×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
数日後、平左衛門の店から買ったばかりの対州馬が届いた
「まぁ!なんて立派な馬でしょう。対馬の馬って、確か小型なんですよね?農耕馬だから」
その大きさに、お能は目を丸くする
「これ、姫様が乗るんですか?」
「そうよ。吉法師様が、買ってくださったの」
「まぁまぁ、また姫様のじゃじゃ馬伝説が増えるんですね」
「何、そのじゃじゃ馬伝説って・・・」
対馬の馬は小型の農耕馬だが、あの日平左衛門が仕入れた対州馬は並外れた大きな体躯のものだった
だからこそ、高値で売ろうとしていたのだが、それを帰蝶に付け込まれ、殆ど原価に近い金額で売る羽目になった
「お前は売買が上手だな」
馬に鐙を付けてやりながら、信長は帰蝶の才知に感心した
「付け入る隙を与えた土田殿が悪いのです」
「そうとも言えるか」
鐙を付け終わり、手綱を帰蝶に手渡す
「名前は付けてやるか?」
「私が決めて良いんですか?」
「当たり前だ。お前の馬だろ?」
「ありがとございます」
常に自分と同じ目線に立ってくれる夫の心遣いが嬉しかった
「なんにする?」
「そうですね。真っ黒だから」
「黒助か?」
「吉法師様・・・」
帰蝶は苦笑いする
「歌人の大友黒主に因もうかと想ったんですが」
「歌人?また高尚な趣味があるんだな、お前」
「斎藤と言う名の由来は、斎宮から来てるとも伝わります」
「斎宮か。何だそれ」
驚きながらも、一々帰蝶に相槌を打つ信長がいじらしい
「それで、斎宮で一番有名な人と言ったら、徽子女王」
「誰なんだよ」
笑う信長の感想は、最もだった
帰蝶はそれに腹を立てるわけでもなく、和歌を詠む
「琴の音に 峰の松風 通うらし 何れのを より調べそめけむ」
「 」
不思議そうな顔をする信長に、帰蝶は通釈を聞かせてやる
「琴の音と、峰の松の間を過ぎる風の音が交じり合い、一つになっているらしい。この妙なる音色は一体、どの琴の緒から奏で出し、そしてどこの山の尾から響き始めて、それからここに相逢ったのだろう。本来出会うことのなかった二つの音が混じり合い、得も言えぬ音を風に乗せて流れて行く。そう言う意味なのだそうです。吉法師様と私の出逢いもまた、琴の音と松の風なのかも知れません。それと、吉法師様に連れてっていただいた伊勢湾の浜辺の松の木を、今も忘れられなくて」
「帰蝶」
「だから、この子の名前は、『松風』にします」
「松風か、良い名前だ」
満足げに微笑む信長に、帰蝶も嬉しくなった
「じゃ、名前が決まったところで、早速遠出でもするか」
「良いんですか?お仕事は?」
「じぃが煩いからな、馬が到着する前に粗方片付けておいた」
「いつの間に。さすが吉法師様です」
「そうか?」
照れ臭そうに笑いながら、信長も自分の馬を出す
門前の番は、城主とその奥方だから通さなくてはならない
無理に引き止めたら、首を刎ねられるのは自分なのだから
難なく門を潜る、馬に跨った信長と帰蝶の目前に仁王立ちするのは、やはり平手
「若。行かせませんぞ」
「平手殿・・・」
「ちっ。先回りしやがったか」
門から外までは堀が巡らし、短い距離ではなかった
「帰蝶」
「はい」
「飛び越えるぞ」
「はい」
信長は手綱を握り直すと、目標を定め一気に駆けた
帰蝶もそれに続く
「若!」
まさかの行動に、しかし逃げるわけにも行かず、平手は目を剥きながら立ち塞がり両手を広げる
その頭上を、信長の馬が跳ね越えた
「わ、若ぁ!」
まだ熟練しているわけではない帰蝶は、平手が信長の背に振り返る隙に、脇を抜けて走り去る
「はっはっはぁ!俺の勝ちだな、じぃ!」
「許しませんぞ、若!奥方様!帰って来たら、覚えてらっしゃい!」
平手の負け惜しみが遠くなる
「ずるいぞ、帰蝶」
「吉法師様みたいなこと、私には無理です」
「はははっ、そうか」
どれくらい駆けたか
見たことのある風景が広がり、帰蝶を期待させた
「お仕事、終わったんじゃなかったんですか?」
「んー、なんか残ってたのかもな」
「いい加減なんだから」
笑顔で言う帰蝶に、信長は少し振り返り応える
「それが俺のいいとこでしょ」
「そうなんですか?」
「お前な」
信長と居ると、毎日が楽しい
毎日笑っていられる
毎日、幸せな気分になれた
やがて帰蝶の見知った場所に到着する
「海・・・」
目の前に広がる大海原に、帰蝶の瞳が輝いた
「私、もう一度ここに来たいと想ってたんです」
「今が丁度良い季節だからな。漁も見れるし」
そう言って、信長は馬から飛び降りる
帰蝶も降りようとするが、乗るのは簡単でも背高な松風から降りるのは容易じゃない
「うんしょ・・・」
見えない足元を探りながらだと、簡単に転んでしまう
「いたっ!」
尻餅を突いて落ちる帰蝶に、信長は大笑いした
「もう!意地悪!手伝ってくれたって、良いじゃないですかっ」
帰蝶は剥れて頬を膨らます
「ははは!お前がどうするか、見てたかった」
「吉法師様ったら」
「まぁ、そう怒るな。手伝うのは簡単だけど、そしたらお前は一生、自分の力で馬から降りようとは想わなくなるだろ?」
「そんなこと・・・」
ないとも言い切れない
「姫様だ、奥方様だ何だって言ったって、人間裸になれば関係ないんだよ」
「裸・・・」
想わず胸を押える帰蝶に、信長はまた吹き出す
「そう言う意味じゃなくてな」
「じゃぁ、どんな?」
「そうだな・・・」
馬の手綱も繋がず、浜辺に歩き出す信長に帰蝶は慌てる
「吉法師様!」
「ん?なんだ?」
「手綱!放っておいて、良いんですか?」
「あー、別に良いだろ」
「だって、逃げちゃったらどうするんですか」
「歩いて帰りゃ良いだけのことだ。それに、そいつらも野に放たれて、自由になれるだろ。 あ、浜辺か」
自分の言ったことがおかしいのか、信長一人で笑っている
「でも・・・」
「心配なら、どっかに括っとけ」
「 」
しばらく考え、それから帰蝶も松風の手綱を放す
「自由にしていいけど、後で帰って来てね」
言っても無駄と想いつつも、松風の鼻頭を撫で、信長の居るところまで駆ける
信長は砂の上にごろんと寝転がっていた
その隣に腰を下ろし、海を眺める
夏の海は活気に溢れていた
漁をする小船が至るところで網を引く
いくつかの船が協力し合って、一つの大きな網を引き寄せていた
「裸ってさ」
「はい」
突然、さっきの話を続ける信長に応える
「身分を脱いじまえばってことだ」
「そうでしたか」
「豪族の倅って身分を脱げば、俺はただの餓鬼で、姫様って身分を脱いじまえば、お前はただの女だ」
「そうですね・・・」
「なんの違いがある」
「 」
「俺はさ、この世に当たり前のように人を縛り付ける、昔っからの仕来りっつーの?そう言うのが嫌いなんだよな」
「仕来り?」
「例えばさ、女は男の後ろに下がって黙って付いて行くってのとか」
「それは仕来りと言うより、伝統みたいなもんですね」
