×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「これが兼定か。さすが名匠の業は違うな」
帰蝶は、兄からもらった刀を信長に見せた
「この妖しい輝きを放つ刃先は、見事の一言だ」
「吉法師様には、こちらを」
帰蝶は別の絹の袋を信長に手渡した
「ん?何だ?」
そう言いながら閉じ紐を解く
中から出て来たのは、陣太刀だった
「見事な柄だ。錦の糸を贅沢に使ってるな」
「こちらが関孫六の作でございます」
「関か!こっちじゃ滅多に手に入らんぞ」
やはり男だからか、信長の目がキラキラと輝いている
黄色と朱色の錦の糸が絡み合う陣太刀の鞘を抜き、その刀身を光に当てた
「兄から吉法師様にと」
「そうか。兄上には礼を送らにゃなんねーな。こんな立派な物をもらっちゃぁ、恐縮しちまう」
「そんな」
「お前をもらえただけでも、御の字だってのに」
「 」
照れるようなことをさらりと言ってのける夫に、まだ馴れていない帰蝶は顔を赤らめて俯いた
「刀を持たせるって言うことは、自分の寝首を掻かれる場合もあり得るってーのに、それでも贈るなんて、お前の兄貴は器のでっけぇ人物なんだな」
「はい。ですが、そんな兄を父は見縊っております。それが悲しゅうございます」
「見縊るのは、何処の親もそんなもんだ。倅が自分より上位に来ることなんて、ないんだからな」
「そんなものでしょうか」
「そんなもんだ」
「そうですか」
鳶が鷹を産むと言う喩えもあるが、自分の親を鳶だとは想いたくないし、かと言って大好きな兄を莫迦にされるのも余り気分の良い物ではない
それでも夫の言葉には多少なりとも励まされた
「それよりも、帰蝶」
「はい」
「こんな上等の業物を持っていながら、飾りで置いておくのも勿体ない」
「ですが、かと言って振り回すわけにも行かないでしょう?」
「そうだなー」
と、腕を組んで考え込む信長
その後
「若ぁー、お止めくだされ~~~ッ!」
庭で木刀を構えた信長と帰蝶に、平手は顔を青褪めて止めに入った
信長と言う夫は、非常識と言うよりも、古臭い考えに捉われない自由な発想の下で行動しているように想えた
「ほれ、帰蝶。脇が甘い」
「はい」
女の帰蝶に刀の振り方を教えたり、今日は弓の稽古に勤しむ
「鷹狩に行こうか、帰蝶」
「はい」
「今日は隣村が田植えの猿田楽をするらしい。見学に行こう、帰蝶」
「はい」
「帰蝶、相撲を見に行くぞ。仕度しろ」
「はい」
毎日毎日信長は、帰蝶を連れてあちらこちらに駆け回る
自由に行動できる範囲と言えば、稲葉山城の周辺しかなかった帰蝶にとって、これほど刺激的な毎日はなかった
「今日は何処に連れてってくださるのですか、吉法師様」
「そうだな」
仲睦まじい夫婦と言うよりも、仲の良い兄妹と言った感じが否めない
帰蝶が嫁に来て一ヶ月が過ぎても、二ヶ月が過ぎても、二人は毎日馬を走らせどこかに出掛けてしまう
これでは城主たる仕事ができないと、傅役の平手から小言を食らうのも仕方なかった
帰蝶が一人で満足に馬を走らせることができるようになった夏の頃、とうとう平手から呼び出しが掛かってしまった
「奥方様」
「はい」
厳しい顔付きの老人を前に、帰蝶は少し居心地の悪い想いをする
「毎日毎日若と共に遠出もよろしゅうございますが、若には若のお仕事がございます」
「はい・・・」
「それを放ぽって、朝から晩まで城を空けられては、こちらの体面が保てません」
「はい・・・」
義理の叔母・しきを相手なら何とでも言い返せる帰蝶だが、四角四面な平手を相手では調子が崩れて、軽くあしらうこともできない
帰蝶は大人しく説教を受けた
「若が城を抜け出せば、それを咎めるのが奥方様の役目ではございませんか。それを一緒になって出掛ければ、若の放蕩振りを助長するだけでございます。若があのようなうつけなら、せめて奥方様だけでも叱咤することくらいはしていただけませんと、こちらの負担が大きくなるだけでございます」
「すみません・・・」
信長のうつけ振りは生まれ持った物だと聞いているし、それで誰かに迷惑を掛けたわけでもなく、精々織田が笑われるだけのことだと帰蝶は想っていた
信長が側に居るから気付かなかったが、ここも随分と息苦しいところだと溜息が出る
それだけを考えれば、実家はまだ自由だったなと懐かしむ
自分が何をしようが、滅多なことで叱られた覚えはない
「また姫様は」
と、大笑いされるのが関の山で、自分の行動云々について、こんな風に指摘された覚えもなかった
「今後は気を付けてくだされ」
「はい、肝に銘じます」
漸く平手から開放され部屋に戻ると、夫がお能の膝枕で寝ている
「吉法師様!」
「あ、姫様・・・ッ。こっ、これは・・・ッ!」
浮気ではございません
お能はそう言いたかった
しかし
「戻ったか、帰蝶。じぃの説教は、どうだった?」
目を開け上半身を起す信長に、帰蝶は目を吊り上げて怒鳴った
「お能の膝枕は、帰蝶のものにございます!使う時は、帰蝶に断ってからにしてくださいませ!」
「 すまんかった・・・」
「兎に角、城主らしい仕事をと、仰ってました」
「城主らしい仕事、か」
帰蝶から話を聞き、信長は腕を組む
「城主らしい仕事って、何だ」
「発給したり、安堵したりでしょうね」
「それだけか?」
「私だって、よくわかりませんよ。やったことありませんもの」
「そうだなぁ・・・」
「でも、領民や家臣の話に耳を傾けるのも、城主の仕事だって兄様は言ってました」
「領民や、家臣の話・・・か。あいつら、小言しか言わないもんなぁ」
顔を顰める信長に、帰蝶は痛い一言を放つ
「小言しか言わせない吉法師様が悪いんでしょ?」
「言うね、お前ってヤツは」
信長の頭に汗が浮かび、お能は苦笑いする
「まぁ、なんかやってりゃ良いのか」
「駄目だったら駄目で、平手殿が注意してくれるでしょ?」
「そうだな」
「 」
似た者同士と言えば良いのか、似た者夫婦と言えば良いのか、揃って楽天家な信長と帰蝶に、お能は頭から汗を浮かばせた
平手の説教が効いたのか、帰蝶の妥協案を飲んだのかわからないが、この年から信長はぼちぼちと、城主らしい仕事をするようになった
帰蝶が嫁いで一年が過ぎた
信長も平手らの補佐を受けながら、徐々に仕事の数を増やして行く
忙しい合間を縫って二人で平手の目を盗み城を抜け出すのは、日常茶飯事のままだが
「帰蝶」
「はい」
「そろそろお前にも馬を与えてやらねばな」
「そんな」
もうすっかり乗馬姿も様になって来た帰蝶は、贅沢なことだとやんわりと断る
「私はこのままで良いです。吉法師様のように、早駆けなんてできませんから」
「でもなぁ、いつまでも駄馬でってわけにもいかんだろ」
