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信秀の死去に伴い、末森から『財産分与』として、信秀の家臣の何人かが那古野に移った
その中に帰蝶の輿入れの際、警護として就いた河尻与兵衛秀隆も含まれていた
「義父上様のお小姓さんだとは、存じませんでした」
「いや、小姓って言っても、十年前のことですけどね」
秀隆の年を聞き、兄・義龍と同じ年であることを知る
見た目の年齢は人それぞれだが、信長も付き合いがあるのか往年の友と再会したかのような雰囲気で、随分と和やかなものだった
「それで鎮吉、末森の方はどうだ」
信長が秀隆を幼名で呼ぶように、見た感じは相当若い
とても兄と同じ年には見えないほどだ
「正直に話しちゃって、良いんですか?」
「聞かないと始まらんだろ」
「吉法師様に織田家相続の能力無し」
「 」
ズッキーンと突き刺さる秀隆の一言に、信長の顔が青くなる
「あなた、しっかりなさってください」
「あ・・・、ああ・・・」
青色吐息の信長の背を、帰蝶は必死で擦った
「まぁ、これはとあるお方の讒言ですが」
「お袋が言ってると、はっきり言って良いんだぞ」
「土田御前様は、病に掛かって死んだのが吉法師だったら良かったのにと仰ってますが?」
「 」
ズッキーンと言うよりも、爆撃を受けた時の音にも似たドゴーンと言う効果音が、信長の背後でする
もはや帰蝶ではどうにもならないほど、信長は落ち込んだ
「どうして土田御前様は、そこまで吉法師様を嫌うんでしょうか・・・」
「いや寧ろ奥方様のように、どうしてそこまで若を敬愛できるのか、こっちが聞きたいくらいですわ」
「 」
夫の評判はそこまで悪いのかと、帰蝶も最早撃沈する
「ま、お二方の風評は兎も角」
「風評て・・・。私も同類ですかっ?」
「嫌なのか」
即座に信長の突っ込みが帰蝶に入る
面白い夫婦だな
秀隆は心の中で呟いた
「勘十郎様から、欲しい物があったら遠慮なく申し出て欲しいと」
「じゃぁ、権六」
権六は信秀が若い頃から仕えている宿将で、織田家随一の勇将であった
「残念ですけど柴田様は、末森に残るそうですよ。御前様のたっての希望で」
「先取られたか」
信長は悔しそうに口唇を噛み締める
「で、佐久間殿も御前様がご所望です」
「ちょっと待て!右衛門は俺の家臣だぞ?なんで逆に持ってかれなきゃなんねーんだよ!」
「あなた」
興奮する信長を、帰蝶は腕を掴んで宥めた
「これは好機ではございませんか?」
「帰蝶・・・」
「佐久間殿を向うに送り込む口実が、あちらから差し向けてくださったと考えて、よろしいのではないでしょうか」
「右衛門を、末森に送り込む?」
「勘十郎様の動向を探るのには、誰かを送り込もうかと考えておりましたが、あちらが両腕を広げてくださったのです。それに飛び込まない手はございません」
「 」
信長は、妻の言葉に息を呑み、秀隆は初めて言葉を交わしたと言っても過言ではない帰蝶に、感嘆の吐息を漏らした
これが美濃の名門の姫君かと、まるで信長のために誂えたかのようなその人格に、この夫婦の行く末が途方もないものに感じる
「それと、河尻殿」
「はい」
「先程、欲しい物があれば遠慮なく申し出て欲しいと、勘十郎様の言葉を頂きましたが、相違ございませんでしょうか」
「はい、確かに」
「あなた」
「なんだ?」
「私、義父上様が持ってらしたもので、欲しい物がございます。強請っても構いませんでしょうか」
「ああ」
「では、私からは池田なつ様と、義父上様が飼ってらしたと言う、鴉」
「なつと、蝉丸をか?」
信長の目が、驚きに見開かれた
「何で、なつを?」
「なつ様は義父上様の死去で未亡人となられました。ですので、当然実家にお帰りあそばすか、出家なさるものかとお見受けしますが、織田家にあってなつ様の権限は未だ大きいもの。御前様の対抗手段としてお側に置いておいた方が、何かと心強いかと存じます」
「確かに、なつは唯一お袋と渡り合える女だ。お前の言うとおり、こっちの味方をさせた方が有利だろう」
「それと、義父上様の鴉、蝉丸と言うのですか?」
「ああ。それがどうかしたか?」
「あなた」
「ん?」
「義父上様は、あなたを既に、理解してくださってますよ」
「え・・・?」
再び、信長の目が見開かれる
「お前、何言って・・・・・・・」
俄かに心焦る信長に、帰蝶は和歌を詠んでやった
「世の中は とてもかくても同じこと 宮もわら屋も はてしなければ」
帰蝶の美声に、ほんのいっとき、聞き痴れる
「京の都が華やかなりし頃、天下に名を馳せた歌人、蝉丸の一歌にございます」
「意味は・・・?」
その答えを知りたがる信長に、帰蝶は軽く瞬きをしてから聞かせてやった
「この世はどう過ごそうとも、同じこと。華やかな宮殿も、粗末な藁屋も、最後にはなくなってしまうのだから」
「 」
「あなたの好きな、『敦盛』に通じるところは、ございませんか?」
「ああ・・・・・・」
意地っ張りで見栄っ張りな信長が、人目も憚らず、ぽろりと涙を零した
「似てるな・・・、敦盛に・・・」
「理解してあげたくとも、義父上様は立場上、あなたに賛同することができなかったのではないでしょうか」
「帰蝶・・・・・・・・」
「義父上様はきっと、苦しい胸を抱えたまま、あなたにも武家のあり方を理解して欲しいと願っていたのではと、今、そう想いました。ただの偶然かも知れません。だけど、私は信じたいのです。あなたと義父上様の間を繋ぐ、親子の情を」
「 」
誰も解明できなかった、父の想い
妻がそれを教えてくれた
可愛がっていた鴉に、自分の気持ちを乗せ名付けたのだと教わった
帰蝶が自分の妻であることは、運命などではなく、出逢うべくして出逢ったのではないか
信長はそんな気がした
「で、帰蝶」
「はい」
秀隆が末森の使いに行き、信長は帰蝶と二人きりになった
「この間の話の続きだが」
「斯波、ですか?」
「ああ。どう攻略する。やはり舅殿が土岐を解体した時のように、内側に潜り込むのか?」
「さすが吉法師様。と、言いたいところですが」
読みが当って誉められたと喜ぶその後で、実はそうではないような言い回しをされ肩透かしを食らう
「父が土岐を解体したような手順では、手間隙が掛かり過ぎます。ですので、手っ取り早く」
「どうする」
「他の織田家に『土岐分家』の役割を担っていただきましょう」
「他の織田家?」
「斯波に一番近いと言えば?」
「大和守織田か?」
「ご名答」
「それをどうする」
「先ずは、私が考えた内容からお話しますね」
「ああ」
政治の世界に口を挟む女は数あれど、軍略に口を挟む女は聞いたことがない
信長はのめり込むように、帰蝶と接近した
「父は土岐頼芸様に味方して、土岐頼純様と争わせました。その戦に際して双方、勢力を削いだと聞いております」
「つまりは、相打ちと言うわけか?」
「はい」
「てことは、俺が斯波に対して親父以上の忠誠心を見せ、大和守織田に警戒心を抱かせる。でもそれじゃ、大和守の矛先がこっちに向かないか?」
「大和守家がこちらに刃を向けたならば、それこそ斯波より『逆賊討伐』の名分をいただけます。それはそれでしめたもの。しかし、それでは面白くない」
「て言うと?」
「大和守と斯波をぶつからせてはどうですか?」