「まぁ、そう言うのか。男は弱い生きもんだ。誰かを支配してないと、心が落ち着かない。誰かより優位に立つことで安心する。女からしてみれば、ちっぽけな生きもんだと想う」
「吉法師様は、ちっぽけな生き物なんかじゃありません・・・」
「そう言ってくれるのは、帰蝶だけだな」
笑顔を差し向け、帰蝶の方に寝返る
「一向宗は美味しい餌をぶら下げて、大した修行もせずあぶく銭を稼いでる。酒を食らい、肉を食らい、女も食らってる。それが坊主の仕事か?」
「 」
帰蝶は上手く言えず、黙って首を振った
「『伝統』って名の座布団の上に胡坐を掻いて、『信仰』って呼ぶ仏像の前で意味もなく経を唱え、お布施一つで悪党も極楽往生できるとのたまわる。それで救われる者も居るだろう。でもな、それが人間の本来の姿か?」
「私には、よくわかりません。一応日蓮宗ですけど、うちも。でも、信心深いってわけでもありませんし、普通に馬も牛も鳥も魚も食べます」
「うん、それで普通なんだと想う、俺も。下らない楔を打ち込んでるのは世間で、宗教で、人間なんだよな」
「楔・・・」
「楔に繋がれていないと安心できない世の中にしちまったのが誰なのか、俺にはわからないけど、その楔がなくなれば、人間は自由になれるんじゃねーのかなって」
「自由に?」
「ああ、自由だ。朝廷も宗教も宗派も身分も関係ない。そんな世の中が来たら、人はいくらでも発展する」
「今以上に・・・?」
「ああ」
今の制度に不満を唱える者は多けれど、宗教にまで言及する者は居なかった
この国で最大の信者数を誇る一向宗を正面から批判する人間も、信長が初めてだった
斬新で新鮮な気持ちになれた
「人は、宗教に縛られているのでしょうか・・・」
「ちょっと違うかな。宗教の力を借りた、武家の規則に縛られてるだけだ」
「武家の規則・・・」
「それから逃れるために、宗教に縋る。宗教は益々力を付け、それを頼って武家が集まる。武家が集まれば戦が起きる。戦が起きれば民が惑う。惑う民は仏に縋る。負の連鎖は、どこまでも続く」
「負の・・・連鎖・・・」
信長の言葉は深く帰蝶の胸に入り込んだ
そんなことを考える男に、帰蝶は今まで一度も逢ったことがない
武家は武家を支配し、その下の民を支配する
それが武家社会のあり方で、だから自分達の家は繁栄しているのだと教えられた
家を大きくするためには、領地を広げ収入を増やす
そのための戦を、信長は頭から否定した
同じ武家の人間なのに・・・と
自分がもしも同じことを言えば、例えば利三がそうであったように、父もまた否定するのだろう
それでも自分の意見を押し通すからこそ、夫は『うつけ』と呼ばれているのだろうか
決して見てくれだけでそう呼ばれているのではないと、なんとなくだが感じるようになった
この方の思想、今は誰も理解できないけれど、理解できた時、この国は生まれ変わるかも知れない・・・
「俺は、さ」
「はい」
肘を立て、手で自分の頭を支える信長に、帰蝶は熱い眼差しを注いだ
果てしないその思想にのめり込むほど、信長の話に耳を傾ける
「宗教そのものは信じるも信じないも、人の勝手だと想う」
「はい。私もそう想います」
「でもさ、それを人に押し付けちゃなんねぇ。見返りを求めちゃなんねぇ。今の宗派はどこも、肝心な部分を忘れてる。だから武家が集(たか)って来るんだ。営利目的じゃなきゃ、何したって自由だろ?楽市は兎も角さ」
「はい」
「金があるところには、金を必要とする武家が集まる。矢銭をせびって戦をして、それで民が傷付き、田畑が荒れる。食えなくなった民は寺に助けを求め、助けた寺はそのまま信者を抱え込む。武家は武家らしくあるために、型に嵌った規律ばっかり作って、好きなヤツと一緒にもなれねぇ政略ばっかり生まれる。それ、同盟だ、謀叛だ、裏切りだ、ってさ。それで泣くのは結局、力のねぇ女だ。そう言うの、あんま見たくねぇんだよな」
「吉法師様・・・」
そうだ
確かにそうだった
武家の戒律さえなければ、自分は
そんな想いを、帰蝶は必死で振り払う
もう、夫だけを見ようと心に決めた想いが、夫の言葉でどんどんと壊されて行く
この世に人の自由が訪れた時、後悔するのは自分ではないのかと、不安な想いも過(よぎ)る
どうして、あの時・・・と、自分を呪う
「あー、でも」
そんな帰蝶の想いを知りもせず、夫は続ける
「政略があったから、お前と夫婦になれたんだよな」
「吉法師様・・・」
「どっちも結果、良かったのかなぁ。武家だから、お前が居るし、こうして一緒に居られるし、でも、俺の考えってそれを覆すもんだしな。あーもう、何が正しいのかわかんねぇっ」
「 」
帰蝶にも、応えられない
どちらが正しいのか、帰蝶自身わからないから
「でもまっ、兎に角さ、この尾張だけでも人が自由に暮らせたらって想ってる」
「人が自由に、暮らす・・・」
「いつかお前の国みたいに、楽市楽座で人が活気付いて、国も元気に過ごせて、規律や戒律に縛られず、言いたいこと言い合えて、武家だ庶民だ関係なく一緒に往来歩けてさ、庶民の男が武家のお姫様口説いたり」
「ふふっ」
常識外れなことを言い出す信長に、帰蝶は吹き出す
「そんな世の中になったら、人はきっと幸せに暮らせる。みんな、笑って過ごせる」
「笑って・・・」
「人から言わせれば下らない理想かもしんないけどさ、俺はいつかそう言うまほろばみたいな国にしてぇんだ。この尾張を」
「まほろば・・・」
信長は、自分の生まれ育った尾張を、人の理想郷にしたいと願っているのか
そんな途方もない夢を追い駆ける夫が、なんだか誇らしくなった
帰蝶は信長を真似て、ごろんと上向きに寝転がる
「 下らなくなんか、ないです」
「帰蝶」
「誰も成し得ない、誰も到達できない夢です」
「夢、か。やっぱり」
帰蝶の言葉に現実へと引き返され、信長の目が少し覚める
「でも、だからこそ、実現するのに意味があるんじゃないでしょうか」
「実現する意味・・・?」
「はい。本当に人が自由になった時、この世はどうなるのか私にはわかりませんが、誰もやろうとしなかったことですもの。それを吉法師様がやってのけたら、みんな驚きます」
「驚くだけじゃ、しょうがないんだけどな」
苦笑いする信長に、帰蝶も微笑む
夫が描く『まほろば』
それが現実になれば、夫の言うとおり人は笑って過ごせるかも知れない
「微力ながら、私も応援しております」
「ああ。お前の励ましが、何よりの活力だ。頼んだぞ」
「はい」
まだ幼い夫婦は、其々の想いを胸に、其々を慈しんだ
「よーし!あいつらの仕事、ちょっと手伝って魚、もらおうか」
何を想ったか、ガバッと跳ね起き立ち上がる
「え?漁ですか?大丈夫なんですか?」
帰蝶も慌てて起き上がった
「まぁ、任せとけって。おーい!」
「吉法師様ッ」
波打ち際に駆け出す信長を、帰蝶は心配げに見守った
信長に気付き、一艘の船が近付く
何やら信長の叫ぶ声が聞こえて、船の漁師が手を振る
それから信長が小袖のまま海に飛び込み、泳ぎ出した
「いくら袖がないからって、無茶ばっかり。吉法師様」
この年で未亡人も、かなり切ない
