×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「都合良く清洲が出て来たということは、この日美濃から客人が来ることを予め知っていたか」
戻って早速、表座敷で小さな軍議を開く
戦のことではないので、集められた人数は極僅かであった
信長、帰蝶は言うに及ばず、帰蝶の補佐であるなつは必須で、なつが参加するのだから息子も呼ばねば釣り合いが取れないと言うことで恒興、今や信長の側近中の側近である秀隆と、小姓も信長の世話をしなくてはと利家、情報収集を頼むために滝川一益、それと、最近はめっきり帰蝶の使いっ走りに落ち着いている弥三郎利親、新しく参入した可成と、美濃との連絡係である恵那の合計十人足す、可成の倅・傅兵衛が雁首揃えて座敷の真ん中で円陣を組む
「どこから漏れたのでしょうか」
「さぁな」
まさかとは想うが、信長には心当たりがある
帰蝶にもあった
だが、それを口にしてしまえば妻、そして自分自身の立場が危うくなるのを二人は知っていた
人選をして集めたとは言え、全てが全て全面的に帰蝶の味方、と言うわけではないのだから
この人数の中でそれを話せる相手は可成か、なつくらいなものだろう
残りは悲しいかな家臣らは『織田の人間』なのだから、疑いが掛かれば例え奥方であろうと詰問ぐらいは受けて然るべきだった
どれだけ織田に尽力しようとも、織田で生まれていない以上、帰蝶は『他人』でしかない
「それは兎も角、勘十郎が一枚噛んでないことを祈るしかないだろ」
「かかさま」
「しかし、もしも勘十郎様が関与されていた場合は、如何なさるおつもりですか」
「それはこれから決める」
「恵那の実家にも、情報を依存することになるけれど」
「こちらは全然構いません。父も承諾しておりますし」
「ところで、三左の実家の方はどうだ。無事、美濃で暮らして行けそうか?」
「万が一を考えて、母方の実家に身を寄せることになりました。森は既に私が継いでおりますので、異存なしとのことで」
「そうか、それを聞いて少しは安心できるな」
「ぱい」
「ちょっと待ってね、傅兵衛」
信長、帰蝶、一益、秀隆の会話が交差する中を、傅兵衛と恵那の会話が混じる
「では、当面の目標は、誰が清洲・鳴海に勝幡出陣を前以て知らせたかと言うことに、焦点を絞らなくてはならないんですが。でないと、話が先に進みません」
秀隆の至極まともな質問に帰蝶は俯き、信長も黙り込む
そんな緊張感漂う中を傅兵衛が
「かかさま、ぱい欲しい~」
と、駄々を捏ね始め、大胆にも母の懐に手を突っ込む
「ちょ、ちょっと待ってよ、傅兵衛」
焦る恵那は顔を少し赤らめて傅兵衛の手を引っ張り出した
「なんだ、傅兵衛はまだ乳離れができてないのか」
「申し訳ございません、少し甘やかし過ぎたかも知れません・・・」
謝る恵那に信長は平然とした顔で言ってのける
「構わん、吸わせても良いぞ」
「えっ・・・!」
公衆の面前で乳房を出せと言うのか・・・
まだ若い恵那には、そんな度胸はない
「吉法師様、それはさすがに無理かと・・・。せめて男衆が外に出るのなら兎も角・・・」
堪らず帰蝶が助け舟を出す
「それじゃ話し合いにならないだろ」
「かかさま、ぱい~!」
母親のおっぱいを恋しがる傅兵衛が、今にも泣きそうなほど声を張り上げた
「後でね、傅兵衛」
「いやぁ~!」
「しょーがねーな。なつ、お前のをやれ」
顔を顰めながら腕組みをし、信長は言う
なつとて、まだ女を捨てたわけじゃない
「出るわけないでしょ!子供生んで何年経つと想ってるんですか!」
眉毛を釣り上げて怒鳴る
なつの隣では息子の恒興が顔を真っ赤にしていた
「若けりゃいいのか、じゃぁ帰蝶 」
その瞬間、顔の中心目掛けて帰蝶の掌が飛んだ
パシーン!と、張り手の良い音がする
結局傅兵衛は局処の女に預けることになった