「できるのか?」
「大和守とて、尾張は欲しいものでしょう。目の前に餌をぶら下げれば、それに食いつかない者がおりましょうか」
「それは要するに、斯波と大和守家織田を戦わせるということか?」
「父は土岐家を美濃から追い出すことには成功しました。しかし、頼芸様を討伐することは、恐れました。何故でしょう」
「主家を滅ぼせば、逆賊の汚名を被る。 あ、そうか」
『一を聞いて十を知る』信長だからこそ、帰蝶の言おうとしていることを先に理解できる
そんな夫を帰蝶は軽く会釈して応えた
「お前の作戦とは、つまり俺が斯波に加担することにより、大和守に警戒心を持たせる、それから、・・・謀叛・・・か?」
「はい。大和守家には、斯波家に対して謀叛を起こしていただきます。斯波は南北朝時代から続く名門。この尾張に根を張って久しい名門を潰したとあっては、周辺の豪族達が黙っていないでしょう」
「しかし、そう簡単に謀叛なんか起こすか?彦五郎は案外と慎重な男だぞ?」
「彦五郎。織田彦五郎信友様ですね。勘十郎様を擁してらっしゃる」
「・・・ああ」
信秀の後継者は、勘十郎こそ相応しいと声高らかに叫び、土田御前の支持を受けているのが、その織田彦五郎信友であった
信長とて、憎々しい相手だ
「大和守家を潰せば、勘十郎様は支持を得られる相手を失う。なんとかして守りたいという気持ちはあるでしょう」
「それじゃ、同族討ちになっちまう」
「ですから、斯波を当面は我が家の盾になっていただくのです」
「できるのか?」
「こちらに忠誠の証を送れば良いのです」
「忠誠の証?人質か?」
「私達にまだ子が居ない以上、誰を送っても人質にはなり得ません。ですから、財政難である斯波に、手には入らないような物を贈るのです」
「何を贈る」
「例えば、鉄砲」
「 鉄砲?」
信長の目が丸くなる
「鉄砲五挺で充分でしょう」
「ま、待て、待て待て、待て、帰蝶っ」
「何ですか?」
「五挺は無理だ、さすがに」
「どうしてですか」
「うちだって、そんな裕福じゃねぇ。鉄砲だって、ここにゃ俺が持ってる一挺しかねーんだぞっ。それ持ってかれたら・・・」
「あなた」
慌てふためく信長が、急に大人しくなる
「古い種子島だけど、よ・・・。俺が那古野城主になった時、親父がくれたものなんだ・・・」
「形見、なのですね?」
「 」
信長は黙って頷く
「そんな大事な物を斯波に渡せとは申しません。今と変わらずあなたが持っていてください。それから、後で撃ち方教えてくださいね」
「帰蝶・・・」
さすがといえば良いのか、相変わらずといえば良いのか、信長は苦笑する
「種子島は今では高級品ですので、さすがにそれは難しいでしょうね。ですから、近江の国友から取り寄せましょう」
「国友?国友だって高級品だぞ?増してや、国友が開発した螺旋は、どこも真似できない。もし故障とかしたらどうすんだ、誰が修理する」
「こちらで修理を請け負うと申しておけば、斯波も安心感を持つでしょう?それに国友は、私の兄嫁が地元です。兄嫁に依頼するもよし、こちらから直接発注するもよし。螺旋は確かに、私も一度見たことありますが」
「あるのか」
「兄が国友の鉄砲を所有しておりますので」
「へぇぇ~・・・」
「さすがの兄も、触らせてはくれませんでしたけど」
「残念だったのか」
帰蝶の落ち込んだ顔を見て、男勝りにもほどがあると漸く気付く信長であった
「では、鉄砲五挺と刀五百、槍千程度でよろしいでしょうか」
「そんな金がどこにある」
呆れる信長に、帰蝶は悠然と言ってのけた
「私がお持ちした持参金で、充分です」
「帰蝶・・・、でもそれは・・・」
『持参金』とは、嫁いだ先に手渡す場合もあるが、信長とのように和睦でのみ結ばれた場合、最悪の場合は離縁にもなり得る
その際、生活に困らないよう親が持たせるのだが、この二人には『離縁』の文字は消えていた
それほどまでに強く結ばれた間柄であるからこそ、帰蝶は自分の財産でもある持参金を使うと言う
「金は、置いていてもしょうがありません。使ってこそ初めて、意味を持つのです」
「帰蝶・・・」
「帰蝶が持っているもの全て、吉法師様のために役立ててくださいませ」
平伏する帰蝶に、信長が慌てて手を伸ばす
「わかった、だから頭を下げるなんて真似、やめろ。お前にそんなこと、させたくない」
「吉法師様・・・」
「ありがたく使わせてもらう。織田の財産に手を出さずに済んだのは、お前のお陰だ、帰蝶」
「いいえ・・・」
互いの手を強く握り合い、見詰め合う
それから、やはりさっきと同じく小難しい軍議が再開した
「それと、伊勢守家ですが」
「ああ、どうした」
「一時とは言え争っていた間柄だとか」
「そうだな。親父の代の時にはこっちから嫁を出して一応和睦は結べたが、その伊勢守も今、犬山と争ってる。こっちからあっちに矛先が変わっただけか」
「岩倉織田にも、内偵が必要ですね」
「間者とか透破とかの類か?」
「そんな得体の知れない者に頼るのは、不本意です」
「じゃぁ、どうするんだ」
「確か滝川殿は情報収集が専門分野だとか?」
「ああ。元は伊勢の豪族の出身なんだけど、北畠との争いで一家離散に遭ったらしくてな、こっちに流れて来たのを拾った」
「まぁ、まるで伊勢湾に流れ着いたような」
そう、冗談で笑う帰蝶だが
「いや、ほんとに流れ着いたんだよな、これが」
「 」
波打ち際に打ち上げられた一益が脳裏に浮かび、帰蝶の顔が笑ったまま固まる
どうして自分がこんなところに・・・とでも言いたげに、馬屋の倅・弥三郎は、初めて上がった武家の表座敷でカチカチに固まり、正座の膝を支える肩に力の入った様子で座っていた
「なんで俺が・・・?」
正面には信長、少しずれた上座には帰蝶
「お前は親父と共に全国を旅してただろ?各地の情勢に詳しいんじゃないかって、帰蝶が」
「奥方様」
「これからの時代、武で武を争う戦だけでは勝ち残れません。あなたのように、様々な国を覗いて来た者が誰よりも逸早くその国の事情などを掴めるのではないかと」
「そりゃ、商売柄そうですけど・・・。でも、なんで俺が?」
「私の生まれ故郷美濃の隣国飛騨の白川郷には、そのように行商をしながら全国の情報を売買する集団がおります。ですがこの尾張には、特にそう言った商売をしているところも少ないとか。増してや、吉法師様は家督を継がれたばかりで、間者との密接な繋がりを持ちません。ですので、親しいあなたなら頼みやすいのではないかと」
「はぁ・・・」
「俺も帰蝶からその話を持ち出された時、最初にお前の顔が浮かんだんだ」
「でも、俺は兄貴みたいに賢くないから、できるかどうか」
「咄嗟の判断は、人が其々持って生まれた素質に傾倒します。吉法師様のお話に因れば、弥三郎殿は随分と運動能力に長けているとか」
「そりゃ、まぁ、物心付いた頃から親父に連れられて、あっちの山こっちの山超えてましたから、足腰には自信がありますけど」
「それを俺は買いたい」
「吉法師様・・・」
「どうだ、弥三郎。俺に仕えんか?」
「 」
美濃の姫君・帰蝶を魅了したほどの男だ
誘われて、気分の悪いものではない
信長の命令により、滝川一益が大和守家の調略に当った
その結果、多少時間は掛かったものの、大和守の家臣の一人をこちらに内通させることに成功した