心配しながら、船に上がる信長を見詰め、それから網の一端を握るその姿をずっと眺めた
自由奔放に育ったつもりでも、夫は更にその上を行く自由人だった
結婚してから毎日、信長には色んなことを教わった
『何が正しくて、何が間違っている』のか、夫でもわからない時があり、二人でいつまでも討論することも少なくない
最も、信長も帰蝶もまだ『子供』の年齢であるため、結論も答えも出ないまま平行線で終わることが屡だったが
「結構もらったな」
籾殻を塗された魚の入った麻袋を片手に、漁の成果を喜ぶ
「初めて見る魚ばっかりです」
「よし、帰ったら名前を教えてやろう」
「はい、お願いします」
それよりも、松風達はちゃんと居るだろうか
そんな不安も隠し切れない
歩いて帰ると言っても、那古野城からここまで相当の距離がある
徒歩では一日で帰れる距離じゃないことくらい、帰蝶にもわかった
だが、帰蝶の心配を他所に松風と、信長が乗っていた馬は、初めの場所から多少移動はしているものの、ちゃんとそこに残っていた
しかも、互いの口元を激しく舐め合っている
人間で言えば『舌を絡めている』だろうか
余りの光景に帰蝶は顔を真っ赤にした
「何やってんだ?あいつら」
と、信長の方は笑っている
「よっぽど美味いもんでも拾い食いしたかな」
「そうですね・・・」
口の中の余韻を互いの舌に残る味覚として、舐め合っているのだろうか
「そういや、俺達もまだだったな」
「え?」
急にそう言い出す信長は、いきなり帰蝶を抱き寄せ、口付けた
「 ッ」
咄嗟のことに、帰蝶は驚きで目を丸くする
口唇の先から伝わる、信長の口唇の柔らかさ
それから少し、潮の香りがした
ゆっくりと口唇を離し、信長は照れ臭さを紛らわせるかのように、陽気な声で言った
「口付けの遣り方は知ってても、実際したのは初めてだ」
「え?」
この言葉にも驚かされる
「下手だっただろ。ごめんな」
「いえ・・・・・・・・・」
夫はもう十六を超えていた
この年なら女の一人や二人、知っていてもおかしくない
なのに、口付けすらまだ未経験だと言う
夫が童貞だと言うこともそうだが、自分と同じ初心(おぼこ)だと知り、その誠実さを痛いほど感じた
「お前に早く月の物が来れば良いのになっ」
馬の許に駆け寄りながらそう言う信長に、帰蝶は聞き返す
「どうしてですか?」
「そしたら、遠慮なくバッコンバッコンできるだろっ?」
信長の言葉に、帰蝶は再び顔を真っ赤にする
「 げっ、下品です、吉法師様ッ!」
「あっはっはっはっはっ」
現実、帰蝶にまだ月の物が訪れていない
月経が来なければ、女の始まりではなかった
裳着を行い、月経が来て、男に抱かれて初めて『女』になる
女になるには様々な段階を踏んでいかなければならない、そんな面倒さも帰蝶は抱えていた
「帰蝶の顔、まるで茹蛸みたいだ」
馬の上からからかう信長に、帰蝶の膨れっ面は益々腫れ上がった
気恥ずかしさを紛らわせるために態とそう言っていることも、なんとなくわかる
さっきまで真面目にこの国の行方を憂いていた夫と、同一人物には到底想えない
それでも、そのどちらも夫の顔なのだと帰蝶は理解した
帰路に着く頃には、夕暮れにすっかり空が染まっていた
「そう言えば、吉法師様の馬って、何処の名馬なんですか?」
「ん?これか?」
「はい」
「こいつはただの牝馬だ」
「え?」
信長の返事に、帰蝶はキョトンとした
「元々は知り合いの農家が飼ってた馬なんだけど、年食って使い物にならないからって廃棄される寸前だったんだよ」
「本当ですか?」
「ああ」
それにしてはまるで駿馬のような走りを見せる
現に城を出る前、平手の頭上を軽々と越えた
信長が跨るからか、乗る度に馬は変わるがどれも名馬のように見える
この馬も見事な栗毛で高級軍馬にしか見えなかった
「どうしてそんなに早く走れるんですか?」
まだ若く、足腰もしっかりしている松風ですら、横に並べないと言うのに
「どうしてだろうな。俺はガキの頃から馬に乗るのが好きだったし、走らせるのが当たり前に感じてたからよくわかんねぇや」
「そうですか・・・」
どうして信長の乗る駄馬が優れているのか帰蝶にはよくわからないが、信長自身わからないような顔をするのでそれ以上聞き出すこともできなかった
ただ、『好きこそ物の上手なりけり』を地で行っているような信長に、帰蝶は微笑ましい気持ちになる
それから帰蝶は信長の前に出てやろうと手綱を捌くが、とうとう城に着くまで一度も追い抜くことができなかった
どんな名馬も、操る者によって駄馬に成り下がるのだと言うことを、身をもって教えられたような気がする
「若ぁ!」
城に帰ればやはり、平手が怖い顔をして待ち構えている
「若、奥方様、座敷においでなさいませ」
「じぃ、説教は俺だけで受ける。帰蝶は関係ない、俺が連れてっただけだ」
「吉法師様・・・」
自分を庇う信長に、帰蝶は感動に目を潤ませる
しかし
「帰蝶、魚を台所に持ってってくれ。さっさと捌いてしまわないと、腐っちまう」
「 」
魚の鮮度を保つために早く台所に行かせることが目的で、あまり深く考えていないことが判明し、帰蝶をがっかりさせる
信長が表座敷で平手の説教を受けている間、もらった魚を台所に送り、自身は着替えのため局処に戻った
「はい、お能。お土産」
「まぁ、なんですか?」
「みたらし団子よ。甘い物が食べたいって言ってたでしょ?」
「みたらし団子?私のために・・・?」
そんなこと、いつ言ったのか、言った本人のお能が覚えていない
それでも、自分に気遣ってくれる帰蝶の気持ちが嬉しい
「早速お茶を用意しましょう」
「わぁ、楽しみ」
お能を先頭に他の侍女達とも食べようと奥座敷に向かう
その途中、急に下腹部が張って来たのを感じた
「 」
なんだろうと、立ち止まる
それから間もなく、女の大事な部分が開く感覚がして、そこからぬるりと何かが落ちる、嫌な感じがした
恐る恐る自分の足元に視線を落とす
その帰蝶の目に、信じられない物が映った
「おっ・・・、お能・・・、お能・・・」
大きな声が出せない
「お能・・・」
「 」
背中にあった帰蝶の気配が消え、不思議に想ったお能は後ろを振り返る
「姫様?」
帰蝶は前に進まず、そこに立ち止まっていた
しかも、顔色が青い
「いかがなさいました、姫様!」
お能は慌てて帰蝶の許に駆け戻った
「お能・・・、なんか・・・」
「どうかなさいましたか?姫様?」
「これ、何・・・?」
帰蝶の怯えた顔など、初めて見る
「これ?」
「これ・・・」
震える指先が指す方向に目を落としたお能は、目を丸くし、それから、嬉しそうに微笑んだ
「おめでとうございます、姫様」
「え・・・?」
「月の物ですよ」
「月の物・・・?これが?」
帰蝶の足の間に、血が落ちていた
夫に「早く生理になれ」と言われたばかりのその日に、まさか本当に月経が来るとは想ってもみなかっただけに、驚きも一入である
「これで一歩、大人に近付きましたね」
「大人に、一歩・・・」
世間から見れば、帰蝶は破瓜期をとっくに過ぎている