母から離れてしばらくは傅兵衛の泣き声が聞こえたが、徐々に遠ざかって行く
その内、母以外の女の乳房でも咥えたら大人しくなるだろうと、誰もが想う
母親である恵那だけは別だが
話の本題はどうしても、誰が信長の敵と繋がっているかに言及してしまう
じっと押し黙っていることに耐えられなくなったのか、帰蝶は俯いていた顔を上げ、自分の考えを話そうとした
その帰蝶の表情を見て、なつが先に口を動かした
「何処の誰が誰と繋がっているか、それを調べる術を決めるための軍議ではないのですか?何故皆様方は、まだはっきりと確定したわけではない答えを求めるのでしょう。この席の誰かが知っているとでも言いたいのでしょうか」
聞かん坊だった信長を制し、荒くれ立った信秀をも制したなつの、挑む言葉は鋭い刃先のように恐怖心を駆り立てる
「若のお考えを先ず最初に述べてください。愚図愚図しているからみな、不安になるのです」
「す、すまん・・・」
なつに叱られ恐縮する信長に、帰蝶は少し眉間に皺を寄せ、すまなそうな顔をする
そんな帰蝶に信長は軽く笑顔を見せると正面を向き直し、自分の想うところを話した
「俺の考えでは、案外近い場所に居るんじゃないかと」
「心当たりは」
「あるようで、ない」
「それは話になりませんよ」
食い下がる秀隆に、信長の代わりを買って出たわけではないが、利家が告げる
「外れかも知れませんが、林様にもその疑いは拭い切れませんね」
「林殿が?」
今までずっと黙って話を聞いていた一益が、初めて声を出した
やや優男風な見掛けに因らず、随分と野太い声だった
「ここにお姿がないと言うことは、殿も薄々そうではないかと想ってらっしゃるのでは?」
「 」
「だから、こんな大事な話し合いの場に呼ばなかったのではありませんか?」
普段はどことなくぼーっとしていて、いつも女か食い物のことしか考えていないような雰囲気を醸し出している利家の、意外と的を射た意見に信長は返答できなかった
「直接繋がっているとは考えられませんが、ここのところの戦にも、林殿は必ず留守居をなさっておいでです。まぁ、先代様がご存命中、殿に戦の出番はありませんでしたから、林様は教育係としての役割しか持っておられませんでしたが、その先代様が亡くなられてから殿は、これで三度の戦をしておいでです。ですがその何れも林様の出馬はございません。別に林様を上げ槍にするつもりはありませんが、大事な局面に居ないとなれば自然と、林様に疑惑の目が行きます。それは殿御自身が林様を疑ってらっしゃる証拠ではないでしょうか」
「犬千代・・・」
利家はこんなにも饒舌だったのかと、信長は驚いた
見てくれは大きな少年で、しかしその分早熟で、どこかだらしなさが隠し切れない
そんな利家のすらすらと出る言葉に驚かされる
「私は・・・、誰を疑うとかそう言うことも重要だろうけど、それなら斎藤側に探りを入れた方が、案外簡単に見付かるんじゃないか・・・と」
恐る恐ると、帰蝶にしては珍しい口調で言った
「だからこうして、三左夫妻にも織田に来てもらったのだし、今は斎藤が動くのを待った方が賢明じゃないかと想います・・・」
「それはつまり、奥方様自身、斎藤をも疑ってらっしゃると言うことでしょうか」
秀隆に向かって、どうしたのだろう、帰蝶らしくない焦った表情を見せる
「この件、まさかとは想いますが、斎藤家が一枚噛んでいると?だからこうして森殿ご一家を尾張に呼んだ?そう言うことですか?」
「それは・・・」
「与兵衛、そのことは 」
妻を庇おうとする信長に、秀隆はきっと睨み顔を向けた
「殿、いい加減に信じてもらえませんか。さっきから話を聞いていたら、全く核心を突こうとなさらない。見ててじれったいですよ」
「与兵衛・・・」
「そもそも織田と斎藤は敵対してたんでしょうが。だから殿と奥方様の和睦婚姻が成立したんじゃないんですか」
早口で捲くし立てる秀隆に、さすがの信長も言い返す暇がない