後は岩倉織田である
「元々俺と信安は幼馴染みみたいなもんでな、昔は良く一緒に遊んだりしたけど。親父が死んだ後、今は犬山と領土の取り合いをしてる」
「犬山は、確か」
「ああ。お前の親父と争ってたな」
二人が生まれるずっと前の話だ
「お前の親父ですら落とせなかった犬山だ。岩倉とて、そう簡単に攻略はできねぇだろ。尾張は戦乱のどさくさに紛れて、国土を分捕るってのが相場だ。書印を交わしてなんたらかんたらなんて、めんどくせえことやってるとこは少ない」
「では、少なくとも現在の岩倉が那古野に目を向けることはないと見て、間違いございませんね?」
「そうだな。こっちに流れるにしても、間を通る大和守が邪魔だ。戦線を延ばしてる余裕はないだろ」
「ならば、当面の目標は清洲だけに絞られますね」
「ああ。岩倉が犬山と争ってる今が好機だ」
二人が変わらず表座敷で話し合いをしている最中、小姓に連れられ仕度の済んだ弥三郎がやって来た
「うあ、お前誰だ」
大袈裟なほど驚く信長に、弥三郎は居心地の悪い顔をする
きちんとした小袖に軽装の袴、体の汚れを落とすと日に焼けた綺麗な小麦色の肌が現れ、髪もきちんと櫛を通せばすっきりした顔立ちになった
「髪が短いので髷は結えませんでしたが」
と、小姓が話す
「でも、良い感じですよ。ね、あなた」
「ああ。とても馬屋の倅には見えねぇ」
「吉法師様・・・」
身形整えた弥三郎は小袖の肩が気になるのか、体をモゾモゾして落ち着かない
「体中が痒くてしょうがありません」
「その内馴れる」
「そりゃ、吉法師様の小袖は袖がないから楽でしょうが・・・」
「俺みたいな成りで城をうろちょろしてみろ。じぃにどやされるのがオチだ」
「それも嫌だな・・・」
「あなたの兄上様は、こちらに加担してくださるそうですよ」
二人の会話に、そっと帰蝶が割り込む
「兄貴が?」
「そこでだ、お前も城に上がるからには弥三郎じゃしょうがねぇ」
「どうするんですか。兄貴みたいに、小難しい名前でも名乗るんですか?」
「そうだな」
信長は腕を組み、少し考えてから応えた
「お前の兄貴が時親だから、お前は土田弥三郎信親でどうだ」
「信って、吉法師様の一族の通し名じゃないですか。恐れ多くて使えませんよ」
さすがに武家との付き合いがあるからか、弥三郎は恐縮して両手を大きく振った
「では、斎藤の通し名なら、どうですか?」
「斎藤?確か『利』だったか」
「はい」
「うん、じゃぁ土田弥三郎利親。悪くないな。どうだ、弥三郎」
「土田弥三郎・・・、利親・・・ですか」
「それなら兄上様とも似てますから、兄弟らしさが出て良いですね」
帰蝶から誉められ、弥三郎の頬がほんの少し赤くなる
「じゃぁ、後は嫁の世話だな」
「えっ?!よっ、嫁っ?!」
まさかそこまで宛がわれるとは想っていなかっただけに、弥三郎の慌てぶりは尋常ではなかった
「お前、好いた女でも居るか?」
「そっ、そんなもん居ませんっ」
「帰蝶。お前の連れて来た侍女で、見合うのは居ないか?」
「そうですね、菊子はどうでしょう」
「菊子か。確かに美形だ」
「美濃の反物屋の娘なんですが、気立ての良い子ですよ。私より一つ年上ですので、弥三郎殿にも釣り合いが取れる年齢かと想います」
「はぁ・・・」
実際見ないと決められない
そんな顔をする弥三郎だったが
「初めまして。美濃井ノ口反物卸問屋の次女で、菊子と申します」
「 」
大都会からやって来た美少女に、弥三郎は顔が真っ赤に染まり、頭からは湯気が出た
「菊子は姉がうちに勤めてた経験がありまして、その姉上様がお嫁に行かれたので代わりに入ってくれた侍女なんです。家庭での躾けも厳しく、中々気立ての良い娘ですよ」
「はぁ・・・」
「よろしくお願いします」
「こっ、こちらこそっ」
三つ指着いて深々と頭を下げる菊子に、弥三郎は慌てて頭を下げ返す
その光景がおかしくて、信長も帰蝶も大笑いした
「弥三郎の方は、あれで落ち着くな。菊子は何れ俺の家臣の誰かに嫁がせようかと想ってたんだが、弥三郎だったら文句はない。口の聞き方は乱暴だけど、あいつも良いヤツだ。夫婦仲も上手くやっていけるだろ」
「そうですね。弥三郎殿を召抱えたことにより、斯波に出仕なさっておられる兄上様との提携も滞りなく済ませられますし、父上様との連携で各国の情勢も手に入ります。さすが、吉法師様。人脈の広さは自慢に値しますよ」
「大袈裟だな、それは」
しかし、誉められて気分の悪いものでもない
少し照れながらも、信長は笑顔を見せた
「清四郎様」
横着をして、屋敷の中庭を抜けたところで、利三は妻の椿に声を掛けられる
「お城に行かれるのですか?」
「はい・・・」
椿を妻に迎えて二ヶ月が過ぎようかとしていた
「宿直でしょうか・・・?」
椿が心配げな顔をして自分を見るのには、理由(わけ)がある
「いえ。呼ばれただけで、用事が済めば直ぐ戻ります」
「そうですか。それと」
ほっとしたような顔の後で、現実に引き戻す
「私はあなたの妻です。どうか、そのように接していただけませんか?」
「あ・・・、はい・・・」
「それから」
「何か」
「いつ、閨に来てくださるのですか?」
「あ・・・」
妻に迎えて二ヶ月
利三は未だ椿に触れていなかった
「すみません・・・。若様の馬周りに抜擢されてまだ日が浅いので、馴れないことだらけで気疲れしてしまって」
必死になって言い訳をしている自分を、遠い意識で嘲笑う
嘘を吐け・・・と
「兄様には、私から言っておきます。余り清四郎様を扱き使わないようにと」
「そんな・・・」
「じゃないと、いつまで経っても・・・」
言いずらそうに、だが自分から言わなくてはならないと意を決する
「子が・・・できません・・・」
「 」
そうだな、と、肯定することも、すみません、と、否定することもできない
無言で一礼し、利三は立ち去った
「あっ・・・。清四郎様」
「 すみません、帰ったらゆっくり・・・・・・」
「はい。お待ちしております・・・」
その返事を『是』と受け取ったのか、椿は顔を赤くして利三の背中を見送った
土岐を美濃から追い出したと言っても、外部勢力となり度々斎藤との争いは起きている
帰蝶と信長の婚姻により、その争いの輪の中から『織田家』が抜けただけで、斎藤は平和になったわけではない
増してや美濃と尾張の国境近くで信長の親戚である岩倉織田と犬山織田が争いを始め、いつこちらに飛び火して来るかわからないのだ
その軍議に出るため義龍に呼び出されたのだが、誰も居なくなったところで堪らなくなったのか、利三は俯き、突然叫んだ
「抱けるわけないだろうッ?!姫様の妹だぞッ?!」
腹違いとは言え、父親を同じくする帰蝶と椿はやはり、姉妹の面影が濃い
そっくりとまでは言えないまでも、椿の背中にどうしても帰蝶を見てしまう
椿を抱こうとしても、その背後に帰蝶の影が揺らめく
そしてその帰蝶を抱く信長の姿が見える
「どうして・・・・・・・・ッ」
どうして壊れた焼き物のような想いを、今も宝物のように持ち続けなくてはならないのか
いつになれば忘れられるのか
帰蝶を忘れた時、自分は妻を抱けるのか
それはいつになるのか
答えの出ない苦悩に、利三は苛まれ、のた打ち回った
信長の父がこの春、病で死去したという話は義龍から聞かされた