「みすぼらしいですか?」
「いや。お前に合わせてゆっくり走るのも、ちょっと苛々する」
「っぷ・・・」
普通は言いにくいことでもずばずば言う信長に、帰蝶は吹き出す
「競争でもしたいんですか?」
「そう言うわけじゃないけどな、お前だったら早駆けも大丈夫なんじゃないかって想えてさ」
「腕を買ってくださったと受け取って、良いんですね?」
「そうだな」
「ありがとうございます」
「このまま小牧まで走れるか?」
「はい、大丈夫です」
「よし。行くか」
「はい」
何処に行くか
何をするか
面倒なことも少し話し合って相談して、即決するのがこの夫婦の特徴だった
ややこしい談合も必要なかった
小牧は美濃に程近い場所にある
嫁入りの際はここを通らなかったが、信長から話を聞かされており、一度馬場を訪れてみたいと想っていただけに気持ちがワクワクした
戦や農作業には欠かせない馬は、一度ここに集められ、取引される
「この辺りには貸し馬屋ってのがあってな」
「貸し馬屋?」
商業的に成功しているのかどうかわからないが、身分を問わず大勢の人間が行き交っていた
そんな中で女の帰蝶が馬に乗ってるのが珍しいのか、道行く人間が振り返って驚く
「戦なんかじゃ馬鹿みたいに馬が要るけど、一々育ててらんないし、飼育の費用も嵩張るからな、戦の時だけ馬を借りてるんだ」
「そうなんですか」
「斎藤ではどうだった?」
「はい、斎藤は専用の牧場を持ってます。そこに厩舎もありましたので、必要な時はそこから出し入れしております」
「専用の牧場?そりゃ豪気なもんだな」
「死んでしまえば馬刺しにもできますし」
「ああ、そうか。美濃には馬を食べる習慣があったか。土地が違えば文化も違うな」
尾張ではそう言った食文化はなく、大抵は驚くことだが、信長はそんな素振りも見せない
「結構美味しいですよ?馬刺し」
「そうか。今度うちでも出してみるか。お前も食べたいだろ?」
「はい、楽しみにしております」
「よし、そうと決まれば、馬刺し用の馬も買うか」
「でも、捌ける職人は居るんですか?」
「どうせ牛と同じだろ?」
「そんなもんですか?」
牛を食す文化は武家の中にはちらほらあり、織田家も時折は牛肉を食卓に並べている
日常的に食べているわけではないが、干し肉は戦の際の携帯食としても用いられることがあり、美濃でも食用の牛の生産をやっている農家がちらほらと見え、隣の近江でも同様のことを目的とした農家があった
ただ、やはり農耕用として利用するのが主流でもあるため、一般家庭で牛肉を食べるのは非常識極まりない時代である
二人の会話がどれだけ常軌を逸しているかが伺えた
同じ頃、同じ小牧の馬場
「父上」
同じ場所に、利三も居た
「やはり私ごときに専用馬など、少し早過ぎませんか?」
「何を言っておるか。お前も新九郎様の許で武功を上げねばならん。それにはそれなりの馬が必要であろうに」
「でしたら、山県の牧場から借りればいいだけのことですし」
「ばっかもーん!」
「 」
地鳴りを伴う父の怒鳴り声に、利三は身を竦めた
「もう直ぐ斎藤の姫君を娶ろうかと言う者が、いつまで借り物で済ませる気か」
「すみません・・・」
元々は利三の一族が正当な斎藤家の本筋である
それを道三の養子入りと言う形で乗っ取られ、長井斎藤家は道三に傅く結果となってしまった
利三や父利賢の『利』の字が通し字であることを表すかのように、起源は平安王朝時代の藤原利仁から始まる
そこから河合斎藤氏が生まれ、長井斎藤氏、勢多斎藤氏に枝分かれし、赤塚氏になり、更に現在の美濃斎藤氏が生まれた
長井家は斎藤家の眷属であり、主従関係にあったのを道三の父・松波庄五郎に乗っ取られ、道三に代替わりしてから土岐家を後ろ盾に斎藤家を乗っ取った
家臣に鞍を落とされたとは言え、それでも道三からは重用されていたのでこの頃はまだ一門の扱いである
「折角新九郎様がお前を買ってくださってるのだ。覚えめでたく行かねばな」
「はあ・・・」
次男とは言え、嫡男に万が一のことがあれば利三が斎藤家を継ぐことになるため、利三の才能を恐れた道三は帰蝶の妹を嫁として宛がった
来年、祝言を挙げることに決定している
そのためか義龍に馬廻り衆として抜擢され、『姫様のお守』から一躍『一廉の将』に大出世した
帰蝶が嫁に行って一年
心にぽっかり穴が開いたような気持ちを引き摺ったまま、今日に至る利三にとってここ数日間は目まぐるしく過ぎた
「出入りの馬業者に頼むのも良いが、ただ連れて来る馬を買うのも味気ない。どうせ買うのなら、市場に来て吟味せねばな」
「そうですね」
馬廻り衆抜擢に一番浮かれているのは、利三ではなく父だった
ソワソワしている父に諌めるような言葉は言えない
利三はただ黙って、父の後ろに付いた
「あぁ、これは織田の若様」
顔馴染みの馬屋の亭主が、信長に気付く
年は五十代と言ったところか
「景気はどうだ」
「はい、お陰様で。ここのところ今川様から馬の用意をしろと仰せ付かりまして、全国駆け回っております」
「そうか、今川が動き出したか」
何処の家が馬を買ったか、買った量を計ればそれが戦の前兆かただの補充かがわかる
「今回はどれくらい買ってった?」
「そうですね、五~六十ってところですか」
「そんなもんか」
「他の店にも発注してますからなんとも言えませんが、三河辺りが危ないんじゃないかと」
「松平も嫡男を織田の人質に取られてるからな、尾張と駿府の挟み撃ちってわけだ。中々気が抜けないな」
「ところで、今日はなんの御用で?後ろのご令嬢は、妹君様で?それとも、恋人(マブ)ですか?」
いやらしい目付きでにやっと笑う業者に、信長は大笑いする
「こいつは俺の女房だ」
「へぇぇ!そっ、そりゃ失礼なことを・・・ッ!」
道の往来でガバッと土下座する
「奥方様、どうかご勘弁を!」
「許してやらんでもない」
帰蝶はおかしくて吹き出しそうになるのを必死で押えて、居直った
「だが、ただ許しただけでは世間に申し開きも立たんだろ」
「へ、へへぇーッ!」
帰蝶の言葉に、平左衛門は平伏した
「どうする、帰蝶」
「そうですね。今日の目玉商品を格安で提供してもらいましょうか」
「えぇぇ?!」
「そりゃ良い」
驚く亭主に、乗る信長
「それで手を打て、平左衛門」
「しっ、しかし、今日の目玉は対馬より取り寄せた対州馬。仕入原価を割りますよ・・・」
泣きそうな顔をする平左衛門に信長も、笑い出したいのを必死で抑える
「そうだな、だったらこうしよう」
「何ですか?」
「荷駄の馬を三頭、それから若い雌馬を一頭もらおう」
「荷駄馬三頭、雌馬一頭ですか。それはありがとうございます」
「で、対馬からやって来た馬ってのは、何処に居る」
「へえ、こちらです」