「だったらこっちだってその覚悟があって迎え入れたんだって、いい加減気付いてくださいよ」
「与・・・」
「あのね、殿。まぁ確かに私は奥方様との付き合いも、高々二年でしかありませんよ。ええ、奥方様の人柄を知るには、まだまだ不十分な月日です。ですがね、おなつさんがこんなにも近くに居るんですよ。それが何よりの証拠じゃないですか」
「何を・・・?」
信長もそうだが、名指しされたなつも目を丸くして秀隆に向けた
「日頃からの奥方様とおなつさんを見ていたらね、とても織田の女と斎藤の女と区別できないんですよ。まるでね、ずーっと昔から付き合いがあるみたいに想えて、仕方ないんです」
「与兵衛、お前・・・」
「河尻殿・・・」
「そうでしょ?奥方様」
「え・・・」
帰蝶がそう感じていたように、その疑念を秀隆が払拭してくれた
はっとして、秀隆に顔を向ける
少し厳しい顔付きだった
「奥方様はこれまで、織田のためになることはしても、織田のためにはならないようなことをしたと、聞いたことがありません。だから私はね、奥方様は斎藤の生まれでも、織田のことだけ考えておいでなんだって、安心してたんですよ。なのになんですか、さっきからずっと黙ったままで、何か隠し事でもしてるかみたいで薄気味悪くなっちゃって」
「薄気味て・・・」
大袈裟に言われ、帰蝶の頭から汗が浮かぶ
「下手な心配しなくても、少なくとも私は奥方様を疑っちゃいませんよ」
「河尻・・・」
帰蝶の目から、薄っすらと涙が浮かぶ
「それなら俺だって、奥方様を信じてますよ」
負けじと利家も口を挟む
「なんたってこの目で、奥方様の軍略を見たんですよ?」
「犬千代・・・」
今度は利家に目を向ける
「山口の鳴海を攻めた時、奥方様は織田にも山口にも損失を出さないよう、充分配慮なさいました。それは、謀叛を起こしたとて、山口はまだ織田の家臣だってことをきちんと考えておられてて、その結果のことだって想いました。だから俺も河尻様と同じく、いいえ、それ以上に奥方様を信じております」
熱い目をして語る利家に、少し引きながらも感謝の一礼をした
「何向きになってんだ、犬千代」
「私は、言うに及ばず。姫様・・・、いえ、奥方様の助けとなるべく参上したわけですから、論外扱いと言うことで」
「私も」
可成と恵那が続けて宣言する
となると、残りは二人になるわけだが
「 まぁ、私は織田の中でもまだまだ新参者ですから、立場的には奥方様と同じと言うことで、問題外としてくださって結構です」
つまりは、帰蝶を疑うことはないと言っているようなものだった
「滝川・・・」
そうなると、残りの一人、恒興に視線が注がれる
「何か仰い、勝三郎」
母の怖い顔を目の当たりにしてしまい、恒興は玉袋が縮み上がりそうなほど震えた
「あっ、あのっ・・・、わっ、私はっ・・・」
「勝三郎!」
「 ッ」
煮え切らない我が子に、なつは腹の底から声を張り上げる
信長と一つしか変わらないと言うことは、帰蝶には一つしか年が違わない
大の男でもある恒興が母に責められている姿など、これ以上晒したくなかった
「なつ、良いの。勝三郎は、私を疑ってはいないわ。そうでしょ?勝三郎」
「 奥方様・・・」
母とは違う優しい眼差しを向けてくれる帰蝶に、恒興の目から薄っすらと歓喜の涙が滲む
「私は・・・、生涯を懸けて奥方様への忠誠を誓いま・・・」
「相手が違うわよ、勝三郎」
苦笑いする帰蝶に、信長も続ける
「緊張し過ぎだ、勝三郎」
それから、誘われるように周囲から笑い声が上がった
それに釣られるかのように、恒興自身も苦笑いする
息子の姿を見ながら、なつがふぅ・・・と溜息を零した
それを見て、帰蝶は恒興が自分に加担するよう態と威圧していたことを知り、なつにも苦笑いする
見透かされたと想ったなつは、年に似合わぬぺロッと舌を出した笑顔で応えた
弥三郎はと言うと、帰蝶の使いっ走りであることは周知の事実であるためか、誰も何も言わない