それによって尾張は混乱を生じたが、どう言うわけか信長の周辺は落ち着いている
利三は気付いていた
娘を想う父親が、圧力を加えているのだと
それは言うまでもなく道三であり、帰蝶のことであり
「姫様・・・・・・・・・・」
自分はもう、『姫様を護衛する』お守ではないのだと
わかっていても
それでも
帰蝶を想う気持ちが止められない
「帰蝶ー!帰蝶ーッ!」
夏もそろそろやって来るかと言う頃、随分慌てた様子の信長が局処に飛び込んで来た
「帰蝶!」
「どうなさいました?あなた」
「山城の京で事変だ」
「え?」
「摂津の三好と大和の松永が争って、相国寺が燃えた」
「相国寺?相国寺って、夢窓疎石が開山した?」
「そこまでは知らん」
信長のあっさりした返事に、帰蝶は笑うしかなかった
「夢窓疎石は美濃でも山をいくつか開き、土岐家の開祖とも言われている土岐頼遠様との縁も深く、今も信仰の対象となっておられるお方です。しかし相国寺はこれまでに何度も戦火に巻き込まれ炎上している因縁を持つ寺。これで三・・・、四回目ですね。ですが、それがあなたが慌てる理由ですか?」
「いや」
既に帰蝶の正面に座り込んでいる信長は、由緒ある山の寺の消失は、武家の男である信長にとって重大な意味を成す
「相国寺は足利三代将軍が開基したものだ。わかるか?三代将軍、足利義満だ」
「 斯波家の、先祖」
「そうだ」
「 」
たかが京都の、数ある寺の内の一つが燃えただけ
世間はそう見るだろう
だが、相国寺を開基した足利義満を先祖とする斯波家が、相国寺再建に手出しできないと言う現実に、ただ笑うしかない
「斯波はそこまで地に落ちた。手も足も出ないんだからな」
「では、ここは一つ大人しく静観し、清洲織田がどう出るか見ておきましょう」
「ああ」
「斯波家当主義統は信友の傀儡でな、何でも言いなりだ」
「そうなんですか」
「だから、お前が斯波に武器を送ったことで、信友も相当慌ててるだろうな。それと、親父の側室を巡って争ってる」
「女の争いですか?」
「下らねぇよなぁ。でもまぁ、足利って代々好色だからな、しょーがねーか。人妻にまで手ぇ出してたってぇからな」
かかかと笑う信長に、帰蝶も苦笑する
「ですが、斯波の権威が失墜したことが、まさか遠く離れた京で証明されるとは、誰も想っていなかったでしょうね」
「ああ。これで全国の武家も足利に対する忠誠心ってのが、ある程度薄れたんじゃねーか?後に残るのは、肩書きだけだ」
「ええ」
この年、信長の周辺は静かに過ぎて行った
僅かに末森で信長に対する不満の声も上がったが、信長の、斯波家に対する忠誠心の表れとしてか、俄かに信長を頼る声も斯波側から上がるようになった
それが勘十郎を抑制する効果となる
手順は多く掛かったが、なんの争いも起さず弟を黙らせることに成功した
帰蝶の助言がなかったら、こうも上手く行くことはなかっただろう
「ほれ、しっかり的を見て」
「見てますってば」
「脇を固めて。じゃないと、肩が外れるぞ」
「脅かさないで下さい」
庭先で、鉄砲を構えた帰蝶と、それを指導している信長の姿があった
「しっかり見定めて、引き金を引け」
言われるまま、人差し指に掛けた引き金を引く
その途端
「きゃぁッ!」
防音と共に、帰蝶の体が後ろに吹き飛ばされる
「大丈夫か?」
帰蝶の手を掴み、引き起こす
「ああ、びっくりした。火薬の音は初めてではありませんが、至近距離で聞いたのは初めてです」
「聞き慣れりゃ、なんてことないだろうがな。よし、今度はこうしよう」
と、信長は帰蝶の後ろで膝を落として屈み込み、腰を支えるような姿勢になった
「これで撃ってみろ」
「はい」
玉を込め、火薬を注ぎ足して的に構える
しばらくして鉄砲の発火音と共に、帰蝶の上半身が仰け反った
信長は慌てて片手で帰蝶の頭を支えた
「大丈夫か?」
「玉は、当りましたでしょうか?」
「一歩及ばず、ってとこだな」
「 」
的を外れ土壁にめり込んだ玉を見て、帰蝶はガックリ肩を外す
「いきなり大当たりじゃ、俺の立つ瀬がない。まぁ、ぼちぼち修練でもすりゃ、二年くらいで撃てるようになるだろ」
「二年も掛かるのですか?」
「武士道は、一朝一夕じゃぁ成るわけないだろ」
「別に武士道を目指してるわけではないのですが・・・」
この当時、『軍師』と言う言葉はまだ確率していなかったが、帰蝶が男であれば信長は、戦にも連れて行きたくなるような、そんな気持ちさえ起きた
内政に対し女が口を挟むことは国を傾かせることにもなると、その点に対する警戒心はさすがの信長も簡単には解けないが、『美濃の梟雄』とも呼ばれる道三が目に掛け、育てた娘だ
親との接点も殆どなかった自分よりも、よほど戦向きの性質なのかも知れない
どうしてか、直感がそれを感じ取った
”軍師・帰蝶”の誕生にはまだ早い、夏のことだった
その中に帰蝶の輿入れの際、警護として就いた河尻与兵衛秀隆も含まれていた
「義父上様のお小姓さんだとは、存じませんでした」
「いや、小姓って言っても、十年前のことですけどね」
秀隆の年を聞き、兄・義龍と同じ年であることを知る
見た目の年齢は人それぞれだが、信長も付き合いがあるのか往年の友と再会したかのような雰囲気で、随分と和やかなものだった
「それで鎮吉、末森の方はどうだ」
信長が秀隆を幼名で呼ぶように、見た感じは相当若い
とても兄と同じ年には見えないほどだ
「正直に話しちゃって、良いんですか?」
「聞かないと始まらんだろ」
「吉法師様に織田家相続の能力無し」
「
ズッキーンと突き刺さる秀隆の一言に、信長の顔が青くなる
「あなた、しっかりなさってください」
「あ・・・、ああ・・・」
青色吐息の信長の背を、帰蝶は必死で擦った
「まぁ、これはとあるお方の讒言ですが」
「お袋が言ってると、はっきり言って良いんだぞ」
「土田御前様は、病に掛かって死んだのが吉法師だったら良かったのにと仰ってますが?」
「
ズッキーンと言うよりも、爆撃を受けた時の音にも似たドゴーンと言う効果音が、信長の背後でする
もはや帰蝶ではどうにもならないほど、信長は落ち込んだ
「どうして土田御前様は、そこまで吉法師様を嫌うんでしょうか・・・」
「いや寧ろ奥方様のように、どうしてそこまで若を敬愛できるのか、こっちが聞きたいくらいですわ」
「
夫の評判はそこまで悪いのかと、帰蝶も最早撃沈する
「ま、お二方の風評は兎も角」
「風評て・・・。私も同類ですかっ?」
「嫌なのか」
即座に信長の突っ込みが帰蝶に入る
秀隆は心の中で呟いた
「勘十郎様から、欲しい物があったら遠慮なく申し出て欲しいと」
「じゃぁ、権六」
権六は信秀が若い頃から仕えている宿将で、織田家随一の勇将であった
「残念ですけど柴田様は、末森に残るそうですよ。御前様のたっての希望で」
「先取られたか」
信長は悔しそうに口唇を噛み締める
「で、佐久間殿も御前様がご所望です」
「ちょっと待て!右衛門は俺の家臣だぞ?なんで逆に持ってかれなきゃなんねーんだよ!」
「あなた」
興奮する信長を、帰蝶は腕を掴んで宥めた
「これは好機ではございませんか?」
「帰蝶・・・」
「佐久間殿を向うに送り込む口実が、あちらから差し向けてくださったと考えて、よろしいのではないでしょうか」
「右衛門を、末森に送り込む?」
