに気を遣った冗談だったのだろう
そう言って、戦に勝って、帰って来た夫を楽しませようと努力しただけである
利三もそれをわかっていながら、それでも、笑えなかった
                
「旦那様?」
いつまでも玄関先で立ち尽くす夫を、あんはキョトンとして見詰めた
この胸に抱えた、もやもやとした霧は何だろう
あの時感じた邂逅、愛しさ、それから、疑念
利三は鎧姿のまま再び、玄関を出た
「旦那様ッ?!」
何も言わず踵を返す夫を、あんは驚いた顔をして踏み石を渡り、追い駆けた
だが、利三は既に屋敷の門を出た後だった
          旦那様・・・」
切羽詰ったような、今にも泣き出しそうな、口唇から絶え間なく溢れ出そうな言葉を飲み込むような、そんな苦しそうな顔
それは、愛する人を目の前にしながら、何もできない無力さにのた打ち回り、苦悶している姿と同じだった
自分にも覚えがある想いを、夫は今、抱えている
あんは、そう察した
戦場で何かあったのだろうか
やはり、愛する人の夫と戦うことには抵抗があるのだろうか
どうすれば、夫の気持ちは楽になれるのだろうか
あんは自分のことよりも、夫の身を案じた

稲葉山の山を登るのは、得意だ
得意と言うよりも、否応もなしに登らざるを得なかった
それは、帰蝶の所為だ
だから多少は年を取り、自分もどんどんと中年に向って行く頃に差し掛かったとしても、馴れた山道は全く苦難にもならない
利三は馳せる想いのままに稲葉山を登り、城に入った
自分のこの想いを、誰かに聞いて欲しくて
この疑念が払拭されるのであれば、相手は誰でも良いのだろうか
いや
利三は真っ直ぐ、夕庵の許に馳せ参じた

「夕庵様」
          お清殿」
名を呼ばれ、振り返った夕庵は意外そうな顔をして利三を迎えた

          姫様が?」
利三から、帰蝶と戦場で刃を交わしたことを聞かされ、夕庵は素直に目を丸くさせた
「確かに姫様は東西類を見ないお転婆でじゃじゃ馬なご気性、ですがまさか刀を振っているなど、そんなこと・・・」
やりかねないとは想っても、夕庵とて実際そうするとは考えてもいなかったし、想いも寄らなかった
「まさか・・・」
帰蝶を理解しているであろう夕庵の、中々理解できそうにもない表情(かお)に利三は身を乗り出して自分の想いの丈を吐き出した
「私も自分の目を何度も疑いました。まさか姫様が、と。ですが、昨年のお屋形様の幕府相伴衆拝命の書簡を受け取りに京へ向う際、織田も出るだろうと張った鈴鹿の山で、私は見ました!          鎧に身を包み、織田の先頭を走る姫様を・・・」
「お清殿」
項垂れる利三を、夕庵はぼんやりとした目で眺めた
誰よりも帰蝶の側に居た利三が、帰蝶を見間違える筈がない
「昨日も・・・姫様と刃を結びました・・・。あんなこと、嘘であって欲しい・・・」
そうしたのは、自分
「四年前、お屋形様のご命令で大良(おおら)に張る織田上総介の狙撃を試みました。私は命令を遂行しました。確かに馬から落ちた織田上総介の背中を見た。だけど、織田は今も変わらず機能し、この春には攻めて来た今川を追い返した。織田上総介と言う人物の途方もない大きさを見聞きしました。ですがッ!それでも私の心を掠めるのです。あれは、織田上総介じゃない。          姫様ではないのか・・・と」
          お清殿・・・」
突然、とんでもないことを言い出す利三に、夕庵は目を見張った
織田信長ではなく、その妻の斎藤帰蝶が戦場に立っていると言い出すのだから
これを他の人間が聞いたら、どう受け取るだろうか
「姫様が戦に立ち、我ら斎藤に挑んでいるのではないのか、と・・・」
それを、他の誰かに聞かせるわけにはいかないだろう
嫁いだ斎藤の娘が、実家に対し宣戦布告を行なっているとしたら、美濃は混乱だけでは済まされない
近江、越前、木曽、伊勢、飛騨、三河、そして尾張
混乱に乗じて周りの、ありとあらゆる国が敵に変わる
だから、利三は話す相手を夕庵に選んだ
それは無意識の選択だったのか
利三自身にもわからなかった
「兎に角、このことは明らかになるまで誰にも」
元よりそのつもりだ、とでも言いたいのか
だが、利三は縋るような目をして夕庵を見詰めた
「大丈夫です。もしもお清殿が考えている通りであるならば、寧ろこれから戦い易くなる。姫様を傷付けず、戦えると言うものです」
          やはり、姫様が・・・」
「それはわかりません。男勝りにご亭主の助けになっているだけなのかも、知れません。だからこそ、姫様もそのご亭主殿のどちらも傷付けず、戦を終わらせねばならなのです」
「できますでしょうか・・・」
利三の言葉を、夕庵は飲み込むような想いで応えた
「やらねばならぬのです。          お屋形様のためにも」
                

命尽きようとしているあの人の、残す国を守るには、強力な助太刀が必要となる
美濃の姫君を娶った尾張の青年ならそれが可能だ
今は争っている間柄かも知れないが、再び和睦が実れば不可能ではない
この、緑溢れる豊かな国を、戦火で燃やし尽くすわけにはいかない
美濃を無事次世代に受け継がせるには、尾張の協力が必要だと夕庵は感じていた

昨日のあの気だるさが嘘のように消え、清々しい気持ちで目覚めた朝は夏の日差しも強く感じる程晴れやかなものだった
膝の上に天冠を大事そうに乗せ、帰蝶は貞勝と向かい合う
「天冠をやめる?」
突然言い出す帰蝶の言葉に、貞勝は耳を疑った
「天冠を外し、兜を被ろうかと想ってる」
「ですが、殿のその細い首では、兜の重みには耐えられません。先代様もそれを懸念して、伊勢の職人に天冠を作らせたのではありませんか」
「わかってる。これは吉法師様が私のために誂えてくれたもの。今まで何度も私の命を救ってくれた。だけどもう、顔を出したまま戦うのは無理だ」
「何故でございますか」
「相手は、斎藤。私を良く知る者が多過ぎる。顔を出したまま戦っては、何れ吉法師様がご存命ではないことを知られてしまう。知られるわけにはいかないのだ」
「わかっております。ですが、兜は大変重い物でございます。殿には無理でございます」
「なら、無理のない重さで作れば良いだろう?」
「そのような技術はございません。天板が薄くなれば、視界を遮るだけで命を守るには程遠い物になってしまいます。天冠は天辺に何もないからこそ、軽くて丈夫に作れるのです。兜は頭の全てを包むようできているのですぞ?それ相応の重みがなければ、兜の部位の其々を繋ぎ止めるに耐えられる構造にはなりません。殿、お考え下さいませ。庭の松を支えるに、添え木を立てましょう。その添え木を繋ぐのに、紙縒りで添え木同士を繋げられますか」
                