平左衛門は先頭に立ち、馬を繋いだ杭に案内した
「今日の目玉商品は、日の本の果て、対馬よりやって来た黒牡馬だぁ!なんとたったの十貫!どうだどうだ、早い者勝ちだよ!」
十貫と言えば、一般の米消費一人分に換算すれば二十年分に匹敵する
通常の対州馬と比較しても少し背が大きいところを見れば、農耕馬と言うよりも軍馬として仕入れたのだろう
「平左衛門」
「はい」
「吹っ掛け過ぎだ」
「はぁ・・・」
これを聞いていた信長が、そっと平左衛門に突っ込んだ
「おーい、弥三郎」
「なんだ、親父」
競売に掛けていたのは、平左衛門の倅のようである
「その馬、織田様がお買い上げだ。連れて来い」
「へーい」
弥三郎は杭から手綱を引き抜き、信長の許に連れて来た
「久し振りだな、弥三郎」
「どうも、吉法師様、お久し振りです」
比べてみれば、弥三郎の方が少し年上だろうか
「こいつらは親父が若い頃から馬の仕入れやってる業者でな、土田(どた)平左衛門に弥三郎親子だ。弥三郎」
「へい」
「こいつは俺の女房で、帰蝶と言う。よしなに頼む」
「にょっ、女房殿?!」
「よろしくお願いします、弥三郎殿」
「こっ、こちらこそ!どっどっ、土田弥三郎です!どうか、お見知りおきを!」
信長にだけ目の行っていた弥三郎は、はたと見た美少女に、一気に血の気が上がる
「土田一族は、元々は美濃の可児出身だ。本家はそっちで豪族として残ってる」
「可児ですか。私の親戚が、そこに住んでおります」
「へぇぇ、どちらさまで?」
極度に緊張している弥三郎を置いて、人生の酸いも甘いも経験している分、落ち着いている平左衛門が聞いた
「長山の明智です」
「 」
まさか生粋のお姫様だとは想っていなかった平左衛門も、呆然とした顔をする
「しかし、平左衛門親子は面白かったなぁ。お前が斎藤の姫君だってわかった途端、あんなにも狼狽するとは想ってなかったぞ」
「私もです。まるで珍獣でも見るかのような目で、落ち着きませんでした」
「ははは!珍獣か、それはいい例えだ」
「吉法師様まで笑ってっ」
「許せ許せ」
談笑しながら帰路に着く
「それにしても 」
「こいつが、対州馬です」
平左衛門が馬を信長に見せるため、引き寄せた
初めはなんでもなかった馬だったが、帰蝶が触れようとした途端暴れ出し、周囲は騒然となった
「こ、こら!落ち着け!」
弥三郎がしがみ付き、大人しくさせようとしても、馬は暴れて今にも駆け出さんばかりである
そんな馬に怯えることもなく、帰蝶はそっと鼻頭に掌を当てた
「どう、どう」
その瞬間、前足を蹴り上げていた馬がいきなり大人しくなる
「お前、自尊心が強いのね。私が主では、不服?」
馬は帰蝶の問いに答えるわけがない
それでも構わず話し掛ける
「でもね、これがお前の運命だったのよ。大人しく従いなさい」
「 」
鼻息荒い馬に、帰蝶は言った
「私はお前の、その気の荒さが気に入ったわ。私を乗せて、走ってね」
「帰蝶」
「おかしいなぁ・・・。対馬の馬は大人しくて従順なのに。こんなに気が荒くなったのなんて、初めてですよ」
「馬だって個体があるわ。色んな性格があってもおかしくない。この子はきっと、もっと立派な侍に乗ってもらうことを望んでたのね」
「だったら、お前が乗りこなしてやれば、こいつだって納得するんじゃないか?」
「そうですね」
帰蝶が乗っていた馬とは鐙が合わないため、鞍を付けて後日那古野に届けることで商談が成立する
一瞬でも暴れた馬を相手にしても、全く動じなかった帰蝶の胆の太さに驚かされた
凡そ女らしくないその振る舞いは、信長にとって見たこともない女の部類である
大抵は楚々として、大人しく無駄口も叩かない
それが女だと想っていた信長の好奇心を駆り立てる
「お前にも狩り衣を買ってやろう」
「今日は随分と浪費なさいますね」
「いつまでも、俺のお古の袴じゃ締りが悪いだろ」
「いいえ。吉法師様の匂いをたっぷり含んでおりますので、とても履き心地が良いですよ」
「新調しよう」
帰蝶の言葉は、どこか恥しくて仕方ない
信長はらしくもなく顔を赤らめ、先を出た
「なんと、珍しい対馬の馬だったが、先に買われてしまったか。どこのお大尽だ」
まさかそれが帰蝶の夫だとは知らない利賢は、口惜しそうに対州馬を見た
「次に入って来るのはいつだ」
「へぇ、半年後ですかねぇ」
「半年後か」
「父上、別に木曽馬でもいいじゃないですか」
「ばっかもーん!」
利賢の怒鳴り声に利三のみならず、対応に出た平左衛門も耳の孔に指を突っ込む
「木曽馬など、いつでも手に入るではないか。そんな手頃なところで手を打って、一流の武将になどなれるものかッ!」
「そ、そうですが、ないものは仕方がないでしょう?」
「よし、予約を入れよう」
「毎度ありがとうございます」
「代金はいくらだ」
「へぇ、珍しい馬ですので、二十貫です」
「吹っ掛け過ぎだ」
馬の市場と言うだけあって、木曽馬だけではなく九州からの馬もたくさん並んでいる
さっき帰蝶が買い上げた同じ対馬の馬もあったが、面構えはあの馬の方が上だと自賛した
馬だけではなく、商品の物流もそれなりにあり、鎧兜や刀、鍋や五徳の台所商品も並んでいた
狭い道筋なので馬で乗り入れることはできず、大抵は入り口の馬屋に預かってもらう
その馬屋に向かう途中で帰蝶は、自分より少し先に歩いていたはずの信長の背中を見失ってしまった
「吉法師様・・・?」
辺りを見回すが、それらしい背中を見付けることはできない
「はぐれちゃったのかな」
少し困った顔をするも、馬を預かってもらっている店の場所は覚えているので、そこに行けば逢えるだろうと楽観視していた、その帰蝶の目の前に、逢いたくて、だけど忘れていた顔が見えた
「 」
硬直する背中
高鳴る胸の痛み
懐かしい顔
「 姫様・・・・・・・・・」
利三も、帰蝶に気付いた
「どうして、ここに・・・」
「お清・・・」
利三も目を見開いて、帰蝶を見詰めた
何も話せず、ただ黙って見詰め合う
「あ・・・、あの・・・」
「 」
口唇が震え、手足が震え、言葉が紡げない
そんな二人の静寂を切って、信長の声がした
「帰蝶!そこに居たか」
「吉法師様・・・」
「すまん、早く歩き過ぎた」
「 」
初めて目にする、帰蝶の夫
織田信長
背の高さはさすが帰蝶に釣り合うほどだ
少し痩せ型か、すらりと伸びた手足が印象的で、しかも武士らしい恰好ではないのが利三には歪に見えた
「ん?知り合いか?」
帰蝶を見詰めていた利三に目が向く
「いいえ・・・・・・・・・・」
どうしてだろう
咄嗟に信長の手を握ると、帰蝶は逃げるようにその場を去った
「人違いです。知りません」
「帰蝶?」
「あ・・・・・・・・・」
信長を連れ、立ち去る帰蝶の背に手が伸びる
利三は慌ててそれを引込めた