それでも中々来なかったものが漸く訪れ、お能の喜びようも大きい
「今夜はお祝いしなくてはなりませんね」
「お祝い・・・」
「お体が、いつでも若様のお子を作れる準備ができたということですよ」
「吉法師様の、子・・・?」
「そう。お世継ぎですよ」
「 」
なんと表現すれば良いのか
夫の夢も壮大だが、女が子を作るというのも壮大なものに想えた
「でも、母様は子を産む時、物凄く死にそうな想いをするって・・・。新五郎を産んだ時も、死にそうな顔をしてて・・・」
「それでも、赤子の可愛らしさに女は、出産の痛みを忘れるものなのですよ。ですから、安産型ではないのに小見の方様はたくさんのお子をお生みになられたのでしょう?」
「 」
確かに、兄の孫四郎を筆頭に、母は多くの子を産んでいる
父の年齢的な問題もあるが、局処の女の中では母が一番多く子を産んでいた
そうか
自分も母と同じ立場に立つ日が来るのか
股座から血が流れる嫌な感覚に苛まれながらも、帰蝶はお能から手当ての作法を習い、信長にも早速報告された
「帰蝶!」
妻の一大事と、信長は説教を食らっていた表座敷から帰蝶の部屋に駆け込んで来る
「大丈夫か!女になったって、本当か?!」
「き、吉法師様・・・、こっ、声が大きい・・・」
顔を赤くした帰蝶は、手を振って慌てて信長を止めた
「いやまさか、言った側から本当に初花が来るなんて、想ってなくてよ」
夫の興奮度もさることながら、さっきから帰蝶の初経の祝いの準備に大童な局処の雰囲気にも落ち着かない
普段平手と同じく自分に説教しかしない女中頭のお絹でさえ、屋敷中を右往左往している
「これでお前も、子供が生める準備ができたんだな」
「はい・・・」
やはり夫も、それを待ち望んでいたのだろうか
「じゃぁ、今夜早速」
「それは無理です、吉法師様」
「何でだよ」
帰蝶に止められ、折角楽しみにしていたのにと、不平を言いたそうな顔を素直にする
そんな信長に、帰蝶は言いにくそうな顔で応えた
「だって、今、駄々漏れ状態ですから・・・」
「駄々漏れか」
「お布団が、大変なことになってしまいます・・・」
「そりゃ困ったな。お絹は口喧しいからな」
どうも信長もその昔、お絹には相当油を絞られた口のようである
「 そうか。帰蝶も大人に近付いたか」
「はい・・・」
やはり帰蝶は顔を赤くさせ、俯きながら呟くように返事した
「俺もさ、下の毛が生えた時はびっくりしたけどさ」
「 」
どんな相槌を打てば良いのか、困り果てる
「女は股から血が出るんだもんな。男以上にびっくりするよな」
「はい・・・」
「そっか・・・。帰蝶もとうとう・・・」
夫婦になって一年半、まるで幼友達のような感覚で、性別を超えた部分で愛し合えた帰蝶の躰の変化に、信長も戸惑っていた
「そっか・・・」
「 」
気まずいのか、それ以上交わす言葉が見付からない
長い沈黙が続き、それから、信長はすくっと立ち上がった
「吉法師様?」
仕事に戻るのか、あるいは夕餉でも食べて来るのかと想っていた帰蝶の前で、信長は姿勢を正し、腕を伸ばす
それから、口を伝って謡い始める
「想えばこの世は 常の住み家にあらず」
「吉法師様・・・?」
「草葉に置く白露 水に宿る月より なお妖し」
「 」
謡いながら舞う信長を、帰蝶は黙って見上げた
「金谷に花を詠じ 榮花は先立つて 無常の風に 誘わるる」
南楼の月を 弄ぶ輩も 月に先立つて 有為の雲に 隠れり
人間五十年 化天の内を比ぶれば 夢 幻の如くなり
一度生を享け 滅せぬものの あるべきか
これを菩提の 種と想い定めざらんは 口 惜しかりき次第ぞ
「お見事」
舞い終わった信長に、帰蝶は手を叩く
「幸若舞、敦盛ですね」
「おお、わかったか。さすがだな」
「吉野静が好きですので、なんとなく覚えました」
「敦盛に同じく、世阿弥か」
「はい」
「お前は色々と博識だなぁ」
「いいえ、たまたま知っていただけです」
「お前の吉野静、見てみたい。舞えるか?」
「いえ・・・、齧り程度です。それより、帰蝶は吉法師様の敦盛に惚れました。教えていただけませんか?」
「え?俺の?」
「はい」
「 」
妻の申し出に、信長は嫌な想いがしない
「人に教えられるような腕前じゃないが」
そう照れながら、立ち上がる帰蝶を見詰める
「先ずは、腕を」
「はい」
それから、二人で延々と敦盛を舞う
帰蝶は歌までは同時に出せないが、懸命に信長の振りを真似る
自分を追う帰蝶に合わせ、信長の動作がゆっくりになった
そんな夫の優しさに微笑みながら、帰蝶は舞った
夫が描くまほろば
それは決して儚いものであってはならない
夫が想い描く理想を、共に追い駆けたいと願った
果てしのない夢であろうとも
具にも着かない理想であろうとも
夫とならば、いつか現実のものになる
そう確信しながら、帰蝶は敦盛を舞った
「まぁ!なんて立派な馬でしょう。対馬の馬って、確か小型なんですよね?農耕馬だから」
その大きさに、お能は目を丸くする
「これ、姫様が乗るんですか?」
「そうよ。吉法師様が、買ってくださったの」
「まぁまぁ、また姫様のじゃじゃ馬伝説が増えるんですね」
「何、そのじゃじゃ馬伝説って・・・」
対馬の馬は小型の農耕馬だが、あの日平左衛門が仕入れた対州馬は並外れた大きな体躯のものだった
だからこそ、高値で売ろうとしていたのだが、それを帰蝶に付け込まれ、殆ど原価に近い金額で売る羽目になった
「お前は売買が上手だな」
馬に鐙を付けてやりながら、信長は帰蝶の才知に感心した
「付け入る隙を与えた土田殿が悪いのです」
「そうとも言えるか」
鐙を付け終わり、手綱を帰蝶に手渡す
「名前は付けてやるか?」
「私が決めて良いんですか?」
「当たり前だ。お前の馬だろ?」
「ありがとございます」
常に自分と同じ目線に立ってくれる夫の心遣いが嬉しかった
「なんにする?」
「そうですね。真っ黒だから」
「黒助か?」
「吉法師様・・・」
帰蝶は苦笑いする
「歌人の大友黒主に因もうかと想ったんですが」
「歌人?また高尚な趣味があるんだな、お前」
「斎藤と言う名の由来は、斎宮から来てるとも伝わります」
「斎宮か。何だそれ」
驚きながらも、一々帰蝶に相槌を打つ信長がいじらしい
「それで、斎宮で一番有名な人と言ったら、徽子女王」
「誰なんだよ」
笑う信長の感想は、最もだった
帰蝶はそれに腹を立てるわけでもなく、和歌を詠む
「琴の音に 峰の松風 通うらし 何れのを より調べそめけむ」
「
不思議そうな顔をする信長に、帰蝶は通釈を聞かせてやる
「琴の音と、峰の松の間を過ぎる風の音が交じり合い、一つになっているらしい。この妙なる音色は一体、どの琴の緒から奏で出し、そしてどこの山の尾から響き始めて、それからここに相逢ったのだろう。本来出会うことのなかった二つの音が混じり合い、得も言えぬ音を風に乗せて流れて行く。そう言う意味なのだそうです。吉法師様と私の出逢いもまた、琴の音と松の風なのかも知れません。それと、吉法師様に連れてっていただいた伊勢湾の浜辺の松の木を、今も忘れられなくて」