それは無理だと応えたかった
だが、応えれば自分の言い出したことまでもを否定することになる
「雨風に耐えられますか。それで松の木を支えられますか。殿、何故兜が重く頑丈にできているのか、よくお考え下さいませ。何故先代様が兜ではなく、天冠を殿に授けられたのか、よくお考え下さいませ。殿。あなた様に兜は無理でございます」
「それでも、作って欲しい」
「殿!」
わからずやな帰蝶に、貞勝は想わず声を荒げた
「無理を通せば道理が引込みます!命守るための兜が、兜ではなくなってしまうのでぞ?!」
「それでも、今のまま顔を出して戦うわけにはいかないのだ!」
「殿・・・・・・・・・」
帰蝶は膝の上の天冠を握り締めて、自分の願いを訴えた
「視界が狭くなろうが、首が重みに耐えられなかろうが、取りに足りぬ些細な問題だ。大事なのは、私の顔を隠すと言うこと。それ以上に守らねばならぬことなど、何もない」
                
何を言っても、聞くことはしないだろう
そう貞勝に教えたのは、帰蝶の揺るぎない意思を表した強い眼差しだった
          お顔を隠せれば、それでよろしいのですね?」
「ああ、充分だ」
「承知しました。覚えのある職人に、話してみましょう」
「頼んだ」
                
この人は、いつになったら少しは自分のことも考えられるようになるのだろう
そんな日などもう、来ないのではないかとさえ想えるほど、貞勝は絶望に打ちのめされた気分で部屋を出た

貞勝が去った後を、今度は恒興を伴った佐治が訪問する
少しでも暇を作ってしまえば余計な事を考えてしまいそうで、帰蝶自身多忙の身で居ようとしているのか、直ぐに通された
「大垣周辺の国人を?」
佐治からそう聞かされ、帰蝶は俄に心躍る
「はい。上手く行っていないようですので、一宮の商人を使ってこちらに寝返るよう頼みたいのです。ですが、今の私の身分では相手は織田を信用してはくれないでしょう。ですので、一時的に私に何か仮の肩書きでもお貸し頂きたいのです」
「肩書きを」
それに関しては、難しい話ではない
恒興を無事墨俣から脱出させた手腕は、周りから聞かされている
同じく斎藤軍に包囲された池田隊が、今回の戦で一番被害が少なかったことも特筆すべきだろう
帰蝶の本隊など、一歩間違えれば壊滅状態に陥っていたのだから
先鋒の柴田隊、森隊も命からがら離脱できたが、弥三郎の救援がなければ、死んでいても不思議ではないほど追い詰められていたと聞く
それを考慮すれば、今回の佐治の働きには恩恵を以って応えねばならないほどである
池田隊だけではなく、羽島、一宮への根回しあってこそ、帰蝶も無事に入れたのだから
「それは特段難しくはない。勝三郎」
「はい」
「確か、お前の部隊には副長が居なかったか」
「はい、まだ人数が揃っていませんので」
少し恥しそうに頬を染めながら、恒興は応えた
「佐治はまだ若いが、隊長のお前自身が若い部隊なのだから、特に気にすることもないか」
「と、申しますと?」
「佐治を池田隊副隊長に任命したい。異存はないか」
「もっ、勿論ございません!」
自分もそうしたかっただけに、恒興は破顔して応えた
「あのっ、いえっ、一時的で構わないんですっ」
慌てるのは、佐治だけである
調略を実行したいだけで、その間だけの仮初の肩書きで充分なのに、まさかいきなり副隊長に昇進とは想っていなかったのだから、余計驚かされた
「一時的な肩書きでは、充分な働きはできないだろう?それと、今川戦で約束していた、お前の士分の件だが、お前は百姓出身だから氏を持っていないのだな」
「はい。名乗る時は『常盤村の佐治』でしたから」
「そうか、お前は常盤村の出身だったか。初めて逢った時は弥三郎の実家だったから、小牧の出身かと想っていた。常盤村は確か、犬山に近かったな」
「はい」
「では、お前の士分名は常盤にするか」
「それですが、殿」
と、恒興が間を割り込む
「私からもお願いがございます」
「どうした、勝三郎」
「佐治を、池田の養子にしたく存じます」
「池田の養子に?」
「いっ、池田様っ?!」
自分の考えた作戦を実行するための許可が欲しかっただけなのにと、恒興の申し出に佐治は目玉が飛び出るほど驚いた
「正式には亡父の養子となりますが、佐治を池田に貰い受けたく、どうか殿のご了解、重ねてお願い申し上げます」
恒興は深々と頭を下げる
「どうしてだ?」
「はっ。佐治はその働き振りも凄まじく、今川戦に置いては砦普請に大きく貢献し、また、武功も挙げました。今回は池田隊の、無事の脱出を実践しました。佐治の働きなくして、池田隊は武名挙げることはできません。何れは佐治を貰い受けたいと、他の部隊から引き抜きの話が挙がっても可笑しくはない。池田隊はまだ、それだけの実績を残しておりません。万が一、森殿や柴田殿の部隊から引き抜きの話が持ち上がっても、私には断る術がございません。ですので、佐治を池田の人間として扱いとうございます」
恒興は抱えていた不安を打ち明けるかのように、一気に捲くし立てた
「つまりは、佐治を誰にもやりたくないから、自分の家の人間にしたい、と?」
          その通りでございます・・・」
すっかり本心を見抜かれ、恒興は頭を垂れたまま赤面した
「池田様、そんな、買い被り過ぎでございます・・・」
買われた佐治も、気恥ずかしさに頬を染める
「佐治の勤勉さ、真面目さ、正直さ、どれを取っても武家の男に恥じぬ気質を持っております。加えて、咄嗟の判断力も賞賛すべき才能。私は佐治の能力を、高く評価しとうございます」
恒興も、根は真面目な男である
その恒興から高い評価を得ているのだから、佐治の潜在能力は相当のものなのだろう
「承知した。お前がそこまで言うのなら、承諾しよう」
「ありがとうございます!」
「と、殿?」
「だが、なつには一言相談したか?」
帰蝶の一言に、恒興はガバッと顔を上げた
「池田の当主は、わたくしにございます!母上は関係ございません!いかな母上とて、池田の家のことに口出しをさせるような真似は、断固として許しませんッ!」
                