「姫様・・・」
どうして
わからない
忘れていた
忘れようとしていた
なのに、不意に目の前に現れた
こんなところで逢えるだなんて、想ってもみなかった
消そうと努力していた恋心が、まるで火山の如く帰蝶の胸で燻る
打ち消さなくてはならない
自分は、人妻なのだから
織田の嫁なのだから
もう、斎藤の姫君ではないのだから
帰蝶は信長の手を引っ張ったまま、馬を預けてある店に入った
あれが、姫様の亭主
織田の嫡男
尾張のうつけ者
その人柄はわからないが、帰蝶との夫婦仲は良さそうだった
それに少し安心し、少し嫉妬した
「それにしても、馬市場にいるだなんて・・・」
利三は想い出し、頬が緩んだ
「姫様らしい・・・」
「若ぁ!奥方様ぁッ!」
玄関先で待ち構えていた平手に捕まり、二人で説教を食らう
がみがみと怒鳴る平手に、信長は何とか宥めに入り、帰蝶はただ黙っていた
その様子を隣から伺い、信長も首を傾げる
たっぷりと一刻は説教を食らい、漸く開放された頃、信長は帰蝶に話し掛けた
「どうした、帰蝶。随分大人しかったな」
「吉法師様・・・」
「じぃの説教は今に始まったことじゃない。気に病むな」
「はい・・・」
それでも元気の出ない帰蝶の顔を覗き込む
「どうした、お前らしくないぞ?」
「 吉法師様・・・」
「ん?」
「今夜・・・」
俯き、自分の両手をぎゅっと結びながら、帰蝶は言った
「閨に・・・来てください・・・」
「ん?どうした、急に」
「帰蝶を・・・、抱いてください・・・」
「帰蝶」
消えないんです
さっきからお清の顔がちらついて、頭から離れない・・・
「私を、あなたの妻にしてください」
「お前はもう、俺の妻だろ?」
笑い出す信長に、帰蝶は責めるような目をする
「抱いてください・・・ッ。抱いて、私を女にしてください・・・ッ」
それで、お清を忘れられるのなら・・・・・・・・・・
「帰蝶」
取り乱すかのような帰蝶の肩を掴み、信長は自分の正面に向けさせた
「ああ、抱こう。何れはお前に俺の子を産んでもらわにゃならんのだからな、抱けと言うのならここでも構わない」
「吉法師様・・・」
往来の廊下では、さすがに遠慮したい心境になる帰蝶であった
「だけどな、今のお前は御免だ」
「え・・・?」
「そんな、泣きそうな顔してるお前抱いたって、しょーがねーだろ?」
「 」
帰蝶の目が見開いた
涙など、流していない
それでも夫は、自分の心を読んだ
「女房ってさ、側に居る女って意味だろ?お前にとってはお能が女房で、俺にとってはお前が女房だ。体の結び付きだけで、分けるようなもんじゃない。その中でも、一番意味あるのが『妻』だ。確かに俺達は夫婦で、とっくの昔に結んでなきゃなんねぇ。でもな、俺はお前と一緒に居ることに意味があると想ってる」
「吉法師様・・・」
「そりゃ、俺も男だ。やりたいもんはやりたい」
「 」
信長の言い回しに、帰蝶は想わず吹き出しそうになった
「でもさ、子供ができりゃ、今日みたいにお前と出歩いたりできなくなっちまう。俺はそれが淋しいのよ」
「淋しい・・・?」
「お前は俺の女房だ。側に居てくれなきゃ、始まんない」
「吉法師様・・・」
やんわりと諭す信長に、帰蝶は自分が恥しくなった
別の男を忘れるために抱けと言ったのだから・・・
「ごめんなさい・・・」
「んー?謝るほどのもんじゃないだろ?それに謝んなきゃなんないのは、俺の方だし。今日も付き合わせて、じぃにどやされたしな」
「それはもう、馴れっこです」
にわかに、いつもの調子を取り戻したかのような帰蝶に、信長も笑う
「そうか、馴れっこか。だったら明日は三河の」
その途端
「若ぁーッ!」
早速明日出掛ける相談をする信長を見付けた平手が、怒鳴りながら追い駆け回す
「明日は国人の会合があると申しましたでしょうにーッ!」
「悪かったってー!」
逃げながら謝る信長に、帰蝶は大声を出して笑った
不思議な気分だった
夢から現実に引き戻されたような、あやふやな感覚に包まれながらも、まだ夢の世界を彷徨っているかのような気分になる
それでも、目の前で走り回る夫は、確かに現実のものだった
心の中に、利三
瞳の中に、信長
二人の存在が鬩ぎ合い、帰蝶を苛む
そんな感覚に身を浸し、僅かな恍惚を感じる
この気持ちをなんと言うのか、帰蝶にはわからない
わからないまま、その心地よさと心地悪さの間で帰蝶は身悶えた
自分は深入りし過ぎたのかも知れないと後悔しながら
帰蝶は、兄からもらった刀を信長に見せた
「この妖しい輝きを放つ刃先は、見事の一言だ」
「吉法師様には、こちらを」
帰蝶は別の絹の袋を信長に手渡した
「ん?何だ?」
そう言いながら閉じ紐を解く
中から出て来たのは、陣太刀だった
「見事な柄だ。錦の糸を贅沢に使ってるな」
「こちらが関孫六の作でございます」
「関か!こっちじゃ滅多に手に入らんぞ」
やはり男だからか、信長の目がキラキラと輝いている
黄色と朱色の錦の糸が絡み合う陣太刀の鞘を抜き、その刀身を光に当てた
「兄から吉法師様にと」
「そうか。兄上には礼を送らにゃなんねーな。こんな立派な物をもらっちゃぁ、恐縮しちまう」
「そんな」
「お前をもらえただけでも、御の字だってのに」
「
照れるようなことをさらりと言ってのける夫に、まだ馴れていない帰蝶は顔を赤らめて俯いた
「刀を持たせるって言うことは、自分の寝首を掻かれる場合もあり得るってーのに、それでも贈るなんて、お前の兄貴は器のでっけぇ人物なんだな」
「はい。ですが、そんな兄を父は見縊っております。それが悲しゅうございます」
「見縊るのは、何処の親もそんなもんだ。倅が自分より上位に来ることなんて、ないんだからな」
「そんなものでしょうか」
「そんなもんだ」
「そうですか」
鳶が鷹を産むと言う喩えもあるが、自分の親を鳶だとは想いたくないし、かと言って大好きな兄を莫迦にされるのも余り気分の良い物ではない
それでも夫の言葉には多少なりとも励まされた
「それよりも、帰蝶」
「はい」
「こんな上等の業物を持っていながら、飾りで置いておくのも勿体ない」
「ですが、かと言って振り回すわけにも行かないでしょう?」
「そうだなー」
と、腕を組んで考え込む信長
その後
「若ぁー、お止めくだされ~~~ッ!」
庭で木刀を構えた信長と帰蝶に、平手は顔を青褪めて止めに入った
信長と言う夫は、非常識と言うよりも、古臭い考えに捉われない自由な発想の下で行動しているように想えた
「ほれ、帰蝶。脇が甘い」
「はい」
女の帰蝶に刀の振り方を教えたり、今日は弓の稽古に勤しむ
「鷹狩に行こうか、帰蝶」
「はい」
「今日は隣村が田植えの猿田楽をするらしい。見学に行こう、帰蝶」
「はい」
「帰蝶、相撲を見に行くぞ。仕度しろ」