「帰蝶」
「だから、この子の名前は、『松風』にします」
「松風か、良い名前だ」
満足げに微笑む信長に、帰蝶も嬉しくなった
「じゃ、名前が決まったところで、早速遠出でもするか」
「良いんですか?お仕事は?」
「じぃが煩いからな、馬が到着する前に粗方片付けておいた」
「いつの間に。さすが吉法師様です」
「そうか?」
照れ臭そうに笑いながら、信長も自分の馬を出す
門前の番は、城主とその奥方だから通さなくてはならない
無理に引き止めたら、首を刎ねられるのは自分なのだから
難なく門を潜る、馬に跨った信長と帰蝶の目前に仁王立ちするのは、やはり平手
「若。行かせませんぞ」
「平手殿・・・」
「ちっ。先回りしやがったか」
門から外までは堀が巡らし、短い距離ではなかった
「帰蝶」
「はい」
「飛び越えるぞ」
「はい」
信長は手綱を握り直すと、目標を定め一気に駆けた
帰蝶もそれに続く
「若!」
まさかの行動に、しかし逃げるわけにも行かず、平手は目を剥きながら立ち塞がり両手を広げる
その頭上を、信長の馬が跳ね越えた
「わ、若ぁ!」
まだ熟練しているわけではない帰蝶は、平手が信長の背に振り返る隙に、脇を抜けて走り去る
「はっはっはぁ!俺の勝ちだな、じぃ!」
「許しませんぞ、若!奥方様!帰って来たら、覚えてらっしゃい!」
平手の負け惜しみが遠くなる
「ずるいぞ、帰蝶」
「吉法師様みたいなこと、私には無理です」
「はははっ、そうか」
どれくらい駆けたか
見たことのある風景が広がり、帰蝶を期待させた
「お仕事、終わったんじゃなかったんですか?」
「んー、なんか残ってたのかもな」
「いい加減なんだから」
笑顔で言う帰蝶に、信長は少し振り返り応える
「それが俺のいいとこでしょ」
「そうなんですか?」
「お前な」
信長と居ると、毎日が楽しい
毎日笑っていられる
毎日、幸せな気分になれた
やがて帰蝶の見知った場所に到着する
「海・・・」
目の前に広がる大海原に、帰蝶の瞳が輝いた
「私、もう一度ここに来たいと想ってたんです」
「今が丁度良い季節だからな。漁も見れるし」
そう言って、信長は馬から飛び降りる
帰蝶も降りようとするが、乗るのは簡単でも背高な松風から降りるのは容易じゃない
「うんしょ・・・」
見えない足元を探りながらだと、簡単に転んでしまう
「いたっ!」
尻餅を突いて落ちる帰蝶に、信長は大笑いした
「もう!意地悪!手伝ってくれたって、良いじゃないですかっ」
帰蝶は剥れて頬を膨らます
「ははは!お前がどうするか、見てたかった」
「吉法師様ったら」
「まぁ、そう怒るな。手伝うのは簡単だけど、そしたらお前は一生、自分の力で馬から降りようとは想わなくなるだろ?」
「そんなこと・・・」
ないとも言い切れない
「姫様だ、奥方様だ何だって言ったって、人間裸になれば関係ないんだよ」
「裸・・・」
想わず胸を押える帰蝶に、信長はまた吹き出す
「そう言う意味じゃなくてな」
「じゃぁ、どんな?」
「そうだな・・・」
馬の手綱も繋がず、浜辺に歩き出す信長に帰蝶は慌てる
「吉法師様!」
「ん?なんだ?」
「手綱!放っておいて、良いんですか?」
「あー、別に良いだろ」
「だって、逃げちゃったらどうするんですか」
「歩いて帰りゃ良いだけのことだ。それに、そいつらも野に放たれて、自由になれるだろ。
自分の言ったことがおかしいのか、信長一人で笑っている
「でも・・・」
「心配なら、どっかに括っとけ」
「
しばらく考え、それから帰蝶も松風の手綱を放す
「自由にしていいけど、後で帰って来てね」
言っても無駄と想いつつも、松風の鼻頭を撫で、信長の居るところまで駆ける
信長は砂の上にごろんと寝転がっていた
その隣に腰を下ろし、海を眺める
夏の海は活気に溢れていた
漁をする小船が至るところで網を引く
いくつかの船が協力し合って、一つの大きな網を引き寄せていた
「裸ってさ」
「はい」
突然、さっきの話を続ける信長に応える
「身分を脱いじまえばってことだ」
「そうでしたか」
「豪族の倅って身分を脱げば、俺はただの餓鬼で、姫様って身分を脱いじまえば、お前はただの女だ」
「そうですね・・・」
「なんの違いがある」
「
「俺はさ、この世に当たり前のように人を縛り付ける、昔っからの仕来りっつーの?そう言うのが嫌いなんだよな」
「仕来り?」
「例えばさ、女は男の後ろに下がって黙って付いて行くってのとか」
「それは仕来りと言うより、伝統みたいなもんですね」
「まぁ、そう言うのか。男は弱い生きもんだ。誰かを支配してないと、心が落ち着かない。誰かより優位に立つことで安心する。女からしてみれば、ちっぽけな生きもんだと想う」
「吉法師様は、ちっぽけな生き物なんかじゃありません・・・」
「そう言ってくれるのは、帰蝶だけだな」
笑顔を差し向け、帰蝶の方に寝返る
「一向宗は美味しい餌をぶら下げて、大した修行もせずあぶく銭を稼いでる。酒を食らい、肉を食らい、女も食らってる。それが坊主の仕事か?」
「
帰蝶は上手く言えず、黙って首を振った
「『伝統』って名の座布団の上に胡坐を掻いて、『信仰』って呼ぶ仏像の前で意味もなく経を唱え、お布施一つで悪党も極楽往生できるとのたまわる。それで救われる者も居るだろう。でもな、それが人間の本来の姿か?」
「私には、よくわかりません。一応日蓮宗ですけど、うちも。でも、信心深いってわけでもありませんし、普通に馬も牛も鳥も魚も食べます」
「うん、それで普通なんだと想う、俺も。下らない楔を打ち込んでるのは世間で、宗教で、人間なんだよな」
「楔・・・」
「楔に繋がれていないと安心できない世の中にしちまったのが誰なのか、俺にはわからないけど、その楔がなくなれば、人間は自由になれるんじゃねーのかなって」
「自由に?」
「ああ、自由だ。朝廷も宗教も宗派も身分も関係ない。そんな世の中が来たら、人はいくらでも発展する」
「今以上に・・・?」
「ああ」
今の制度に不満を唱える者は多けれど、宗教にまで言及する者は居なかった
この国で最大の信者数を誇る一向宗を正面から批判する人間も、信長が初めてだった
斬新で新鮮な気持ちになれた
「人は、宗教に縛られているのでしょうか・・・」
「ちょっと違うかな。宗教の力を借りた、武家の規則に縛られてるだけだ」
「武家の規則・・・」
「それから逃れるために、宗教に縋る。宗教は益々力を付け、それを頼って武家が集まる。武家が集まれば戦が起きる。戦が起きれば民が惑う。惑う民は仏に縋る。負の連鎖は、どこまでも続く」
「負の・・・連鎖・・・」
信長の言葉は深く帰蝶の胸に入り込んだ
そんなことを考える男に、帰蝶は今まで一度も逢ったことがない
武家は武家を支配し、その下の民を支配する
それが武家社会のあり方で、だから自分達の家は繁栄しているのだと教えられた
家を大きくするためには、領地を広げ収入を増やす
そのための戦を、信長は頭から否定した
同じ武家の人間なのに・・・と