なつを目の前にしたら絶対に口にはできないだろうその言葉を、帰蝶は口をあんぐりとして聞いた
恒興も、随分と立派になったものだと、別の意味で感心する
          お前の意思は、確かに聞いた。では、養子縁組の手続きはお前に任せ、後は佐治の士分名だな」
「はい」
「あの・・・」
肝心な自分を置いて、帰蝶と恒興だけで盛り上がっているような、そんな気がしてならない佐治であった
「佐治は長くその名を愛称されている。今更変えては、きっと市が冠を被って怒るだろうな」
「ですが、武士は出世魚の如く名を変えるのが習慣。お市様とて、その辺りのことは承知してくださるかと」
「う~ん・・・。そのどちらも納得できる名前・・・となると、池田・・・」
帰蝶は考えながら名を口にした
「池田佐治(よしはる)は、どうだ?」
「池田佐治」
「文字はそのまま使える。佐治(さじ)の『佐』は『脇で支え、助ける』と言う意味がある。勝三郎を脇で支え、助ける佐治には打って付けの名だとは想わないか?」
「確かに!良き名にございます!」
佐治が自分のものになるのなら、名前なんて何でも良い
正直そんな気持ちで居る恒興は大袈裟に喜んだ
「あ・・・、あの・・・」
肝心な自分は置いてけぼりかと、佐治はぽかんとするが
「と、なると、普段の呼び名は『さじ』のままで良いかも知れんが、書面に書く通称は別にせねばならんか」
「そうですね。佐治、使いたい名はないか」
          別に、何でも良いです」
最早諦め顔の佐治は、何も言うことなく大人しく従う
「では、私の一文字を取って勝次郎はどうだ」
「それではお前の兄になってしまうぞ」
「あ、そうですね」
                
武家の名前の仕組みまではよくわからない佐治は、黙って二人の会話を聞いていた
「お前が勝三郎なのだから、佐治は差し詰め勝四郎か」
「安直です、それはさすがに」
「なら、どんな名がある」
「勝兵衛、とか、勝之助、とかはどうでしょう」
「語呂が悪いな」
「ふ~む・・・」
「面倒だから、勝佐之助とか」
「それでは読み方が殿の上総介と被ってしまいます」
「面倒だな」
「面倒ですね」
                
間に挟まれたような気がして、佐治はこの上なく居心地の悪い想いをする
「男は賢いな」
帰蝶はぽつりと呟いた
「はい?」
「こんな面倒なことを、一々考えねばならないのだから」
「そうですか」
女は、人の名を考えることがない
男が付けた名を受け入れるだけなのだから
今まで自分が考えた名と言えば、息子の帰命の名、だけである
利治の名は、父が元服の際に使うよう予め用意されており、自分はそれを承認しただけだ
考えれば、自分が武家の誰かに名を与えたことはない
「佐治の通称は、二人で考えるが良い。私はそれに従う」
「はっ」
恒興と、少しそれに遅れて佐治の二人が頭を下げた
「他にも考えねばならぬことがあるからな」
「考えねばならぬこととは?」
溜息混じりに呟く帰蝶に、恒興は聞き返した
「昨日の美濃攻めで、全ての部隊が混乱した。その原因を紐解けば、雑兵らが先に混乱したことで、周囲にもそれが移ったようだ。それも追求すれば、突然のことに味方の軍旗が読めなくなったとか」
「そんなことが・・・」
自分の部隊ではそう言った事態は起きていなかっただけに、恒興も佐治も帰蝶の告白に驚く
「軍旗はどれが味方でどれが敵かを選別するための重要な意味を持つが、その軍旗が混乱で見えなくなってしまったのでは、掲げる意味そのものがなくなってしまう。かと言って、吉法師様から受け継いだ織田木瓜を引込めるわけにもいかないし・・・」
「あの・・・」
話を聞いていた佐治が、恐る恐る口を挟む
「想いますに、殿の兵農分離は始まったばかり。雑兵らも元を質せば農民出身者が殆どかと」
「その通りだ。だが、たかが雑兵に一から学問を身に付けさせる暇もなければ、金もない」
「だったら、話は早いです」
「何か妙案でもあるのか?」
恒興が聞く
「織田木瓜の他にも、これが織田だと言う軍旗を揚げれば良いのです」
「その意匠はどうする。それが肝心だろう?」
「はい、ですから、農民にも商人にも、勿論武家にもわかるような意匠をすればよろしいのではないでしょうか」
「例えば、何がある」
帰蝶の質問に、佐治は堂々とした態度で応えた
「永樂通寳(永楽通宝)は如何ですか」
「永樂通寳?」
「銅銭のか?」
「はい」
佐治の返事に、帰蝶も恒興もぽかんとしたまま、表情が戻らない
「文字の読めない農民でも、文字の使える商人、武家でも、共通するのは『銭』です。これだけは身分上下関係なく、一度は手にしたことがあるはず。特にこの尾張は先代様が推進なされていた『楽市』のお陰で、農民も銭を手にする機会が増えました。勿論、楽市は美濃が本場なので、斎藤の兵士の中にも永樂通寳を知る者は大勢居るでしょうが、軍旗には使っておりません。それを織田が使ってはならないという決まりも、ありません。武家・農民・平民関係なく、共通した物と言えば米、塩、そして、銭。米や塩を軍旗の意匠に使っても、それが何なのか表現するのは難しいでしょうが、永樂通寳ならただ文字を描けば良い。それが織田の軍旗だとさえわかれば、味方雑兵らは混乱することもなくなります」
「なるほど・・・」
佐治の話に、帰蝶はそう応えるのが精一杯だった
恒興に至っては、口を開けたままで居る
『軍旗』は、「ここに味方の部隊が居る」と指し示すための矢印のようなもので、その多くが『家紋』を使っていた
帰蝶の父・道三の家紋は二頭波
これを端指物にしていた
利三の本流・斎藤の家紋は撫子
同じくこれを端指物にしていたからこそ、秀隆は信長を撃ったのが斎藤の人間だと知ったのだ
「永樂通寳か、良い所に着目したものだ。勝三郎がお前を手放したくないと言うのも、無理はない」
「そんな・・・」
照れ臭さに、佐治は顔をほんのり赤らめて頭を掻く
自分が天冠をやめて兜にすると言い出したことよりも、実用的で現実的だと想った
誰も軍旗には用いらず、尚且つ誰もが知っている
どうしてそんな単純なことに目が行かなかったのだろうと、帰蝶は心底佐治の才能に唸った
夫が佐治に目を掛けていたことが頷ける
「吉法師様はやはり、私なんかよりもずっとずっと先を、見ておいでだったのね・・・」
そう、心の中で呟いた
「では、大垣周辺の国人衆、並びに織田軍旗の件、お前に任せた。頼んだぞ、佐治」
「はっ!」