それが悲しい弥三郎であった
織田での帰蝶の立場がはっきりし、今後万が一斎藤と争う事が起きても帰蝶に疑いの目を向けたりはしないと誓い合う
今想えば、この面子が帰蝶にとって最良の側近たりえたのかも知れない
「漸く生まれたか」
隣には、生まれたばかりの我が子を抱く妻、椿
正面には、その祖父となる道三
対峙する利三はどこか、自分だけが別世界に居るような気分になった
「中々子ができんからな、杞憂しておった」
「申し訳ございません、父上。旦那様も中々忙しくて」
そう、自分を庇う妻の言葉に、利三は益々自分とは関係のない場所に座らされているような気になる
椿を娶った当初は、中々触れなかった
どこかで『怖い』と言う気持ちがあったのだろう
相手は帰蝶の異腹妹で、だから半分は帰蝶と同じ血が流れている
椿を介して帰蝶を抱いているような、そんな想いをしたことも一度や二度ではない
女として育ち切った椿の躰に、まだあどけなかった頃の帰蝶の裸体が重なる
それだけでもう、手が伸ばせなくなったことも屡だった
結婚して一年余りは椿の顔すらまともに見ることができない状態にあったが、それでも周囲から「子を」と言われ続け、そして、椿の誘惑にも負けた
抱いてしまえば簡単だった
あれほど嫌がっていた同衾も、一度情を交わせば何度でも繰り返せる
目を閉じてしまえば良い
帰蝶のことを忘れれば良い
だけど・・・・・・・
時々、椿の喘いだ顔の上に、最後に見た帰蝶の顔が重なる
その時だけは、帰蝶を抱いているような、そんな気分になれた
幸せで、しかしそれは苦痛を伴い、利三を苦しめた
この手にあるのは妻であり、帰蝶ではない
雲よりも高くなった帰蝶を未だ忘れられない自分の未練たらしさに、嫌気が差す
「しかし、こうなると帰蝶の子が待ち遠しいのお」
ふと、道三の口から出たその名に、利三の肩がピクンと震えた
「そう言えば、帰蝶姉様から懐妊の話は聞きませんね」
椿も姉の名を口にする
「如何なさったのでしょう」
まるで帰蝶が石女のような、それを遠回しに言っているような気がして不愉快になる
「楽しみにしているのだがな」
「はい、私もです」
その言葉は、夫の子を産んだ女の余裕から出た言葉だろうか
「織田とは今後も親密な関係で居たいですものね」
「 」
妻は知らない
織田を巻き込むほどの壮大な計画を
だが
聡明な帰蝶は、気付いているのかも知れない
最近、同僚である森可成が織田に鞍替えをしたと聞く
女だてらに戦の話を嬉々としていた帰蝶を想い出して仕方なかった
那古野の城下にある織田の武家長屋の一角に、空き部屋がある
森一家はそこに住まいを移した
革手の屋敷にあった家財道具は、大事な物以外全て処分して来た
移動するには身軽な方が便利だと恵那がそうした
衣類を仕舞う竹の長持ちを運びながら、可成は一人で引越しの準備を済ませた恵那を誉める
「それにしても姫様、すっかり変わってしまったわね」
「そうか?」
可成にはその違いがわからない
「相変わらずだと想うんだけどなぁ」
「やることは変わらないけれどね」
男のように武装して、自分を迎えに来た帰蝶の姿を想い出し、ふと笑う
「でも、変わったわ」
ご近所から手伝いの女房達が集まり、恵那は挨拶代わりに美濃の香の物を配る
その中の一人が気を良くして、傅兵衛をしばらくの間預かってくれることになった
今の内と、大きな荷物を運び入れる
後は整理だけで今日のところはとりあえず、寝る場所の確保だけが目下の目標になる
筵に包んだ布団を表に干し、掌でパンパンと埃を払う
そうしながら恵那は続けて言った
「旦那様、気付かなかったの?」
「何が?」
「姫様、女言葉になってる」
「え?」
改めて言われてみても、男の可成にはピンと来ない
「ほら。稲葉山に居た頃は、姫様っていつも男言葉使ってなかった?」
「そうだっけ?」