「勘十郎様の動向を探るのには、誰かを送り込もうかと考えておりましたが、あちらが両腕を広げてくださったのです。それに飛び込まない手はございません」
「
信長は、妻の言葉に息を呑み、秀隆は初めて言葉を交わしたと言っても過言ではない帰蝶に、感嘆の吐息を漏らした
これが美濃の名門の姫君かと、まるで信長のために誂えたかのようなその人格に、この夫婦の行く末が途方もないものに感じる
「それと、河尻殿」
「はい」
「先程、欲しい物があれば遠慮なく申し出て欲しいと、勘十郎様の言葉を頂きましたが、相違ございませんでしょうか」
「はい、確かに」
「あなた」
「なんだ?」
「私、義父上様が持ってらしたもので、欲しい物がございます。強請っても構いませんでしょうか」
「ああ」
「では、私からは池田なつ様と、義父上様が飼ってらしたと言う、鴉」
「なつと、蝉丸をか?」
信長の目が、驚きに見開かれた
「何で、なつを?」
「なつ様は義父上様の死去で未亡人となられました。ですので、当然実家にお帰りあそばすか、出家なさるものかとお見受けしますが、織田家にあってなつ様の権限は未だ大きいもの。御前様の対抗手段としてお側に置いておいた方が、何かと心強いかと存じます」
「確かに、なつは唯一お袋と渡り合える女だ。お前の言うとおり、こっちの味方をさせた方が有利だろう」
「それと、義父上様の鴉、蝉丸と言うのですか?」
「ああ。それがどうかしたか?」
「あなた」
「ん?」
「義父上様は、あなたを既に、理解してくださってますよ」
「え・・・?」
再び、信長の目が見開かれる
「お前、何言って・・・・・・・」
俄かに心焦る信長に、帰蝶は和歌を詠んでやった
「世の中は とてもかくても同じこと 宮もわら屋も はてしなければ」
帰蝶の美声に、ほんのいっとき、聞き痴れる
「京の都が華やかなりし頃、天下に名を馳せた歌人、蝉丸の一歌にございます」
「意味は・・・?」
その答えを知りたがる信長に、帰蝶は軽く瞬きをしてから聞かせてやった
「この世はどう過ごそうとも、同じこと。華やかな宮殿も、粗末な藁屋も、最後にはなくなってしまうのだから」
「
「あなたの好きな、『敦盛』に通じるところは、ございませんか?」
「ああ・・・・・・」
意地っ張りで見栄っ張りな信長が、人目も憚らず、ぽろりと涙を零した
「似てるな・・・、敦盛に・・・」
「理解してあげたくとも、義父上様は立場上、あなたに賛同することができなかったのではないでしょうか」
「帰蝶・・・・・・・・」
「義父上様はきっと、苦しい胸を抱えたまま、あなたにも武家のあり方を理解して欲しいと願っていたのではと、今、そう想いました。ただの偶然かも知れません。だけど、私は信じたいのです。あなたと義父上様の間を繋ぐ、親子の情を」
「
誰も解明できなかった、父の想い
妻がそれを教えてくれた
可愛がっていた鴉に、自分の気持ちを乗せ名付けたのだと教わった
帰蝶が自分の妻であることは、運命などではなく、出逢うべくして出逢ったのではないか
信長はそんな気がした
「で、帰蝶」
「はい」
秀隆が末森の使いに行き、信長は帰蝶と二人きりになった
「この間の話の続きだが」
「斯波、ですか?」
「ああ。どう攻略する。やはり舅殿が土岐を解体した時のように、内側に潜り込むのか?」
「さすが吉法師様。と、言いたいところですが」
読みが当って誉められたと喜ぶその後で、実はそうではないような言い回しをされ肩透かしを食らう
「父が土岐を解体したような手順では、手間隙が掛かり過ぎます。ですので、手っ取り早く」
「どうする」
「他の織田家に『土岐分家』の役割を担っていただきましょう」
「他の織田家?」
「斯波に一番近いと言えば?」
「大和守織田か?」
「ご名答」
「それをどうする」
「先ずは、私が考えた内容からお話しますね」
「ああ」
政治の世界に口を挟む女は数あれど、軍略に口を挟む女は聞いたことがない
信長はのめり込むように、帰蝶と接近した
「父は土岐頼芸様に味方して、土岐頼純様と争わせました。その戦に際して双方、勢力を削いだと聞いております」
「つまりは、相打ちと言うわけか?」
「はい」
「てことは、俺が斯波に対して親父以上の忠誠心を見せ、大和守織田に警戒心を抱かせる。でもそれじゃ、大和守の矛先がこっちに向かないか?」
「大和守家がこちらに刃を向けたならば、それこそ斯波より『逆賊討伐』の名分をいただけます。それはそれでしめたもの。しかし、それでは面白くない」
「て言うと?」
「大和守と斯波をぶつからせてはどうですか?」
「できるのか?」
「大和守とて、尾張は欲しいものでしょう。目の前に餌をぶら下げれば、それに食いつかない者がおりましょうか」
「それは要するに、斯波と大和守家織田を戦わせるということか?」
「父は土岐家を美濃から追い出すことには成功しました。しかし、頼芸様を討伐することは、恐れました。何故でしょう」
「主家を滅ぼせば、逆賊の汚名を被る。
『一を聞いて十を知る』信長だからこそ、帰蝶の言おうとしていることを先に理解できる
そんな夫を帰蝶は軽く会釈して応えた
「お前の作戦とは、つまり俺が斯波に加担することにより、大和守に警戒心を持たせる、それから、・・・謀叛・・・か?」
「はい。大和守家には、斯波家に対して謀叛を起こしていただきます。斯波は南北朝時代から続く名門。この尾張に根を張って久しい名門を潰したとあっては、周辺の豪族達が黙っていないでしょう」
「しかし、そう簡単に謀叛なんか起こすか?彦五郎は案外と慎重な男だぞ?」
「彦五郎。織田彦五郎信友様ですね。勘十郎様を擁してらっしゃる」
「・・・ああ」
信秀の後継者は、勘十郎こそ相応しいと声高らかに叫び、土田御前の支持を受けているのが、その織田彦五郎信友であった
信長とて、憎々しい相手だ
「大和守家を潰せば、勘十郎様は支持を得られる相手を失う。なんとかして守りたいという気持ちはあるでしょう」
「それじゃ、同族討ちになっちまう」
「ですから、斯波を当面は我が家の盾になっていただくのです」
「できるのか?」
「こちらに忠誠の証を送れば良いのです」
「忠誠の証?人質か?」
「私達にまだ子が居ない以上、誰を送っても人質にはなり得ません。ですから、財政難である斯波に、手には入らないような物を贈るのです」
「何を贈る」
「例えば、鉄砲」
「
信長の目が丸くなる
「鉄砲五挺で充分でしょう」
「ま、待て、待て待て、待て、帰蝶っ」
「何ですか?」
「五挺は無理だ、さすがに」
「どうしてですか」
「うちだって、そんな裕福じゃねぇ。鉄砲だって、ここにゃ俺が持ってる一挺しかねーんだぞっ。それ持ってかれたら・・・」
「あなた」
慌てふためく信長が、急に大人しくなる
「古い種子島だけど、よ・・・。俺が那古野城主になった時、親父がくれたものなんだ・・・」
「形見、なのですね?」
「
信長は黙って頷く
「そんな大事な物を斯波に渡せとは申しません。今と変わらずあなたが持っていてください。それから、後で撃ち方教えてくださいね」
「帰蝶・・・」
さすがといえば良いのか、相変わらずといえば良いのか、信長は苦笑する
「種子島は今では高級品ですので、さすがにそれは難しいでしょうね。ですから、近江の国友から取り寄せましょう」