時親の抜けた馬廻り衆筆頭には、佐々成政を据え置いた
秀隆の推薦もあり、また、成政自身の能力も広く知れ、反対する者は居なかった
その成政が、本丸で働いている貞勝の娘・秋津を娶ることになった
「佐治にどうかとも想っていたが、その佐治が市を娶ったのだからな。しかし、市丸なら文句はない。秋津は器量も良いし、何より働き者だ。佐々を守ってくれるだろう」
と、帰蝶からも『お墨付き』をもらうほどだった
犬山への警戒も怠らず、また、斎藤への再戦に意欲的な意見も多く出た
一宮商人の手を借りながら、佐治の美濃調略も進んでいる
兄に大敗した気鬱など、何処吹く風かと笑っていられたそんな折、近江での戦を耳にした
世に言う『野良田の戦い』である
近江の名門六角は、その祖を『佐々木』とする
帰蝶の先祖の一人である土岐頼遠とは同じく、『婆娑羅大名』と呼ばれていた豪傑だ
『婆娑羅大名』佐々木道誉を祖先に持つ六角氏は、長きに渡り近江を支配していた
兄・義龍も、六角とは婚姻関係で結ばれている
その六角に対し戦を起したのは、六角の従属であった浅井氏だと言う
元服間もない十五の少年がその総大将だと聞いた時、帰蝶は我が耳を疑った
六角軍二万五千に対し、浅井軍一万一千
実に二倍以上の兵力差を物ともせず、浅井は見事その戦に勝利したと聞き及ぶ
自分が兄に敗北した裏で、自分よりもずっと年下の少年が初戦に大勝したと言う事実は、少なからずとも帰蝶の心をモヤモヤとさせる
が、それも束の間
兄に対し次はどのような手を講じようかと考えれば、腹立たしい気持ちも鬱憤も忘れられる
不思議な気持ちになれた
次の戦に備えよう、そう想っていた矢先に、今度は十五の息子が当主である父親に対し無血の謀叛を起こし、蟄居に追い込んだと言う
直ぐ近くの近江で起きているだけに、耳を塞ぎたくとも情報が入って来る
この両家の争いに、兄は手を出さず静観していた
六角には娘を嫁に出しているが、自分の妻が浅井の出身であるため、義龍にとっては手の出せぬ問題だったのか
そして、今度は妻の実家内部での争いである
これも見て見ぬ振りをしていた
兄の真意はどこにあるのか、帰蝶にはわからなかった
          この時義龍は、既に戦に立てる体ではないと言うことを知らぬがために
「浅井は婚姻関係のある斎藤を攻めることはないでしょう。ですが、織田は婚姻関係にはありません。戦に勝った勢いに乗って、尾張に攻めて来ないとも限らない。西の脅威とならん今の内に、手を打つべきかと」
表座敷では軍議が開かれた
「なら、『今川を倒した勢いに乗って斎藤を攻めたが、追い返された』、のと同じように、浅井が攻めて来れば追い返せば良いのか?」
「それは・・・」
自虐的な帰蝶の冗談に、言い出した蜂須賀正勝は口をもごもごさせて押し黙る
「先代浅井左兵衛尉久政には、暗愚の噂が絶えない。しかし、こんにちまで六角の傘の下とは言え、領地領民を守って来た実績を無視して、主家に弓引くことを善しとした家臣らによって追い出された、か。哀れと言えば、哀れだな」
「その先代浅井様は、まだお若いのでは?」
今日は珍しくなつが参加していた
最も、気の利かぬ小姓に苛立ちを覚え、表座敷で刃傷沙汰など起こしてはならないという配慮の許、帰蝶に茶を出すだけのために呼ばれたのだが、口を出さずにはいられないのがなつの気性である
「ああ、美濃の兄とは一つ違いだ。だから今は、まだ三十四、か」
と言うことは、兄は単純に三十三かと、心の中で呟く
「兄に例えるなら、その息子である喜太郎に謀叛を起こされたようなものか。尚更情けないものだ」
兄の嫡男の噂も、情報としては入って来る
大事大事に育てられ、今まだ元服もしていないと言う
「美濃の事情は兎も角として、先代が六角に擦り寄った軟弱な態勢で満足していたから、このような事態に陥ったのではないでしょうか」
と、秀隆が言う
「そうだろうな。織田も、今も静かに斯波の足を舐めるようであれば、帰命に刀を振り回されていたかも知れん」
「若様は、そのような向こう見ずなことはなさりますまい」
帰蝶の下品な冗談に、なつは顔を顰めて諌めた
「しかし、今回の謀叛騒ぎは、浅井家家臣が首謀だとかの噂もありますが」
と、革手を張っている可成が告げた
「家臣らが主体となっての世代交代か?なるほど、斎藤と同じだな」
「殿」
兄は叔父の口車に乗せられて、父を滅したようなものだ
血を流さず済ませた浅井とは違うことを、可成の目が言っていた
「模したか、あるいは愛想を尽かされたか。どちらにしても、倅が反旗を翻す光景は、斎藤も浅井も同じだ」
「浅井は、元々は土豪の集まりです。斎藤とは」
基盤が違う、と、続けて言おうとした秀隆を、帰蝶は目で黙らせた
浅井は土豪の生まれかも知れないが、祖父は何処の馬の骨ともわからぬ、素性の知れぬ人物であることを再認識させるだけだ
                
それを察し、秀隆も口を閉じた
「二代目は六角に屈しながらも、領民を守って来た。恐らく民もこの騒動には驚いているだろう。浅井が美濃を跨いで尾張に攻め込むなど、考えられん。六角が民を煽動すれば、折角取り返した旧領を再び六角の手に渡してしまうことにもなりかねん。今回のこれは、家臣が流した讒言が元で起きたのだろうな。覚えはある」
                
帰蝶の父・道三が、義龍を自分の子ではないと言い触らして回ったと言う、信長が生きていた頃の話を想い出し、なつは少し顔を俯かせた
自分を優位に立たせるために、罪もない人間に罪を着せ、自分を正当化するのは仕方がないことだとしても、その結果、帰蝶は実家も父も、そして、何より大切な夫を失ったのだから
「とは言え、浅井は無血で世代交代を敢行した。その手腕は何れ人の口に昇り、浅井の民も新しい領主を歓迎するだろう。となれば、やはり小六の言うよう、いつかは西の脅威になり得るかも知れんな」
                
帰蝶、正勝から見ればそれは『信長』だが、誉められ、素直に自慢げな顔をして胸を張る
それがおかしくて、隣に居た弥三郎は笑いたいのを必死で押し殺した
「冗談じゃありませんよ。お陰で殿の大躍進が流れてしまいました。今じゃ東海でも、浅井家新当主の話で持ち切りですよ」
「私は名声が欲しくて、今川を退けたわけではない」
不貞腐れるなつを宥めようと、帰蝶は諭すように言った
「わかってますけど」
「なつ」
                
なつの言いたいことは、わかる
どんな想いで清洲城を出て、今川に向ったか、なつが一番よく理解してくれている
それを帳消しにするような浅井の新当主の活躍は、帰蝶が挙げた武功を台無しにしているのだから
「兎に角、だ。浅井がどう出るかはわからんが、警戒していて損はないだろう。勝三郎」
「はっ」
「佐治に、大垣周辺を落すと同時に、浅井への警戒も敷けと伝えておいてくれ」
「承知しました」
                
日に日に、帰蝶が信長に似て来る
その口調までも
『信長であろう』とする意志がそうさせているのか、帰蝶の無意識でのことなのかわからず、なつはじっと黙って帰蝶を見詰めた