日常のことなど、人はそう記憶に残らない
当たり前のことは『習慣』となり、その『習慣』を『記憶』とすることのできない『人間』に、些細な違いなどそう滅多に気付けるものでもなかった
「姫様って、周り、いつも男の人に囲まれてたから、そう目立つこともなかったけど、局処に居ると物凄く違和感があって。見掛けはね、そりゃもう愛らしい姫様なのに、中身は若君なのよ。だから局処じゃ浮いた存在になっちゃって、それで姫様、いつもお城を抜け出してたのよね」
「そうだったのか」
その『姫様』を連れ戻す仕事をさせられていた可成には、妻の言う違いがいまいち意識として生きて来ない
「その姫様が、女として生きているのね。ご主人の上総介様が、姫様を変えてしまったのね、きっと。だとしたら、物凄い人物だと想わない?」
「そうだな、じゃじゃ馬な姫様を乗りこなしておいでなのだから、凄い人物なのだろうな」
「乗りこなす、て・・・」
恵那は夫の譬えに苦笑いする
「傅兵衛は、いつ戻る?」
「ああ、いけない。片付けに夢中になってて、迎えに行くの忘れてたわ」
恵那は襷を解いて表に出ようとする
その恵那の手首を掴み、熱い眼差しを注ぎ込む
「いつも想うんですが、殿方って一体どこで発情なさるんでしょうか」
「常に隠している部分でだな」
「それが答えですか?」
呆れながらも恵那は、夫の口唇を受けた
森可成が尾張に移ったことで、こちらの事情を探ろうとしていることを利発な義龍が気付かないはずがない
「帰蝶め、どこで誰と手を組んだのやら」
義理の妹とは言え可愛いことに違いはなく、義龍もまた、帰蝶の才知を愛していた
苦笑いのような笑みを浮かべ、妹を誉める
「父上は、手放してはならないものを手放してしまわれた。それが父上の誤算だ」
義龍の周りに居るのは美濃三人衆と、側近となりつつある利三、それから数人の小姓衆だった
「私が父上の立場だったら、身内に嫁がせるがな。年合いを考えれば、清四郎辺りか」
「ご冗談を・・・」
言われて、利三は戸惑う
義龍以外にも、それを口にする者は何人か居た
帰蝶の母もその一人だった
だが、道三はそれを許さなかった
奪った斎藤本家の力が復活することを恐れたからだ
それでも自分の娘を嫁がせたのは、利三の父・利賢を手元に縛り付けておくこと
帰蝶は『本妻の娘』、椿は『側室の娘』で、同じ娘としての立場ではあっても、立ち位置は全く違う
家臣の倅にくれてやるくらいなら、豪族だろうと他家にやった方が将来的に有意義だとでも想ったのだろうか
「織田の内部に不穏な動きを誘ってみたのだがな、これが中々動かん。さて、帰蝶め、何をしよったか」
亡き信秀の正室とは夫共々折り合いが悪いと聞く
しかし、信秀の側室の中でも抜きん出て権力を握るなつを手の内に入れたことで、少なくとも織田家の女達の多くは帰蝶に傅くようになった
さすがにその情報までは耳に届かない
しかし、信長に対し謀叛を起こさせようとした信勝も、ここのところ動きが鈍くなった
同じ尾張の豪族の娘を娶り、最近になって子が生まれたことは聞かされているが、それが原因で動きを封じられたとも考えにくい
義龍は織田の内部分裂を謀り、清洲大和守、岩倉伊勢守と手を組み、あまつさえ末森織田とも内応していた
こうして信長をぐるりと取り囲む包囲網を敷いたと言うのに、その網に信長が中々掛からないのが腹立たしい
妹が信長を守っているのだと那古野から戻った守就に聞かされた時、妹と亭主の仲が良好であることに悔しさを噛み締めた
「嫌になったらいつでも戻って来い」と言ったのは本心であり、義龍は誰よりも早く帰蝶のその才能を見抜いていたのだ
妹が戻って来たら、自分は父に対する抵抗力が高まると感じていた
勿論、帰蝶は道三の味方をするだろう
だがそれ以上に、妹は頭のいい女である
どちらに付けば有利かなど、個人感情抜きで考えられる冷静な頭脳を持っていた