自分がもしも同じことを言えば、例えば利三がそうであったように、父もまた否定するのだろう
それでも自分の意見を押し通すからこそ、夫は『うつけ』と呼ばれているのだろうか
決して見てくれだけでそう呼ばれているのではないと、なんとなくだが感じるようになった
「俺は、さ」
「はい」
肘を立て、手で自分の頭を支える信長に、帰蝶は熱い眼差しを注いだ
果てしないその思想にのめり込むほど、信長の話に耳を傾ける
「宗教そのものは信じるも信じないも、人の勝手だと想う」
「はい。私もそう想います」
「でもさ、それを人に押し付けちゃなんねぇ。見返りを求めちゃなんねぇ。今の宗派はどこも、肝心な部分を忘れてる。だから武家が集(たか)って来るんだ。営利目的じゃなきゃ、何したって自由だろ?楽市は兎も角さ」
「はい」
「金があるところには、金を必要とする武家が集まる。矢銭をせびって戦をして、それで民が傷付き、田畑が荒れる。食えなくなった民は寺に助けを求め、助けた寺はそのまま信者を抱え込む。武家は武家らしくあるために、型に嵌った規律ばっかり作って、好きなヤツと一緒にもなれねぇ政略ばっかり生まれる。それ、同盟だ、謀叛だ、裏切りだ、ってさ。それで泣くのは結局、力のねぇ女だ。そう言うの、あんま見たくねぇんだよな」
「吉法師様・・・」
そうだ
確かにそうだった
武家の戒律さえなければ、自分は
そんな想いを、帰蝶は必死で振り払う
もう、夫だけを見ようと心に決めた想いが、夫の言葉でどんどんと壊されて行く
この世に人の自由が訪れた時、後悔するのは自分ではないのかと、不安な想いも過(よぎ)る
どうして、あの時・・・と、自分を呪う
「あー、でも」
そんな帰蝶の想いを知りもせず、夫は続ける
「政略があったから、お前と夫婦になれたんだよな」
「吉法師様・・・」
「どっちも結果、良かったのかなぁ。武家だから、お前が居るし、こうして一緒に居られるし、でも、俺の考えってそれを覆すもんだしな。あーもう、何が正しいのかわかんねぇっ」
「
帰蝶にも、応えられない
どちらが正しいのか、帰蝶自身わからないから
「でもまっ、兎に角さ、この尾張だけでも人が自由に暮らせたらって想ってる」
「人が自由に、暮らす・・・」
「いつかお前の国みたいに、楽市楽座で人が活気付いて、国も元気に過ごせて、規律や戒律に縛られず、言いたいこと言い合えて、武家だ庶民だ関係なく一緒に往来歩けてさ、庶民の男が武家のお姫様口説いたり」
「ふふっ」
常識外れなことを言い出す信長に、帰蝶は吹き出す
「そんな世の中になったら、人はきっと幸せに暮らせる。みんな、笑って過ごせる」
「笑って・・・」
「人から言わせれば下らない理想かもしんないけどさ、俺はいつかそう言うまほろばみたいな国にしてぇんだ。この尾張を」
「まほろば・・・」
信長は、自分の生まれ育った尾張を、人の理想郷にしたいと願っているのか
そんな途方もない夢を追い駆ける夫が、なんだか誇らしくなった
帰蝶は信長を真似て、ごろんと上向きに寝転がる
「
「帰蝶」
「誰も成し得ない、誰も到達できない夢です」
「夢、か。やっぱり」
帰蝶の言葉に現実へと引き返され、信長の目が少し覚める
「でも、だからこそ、実現するのに意味があるんじゃないでしょうか」
「実現する意味・・・?」
「はい。本当に人が自由になった時、この世はどうなるのか私にはわかりませんが、誰もやろうとしなかったことですもの。それを吉法師様がやってのけたら、みんな驚きます」
「驚くだけじゃ、しょうがないんだけどな」
苦笑いする信長に、帰蝶も微笑む
夫が描く『まほろば』
それが現実になれば、夫の言うとおり人は笑って過ごせるかも知れない
「微力ながら、私も応援しております」
「ああ。お前の励ましが、何よりの活力だ。頼んだぞ」
「はい」
まだ幼い夫婦は、其々の想いを胸に、其々を慈しんだ
「よーし!あいつらの仕事、ちょっと手伝って魚、もらおうか」
何を想ったか、ガバッと跳ね起き立ち上がる
「え?漁ですか?大丈夫なんですか?」
帰蝶も慌てて起き上がった
「まぁ、任せとけって。おーい!」
「吉法師様ッ」
波打ち際に駆け出す信長を、帰蝶は心配げに見守った
信長に気付き、一艘の船が近付く
何やら信長の叫ぶ声が聞こえて、船の漁師が手を振る
それから信長が小袖のまま海に飛び込み、泳ぎ出した
「いくら袖がないからって、無茶ばっかり。吉法師様」
この年で未亡人も、かなり切ない
心配しながら、船に上がる信長を見詰め、それから網の一端を握るその姿をずっと眺めた
自由奔放に育ったつもりでも、夫は更にその上を行く自由人だった
結婚してから毎日、信長には色んなことを教わった
『何が正しくて、何が間違っている』のか、夫でもわからない時があり、二人でいつまでも討論することも少なくない
最も、信長も帰蝶もまだ『子供』の年齢であるため、結論も答えも出ないまま平行線で終わることが屡だったが
「結構もらったな」
籾殻を塗された魚の入った麻袋を片手に、漁の成果を喜ぶ
「初めて見る魚ばっかりです」
「よし、帰ったら名前を教えてやろう」
「はい、お願いします」
それよりも、松風達はちゃんと居るだろうか
そんな不安も隠し切れない
歩いて帰ると言っても、那古野城からここまで相当の距離がある
徒歩では一日で帰れる距離じゃないことくらい、帰蝶にもわかった
だが、帰蝶の心配を他所に松風と、信長が乗っていた馬は、初めの場所から多少移動はしているものの、ちゃんとそこに残っていた
しかも、互いの口元を激しく舐め合っている
人間で言えば『舌を絡めている』だろうか
余りの光景に帰蝶は顔を真っ赤にした
「何やってんだ?あいつら」
と、信長の方は笑っている
「よっぽど美味いもんでも拾い食いしたかな」
「そうですね・・・」
口の中の余韻を互いの舌に残る味覚として、舐め合っているのだろうか
「そういや、俺達もまだだったな」
「え?」
急にそう言い出す信長は、いきなり帰蝶を抱き寄せ、口付けた
「
咄嗟のことに、帰蝶は驚きで目を丸くする
口唇の先から伝わる、信長の口唇の柔らかさ
それから少し、潮の香りがした
ゆっくりと口唇を離し、信長は照れ臭さを紛らわせるかのように、陽気な声で言った
「口付けの遣り方は知ってても、実際したのは初めてだ」
「え?」
この言葉にも驚かされる
「下手だっただろ。ごめんな」
「いえ・・・・・・・・・」
夫はもう十六を超えていた
この年なら女の一人や二人、知っていてもおかしくない
なのに、口付けすらまだ未経験だと言う
夫が童貞だと言うこともそうだが、自分と同じ初心(おぼこ)だと知り、その誠実さを痛いほど感じた
「お前に早く月の物が来れば良いのになっ」
馬の許に駆け寄りながらそう言う信長に、帰蝶は聞き返す
「どうしてですか?」
「そしたら、遠慮なくバッコンバッコンできるだろっ?」
信長の言葉に、帰蝶は再び顔を真っ赤にする
「
「あっはっはっはっはっ」
現実、帰蝶にまだ月の物が訪れていない
月経が来なければ、女の始まりではなかった