秋が近付く
美濃・大垣周辺の調略に出ている佐治の代わりに、恒興が現状報告にやって来た
「大垣の北、市橋城の城主が佐治の話に乗り気です」
「そうか。上手く進んでいるのだな」
「仲介に一宮や羽島の商人を入れているようで、その辺りが市橋家から信用を買っているようです。行き成り織田の人間が交渉に入っても、警戒されるだけだからと佐治は言ってました」
「そうだろうな。織田だけで交渉を行なっても、万が一裏切りが生じれば市橋も無事では済まないと不安がる。その点、商人が間に入れば織田も下手なことをすれば美濃だけではなく尾張の商人からも信用がなくなるので、迂闊な行動は取れなくなる。佐治は良く考えて動く子だ。吉法師様が欲しがってたわけだ」
「先代が・・・」
信長の名は、帰蝶だけではなく恒興、秀隆、資房ら、信長を良く知る人間にとって、まるで安堵感を与えてくれる呪文のような力を持っていた
その名を聞けば、胸が穏やかで過ごせる
温かい温もりに包まれるような気持ちになり、恒興はたおやかな微笑みを浮かべて帰蝶に話した
「それで、佐治の通称なんですが」
「決まったか?」
「はい。そもそも『勝(かつ)』と言う呼び方に拘ったから、中々良い名が浮かばなかっただけで、これを別の呼び方にすれば良いと想い、この名にすることにしました」
「どんな名だ?」
「勝吉郎(しょうきちろう)です」
「勝吉郎」
「『勝』(かつ)、『吉』(よし)、『郎』(おとこ)と書いて、勝吉郎。『吉』は、『吉法師様』の『吉』をお借りしました」
「吉法師様の・・・・・」
「那古野城時代、佐治も先代に可愛がられていたのを今も覚えていて、是非とも殿のご了承を頂きたいと言っております」
          勿論・・・」
胸の奥の炭火に、ほんのりと炎が点る
「異存はない。それに従うという言葉を、覆しはしないと伝えてくれ」
そんな感覚を実感しながら、帰蝶は応えた
「それを聞いたら、佐治も安心します」
「池田勝吉郎佐治(よしはる)、か。良い名だ」
「はい」
帰蝶の微笑みに、恒興も自分のことのように喜ぶ笑顔で応えた
「その名に負けぬ働きを期待している」
「それも、伝えておきます」
恒興が部屋を出た後、帰蝶は帰命の様子を見るために局処へと移った
今日も元気いっぱいに駆け回っている息子に、母親として嬉しい気持ちで満ち溢れる
局処の中庭を所狭しと走り抜ける帰命の姿は、日一日と信長に近付いているように想えた
「若様も随分しっかりなさって来て」
一緒に遊んでいる瑞希は帰命よりも年上だが、並んでも身長も体格も大きな差は見えない
父母の背が高いのだから、その子である帰命も、何れは背の高い青年に成長するだろうか
「まだまだだ」
帰命を誉めるなつに、帰蝶は苦笑いした
他人から見れば立派でも、親から見ればまだ頼りないと感じるのは仕方のない、心理である
局処で体を休めていた帰蝶の許へ、同じように本丸から移動して来た菊子がやって来る
「殿、前田の慶次郎様がお越しになられました」
「慶次郎が?」
ゆっくり休んでいたい、とは、言ったことはない
自分が選んだ道なのだから
それでも、もう少し息子を眺めていたかったと言う顔はする
まるで義元を倒したことなど、何年も前のことのように想えるほど、帰蝶の毎日は慌しかった
「伊勢に?」
局処にまで押し掛けた慶次郎が突然、一益の助けになりたいと言い出した
「清洲(ここ)にいても、俺のやることなんか高が知れてる。暇持て余すくらいなら、叔父貴の役にでも立とうかと」
妻を娶り、そろそろ父親になってもおかしくはない時期である
慶次郎にもそれを自覚する日が来たのか
「私は構わないが、前田の家は良いのか?」
利家の出奔はまだ明けていない
慶次郎の養父と利家との間で起きている跡取り問題も、解決していない
「その辺りのことは、まぁ、大人の事情と言うか」
「どんな事情だ」
苦虫を噛んだような慶次郎の表情が面白くて、帰蝶は軽く吹き出した
「それが一番手間取ったてのもあってね、殿には今頃の報告になっちまったんだけど。          正直、親父殿もお袋も、良い顔はしなかったよ」
「そうだろうな」
病弱な自分の代わりに慶次郎を前田の跡取りにしたかったのだから、養父・利久が快諾するとも想えなかった
「でも、さ。俺が居ると、犬も帰って来ずらいんじゃないかなって、さ」
          お前が、人に気を掛けるのか?」
「意外そうな顔しないでくれる?結構傷付くよ?」
「ははは。すまん、すまん」
それが帰蝶流の冗談であることなど知っている慶次郎は、怒った振りをしながらも、やがて一緒になって笑い出す
「反対はされたけどね、何とか説得して、最終的には合意に持ち込めました」
と、膝に手を置き軽く頭を下げる
「そうか、お前でも努力するようになったのだな」
「あのね、殿」
また、きつい冗談を飛ばす帰蝶に、慶次郎は顔を顰めて睨んだ
「人は、変わるのだな」
          殿」
「私は、変われるのだろうか」
「何言ってんですか」
鼻から軽く息を吐き、慶次郎は苦笑いしながら言った
「人は、確かに変わるかもしんない。でもね、そんな変わり行く風景の中で、殿だけは変わらずいつもの姿で居てくれるから、俺達、安心できるんですよ」
「慶次郎・・・」
「俺達にとって殿は、道標だ。その道標が変わってしまったら、俺達は迷ってしまう。殿は、変わる必要なんてないんですよ」
「そうか・・・。そう言ってくれるか」
ほんのりと目蓋を閉じ、俯き加減に顔を傾けると、切れ長の目蓋が強調され、帰蝶を更に美しく見せる
そんな、『美しい主君』が自慢だった
「次の斎藤戦、もう準備に入ってるって?さすが、殿もやることが早いね」
「それで、伊勢の北畠への抑えのために、久助には伊勢入りしてもらってるのだ」
「そう言えば、巴の方様も伊勢に行くって?」
「ああ。久助の補助として、坂家には木造の後援になってもらいたいからな、その交渉で巴には伊勢に行ってもらうことにした。できればお前も共にしてくれないか。巴の護衛を頼みたい」
「そりゃ、お安い御用だ」
「伊勢までは、佐治家と荒尾家が協力してくれるから心配ないだろうが、やはり伊勢に入ってからが不安だ」
「安心してくんな。巴の方様にゃぁ、局処で世話になったことも少なくないからね、命懸けで護衛しますよ」
「頼んだ」
「それより、殿の方だ」
「私がどうした」
慶次郎の心配に、帰蝶はキョトンとした顔で聞き返す
「あんまり無茶すんなよ?また、おなつさんが心配するよ?」
          無茶をせねばならない時もある」
また、伏せ目がちに応える
「相手は兄上だ。私など、足掻いても兄上の足元には及ばん」
「随分買ってるね。やっぱり自分の兄貴だからか?異腹だとは聞いてるけど、それでもやっぱり?」
「そうじゃない」
慶次郎の言葉に、帰蝶は苦笑いしながら応えた
「兄は未知数の人物だ。今まで何度も斎藤とは刃を交えたが、何れも勝っていた。だから、今度も勝てると高を括っていたが、兄が出た途端にこの有様だ。私自身、忘れていた」
「何を?」
「兄上の器の大きさを、だ」
「器」
遠い昔を懐かしむような目をして、帰蝶は話した
「私が尾張に嫁いだ時、木曽大橋まで私を護衛してくれたのは、兄だった」
「え?」
帰蝶の言葉に、慶次郎は目を丸くさせた
「私自身、忘れていた。それよりも、もっと印象的なことがあったからな」
「印象的なことって?」
それは、『お清』との別れである
話すわけには行かない
「内緒だ」
帰蝶は口唇を釣り上がらせて微笑み、それには応えなかった
「兄は私が幼い頃から、私を理解してくれた唯一の人だった。私がおかしな行動をして周囲から諫言されても、兄だけは私の味方で居てくれた。想えば、吉法師様以外で私を理解してくれていたのは、親を除いては兄上だけだったかも知れない」
          そんなに、仲が良かったんだね。尚更」
その兄と戦うのは、つらいだろうに、と、慶次郎は言葉を呑んだ
自分を慈愛の目で見詰める慶次郎に、帰蝶は苦笑いした
「どうしてだろうな、お前にはいつも本音で話してしまう」
「え?」
「きっと、吉法師様に似ているのだろうな」
「俺がか?」
目を剥いて驚く慶次郎に、帰蝶はたおやかな微笑みを浮かばせて応えた
「ああ」
「へぇぇ・・・」
素直に言われ、慶次郎自身呆ける
「勿論、見た目が、とかそう言うのではない。なんとなく、だ」
「なんとなく?」
「ああ。なんとなく、雰囲気が似ている。破天荒なところだとか、何を考えているのかわからない様子だとか、枠に嵌った考えの持ち主ではないところだとか、な」
「そう・・・かい」
敬愛する主君の愛した人に似ていると言われ、悪い気分になることはない
ただ、ここのところ男顔負けの活躍をしている帰蝶が、ふと、『女の顔』に戻ったことに、淋しさを感じた
本当なら、男に頼って生きている頃だろうに、寧ろ逆に男を引っ張って生きているのだから、時には誰かの背に凭れたいこともあって当然だ
なのに、無理をして一人で立っている
その姿は痛々しく、そして、切なく感じた
それでも、意地でも強気で居る帰蝶が頼もしく感じるのも事実だった
その帰蝶が、ふと、『女の顔』に戻る
頼りにしていた存在がふっと消え、それは心の支えを失うかのように、慶次郎にすら心細さを感じさせた