「国友?国友だって高級品だぞ?増してや、国友が開発した螺旋は、どこも真似できない。もし故障とかしたらどうすんだ、誰が修理する」
「こちらで修理を請け負うと申しておけば、斯波も安心感を持つでしょう?それに国友は、私の兄嫁が地元です。兄嫁に依頼するもよし、こちらから直接発注するもよし。螺旋は確かに、私も一度見たことありますが」
「あるのか」
「兄が国友の鉄砲を所有しておりますので」
「へぇぇ~・・・」
「さすがの兄も、触らせてはくれませんでしたけど」
「残念だったのか」
帰蝶の落ち込んだ顔を見て、男勝りにもほどがあると漸く気付く信長であった
「では、鉄砲五挺と刀五百、槍千程度でよろしいでしょうか」
「そんな金がどこにある」
呆れる信長に、帰蝶は悠然と言ってのけた
「私がお持ちした持参金で、充分です」
「帰蝶・・・、でもそれは・・・」
『持参金』とは、嫁いだ先に手渡す場合もあるが、信長とのように和睦でのみ結ばれた場合、最悪の場合は離縁にもなり得る
その際、生活に困らないよう親が持たせるのだが、この二人には『離縁』の文字は消えていた
それほどまでに強く結ばれた間柄であるからこそ、帰蝶は自分の財産でもある持参金を使うと言う
「金は、置いていてもしょうがありません。使ってこそ初めて、意味を持つのです」
「帰蝶・・・」
「帰蝶が持っているもの全て、吉法師様のために役立ててくださいませ」
平伏する帰蝶に、信長が慌てて手を伸ばす
「わかった、だから頭を下げるなんて真似、やめろ。お前にそんなこと、させたくない」
「吉法師様・・・」
「ありがたく使わせてもらう。織田の財産に手を出さずに済んだのは、お前のお陰だ、帰蝶」
「いいえ・・・」
互いの手を強く握り合い、見詰め合う
それから、やはりさっきと同じく小難しい軍議が再開した
「それと、伊勢守家ですが」
「ああ、どうした」
「一時とは言え争っていた間柄だとか」
「そうだな。親父の代の時にはこっちから嫁を出して一応和睦は結べたが、その伊勢守も今、犬山と争ってる。こっちからあっちに矛先が変わっただけか」
「岩倉織田にも、内偵が必要ですね」
「間者とか透破とかの類か?」
「そんな得体の知れない者に頼るのは、不本意です」
「じゃぁ、どうするんだ」
「確か滝川殿は情報収集が専門分野だとか?」
「ああ。元は伊勢の豪族の出身なんだけど、北畠との争いで一家離散に遭ったらしくてな、こっちに流れて来たのを拾った」
「まぁ、まるで伊勢湾に流れ着いたような」
そう、冗談で笑う帰蝶だが
「いや、ほんとに流れ着いたんだよな、これが」
「
波打ち際に打ち上げられた一益が脳裏に浮かび、帰蝶の顔が笑ったまま固まる
どうして自分がこんなところに・・・とでも言いたげに、馬屋の倅・弥三郎は、初めて上がった武家の表座敷でカチカチに固まり、正座の膝を支える肩に力の入った様子で座っていた
「なんで俺が・・・?」
正面には信長、少しずれた上座には帰蝶
「お前は親父と共に全国を旅してただろ?各地の情勢に詳しいんじゃないかって、帰蝶が」
「奥方様」
「これからの時代、武で武を争う戦だけでは勝ち残れません。あなたのように、様々な国を覗いて来た者が誰よりも逸早くその国の事情などを掴めるのではないかと」
「そりゃ、商売柄そうですけど・・・。でも、なんで俺が?」
「私の生まれ故郷美濃の隣国飛騨の白川郷には、そのように行商をしながら全国の情報を売買する集団がおります。ですがこの尾張には、特にそう言った商売をしているところも少ないとか。増してや、吉法師様は家督を継がれたばかりで、間者との密接な繋がりを持ちません。ですので、親しいあなたなら頼みやすいのではないかと」
「はぁ・・・」
「俺も帰蝶からその話を持ち出された時、最初にお前の顔が浮かんだんだ」
「でも、俺は兄貴みたいに賢くないから、できるかどうか」
「咄嗟の判断は、人が其々持って生まれた素質に傾倒します。吉法師様のお話に因れば、弥三郎殿は随分と運動能力に長けているとか」
「そりゃ、まぁ、物心付いた頃から親父に連れられて、あっちの山こっちの山超えてましたから、足腰には自信がありますけど」
「それを俺は買いたい」
「吉法師様・・・」
「どうだ、弥三郎。俺に仕えんか?」
「
美濃の姫君・帰蝶を魅了したほどの男だ
誘われて、気分の悪いものではない
信長の命令により、滝川一益が大和守家の調略に当った
その結果、多少時間は掛かったものの、大和守の家臣の一人をこちらに内通させることに成功した
後は岩倉織田である
「元々俺と信安は幼馴染みみたいなもんでな、昔は良く一緒に遊んだりしたけど。親父が死んだ後、今は犬山と領土の取り合いをしてる」
「犬山は、確か」
「ああ。お前の親父と争ってたな」
二人が生まれるずっと前の話だ
「お前の親父ですら落とせなかった犬山だ。岩倉とて、そう簡単に攻略はできねぇだろ。尾張は戦乱のどさくさに紛れて、国土を分捕るってのが相場だ。書印を交わしてなんたらかんたらなんて、めんどくせえことやってるとこは少ない」
「では、少なくとも現在の岩倉が那古野に目を向けることはないと見て、間違いございませんね?」
「そうだな。こっちに流れるにしても、間を通る大和守が邪魔だ。戦線を延ばしてる余裕はないだろ」
「ならば、当面の目標は清洲だけに絞られますね」
「ああ。岩倉が犬山と争ってる今が好機だ」
二人が変わらず表座敷で話し合いをしている最中、小姓に連れられ仕度の済んだ弥三郎がやって来た
「うあ、お前誰だ」
大袈裟なほど驚く信長に、弥三郎は居心地の悪い顔をする
きちんとした小袖に軽装の袴、体の汚れを落とすと日に焼けた綺麗な小麦色の肌が現れ、髪もきちんと櫛を通せばすっきりした顔立ちになった
「髪が短いので髷は結えませんでしたが」
と、小姓が話す
「でも、良い感じですよ。ね、あなた」
「ああ。とても馬屋の倅には見えねぇ」
「吉法師様・・・」
身形整えた弥三郎は小袖の肩が気になるのか、体をモゾモゾして落ち着かない
「体中が痒くてしょうがありません」
「その内馴れる」
「そりゃ、吉法師様の小袖は袖がないから楽でしょうが・・・」
「俺みたいな成りで城をうろちょろしてみろ。じぃにどやされるのがオチだ」
「それも嫌だな・・・」
「あなたの兄上様は、こちらに加担してくださるそうですよ」
二人の会話に、そっと帰蝶が割り込む
「兄貴が?」
「そこでだ、お前も城に上がるからには弥三郎じゃしょうがねぇ」
「どうするんですか。兄貴みたいに、小難しい名前でも名乗るんですか?」
「そうだな」
信長は腕を組み、少し考えてから応えた
「お前の兄貴が時親だから、お前は土田弥三郎信親でどうだ」
「信って、吉法師様の一族の通し名じゃないですか。恐れ多くて使えませんよ」
さすがに武家との付き合いがあるからか、弥三郎は恐縮して両手を大きく振った
「では、斎藤の通し名なら、どうですか?」
「斎藤?確か『利』だったか」
「はい」
「うん、じゃぁ土田弥三郎利親。悪くないな。どうだ、弥三郎」
「土田弥三郎・・・、利親・・・ですか」
「それなら兄上様とも似てますから、兄弟らしさが出て良いですね」
帰蝶から誉められ、弥三郎の頬がほんの少し赤くなる
「じゃぁ、後は嫁の世話だな」
「えっ?!よっ、嫁っ?!」