裳着を行い、月経が来て、男に抱かれて初めて『女』になる
女になるには様々な段階を踏んでいかなければならない、そんな面倒さも帰蝶は抱えていた
「帰蝶の顔、まるで茹蛸みたいだ」
馬の上からからかう信長に、帰蝶の膨れっ面は益々腫れ上がった
気恥ずかしさを紛らわせるために態とそう言っていることも、なんとなくわかる
さっきまで真面目にこの国の行方を憂いていた夫と、同一人物には到底想えない
それでも、そのどちらも夫の顔なのだと帰蝶は理解した
帰路に着く頃には、夕暮れにすっかり空が染まっていた
「そう言えば、吉法師様の馬って、何処の名馬なんですか?」
「ん?これか?」
「はい」
「こいつはただの牝馬だ」
「え?」
信長の返事に、帰蝶はキョトンとした
「元々は知り合いの農家が飼ってた馬なんだけど、年食って使い物にならないからって廃棄される寸前だったんだよ」
「本当ですか?」
「ああ」
それにしてはまるで駿馬のような走りを見せる
現に城を出る前、平手の頭上を軽々と越えた
信長が跨るからか、乗る度に馬は変わるがどれも名馬のように見える
この馬も見事な栗毛で高級軍馬にしか見えなかった
「どうしてそんなに早く走れるんですか?」
まだ若く、足腰もしっかりしている松風ですら、横に並べないと言うのに
「どうしてだろうな。俺はガキの頃から馬に乗るのが好きだったし、走らせるのが当たり前に感じてたからよくわかんねぇや」
「そうですか・・・」
どうして信長の乗る駄馬が優れているのか帰蝶にはよくわからないが、信長自身わからないような顔をするのでそれ以上聞き出すこともできなかった
ただ、『好きこそ物の上手なりけり』を地で行っているような信長に、帰蝶は微笑ましい気持ちになる
それから帰蝶は信長の前に出てやろうと手綱を捌くが、とうとう城に着くまで一度も追い抜くことができなかった
どんな名馬も、操る者によって駄馬に成り下がるのだと言うことを、身をもって教えられたような気がする
「若ぁ!」
城に帰ればやはり、平手が怖い顔をして待ち構えている
「若、奥方様、座敷においでなさいませ」
「じぃ、説教は俺だけで受ける。帰蝶は関係ない、俺が連れてっただけだ」
「吉法師様・・・」
自分を庇う信長に、帰蝶は感動に目を潤ませる
しかし
「帰蝶、魚を台所に持ってってくれ。さっさと捌いてしまわないと、腐っちまう」
「
魚の鮮度を保つために早く台所に行かせることが目的で、あまり深く考えていないことが判明し、帰蝶をがっかりさせる
信長が表座敷で平手の説教を受けている間、もらった魚を台所に送り、自身は着替えのため局処に戻った
「はい、お能。お土産」
「まぁ、なんですか?」
「みたらし団子よ。甘い物が食べたいって言ってたでしょ?」
「みたらし団子?私のために・・・?」
そんなこと、いつ言ったのか、言った本人のお能が覚えていない
それでも、自分に気遣ってくれる帰蝶の気持ちが嬉しい
「早速お茶を用意しましょう」
「わぁ、楽しみ」
お能を先頭に他の侍女達とも食べようと奥座敷に向かう
その途中、急に下腹部が張って来たのを感じた
「
なんだろうと、立ち止まる
それから間もなく、女の大事な部分が開く感覚がして、そこからぬるりと何かが落ちる、嫌な感じがした
恐る恐る自分の足元に視線を落とす
その帰蝶の目に、信じられない物が映った
「おっ・・・、お能・・・、お能・・・」
大きな声が出せない
「お能・・・」
「
背中にあった帰蝶の気配が消え、不思議に想ったお能は後ろを振り返る
「姫様?」
帰蝶は前に進まず、そこに立ち止まっていた
しかも、顔色が青い
「いかがなさいました、姫様!」
お能は慌てて帰蝶の許に駆け戻った
「お能・・・、なんか・・・」
「どうかなさいましたか?姫様?」
「これ、何・・・?」
帰蝶の怯えた顔など、初めて見る
「これ?」
「これ・・・」
震える指先が指す方向に目を落としたお能は、目を丸くし、それから、嬉しそうに微笑んだ
「おめでとうございます、姫様」
「え・・・?」
「月の物ですよ」
「月の物・・・?これが?」
帰蝶の足の間に、血が落ちていた
夫に「早く生理になれ」と言われたばかりのその日に、まさか本当に月経が来るとは想ってもみなかっただけに、驚きも一入である
「これで一歩、大人に近付きましたね」
「大人に、一歩・・・」
世間から見れば、帰蝶は破瓜期をとっくに過ぎている
それでも中々来なかったものが漸く訪れ、お能の喜びようも大きい
「今夜はお祝いしなくてはなりませんね」
「お祝い・・・」
「お体が、いつでも若様のお子を作れる準備ができたということですよ」
「吉法師様の、子・・・?」
「そう。お世継ぎですよ」
「
なんと表現すれば良いのか
夫の夢も壮大だが、女が子を作るというのも壮大なものに想えた
「でも、母様は子を産む時、物凄く死にそうな想いをするって・・・。新五郎を産んだ時も、死にそうな顔をしてて・・・」
「それでも、赤子の可愛らしさに女は、出産の痛みを忘れるものなのですよ。ですから、安産型ではないのに小見の方様はたくさんのお子をお生みになられたのでしょう?」
「
確かに、兄の孫四郎を筆頭に、母は多くの子を産んでいる
父の年齢的な問題もあるが、局処の女の中では母が一番多く子を産んでいた
そうか
自分も母と同じ立場に立つ日が来るのか
股座から血が流れる嫌な感覚に苛まれながらも、帰蝶はお能から手当ての作法を習い、信長にも早速報告された
「帰蝶!」
妻の一大事と、信長は説教を食らっていた表座敷から帰蝶の部屋に駆け込んで来る
「大丈夫か!女になったって、本当か?!」
「き、吉法師様・・・、こっ、声が大きい・・・」
顔を赤くした帰蝶は、手を振って慌てて信長を止めた
「いやまさか、言った側から本当に初花が来るなんて、想ってなくてよ」
夫の興奮度もさることながら、さっきから帰蝶の初経の祝いの準備に大童な局処の雰囲気にも落ち着かない
普段平手と同じく自分に説教しかしない女中頭のお絹でさえ、屋敷中を右往左往している
「これでお前も、子供が生める準備ができたんだな」
「はい・・・」
やはり夫も、それを待ち望んでいたのだろうか
「じゃぁ、今夜早速」
「それは無理です、吉法師様」
「何でだよ」
帰蝶に止められ、折角楽しみにしていたのにと、不平を言いたそうな顔を素直にする
そんな信長に、帰蝶は言いにくそうな顔で応えた
「だって、今、駄々漏れ状態ですから・・・」
「駄々漏れか」
「お布団が、大変なことになってしまいます・・・」
「そりゃ困ったな。お絹は口喧しいからな」
どうも信長もその昔、お絹には相当油を絞られた口のようである
「
「はい・・・」
やはり帰蝶は顔を赤くさせ、俯きながら呟くように返事した
「俺もさ、下の毛が生えた時はびっくりしたけどさ」
「
どんな相槌を打てば良いのか、困り果てる
「女は股から血が出るんだもんな。男以上にびっくりするよな」
「はい・・・」
「そっか・・・。帰蝶もとうとう・・・」