義龍の計算が狂ったのは、妹が夫と良好な関係で居ることと、その夫が道三の側に付いたことである
最も、これは最近の夫婦間で上がった結果であるため、信長の周辺ですら知り得ない内容であるから、当然義龍にもまだ届かない
「帰蝶を美濃に帰す手立てと言うのは、ないものか」
「無理に連れ戻すのは不可能でしょうな」
と、守就が言葉にする
「信じ難いことですが、姫様は独自で軍隊を動かす力をお持ちです。それは夫である織田上総介が容認していることであり、上総介側の織田の人間も同義。帰って来いと言っても、姫様はお戻りにはならないでしょう」
「そんな莫迦な話が・・・」
同僚の稲葉一鉄良通が想わず言葉を漏らす
「いや。考えられなくもない。お前達は帰蝶との付き合いもそうなかろうから、想像もできんかも知れんが、帰蝶を侮っていると痛い目に遭うぞ?なあ、お清」
「 はい」
久し振りにそう呼ばれ、利三は小さな声で返事した
「当面の目標は、『帰蝶崩し』か。これは骨が折れる」
「どのようになさいますので?」
美濃三人衆の最後の一人、氏家卜前直元が聞く
「信長に色仕掛けは効くだろうか?」
「女を送り込むので?」
今度は守就が聞く
「二人の間には、まだ子が成されんと言う。ならば側室でも送り、どうぞ子を作ってくださいましなとは、どうだろう」
「それでは女は局処に縛られます。局処は姫様の活動の場、益々自由が効かないのでは?」
「ふむ、帰蝶は勘が良いからな、寧ろ女を縛り上げて、こちらの計画を知られては不味いか」
「上総介自身を殺すと言うのは?」
「その信長に、どうやって近付く」
「姫様がお側におられる間は、先ず、不可能・・・」
小さな声で利三が言った
脳裏には数年前、自分の目の前で信長の手を取り逃げ去る帰蝶の面影が浮かんだ
胸が苦しい・・・・・
「そこなんだ、一番の問題点は」
腕を組み、義龍が唸り声を上げる
「まるで神社の狛犬の如く、信長の側に居て守りに入っている。その帰蝶の目を掻い潜って、どうやって信長に近付くか。色仕掛けが駄目なら、織田に寝返った森を利用するか」
「しかし、妻子共に尾張に行ってしまっております。森の父親は既に引退しており、こちら側の人間ではなくなってますし、その妻の実家は遠山のお膝元にあります。いくらこちらに仕えているとは言え、人質には難しい立場の人間です。娘婿を追って尾張にでも入られてしまっては、我々の計画が露見する危険もあります」
義龍側から迂闊に手を出せば、事を成す目論みありと自ら吹聴するにも等しい
「そもそもこの計画は、父を引退させることに当面の目標を置かれている。しかし、ただ引退させただけではしょうがない。美濃の象徴である帰蝶を手元に置いておかんと、次に私が継いだとしても土岐の残党が煩く啼くだけだ。しかしその点帰蝶には明智の血が流れている。明智を介して祖先を同じくする土岐の血も流れているに等しいのだからな」
そのためには、自分が帰蝶の保護者である必要があった
父を引退させ、美濃を手に入れる
美濃の後継者になれば、母の無念も浮かばれる
帰蝶を手に入れるには、信長が邪魔だった
信長を亡き者にして、戻った妹を美濃の誰かに嫁がせる
土岐に近しい者なら尚のこと
父と信長の両方を屠る計画が、練られている最中であった
「縦しんば信長を殺せても、帰蝶は素直に美濃に戻るだろうか。帰蝶の母君・小見の方は、女としての躾が厳しい。帰蝶を崩すには先ず、信長を亡き者にし、ここに帰らせるしか手立てがない。ちょっとやそっとで実家に帰る気など、まず起きないだろう」
帰蝶が大人しく実家に帰るか
あるいは、そのまま尾張に留まって出家し、夫の菩提を弔うか
それ以外の可能性を、この場の誰も想い付かないのは仕方がない
「そう言う風に育てられているからな。しかも、その躾を施した小見の方を育てたのが我が母上と来るもんだから、尚更頭が痛い」
義龍の母・深吉野は丹波一色の姫君である