まさかそこまで宛がわれるとは想っていなかっただけに、弥三郎の慌てぶりは尋常ではなかった
「お前、好いた女でも居るか?」
「そっ、そんなもん居ませんっ」
「帰蝶。お前の連れて来た侍女で、見合うのは居ないか?」
「そうですね、菊子はどうでしょう」
「菊子か。確かに美形だ」
「美濃の反物屋の娘なんですが、気立ての良い子ですよ。私より一つ年上ですので、弥三郎殿にも釣り合いが取れる年齢かと想います」
「はぁ・・・」
実際見ないと決められない
そんな顔をする弥三郎だったが
「初めまして。美濃井ノ口反物卸問屋の次女で、菊子と申します」
「
大都会からやって来た美少女に、弥三郎は顔が真っ赤に染まり、頭からは湯気が出た
「菊子は姉がうちに勤めてた経験がありまして、その姉上様がお嫁に行かれたので代わりに入ってくれた侍女なんです。家庭での躾けも厳しく、中々気立ての良い娘ですよ」
「はぁ・・・」
「よろしくお願いします」
「こっ、こちらこそっ」
三つ指着いて深々と頭を下げる菊子に、弥三郎は慌てて頭を下げ返す
その光景がおかしくて、信長も帰蝶も大笑いした
「弥三郎の方は、あれで落ち着くな。菊子は何れ俺の家臣の誰かに嫁がせようかと想ってたんだが、弥三郎だったら文句はない。口の聞き方は乱暴だけど、あいつも良いヤツだ。夫婦仲も上手くやっていけるだろ」
「そうですね。弥三郎殿を召抱えたことにより、斯波に出仕なさっておられる兄上様との提携も滞りなく済ませられますし、父上様との連携で各国の情勢も手に入ります。さすが、吉法師様。人脈の広さは自慢に値しますよ」
「大袈裟だな、それは」
しかし、誉められて気分の悪いものでもない
少し照れながらも、信長は笑顔を見せた
「清四郎様」
横着をして、屋敷の中庭を抜けたところで、利三は妻の椿に声を掛けられる
「お城に行かれるのですか?」
「はい・・・」
椿を妻に迎えて二ヶ月が過ぎようかとしていた
「宿直でしょうか・・・?」
椿が心配げな顔をして自分を見るのには、理由(わけ)がある
「いえ。呼ばれただけで、用事が済めば直ぐ戻ります」
「そうですか。それと」
ほっとしたような顔の後で、現実に引き戻す
「私はあなたの妻です。どうか、そのように接していただけませんか?」
「あ・・・、はい・・・」
「それから」
「何か」
「いつ、閨に来てくださるのですか?」
「あ・・・」
妻に迎えて二ヶ月
利三は未だ椿に触れていなかった
「すみません・・・。若様の馬周りに抜擢されてまだ日が浅いので、馴れないことだらけで気疲れしてしまって」
必死になって言い訳をしている自分を、遠い意識で嘲笑う
嘘を吐け・・・と
「兄様には、私から言っておきます。余り清四郎様を扱き使わないようにと」
「そんな・・・」
「じゃないと、いつまで経っても・・・」
言いずらそうに、だが自分から言わなくてはならないと意を決する
「子が・・・できません・・・」
「
そうだな、と、肯定することも、すみません、と、否定することもできない
無言で一礼し、利三は立ち去った
「あっ・・・。清四郎様」
「
「はい。お待ちしております・・・」
その返事を『是』と受け取ったのか、椿は顔を赤くして利三の背中を見送った
土岐を美濃から追い出したと言っても、外部勢力となり度々斎藤との争いは起きている
帰蝶と信長の婚姻により、その争いの輪の中から『織田家』が抜けただけで、斎藤は平和になったわけではない
増してや美濃と尾張の国境近くで信長の親戚である岩倉織田と犬山織田が争いを始め、いつこちらに飛び火して来るかわからないのだ
その軍議に出るため義龍に呼び出されたのだが、誰も居なくなったところで堪らなくなったのか、利三は俯き、突然叫んだ
「抱けるわけないだろうッ?!姫様の妹だぞッ?!」
腹違いとは言え、父親を同じくする帰蝶と椿はやはり、姉妹の面影が濃い
そっくりとまでは言えないまでも、椿の背中にどうしても帰蝶を見てしまう
椿を抱こうとしても、その背後に帰蝶の影が揺らめく
そしてその帰蝶を抱く信長の姿が見える
「どうして・・・・・・・・ッ」
どうして壊れた焼き物のような想いを、今も宝物のように持ち続けなくてはならないのか
いつになれば忘れられるのか
帰蝶を忘れた時、自分は妻を抱けるのか
それはいつになるのか
答えの出ない苦悩に、利三は苛まれ、のた打ち回った
信長の父がこの春、病で死去したという話は義龍から聞かされた
それによって尾張は混乱を生じたが、どう言うわけか信長の周辺は落ち着いている
利三は気付いていた
娘を想う父親が、圧力を加えているのだと
それは言うまでもなく道三であり、帰蝶のことであり
「姫様・・・・・・・・・・」
自分はもう、『姫様を護衛する』お守ではないのだと
わかっていても
それでも
帰蝶を想う気持ちが止められない
「帰蝶ー!帰蝶ーッ!」
夏もそろそろやって来るかと言う頃、随分慌てた様子の信長が局処に飛び込んで来た
「帰蝶!」
「どうなさいました?あなた」
「山城の京で事変だ」
「え?」
「摂津の三好と大和の松永が争って、相国寺が燃えた」
「相国寺?相国寺って、夢窓疎石が開山した?」
「そこまでは知らん」
信長のあっさりした返事に、帰蝶は笑うしかなかった
「夢窓疎石は美濃でも山をいくつか開き、土岐家の開祖とも言われている土岐頼遠様との縁も深く、今も信仰の対象となっておられるお方です。しかし相国寺はこれまでに何度も戦火に巻き込まれ炎上している因縁を持つ寺。これで三・・・、四回目ですね。ですが、それがあなたが慌てる理由ですか?」
「いや」
既に帰蝶の正面に座り込んでいる信長は、由緒ある山の寺の消失は、武家の男である信長にとって重大な意味を成す
「相国寺は足利三代将軍が開基したものだ。わかるか?三代将軍、足利義満だ」
「
「そうだ」
「
たかが京都の、数ある寺の内の一つが燃えただけ
世間はそう見るだろう
だが、相国寺を開基した足利義満を先祖とする斯波家が、相国寺再建に手出しできないと言う現実に、ただ笑うしかない
「斯波はそこまで地に落ちた。手も足も出ないんだからな」
「では、ここは一つ大人しく静観し、清洲織田がどう出るか見ておきましょう」
「ああ」
「斯波家当主義統は信友の傀儡でな、何でも言いなりだ」
「そうなんですか」
「だから、お前が斯波に武器を送ったことで、信友も相当慌ててるだろうな。それと、親父の側室を巡って争ってる」
「女の争いですか?」
「下らねぇよなぁ。でもまぁ、足利って代々好色だからな、しょーがねーか。人妻にまで手ぇ出してたってぇからな」
かかかと笑う信長に、帰蝶も苦笑する
「ですが、斯波の権威が失墜したことが、まさか遠く離れた京で証明されるとは、誰も想っていなかったでしょうね」
「ああ。これで全国の武家も足利に対する忠誠心ってのが、ある程度薄れたんじゃねーか?後に残るのは、肩書きだけだ」
「ええ」
この年、信長の周辺は静かに過ぎて行った
僅かに末森で信長に対する不満の声も上がったが、信長の、斯波家に対する忠誠心の表れとしてか、俄かに信長を頼る声も斯波側から上がるようになった
それが勘十郎を抑制する効果となる
手順は多く掛かったが、なんの争いも起さず弟を黙らせることに成功した
帰蝶の助言がなかったら、こうも上手く行くことはなかっただろう