それから数日後、慶次郎が巴の護衛を兼ねながら伊勢に渡った
二人を見送る暇もなく、今日も帰蝶は本丸に縛り付けられている
「行ってらっしゃい」
玄関で市は、大垣に向う夫の佐治を見送った
「遅くならないよう心掛けますが、もし夕刻になっても戻らなかったら」
「その時は、まつの部屋に行くから、心配しないで」
利家はまだ織田家には戻っていないが、その妻のまつは、「お殿様のお許しがあるのだから」と、ちゃっかりと武家長屋で暮らしている
肝の太さに定評が付いても良い頃だ
「では、行って来ます」
そう、市から離れようとしたその時、隣の部屋から隣人が出て来た
「お、佐治さん。これからお勤めですか」
「お早うございます、藤吉さん」
「いやぁ、肩書き持った人は、できる仕事があって良いですね。俺なんか下っ端のぺーぺーだから、精々お城に行って、仕える蜂須賀様の馬の世話をする程度ですよ」
と、佐治を羨む
「別嬪な奥さんは居るし、おまけにどっちも若いし、士分までもらって、羨ましいことこの上ない」
「いえ、そんな・・・」
纏わり付くような視線を送る藤吉に、佐治は苦笑いするしかできない
「どうすりゃ、佐治さんのように出世できますかね」
「どうなんでしょう・・・」
「佐治。さっさと行かないと、帰りが遅くなるわよ。行ってらっしゃい」
夫を離そうとしない藤吉に苛々したのか、市が佐治の背中を押して長屋を出るよう催促した
「行って来ます」
押された佐治は、苦笑いしながら応える
そんな二人を藤吉は羨望の眼差しで眺めていた
佐治が行ってしまうと、今度は市に話し掛ける
「お二人、羨ましいですね。仲が良いようで、何より。旦那さんは士族に上がって、出世もとんとん拍子と来れば、言うことなしだ」
「人を羨む暇があるのなら、自分も出世できるよう主君に取り入れば良い。目を掛けてくれるよう、努力すれば良い。夫は、仕えた頃から地味な仕事でも嫌がらず、せっせとこなして来た。だから、今がある。昨日今日でなんとかなるのなら、人は苦労などしない」
まるで言葉の刀で斬り捨てるように、市はきっぱりと言い放つ
「人を羨むよりも、人から羨まれるような夫を持って、市は幸せだ」
そう言うと、ポカンとしている藤吉を捨てて、市はさっさと部屋に入ってしまった
残された藤吉は、自尊心を傷付けられ、戸板に向って舌打ちをする
「小娘風情が、偉そうに」
まさかその小娘が、織田の令嬢だとは知る由もない
長屋の光景など目に映るはずもなく、帰蝶の許には久し振りにお能が顔を見せた
「息災だったか」
          お陰様で」
美しい未亡人は憂いた表情をそっと俯かせ、主君に平伏した
「生活はどうしてる。収入がないのでは、心許ないだろう?」
「多少の蓄えはありますので、今のところはなんとか。不要な使用人を解雇したり、口減らしでなんとか凌いでおります」
「お勝丸を、吉兵衛の養子に出したと聞き及ぶが」
「はい。生まれた時から目に掛けてくださっていたので、養育をお願いしました。養子と言っても、今はまだ私の手元に残してくださって、ある程度の年齢に達したら、村井殿にお預けするという形で」
「そうだったか。吉兵衛に根掘り葉掘り聞くわけにもいかんからな、どちらかなりとも話してくれればと待っていた」
「ご心配お掛けしました」
「それで、今日はどうした。お坊のことか?」
          はい。それもありますが・・・」
お能は、脇に置いた刀袋をそっと目の前に置き直し、帰蝶に差し出した
「これは?」
受け取り、袋を結んだ絹紐を解く
「夫の形見です」
「平三郎の」
袋から出て来たのは、時親の自慢の一つであった名刀・長谷部である
「家に置いていても、仕方がありません。どうか、使ってくださいませ」
「良いのか?」
「はい」
「だが、何れお坊かお勝にでも」
「坊丸は」
ふと、お能の瞳が潤んだ
「実家に引き取られることに決まりました」
          え?」
「兄夫婦には、男の子が居ませんもので、坊を嫡養子にと」
「岐阜屋・・・に?」
「武家の血を引くから、是非にと言われ。私も、それが坊のためになると想い、承諾しました」
「お前は、それで良いのか?」
それが本心か、と、訊ねる帰蝶の目を見て、お能は一呼吸置いて応えた
          はい」
「お能・・・」
子が幸せになるのなら、我が身などどうなっても構わない
そう願うのは、帰蝶だけではない
「このまま手元に残しても、あの子にしてやれることは何もありません。武家の子として育てるにしても、頼りになる夫は戦死してしまいました。他の男に嫁ぐことも、もう御免蒙ります」
「お能」
「『この人は、いつまで生きていられるのかしら』なんて心配しながら過ごすのは、私には耐えられません」
「そう、か」
「あの人だから         
          私は、それまで一人で居たことが報われた
そう言いたいのを、お能はそっと飲み込んだ
軽く首を振って、帰蝶に顔を向ける
「姫様や大方様を見習って、私もこれからは後家を貫きます。あの人の菩提を弔うため、生きてゆきます。それに、息子二人が居なくなっても、まだ娘が残っておりますから。那生や花にも、充分な教育を施してやりたいですし」
「そうだな。何処に嫁に出しても恥しくないよう、しっかり見届けねばならんな」
「それで、休職していた局処の仕事に、復職したいのですが」
「もう、良いのか?」
「はい。充分休みました。これ以上休んでいては、要らぬことばかり頭を掠めて気が落ち着きません。体を動かしている方が休まります」
無理をして、笑おうとしている姿が健気に見えた
「そうか。お前が戻って来ることは歓迎する。あや殿がご実家に戻られてから、なつも多忙を極めているからな、お前が戻ってくれば少しは楽になるだろう」
だから、敢えて帰蝶はそれ以上何も聞かず、お能を受け入れた
「長くお休みを頂いておりましたので、局処局長の肩書きは返上したいと想っております」
「お前がそうしたいと言うのなら、こちらは一向に構わない。但し、扱き使わせてもらうぞ?」
「望むところです」
お能がそっと微笑む
頬が上がった瞬間、涙がぽろりと零れた
お能はそれに気付かない
帰蝶も、気付かない振りをした