夫婦になって一年半、まるで幼友達のような感覚で、性別を超えた部分で愛し合えた帰蝶の躰の変化に、信長も戸惑っていた
「そっか・・・」
「
気まずいのか、それ以上交わす言葉が見付からない
長い沈黙が続き、それから、信長はすくっと立ち上がった
「吉法師様?」
仕事に戻るのか、あるいは夕餉でも食べて来るのかと想っていた帰蝶の前で、信長は姿勢を正し、腕を伸ばす
それから、口を伝って謡い始める
「想えばこの世は 常の住み家にあらず」
「吉法師様・・・?」
「草葉に置く白露 水に宿る月より なお妖し」
「
謡いながら舞う信長を、帰蝶は黙って見上げた
「金谷に花を詠じ 榮花は先立つて 無常の風に 誘わるる」
南楼の月を 弄ぶ輩も 月に先立つて 有為の雲に 隠れり
人間五十年 化天の内を比ぶれば 夢 幻の如くなり
一度生を享け 滅せぬものの あるべきか
これを菩提の 種と想い定めざらんは 口 惜しかりき次第ぞ
「お見事」
舞い終わった信長に、帰蝶は手を叩く
「幸若舞、敦盛ですね」
「おお、わかったか。さすがだな」
「吉野静が好きですので、なんとなく覚えました」
「敦盛に同じく、世阿弥か」
「はい」
「お前は色々と博識だなぁ」
「いいえ、たまたま知っていただけです」
「お前の吉野静、見てみたい。舞えるか?」
「いえ・・・、齧り程度です。それより、帰蝶は吉法師様の敦盛に惚れました。教えていただけませんか?」
「え?俺の?」
「はい」
「
妻の申し出に、信長は嫌な想いがしない
「人に教えられるような腕前じゃないが」
そう照れながら、立ち上がる帰蝶を見詰める
「先ずは、腕を」
「はい」
それから、二人で延々と敦盛を舞う
帰蝶は歌までは同時に出せないが、懸命に信長の振りを真似る
自分を追う帰蝶に合わせ、信長の動作がゆっくりになった
そんな夫の優しさに微笑みながら、帰蝶は舞った
夫が描くまほろば
それは決して儚いものであってはならない
夫が想い描く理想を、共に追い駆けたいと願った
果てしのない夢であろうとも
具にも着かない理想であろうとも
夫とならば、いつか現実のものになる
そう確信しながら、帰蝶は敦盛を舞った
PR
濃姫(帰蝶)好きの方へ
本日は当サイトにお越しいただき、ありがとうございます
先ずはこちらのページを一読していただけると嬉しいです→お願い
文章の誤字・脱字が時折混ざっております
見付け次第修正をしておりますが、それでもおかしな個所がありましたらお詫び申し上げます
了承なしのリンクは謹んでご辞退申し上げます
先ずはこちらのページを一読していただけると嬉しいです→お願い
文章の誤字・脱字が時折混ざっております
見付け次第修正をしておりますが、それでもおかしな個所がありましたらお詫び申し上げます
了承なしのリンクは謹んでご辞退申し上げます
更新のお知らせ
(02/20)
(10/16)
(11/04)
(06/24)
(03/25)
◇◇プチお知らせ◇◇
1/22 『信長ノをんな』壱~参 / 公開
現在更新中の創作物(INDEX)
信長 ~群青色の約束~
こんな感じのこと書いてます
カウント(0)は現在非公開中です
管理人の独り言も混じっております
[11/04 Haruhi]
[08/13 kitilyou]
[06/26 kitilyou命]
[03/02 kitilyou命]
[03/01 kitilyou命]
ゲームブログ
千極一夜
家庭用ゲーム専用ブログです
『戦国無双3』が絶望的存在であるため、更新予定はありません
◇◇11/19 Nintendo DSソフト◇◇
『トモダチコレクション』
おのうさま(帰蝶)とノブ(信長)が 結婚しました(笑
家庭用ゲーム専用ブログです
『戦国無双3』が絶望的存在であるため、更新予定はありません
◇◇11/19 Nintendo DSソフト◇◇
『トモダチコレクション』
おのうさま(帰蝶)とノブ(信長)が 結婚しました(笑
祝:お濃さま出演 But模擬専… (戦国無双3)
おのれコーエーめ
よくもお濃様を邪険にしおってからに・・・(涙
(画像元:コーエー公式サイト)
オンラインゲームにてお濃様発見
転生絵巻伝 三国ヒーローズ公式サイト:GAMESPACE24
『武将紹介』→『ゲーム紹介』→『Exキャラクター紹介』→『赤壁VS桶狭間』にてお濃様閲覧可
キャラクター紹介文
「 絶世の美貌を持つ信長の妻。頭が良く機転が利き、信長の覇業を深く支えた。
また、信長を愛し通した一途な妻でもあった。」
(画像元:GAMESPACE24公式サイト)
勝手にPR
濃姫好きとしては、飲めなくても見逃せない
岐阜の地酒 日本泉公式サイト

(二本セットの画像)
夫婦セット 吟醸ブレンド(信長・濃姫)
本醸造 濃姫
カップ酒 濃姫®=爽やかな麹の薫り高い、カップとは想えない出来上がりのお酒です
吟醸ブレンド 濃姫® ブルーボトル=自然の香りのお酒です。ほんの少し喉を潤す程度でも香りが深く体を突き抜けます
本醸造 濃姫®=容量的に大雑把な感じに想えて、麹の独特の香りを抑えたあっさりとした風味です
今現在、この3種類を試しておりますが、どれも麹臭い雰囲気が全くしません
飲料するもよし、お料理に使うもよし
お料理に使用しても麹の嫌な独特感は全く残りません
奇跡のお酒です
何よりボトルがどれも美しい
清洲桜醸造株式会社公式サイト


濃姫の里 隠し吟醸
フルーティで口当たりが良いです
一応は『辛口』になってますが、ほんのり甘さも残ってます
わたしは料理に使ってます
清洲城信長 鬼ころし
量的に肉や魚の血落としや、料理用として使っています
麹の香りが良いのが特徴ですが、お酒に弱い人は「うっ」と来るかも知れません
どちらも一般スーパーに置いている場合があります
岐阜の地酒 日本泉公式サイト
(二本セットの画像)
夫婦セット 吟醸ブレンド(信長・濃姫)
本醸造 濃姫
カップ酒 濃姫®=爽やかな麹の薫り高い、カップとは想えない出来上がりのお酒です
吟醸ブレンド 濃姫® ブルーボトル=自然の香りのお酒です。ほんの少し喉を潤す程度でも香りが深く体を突き抜けます
本醸造 濃姫®=容量的に大雑把な感じに想えて、麹の独特の香りを抑えたあっさりとした風味です
今現在、この3種類を試しておりますが、どれも麹臭い雰囲気が全くしません
飲料するもよし、お料理に使うもよし
お料理に使用しても麹の嫌な独特感は全く残りません
奇跡のお酒です
何よりボトルがどれも美しい
清洲桜醸造株式会社公式サイト
濃姫の里 隠し吟醸
フルーティで口当たりが良いです
一応は『辛口』になってますが、ほんのり甘さも残ってます
わたしは料理に使ってます
清洲城信長 鬼ころし
量的に肉や魚の血落としや、料理用として使っています
麹の香りが良いのが特徴ですが、お酒に弱い人は「うっ」と来るかも知れません
どちらも一般スーパーに置いている場合があります
ブログ内検索
ご訪問、ありがとうございます
あまり役には立ちませんが念のため
解析