「はい」
毎日毎日信長は、帰蝶を連れてあちらこちらに駆け回る
自由に行動できる範囲と言えば、稲葉山城の周辺しかなかった帰蝶にとって、これほど刺激的な毎日はなかった
「今日は何処に連れてってくださるのですか、吉法師様」
「そうだな」
仲睦まじい夫婦と言うよりも、仲の良い兄妹と言った感じが否めない
帰蝶が嫁に来て一ヶ月が過ぎても、二ヶ月が過ぎても、二人は毎日馬を走らせどこかに出掛けてしまう
これでは城主たる仕事ができないと、傅役の平手から小言を食らうのも仕方なかった
帰蝶が一人で満足に馬を走らせることができるようになった夏の頃、とうとう平手から呼び出しが掛かってしまった
「奥方様」
「はい」
厳しい顔付きの老人を前に、帰蝶は少し居心地の悪い想いをする
「毎日毎日若と共に遠出もよろしゅうございますが、若には若のお仕事がございます」
「はい・・・」
「それを放ぽって、朝から晩まで城を空けられては、こちらの体面が保てません」
「はい・・・」
義理の叔母・しきを相手なら何とでも言い返せる帰蝶だが、四角四面な平手を相手では調子が崩れて、軽くあしらうこともできない
帰蝶は大人しく説教を受けた
「若が城を抜け出せば、それを咎めるのが奥方様の役目ではございませんか。それを一緒になって出掛ければ、若の放蕩振りを助長するだけでございます。若があのようなうつけなら、せめて奥方様だけでも叱咤することくらいはしていただけませんと、こちらの負担が大きくなるだけでございます」
「すみません・・・」
信長のうつけ振りは生まれ持った物だと聞いているし、それで誰かに迷惑を掛けたわけでもなく、精々織田が笑われるだけのことだと帰蝶は想っていた
信長が側に居るから気付かなかったが、ここも随分と息苦しいところだと溜息が出る
それだけを考えれば、実家はまだ自由だったなと懐かしむ
自分が何をしようが、滅多なことで叱られた覚えはない
「また姫様は」
と、大笑いされるのが関の山で、自分の行動云々について、こんな風に指摘された覚えもなかった
「今後は気を付けてくだされ」
「はい、肝に銘じます」
漸く平手から開放され部屋に戻ると、夫がお能の膝枕で寝ている
「吉法師様!」
「あ、姫様・・・ッ。こっ、これは・・・ッ!」
浮気ではございません
お能はそう言いたかった
しかし
「戻ったか、帰蝶。じぃの説教は、どうだった?」
目を開け上半身を起す信長に、帰蝶は目を吊り上げて怒鳴った
「お能の膝枕は、帰蝶のものにございます!使う時は、帰蝶に断ってからにしてくださいませ!」
「
「兎に角、城主らしい仕事をと、仰ってました」
「城主らしい仕事、か」
帰蝶から話を聞き、信長は腕を組む
「城主らしい仕事って、何だ」
「発給したり、安堵したりでしょうね」
「それだけか?」
「私だって、よくわかりませんよ。やったことありませんもの」
「そうだなぁ・・・」
「でも、領民や家臣の話に耳を傾けるのも、城主の仕事だって兄様は言ってました」
「領民や、家臣の話・・・か。あいつら、小言しか言わないもんなぁ」
顔を顰める信長に、帰蝶は痛い一言を放つ
「小言しか言わせない吉法師様が悪いんでしょ?」
「言うね、お前ってヤツは」
信長の頭に汗が浮かび、お能は苦笑いする
「まぁ、なんかやってりゃ良いのか」
「駄目だったら駄目で、平手殿が注意してくれるでしょ?」
「そうだな」
「
似た者同士と言えば良いのか、似た者夫婦と言えば良いのか、揃って楽天家な信長と帰蝶に、お能は頭から汗を浮かばせた
平手の説教が効いたのか、帰蝶の妥協案を飲んだのかわからないが、この年から信長はぼちぼちと、城主らしい仕事をするようになった
帰蝶が嫁いで一年が過ぎた
信長も平手らの補佐を受けながら、徐々に仕事の数を増やして行く
忙しい合間を縫って二人で平手の目を盗み城を抜け出すのは、日常茶飯事のままだが
「帰蝶」
「はい」
「そろそろお前にも馬を与えてやらねばな」
「そんな」
もうすっかり乗馬姿も様になって来た帰蝶は、贅沢なことだとやんわりと断る
「私はこのままで良いです。吉法師様のように、早駆けなんてできませんから」
「でもなぁ、いつまでも駄馬でってわけにもいかんだろ」
「みすぼらしいですか?」
「いや。お前に合わせてゆっくり走るのも、ちょっと苛々する」
「っぷ・・・」
普通は言いにくいことでもずばずば言う信長に、帰蝶は吹き出す
「競争でもしたいんですか?」
「そう言うわけじゃないけどな、お前だったら早駆けも大丈夫なんじゃないかって想えてさ」
「腕を買ってくださったと受け取って、良いんですね?」
「そうだな」
「ありがとうございます」
「このまま小牧まで走れるか?」
「はい、大丈夫です」
「よし。行くか」
「はい」
何処に行くか
何をするか
面倒なことも少し話し合って相談して、即決するのがこの夫婦の特徴だった
ややこしい談合も必要なかった
小牧は美濃に程近い場所にある
嫁入りの際はここを通らなかったが、信長から話を聞かされており、一度馬場を訪れてみたいと想っていただけに気持ちがワクワクした
戦や農作業には欠かせない馬は、一度ここに集められ、取引される
「この辺りには貸し馬屋ってのがあってな」
「貸し馬屋?」
商業的に成功しているのかどうかわからないが、身分を問わず大勢の人間が行き交っていた
そんな中で女の帰蝶が馬に乗ってるのが珍しいのか、道行く人間が振り返って驚く
「戦なんかじゃ馬鹿みたいに馬が要るけど、一々育ててらんないし、飼育の費用も嵩張るからな、戦の時だけ馬を借りてるんだ」
「そうなんですか」
「斎藤ではどうだった?」
「はい、斎藤は専用の牧場を持ってます。そこに厩舎もありましたので、必要な時はそこから出し入れしております」
「専用の牧場?そりゃ豪気なもんだな」
「死んでしまえば馬刺しにもできますし」
「ああ、そうか。美濃には馬を食べる習慣があったか。土地が違えば文化も違うな」
尾張ではそう言った食文化はなく、大抵は驚くことだが、信長はそんな素振りも見せない
「結構美味しいですよ?馬刺し」
「そうか。今度うちでも出してみるか。お前も食べたいだろ?」
「はい、楽しみにしております」
「よし、そうと決まれば、馬刺し用の馬も買うか」
「でも、捌ける職人は居るんですか?」
「どうせ牛と同じだろ?」
「そんなもんですか?」
牛を食す文化は武家の中にはちらほらあり、織田家も時折は牛肉を食卓に並べている
日常的に食べているわけではないが、干し肉は戦の際の携帯食としても用いられることがあり、美濃でも食用の牛の生産をやっている農家がちらほらと見え、隣の近江でも同様のことを目的とした農家があった