局処一番の美形と呼び名も高かったお能が復職した途端、清洲の城も華やいだ雰囲気に包まれた
それまで斯波家で働いていた旧臣らも、多くの男がお能の美貌に魂を射抜かれる
「噂には聞いていたが、聞きしに勝る美形振り。いやぁ、土田殿のご内儀様は、本当に美しいな」
遠くからお能を眺めている正勝は、呆けるように呟いた
「そうですか?」
隣に居る秀隆は、昔からお能には見馴れているので、今更と言う感じがしなくもない様子だが
その、お能の長女を息子の嫁にもらいたいと申し出たことは、何となく今言える雰囲気ではなかった
言えば頭から食い付かれそうな気がするからだ
「貴様、目でも悪いのか」
「いや・・・、良い方ですけど・・・」
正に食って掛かるような表情をする正勝に、秀隆は頭から汗を浮かばせる
尚更言えない
そんな穏やかな雰囲気が、お能の復職によって齎された
そのお能に、帰蝶はとある命令を下した
          徳子・・・」
一瞬、息が詰まるような感覚に、胸が苦しくなる
「いえ・・・、徳姫様の、乳母・・・に?」
「ああ」
帰蝶は然程大したことでもないような顔をしている
一方のお能は、決断を迫られるような、切羽詰った顔をしていた
「徳子の乳母を探していたが、これだと想える人物が中々見付からなかった。だが、お前なら子を四人も育てた実績がある。長男は大店の嫡養子に見込まれ、次男は吉兵衛に買われているのだろう?長女の那生は将来河尻家の嫁にと、申し込みがあると聞いているが」
          はい」
「まだ、許せないか?徳子を」
「そんな・・・ッ」
違う
そう、目が言っていた
          許せないのは、私自身です。徳子を捨てた、私自身です。どうしてそんなことをしてしまったのか、そんな想いばかりが募ります」
「なら、罪滅ぼしが必要ではないのか」
「罪滅ぼし・・・」
「子を捨てた罪を背負い、その子を立派に育て上げることが、お前の禊ではないのか、お能。立場は違えど、徳子を産んだのはお前だ。母は、お前しか居ない。お前が徳子を捨てたその心情を考えれば、納得できんでもない。だがな、お能、それでも子は日に日に育つ。しばらく見ない内に、昨日とは違う姿を見せる。お前が徳子を捨てて、どれだけの月日が経っていると想ってるのだ?」
                
何も言えず、お能は俯いた
「乳飲み子だった徳子は、今はもう、伝え歩きができるようになっている。お能。このまま他人として過ごしていては、もう、取り返しが付かなくなるのだ。親子を名乗るのなら、今しかないのだぞ」
「殿・・・・・・・・・・」
『親子の名乗り』
それを自ら放棄した帰蝶が口にすると、途方もない重い言葉になる
我が子に母と名乗れない辛さを、誰よりも知っている帰蝶だからこそ、その言葉は意味を持つ
「徳子の乳母、引き受けてくれるか」
                
お能は、黙って頷いた
「そうか、安心した」
「ですが」
ほっとする帰蝶に、お能は慌てて否定する言葉を告げる
「捨てた罪が消えるわけではありません」
「お能」
「それでも、私は徳子に対し、自分が母親だと名乗るつもりはありません」
「お能・・・ッ」
「罪は罪として、背負います」
「だが」
「あの子に、自分を捨てた親が乳母だったなど、悲しい想いをさせたくはありません・・・ッ!ですから」
泣きたいのを耐えるように、眉間を寄せ、お能は微笑んだ
「罪を背負って、生きて参ります」
                
母として
女として
強くありたいと願った
いっときの感情に身を任せ、子を捨て、戦に出る夫を見送らず、何度も何度も後悔した
この手の中から零れ落ち、消えてなくなってから、その大切さに気付かされた
そんな想いを、お能の瞳は帰蝶に伝えた
          そうか」
「徳姫様の乳母任命、ありがたくお受けします。織田家のご長女様として、何処に出しても恥ずかしくない娘御に育つよう、誠心誠意以って御育て申し上げます」
「頼んだ」
「はい」
お能は畳に手を付き、深々と頭を下げた

捨てた我が子を育てること
それが、お能が自ら架した『罪』だった
罪を背負って生きていくことで、死んだ夫への供養としたのか
それは、帰蝶にもわからない
それでも、血の繋がった母子が共に過ごせることに変わりはない
『母』と名乗らずとも、帰命が自分を『母』と呼んでくれることの喜びを、お能にも知ってもらいたい
そう、願わずにはいられなかった