「ほれ、しっかり的を見て」
「見てますってば」
「脇を固めて。じゃないと、肩が外れるぞ」
「脅かさないで下さい」
庭先で、鉄砲を構えた帰蝶と、それを指導している信長の姿があった
「しっかり見定めて、引き金を引け」
言われるまま、人差し指に掛けた引き金を引く
その途端
「きゃぁッ!」
防音と共に、帰蝶の体が後ろに吹き飛ばされる
「大丈夫か?」
帰蝶の手を掴み、引き起こす
「ああ、びっくりした。火薬の音は初めてではありませんが、至近距離で聞いたのは初めてです」
「聞き慣れりゃ、なんてことないだろうがな。よし、今度はこうしよう」
と、信長は帰蝶の後ろで膝を落として屈み込み、腰を支えるような姿勢になった
「これで撃ってみろ」
「はい」
玉を込め、火薬を注ぎ足して的に構える
しばらくして鉄砲の発火音と共に、帰蝶の上半身が仰け反った
信長は慌てて片手で帰蝶の頭を支えた
「大丈夫か?」
「玉は、当りましたでしょうか?」
「一歩及ばず、ってとこだな」
「
的を外れ土壁にめり込んだ玉を見て、帰蝶はガックリ肩を外す
「いきなり大当たりじゃ、俺の立つ瀬がない。まぁ、ぼちぼち修練でもすりゃ、二年くらいで撃てるようになるだろ」
「二年も掛かるのですか?」
「武士道は、一朝一夕じゃぁ成るわけないだろ」
「別に武士道を目指してるわけではないのですが・・・」
この当時、『軍師』と言う言葉はまだ確率していなかったが、帰蝶が男であれば信長は、戦にも連れて行きたくなるような、そんな気持ちさえ起きた
内政に対し女が口を挟むことは国を傾かせることにもなると、その点に対する警戒心はさすがの信長も簡単には解けないが、『美濃の梟雄』とも呼ばれる道三が目に掛け、育てた娘だ
親との接点も殆どなかった自分よりも、よほど戦向きの性質なのかも知れない
どうしてか、直感がそれを感じ取った
”軍師・帰蝶”の誕生にはまだ早い、夏のことだった
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濃姫(帰蝶)好きの方へ
本日は当サイトにお越しいただき、ありがとうございます
先ずはこちらのページを一読していただけると嬉しいです→お願い
文章の誤字・脱字が時折混ざっております
見付け次第修正をしておりますが、それでもおかしな個所がありましたらお詫び申し上げます
了承なしのリンクは謹んでご辞退申し上げます
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更新のお知らせ
(02/20)
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(11/04)
(06/24)
(03/25)
◇◇プチお知らせ◇◇
1/22 『信長ノをんな』壱~参 / 公開
現在更新中の創作物(INDEX)
信長 ~群青色の約束~
こんな感じのこと書いてます
カウント(0)は現在非公開中です
管理人の独り言も混じっております
[11/04 Haruhi]
[08/13 kitilyou]
[06/26 kitilyou命]
[03/02 kitilyou命]
[03/01 kitilyou命]
ゲームブログ
千極一夜
家庭用ゲーム専用ブログです
『戦国無双3』が絶望的存在であるため、更新予定はありません
◇◇11/19 Nintendo DSソフト◇◇
『トモダチコレクション』
おのうさま(帰蝶)とノブ(信長)が 結婚しました(笑
家庭用ゲーム専用ブログです
『戦国無双3』が絶望的存在であるため、更新予定はありません
◇◇11/19 Nintendo DSソフト◇◇
『トモダチコレクション』
おのうさま(帰蝶)とノブ(信長)が 結婚しました(笑
祝:お濃さま出演 But模擬専… (戦国無双3)
おのれコーエーめ
よくもお濃様を邪険にしおってからに・・・(涙
(画像元:コーエー公式サイト)
オンラインゲームにてお濃様発見
転生絵巻伝 三国ヒーローズ公式サイト:GAMESPACE24
『武将紹介』→『ゲーム紹介』→『Exキャラクター紹介』→『赤壁VS桶狭間』にてお濃様閲覧可
キャラクター紹介文
「 絶世の美貌を持つ信長の妻。頭が良く機転が利き、信長の覇業を深く支えた。
また、信長を愛し通した一途な妻でもあった。」
(画像元:GAMESPACE24公式サイト)
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濃姫好きとしては、飲めなくても見逃せない
岐阜の地酒 日本泉公式サイト

(二本セットの画像)
夫婦セット 吟醸ブレンド(信長・濃姫)
本醸造 濃姫
カップ酒 濃姫®=爽やかな麹の薫り高い、カップとは想えない出来上がりのお酒です
吟醸ブレンド 濃姫® ブルーボトル=自然の香りのお酒です。ほんの少し喉を潤す程度でも香りが深く体を突き抜けます
本醸造 濃姫®=容量的に大雑把な感じに想えて、麹の独特の香りを抑えたあっさりとした風味です
今現在、この3種類を試しておりますが、どれも麹臭い雰囲気が全くしません
飲料するもよし、お料理に使うもよし
お料理に使用しても麹の嫌な独特感は全く残りません
奇跡のお酒です
何よりボトルがどれも美しい
清洲桜醸造株式会社公式サイト


濃姫の里 隠し吟醸
フルーティで口当たりが良いです
一応は『辛口』になってますが、ほんのり甘さも残ってます
わたしは料理に使ってます
清洲城信長 鬼ころし
量的に肉や魚の血落としや、料理用として使っています
麹の香りが良いのが特徴ですが、お酒に弱い人は「うっ」と来るかも知れません
どちらも一般スーパーに置いている場合があります
岐阜の地酒 日本泉公式サイト
(二本セットの画像)
夫婦セット 吟醸ブレンド(信長・濃姫)
本醸造 濃姫
カップ酒 濃姫®=爽やかな麹の薫り高い、カップとは想えない出来上がりのお酒です
吟醸ブレンド 濃姫® ブルーボトル=自然の香りのお酒です。ほんの少し喉を潤す程度でも香りが深く体を突き抜けます
本醸造 濃姫®=容量的に大雑把な感じに想えて、麹の独特の香りを抑えたあっさりとした風味です
今現在、この3種類を試しておりますが、どれも麹臭い雰囲気が全くしません
飲料するもよし、お料理に使うもよし
お料理に使用しても麹の嫌な独特感は全く残りません
奇跡のお酒です
何よりボトルがどれも美しい
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濃姫の里 隠し吟醸
フルーティで口当たりが良いです
一応は『辛口』になってますが、ほんのり甘さも残ってます
わたしは料理に使ってます
清洲城信長 鬼ころし
量的に肉や魚の血落としや、料理用として使っています
麹の香りが良いのが特徴ですが、お酒に弱い人は「うっ」と来るかも知れません
どちらも一般スーパーに置いている場合があります
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あまり役には立ちませんが念のため
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