ただ、やはり農耕用として利用するのが主流でもあるため、一般家庭で牛肉を食べるのは非常識極まりない時代である
二人の会話がどれだけ常軌を逸しているかが伺えた
同じ頃、同じ小牧の馬場
「父上」
同じ場所に、利三も居た
「やはり私ごときに専用馬など、少し早過ぎませんか?」
「何を言っておるか。お前も新九郎様の許で武功を上げねばならん。それにはそれなりの馬が必要であろうに」
「でしたら、山県の牧場から借りればいいだけのことですし」
「ばっかもーん!」
「
地鳴りを伴う父の怒鳴り声に、利三は身を竦めた
「もう直ぐ斎藤の姫君を娶ろうかと言う者が、いつまで借り物で済ませる気か」
「すみません・・・」
元々は利三の一族が正当な斎藤家の本筋である
それを道三の養子入りと言う形で乗っ取られ、長井斎藤家は道三に傅く結果となってしまった
利三や父利賢の『利』の字が通し字であることを表すかのように、起源は平安王朝時代の藤原利仁から始まる
そこから河合斎藤氏が生まれ、長井斎藤氏、勢多斎藤氏に枝分かれし、赤塚氏になり、更に現在の美濃斎藤氏が生まれた
長井家は斎藤家の眷属であり、主従関係にあったのを道三の父・松波庄五郎に乗っ取られ、道三に代替わりしてから土岐家を後ろ盾に斎藤家を乗っ取った
家臣に鞍を落とされたとは言え、それでも道三からは重用されていたのでこの頃はまだ一門の扱いである
「折角新九郎様がお前を買ってくださってるのだ。覚えめでたく行かねばな」
「はあ・・・」
次男とは言え、嫡男に万が一のことがあれば利三が斎藤家を継ぐことになるため、利三の才能を恐れた道三は帰蝶の妹を嫁として宛がった
来年、祝言を挙げることに決定している
そのためか義龍に馬廻り衆として抜擢され、『姫様のお守』から一躍『一廉の将』に大出世した
帰蝶が嫁に行って一年
心にぽっかり穴が開いたような気持ちを引き摺ったまま、今日に至る利三にとってここ数日間は目まぐるしく過ぎた
「出入りの馬業者に頼むのも良いが、ただ連れて来る馬を買うのも味気ない。どうせ買うのなら、市場に来て吟味せねばな」
「そうですね」
馬廻り衆抜擢に一番浮かれているのは、利三ではなく父だった
ソワソワしている父に諌めるような言葉は言えない
利三はただ黙って、父の後ろに付いた
「あぁ、これは織田の若様」
顔馴染みの馬屋の亭主が、信長に気付く
年は五十代と言ったところか
「景気はどうだ」
「はい、お陰様で。ここのところ今川様から馬の用意をしろと仰せ付かりまして、全国駆け回っております」
「そうか、今川が動き出したか」
何処の家が馬を買ったか、買った量を計ればそれが戦の前兆かただの補充かがわかる
「今回はどれくらい買ってった?」
「そうですね、五~六十ってところですか」
「そんなもんか」
「他の店にも発注してますからなんとも言えませんが、三河辺りが危ないんじゃないかと」
「松平も嫡男を織田の人質に取られてるからな、尾張と駿府の挟み撃ちってわけだ。中々気が抜けないな」
「ところで、今日はなんの御用で?後ろのご令嬢は、妹君様で?それとも、恋人(マブ)ですか?」
いやらしい目付きでにやっと笑う業者に、信長は大笑いする
「こいつは俺の女房だ」
「へぇぇ!そっ、そりゃ失礼なことを・・・ッ!」
道の往来でガバッと土下座する
「奥方様、どうかご勘弁を!」
「許してやらんでもない」
帰蝶はおかしくて吹き出しそうになるのを必死で押えて、居直った
「だが、ただ許しただけでは世間に申し開きも立たんだろ」
「へ、へへぇーッ!」
帰蝶の言葉に、平左衛門は平伏した
「どうする、帰蝶」
「そうですね。今日の目玉商品を格安で提供してもらいましょうか」
「えぇぇ?!」
「そりゃ良い」
驚く亭主に、乗る信長
「それで手を打て、平左衛門」
「しっ、しかし、今日の目玉は対馬より取り寄せた対州馬。仕入原価を割りますよ・・・」
泣きそうな顔をする平左衛門に信長も、笑い出したいのを必死で抑える
「そうだな、だったらこうしよう」
「何ですか?」
「荷駄の馬を三頭、それから若い雌馬を一頭もらおう」
「荷駄馬三頭、雌馬一頭ですか。それはありがとうございます」
「で、対馬からやって来た馬ってのは、何処に居る」
「へえ、こちらです」
平左衛門は先頭に立ち、馬を繋いだ杭に案内した
「今日の目玉商品は、日の本の果て、対馬よりやって来た黒牡馬だぁ!なんとたったの十貫!どうだどうだ、早い者勝ちだよ!」
十貫と言えば、一般の米消費一人分に換算すれば二十年分に匹敵する
通常の対州馬と比較しても少し背が大きいところを見れば、農耕馬と言うよりも軍馬として仕入れたのだろう
「平左衛門」
「はい」
「吹っ掛け過ぎだ」
「はぁ・・・」
これを聞いていた信長が、そっと平左衛門に突っ込んだ
「おーい、弥三郎」
「なんだ、親父」
競売に掛けていたのは、平左衛門の倅のようである
「その馬、織田様がお買い上げだ。連れて来い」
「へーい」
弥三郎は杭から手綱を引き抜き、信長の許に連れて来た
「久し振りだな、弥三郎」
「どうも、吉法師様、お久し振りです」
比べてみれば、弥三郎の方が少し年上だろうか
「こいつらは親父が若い頃から馬の仕入れやってる業者でな、土田(どた)平左衛門に弥三郎親子だ。弥三郎」
「へい」
「こいつは俺の女房で、帰蝶と言う。よしなに頼む」
「にょっ、女房殿?!」
「よろしくお願いします、弥三郎殿」
「こっ、こちらこそ!どっどっ、土田弥三郎です!どうか、お見知りおきを!」
信長にだけ目の行っていた弥三郎は、はたと見た美少女に、一気に血の気が上がる
「土田一族は、元々は美濃の可児出身だ。本家はそっちで豪族として残ってる」
「可児ですか。私の親戚が、そこに住んでおります」
「へぇぇ、どちらさまで?」
極度に緊張している弥三郎を置いて、人生の酸いも甘いも経験している分、落ち着いている平左衛門が聞いた
「長山の明智です」
「
まさか生粋のお姫様だとは想っていなかった平左衛門も、呆然とした顔をする
「しかし、平左衛門親子は面白かったなぁ。お前が斎藤の姫君だってわかった途端、あんなにも狼狽するとは想ってなかったぞ」
「私もです。まるで珍獣でも見るかのような目で、落ち着きませんでした」
「ははは!珍獣か、それはいい例えだ」
「吉法師様まで笑ってっ」
「許せ許せ」
談笑しながら帰路に着く
「それにしても
「こいつが、対州馬です」
平左衛門が馬を信長に見せるため、引き寄せた
初めはなんでもなかった馬だったが、帰蝶が触れようとした途端暴れ出し、周囲は騒然となった
「こ、こら!落ち着け!」
弥三郎がしがみ付き、大人しくさせようとしても、馬は暴れて今にも駆け出さんばかりである
そんな馬に怯えることもなく、帰蝶はそっと鼻頭に掌を当てた