ほぼ一年振りに再会した娘は、主君の言うとおり、乳を欲しがって火が付いたように泣いていた頃が懐かしいほど、大きく成長していた
できる限り特定の女には懐かせぬよう帰蝶が配慮してくれていたのか、乳母も乳離れと同時に引き離されており、世話をする女がお能一人になった途端、徳子はお能の姿が消えただけで泣き叫ぶほど、深く懐くようになるのにそう手間は掛からなかった
一ヶ月も経たぬ内に、徳子はお能に縋り付き離れないまでに馴れ合う
「殿の見立てどおりですね」
お能の復職により、なつも少しは帰蝶の側に居られるようになった
「親子は、親子。名乗りを捨てても、子は親がわかるんですよ」
若様のように、の一言を、なつは敢えて口にはしなかった
「それはそうと、千郷殿もそろそろ臨月か?」
「いえいえ、まだまだ先ですよ。来年、出産予定ですから。でも、お腹も随分膨れて、歩くのが大変だと勝三郎から聞かされております。ですが、さちが共に居てくれるので、随分助かっていると」
「さちを女中代わりにはしておらんだろうな?」
「そんなことをしてしまうと、新五様に斬り捨てられてしまうので恐れ多いと遠慮しているのですが、さちは元々働き者ですから、何かと世話をしてくれているそうで」
「できた女房を持つと、夫も苦労が耐えんのだな」
帰蝶流の皮肉に、なつは大笑いした
「そのさちも、この度目出度く懐妊したそうで」
          へ?」
初耳の帰蝶には、寝耳に水の状態
キョトンと目を丸くしてなつを見た
          お伺いになってないので・・・?」
なつも、珍しく『しまった』と言う顔をする
「どう言うことだ。新五を呼べ!」
「とっ、殿っ!落ち着いてくださいませ!新五様もさちと夫婦になり、何れは親になるのが自然の成り行き、おかしなことではございますまいっ?!」
「新五!新五ぉーッ!」
「殿ぉぉぉーッ!」
今にも斬り掛からん形相で局処に向う帰蝶を、慌てたなつが追い縋る
俄に騒がしくなった清洲城
あちら、こちらで、『母』が生まれる
帰蝶が今川義元を落としたその年は、こんな風に、ある意味穏やかに流れて行った
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創作するに当っての責任
私の場合は個人趣味でのブログ上の公開ですので、ご覧になってる方々は「それが作り物」だと承知で読んで下さっているものと、ある意味安心しておりますが、年代や人物を調べていると、先達の昭和作家達がどれだけの罪を犯して来たのか、あるいは、その罪は読者も共に作っていたと言うことが、痛いほど見えて来ました
昭和世代は司馬氏の作品がたくさんの大罪を犯していたのだな、と
いえ、勿論司馬先生はそう言ったことを好んでやっていたわけではなく、それだけ影響力があり、偏に「これは作り物」だと認識しなかった一般人が作った罪なのでしょうが

斎藤利三の異父妹が、長宗我部元親に嫁いだのは、信長が斡旋し、その仲介に光秀が出たと言うのが、私の知るところでした
ところが、去年のことですが、調べた結果、利三の妹が長宗我部に嫁いだのは1563年のこと
織田家も光秀も、二人の婚姻には関わっていません
信長と光秀が出会うのは、そもそも1567年以降なのですから、関係するのが無理なことなんですね
それをメモっていた頃は、まだここまで話は進んでませんでしたのでメモるだけで終わったのですが、そろそろ冬姫を登場させねばと、過去にメモしたものを広げていたら、今頃になって「ん?」と想ってしまいました
コーエーゲームの『戦国無双2』の護衛武将で、元親の妻が登場しますが、名前は『菜々』と堂々と載っておりました
しかし、その名前そのものが司馬作品での創作で、実際の名前ではないのです
そうしてみると、コーエーって如何に好い加減に人物を扱っているのかがよくわかりました
さも事実のようにゲーム上とは言え登場させているのですから
(『菜々』では、濃姫帰蝶の母、小見の方の実名の『那々』と被ってしまう。元々の名前のモデルは『国盗り物語』の那々姫がそれなのだとわかります)
それに引っ掛かった私が一番悪いのでしょうが
「ブログで細々と公開しているだけだから」などと、詰まらぬ言い訳に縋るよりも、できる限り史実に近く、尚且つ自分なりの創作で続けなければ、この物語に登場する全ての方々に対し、失礼極まりないのだと今更のように重い責任を背負ったかのような気持ちでおります

恒興の妻・千郷(創作上の名前)が、いよいよ母になります
それに伴って、一緒に暮らしているさちも、とうとう母になりました
まだ子供だと想っていた弟が父親になると言うショックに、取り乱す姉・帰蝶
兄に大敗したショックも、これで消えてしまったようで1560年は穏やかに過ぎます
その翌年1561年
帰蝶にとって、どんな年になるのでしょうか
彼女の波乱万丈は、まだまだ続きます
Haruhi 2010/01/10(Sun)15:45:04 編集
内容の変更
弥三郎、菊子夫妻の一人娘の名前を変更しました
このままで行くと、『寧』が二人になってしまって、説明が面倒になってしまうと想い、名前を変更しました
その当時でその名前が存在したのかどうかわかりませんが、同じ名前が溢れた時代とは言え、あっちもこっちも同じ名前ばかりだと、構想している私自身がわけのわからない状態に陥ると懸念し、変更しました
合わせてご了承下さいませ
Haruhi 【2010/01/11 18:05】
濃姫(帰蝶)好きの方へ
本日は当サイトにお越しいただき、ありがとうございます

先ずはこちらのページを一読していただけると嬉しいです→お願い

文章の誤字・脱字が時折混ざっております
見付け次第修正をしておりますが、それでもおかしな個所がありましたらお詫び申し上げます

了承なしのリンクは謹んでご辞退申し上げます
管理人の独り言も混じっております
[11/04 Haruhi]
[08/13 kitilyou]
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千極一夜

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『戦国無双3』が絶望的存在であるため、更新予定はありません

◇◇11/19 Nintendo DSソフト◇◇
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おのうさま(帰蝶)とノブ(信長)が 結婚しました(笑

祝:お濃さま出演 But模擬専…     (戦国無双3)


おのれコーエーめ
よくもお濃様を邪険にしおってからに・・・(涙

(画像元:コーエー公式サイト)
オンラインゲームにてお濃様発見


転生絵巻伝 三国ヒーローズ公式サイト:GAMESPACE24
『武将紹介』→『ゲーム紹介』→『Exキャラクター紹介』→『赤壁VS桶狭間』にてお濃様閲覧可
キャラクター紹介文
絶世の美貌を持つ信長の妻。頭が良く機転が利き、信長の覇業を深く支えた。
また、信長を愛し通した一途な妻でもあった。

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