「どう、どう」
その瞬間、前足を蹴り上げていた馬がいきなり大人しくなる
「お前、自尊心が強いのね。私が主では、不服?」
馬は帰蝶の問いに答えるわけがない
それでも構わず話し掛ける
「でもね、これがお前の運命だったのよ。大人しく従いなさい」
「
鼻息荒い馬に、帰蝶は言った
「私はお前の、その気の荒さが気に入ったわ。私を乗せて、走ってね」
「帰蝶」
「おかしいなぁ・・・。対馬の馬は大人しくて従順なのに。こんなに気が荒くなったのなんて、初めてですよ」
「馬だって個体があるわ。色んな性格があってもおかしくない。この子はきっと、もっと立派な侍に乗ってもらうことを望んでたのね」
「だったら、お前が乗りこなしてやれば、こいつだって納得するんじゃないか?」
「そうですね」
帰蝶が乗っていた馬とは鐙が合わないため、鞍を付けて後日那古野に届けることで商談が成立する
一瞬でも暴れた馬を相手にしても、全く動じなかった帰蝶の胆の太さに驚かされた
凡そ女らしくないその振る舞いは、信長にとって見たこともない女の部類である
大抵は楚々として、大人しく無駄口も叩かない
それが女だと想っていた信長の好奇心を駆り立てる
「お前にも狩り衣を買ってやろう」
「今日は随分と浪費なさいますね」
「いつまでも、俺のお古の袴じゃ締りが悪いだろ」
「いいえ。吉法師様の匂いをたっぷり含んでおりますので、とても履き心地が良いですよ」
「新調しよう」
帰蝶の言葉は、どこか恥しくて仕方ない
信長はらしくもなく顔を赤らめ、先を出た
「なんと、珍しい対馬の馬だったが、先に買われてしまったか。どこのお大尽だ」
まさかそれが帰蝶の夫だとは知らない利賢は、口惜しそうに対州馬を見た
「次に入って来るのはいつだ」
「へぇ、半年後ですかねぇ」
「半年後か」
「父上、別に木曽馬でもいいじゃないですか」
「ばっかもーん!」
利賢の怒鳴り声に利三のみならず、対応に出た平左衛門も耳の孔に指を突っ込む
「木曽馬など、いつでも手に入るではないか。そんな手頃なところで手を打って、一流の武将になどなれるものかッ!」
「そ、そうですが、ないものは仕方がないでしょう?」
「よし、予約を入れよう」
「毎度ありがとうございます」
「代金はいくらだ」
「へぇ、珍しい馬ですので、二十貫です」
「吹っ掛け過ぎだ」
馬の市場と言うだけあって、木曽馬だけではなく九州からの馬もたくさん並んでいる
さっき帰蝶が買い上げた同じ対馬の馬もあったが、面構えはあの馬の方が上だと自賛した
馬だけではなく、商品の物流もそれなりにあり、鎧兜や刀、鍋や五徳の台所商品も並んでいた
狭い道筋なので馬で乗り入れることはできず、大抵は入り口の馬屋に預かってもらう
その馬屋に向かう途中で帰蝶は、自分より少し先に歩いていたはずの信長の背中を見失ってしまった
「吉法師様・・・?」
辺りを見回すが、それらしい背中を見付けることはできない
「はぐれちゃったのかな」
少し困った顔をするも、馬を預かってもらっている店の場所は覚えているので、そこに行けば逢えるだろうと楽観視していた、その帰蝶の目の前に、逢いたくて、だけど忘れていた顔が見えた
「
硬直する背中
高鳴る胸の痛み
懐かしい顔
「
利三も、帰蝶に気付いた
「どうして、ここに・・・」
「お清・・・」
利三も目を見開いて、帰蝶を見詰めた
何も話せず、ただ黙って見詰め合う
「あ・・・、あの・・・」
「
口唇が震え、手足が震え、言葉が紡げない
そんな二人の静寂を切って、信長の声がした
「帰蝶!そこに居たか」
「吉法師様・・・」
「すまん、早く歩き過ぎた」
「
初めて目にする、帰蝶の夫
織田信長
背の高さはさすが帰蝶に釣り合うほどだ
少し痩せ型か、すらりと伸びた手足が印象的で、しかも武士らしい恰好ではないのが利三には歪に見えた
「ん?知り合いか?」
帰蝶を見詰めていた利三に目が向く
「いいえ・・・・・・・・・・」
どうしてだろう
咄嗟に信長の手を握ると、帰蝶は逃げるようにその場を去った
「人違いです。知りません」
「帰蝶?」
「あ・・・・・・・・・」
信長を連れ、立ち去る帰蝶の背に手が伸びる
利三は慌ててそれを引込めた
「姫様・・・」
どうして
わからない
忘れていた
忘れようとしていた
なのに、不意に目の前に現れた
こんなところで逢えるだなんて、想ってもみなかった
消そうと努力していた恋心が、まるで火山の如く帰蝶の胸で燻る
打ち消さなくてはならない
自分は、人妻なのだから
織田の嫁なのだから
もう、斎藤の姫君ではないのだから
帰蝶は信長の手を引っ張ったまま、馬を預けてある店に入った
あれが、姫様の亭主
織田の嫡男
尾張のうつけ者
その人柄はわからないが、帰蝶との夫婦仲は良さそうだった
それに少し安心し、少し嫉妬した
「それにしても、馬市場にいるだなんて・・・」
利三は想い出し、頬が緩んだ
「姫様らしい・・・」
「若ぁ!奥方様ぁッ!」
玄関先で待ち構えていた平手に捕まり、二人で説教を食らう
がみがみと怒鳴る平手に、信長は何とか宥めに入り、帰蝶はただ黙っていた
その様子を隣から伺い、信長も首を傾げる
たっぷりと一刻は説教を食らい、漸く開放された頃、信長は帰蝶に話し掛けた
「どうした、帰蝶。随分大人しかったな」
「吉法師様・・・」
「じぃの説教は今に始まったことじゃない。気に病むな」
「はい・・・」
それでも元気の出ない帰蝶の顔を覗き込む
「どうした、お前らしくないぞ?」
「
「ん?」
「今夜・・・」
俯き、自分の両手をぎゅっと結びながら、帰蝶は言った
「閨に・・・来てください・・・」
「ん?どうした、急に」
「帰蝶を・・・、抱いてください・・・」
「帰蝶」
さっきからお清の顔がちらついて、頭から離れない・・・
「私を、あなたの妻にしてください」
「お前はもう、俺の妻だろ?」
笑い出す信長に、帰蝶は責めるような目をする
「抱いてください・・・ッ。抱いて、私を女にしてください・・・ッ」
それで、お清を忘れられるのなら・・・・・・・・・・
「帰蝶」
取り乱すかのような帰蝶の肩を掴み、信長は自分の正面に向けさせた
「ああ、抱こう。何れはお前に俺の子を産んでもらわにゃならんのだからな、抱けと言うのならここでも構わない」
「吉法師様・・・」
往来の廊下では、さすがに遠慮したい心境になる帰蝶であった
「だけどな、今のお前は御免だ」
「え・・・?」
「そんな、泣きそうな顔してるお前抱いたって、しょーがねーだろ?」
「
帰蝶の目が見開いた
涙など、流していない
それでも夫は、自分の心を読んだ
「女房ってさ、側に居る女って意味だろ?お前にとってはお能が女房で、俺にとってはお前が女房だ。体の結び付きだけで、分けるようなもんじゃない。その中でも、一番意味あるのが『妻』だ。確かに俺達は夫婦で、とっくの昔に結んでなきゃなんねぇ。でもな、俺はお前と一緒に居ることに意味があると想ってる」
「吉法師様・・・」
「そりゃ、俺も男だ。やりたいもんはやりたい」
「
信長の言い回しに、帰蝶は想わず吹き出しそうになった
「でもさ、子供ができりゃ、今日みたいにお前と出歩いたりできなくなっちまう。俺はそれが淋しいのよ」
「淋しい・・・?」
「お前は俺の女房だ。側に居てくれなきゃ、始まんない」
「吉法師様・・・」
やんわりと諭す信長に、帰蝶は自分が恥しくなった
別の男を忘れるために抱けと言ったのだから・・・
「ごめんなさい・・・」
「んー?謝るほどのもんじゃないだろ?それに謝んなきゃなんないのは、俺の方だし。今日も付き合わせて、じぃにどやされたしな」
「それはもう、馴れっこです」
にわかに、いつもの調子を取り戻したかのような帰蝶に、信長も笑う
「そうか、馴れっこか。だったら明日は三河の」
その途端
「若ぁーッ!」
早速明日出掛ける相談をする信長を見付けた平手が、怒鳴りながら追い駆け回す
「明日は国人の会合があると申しましたでしょうにーッ!」
「悪かったってー!」
逃げながら謝る信長に、帰蝶は大声を出して笑った
不思議な気分だった
夢から現実に引き戻されたような、あやふやな感覚に包まれながらも、まだ夢の世界を彷徨っているかのような気分になる
それでも、目の前で走り回る夫は、確かに現実のものだった
心の中に、利三
瞳の中に、信長
二人の存在が鬩ぎ合い、帰蝶を苛む
そんな感覚に身を浸し、僅かな恍惚を感じる
この気持ちをなんと言うのか、帰蝶にはわからない
わからないまま、その心地よさと心地悪さの間で帰蝶は身悶えた
自分は深入りし過ぎたのかも知れないと後悔しながら
PR
濃姫(帰蝶)好きの方へ
本日は当サイトにお越しいただき、ありがとうございます
先ずはこちらのページを一読していただけると嬉しいです→お願い
文章の誤字・脱字が時折混ざっております
見付け次第修正をしておりますが、それでもおかしな個所がありましたらお詫び申し上げます
了承なしのリンクは謹んでご辞退申し上げます
先ずはこちらのページを一読していただけると嬉しいです→お願い
文章の誤字・脱字が時折混ざっております
見付け次第修正をしておりますが、それでもおかしな個所がありましたらお詫び申し上げます
了承なしのリンクは謹んでご辞退申し上げます
更新のお知らせ
(02/20)
(10/16)
(11/04)
(06/24)
(03/25)
◇◇プチお知らせ◇◇
1/22 『信長ノをんな』壱~参 / 公開
現在更新中の創作物(INDEX)
信長 ~群青色の約束~
こんな感じのこと書いてます
カウント(0)は現在非公開中です
管理人の独り言も混じっております
[11/04 Haruhi]
[08/13 kitilyou]
[06/26 kitilyou命]
[03/02 kitilyou命]
[03/01 kitilyou命]
ゲームブログ
千極一夜
家庭用ゲーム専用ブログです
『戦国無双3』が絶望的存在であるため、更新予定はありません
◇◇11/19 Nintendo DSソフト◇◇
『トモダチコレクション』
おのうさま(帰蝶)とノブ(信長)が 結婚しました(笑
家庭用ゲーム専用ブログです
『戦国無双3』が絶望的存在であるため、更新予定はありません
◇◇11/19 Nintendo DSソフト◇◇
『トモダチコレクション』
おのうさま(帰蝶)とノブ(信長)が 結婚しました(笑
祝:お濃さま出演 But模擬専… (戦国無双3)
おのれコーエーめ
よくもお濃様を邪険にしおってからに・・・(涙
(画像元:コーエー公式サイト)
オンラインゲームにてお濃様発見
転生絵巻伝 三国ヒーローズ公式サイト:GAMESPACE24
『武将紹介』→『ゲーム紹介』→『Exキャラクター紹介』→『赤壁VS桶狭間』にてお濃様閲覧可
キャラクター紹介文
「 絶世の美貌を持つ信長の妻。頭が良く機転が利き、信長の覇業を深く支えた。
また、信長を愛し通した一途な妻でもあった。」
(画像元:GAMESPACE24公式サイト)
勝手にPR
濃姫好きとしては、飲めなくても見逃せない
岐阜の地酒 日本泉公式サイト

(二本セットの画像)
夫婦セット 吟醸ブレンド(信長・濃姫)
本醸造 濃姫
カップ酒 濃姫®=爽やかな麹の薫り高い、カップとは想えない出来上がりのお酒です
吟醸ブレンド 濃姫® ブルーボトル=自然の香りのお酒です。ほんの少し喉を潤す程度でも香りが深く体を突き抜けます
本醸造 濃姫®=容量的に大雑把な感じに想えて、麹の独特の香りを抑えたあっさりとした風味です
今現在、この3種類を試しておりますが、どれも麹臭い雰囲気が全くしません
飲料するもよし、お料理に使うもよし
お料理に使用しても麹の嫌な独特感は全く残りません
奇跡のお酒です
何よりボトルがどれも美しい
清洲桜醸造株式会社公式サイト


濃姫の里 隠し吟醸
フルーティで口当たりが良いです
一応は『辛口』になってますが、ほんのり甘さも残ってます
わたしは料理に使ってます
清洲城信長 鬼ころし
量的に肉や魚の血落としや、料理用として使っています
麹の香りが良いのが特徴ですが、お酒に弱い人は「うっ」と来るかも知れません
どちらも一般スーパーに置いている場合があります
岐阜の地酒 日本泉公式サイト
(二本セットの画像)
夫婦セット 吟醸ブレンド(信長・濃姫)
本醸造 濃姫
カップ酒 濃姫®=爽やかな麹の薫り高い、カップとは想えない出来上がりのお酒です
吟醸ブレンド 濃姫® ブルーボトル=自然の香りのお酒です。ほんの少し喉を潤す程度でも香りが深く体を突き抜けます
本醸造 濃姫®=容量的に大雑把な感じに想えて、麹の独特の香りを抑えたあっさりとした風味です
今現在、この3種類を試しておりますが、どれも麹臭い雰囲気が全くしません
飲料するもよし、お料理に使うもよし
お料理に使用しても麹の嫌な独特感は全く残りません
奇跡のお酒です
何よりボトルがどれも美しい
清洲桜醸造株式会社公式サイト
濃姫の里 隠し吟醸
フルーティで口当たりが良いです
一応は『辛口』になってますが、ほんのり甘さも残ってます
わたしは料理に使ってます
清洲城信長 鬼ころし
量的に肉や魚の血落としや、料理用として使っています
麹の香りが良いのが特徴ですが、お酒に弱い人は「うっ」と来るかも知れません
どちらも一般スーパーに置いている場合があります
ブログ内検索
ご訪問、ありがとうございます
あまり役には立ちませんが念のため
解析