美濃の名門・土岐家の惣領の側室としてここに来たものが、何故か道三に取り上げられ斎藤の側室に鞍替えしてしまった
男の手から手へと渡されるほど、母の美しさは際立っていた
絶世の美女とは、権力の象徴である
どれだけの美しい女が側に侍っているかで、その男の権力の大きさを物語る
母の美しさは小見の方の比ではないと、息子ながらに自負していた
その母が『正室』になれなかったのは、土岐頼芸の『側室』であったがためである
『正妻生まれの娘』と、『側室生まれの娘』の地位の違いが証明するように、『正室』と『側室』も地位は雲泥に違っていた
どれだけ美しかろうと、地位が低ければそれを『正室』としてしまうと男の価値が下がるのだから
母を決して認めない父にも、義龍が決別を決めた一つでもある
自身、出自の低さを考慮せず、名門・一色の姫君を下に置く父には許し難い想いがあった
美貌も教養も、母は小見の方と見劣りするところなど何一つない
負けるとすれば年齢くらいなものだろう
この、義龍の心理を上手く突いたのが誰かまでは、まだわからぬが・・・・・・
徐々に信長への魔手は伸びて行く
確実に、そして真っ直ぐに
この計画が達成された時、帰蝶はどんな想いを抱くだろうか
この世の常として潔く諦めて実家に戻るか、あるいは出家するか
実家に戻れば、また、以前のように顔を合わせられるだろうか
だが自分にはもう既に妻が居る
『正妻生まれ』の姫君が、『側室生まれの』妹の補佐として収まるはずがない
あるいは、椿を降嫁させて帰蝶を正妻とするか
いや・・・・・・
それを選べられる立場ではないことくらい、利三自身が良く知っている
義龍は実家に戻った帰蝶を有効に利用するだろう
『家臣ごとき』に嫁がせるほど、義龍もお人好しではない
もしも帰蝶が美濃に戻ったら、次は誰のところに嫁がされるのか
年齢を考慮するなら、一つ上の『姉さん女房』にはなるが今川義元の嫡男、氏真が妥当だろうか、それとも、同じ条件なら武田晴信の嫡男、義信か
いや、義信には既に妻が居る
正妻にはなれない
側室で収めるならば、相手はいくらでも居た
近江の浅井、あるいは六角
越前の朝倉
信濃の木曽
それから、信長の弟、信勝
信勝なら年齢的にも釣り合いが取れる
だが、それだと帰蝶は再び織田に嫁入りすることになるのだ
しかも夫を策略に嵌めた一味にもなる
答えなど決して出ない想いに、利三は長く留まっていたことに気付いた
今、あなたは、何をしておいでですか
「姫様・・・」
小さく呟く
それから躊躇うように、その名を口にした
「 帰蝶・・・」
死んでも口にすることなど許されぬ、禁忌の名を呟く
忘れよう
忘れよう
忘れよう
嫁いでからもずっと、そう心の中で繰り返す言葉は、未だ成就されなかった
繰り返すほどに想いだけが募る
それは利三を酷く苦しめ、甚振った
「姫様・・・」
夕焼けの茜に染まりつつある空を見上げ、想いの丈を吐き捨てた
「いつになれば、あなた様を忘れられますか・・・」
その時、自分の頭上を一羽の鴉が飛んで来た
真っ直ぐ、稲葉山城の上を飛び抜ける
鴉は、南に飛んで行った
帰蝶の暮らす、尾張に向って
「 」
自分も鴉になって
あの人の許に真っ直ぐ、飛んで行けたら
この心は軽くなるのだろうか
それとも
触れられぬ手に、ただ苦しむだけなのだろうか
また、答えの出ない想いが浮かぶだけだった
遠くで鴉の鳴き声がした
逢いたい、逢いたいと鳴いているような気がした
戻って早速、表座敷で小さな軍議を開く
戦のことではないので、集められた人数は極僅かであった
信長、帰蝶は言うに及ばず、帰蝶の補佐であるなつは必須で、なつが参加するのだから息子も呼ばねば釣り合いが取れないと言うことで恒興、今や信長の側近中の側近である秀隆と、小姓も信長の世話をしなくてはと利家、情報収集を頼むために滝川一益、それと、最近はめっきり帰蝶の使いっ走りに落ち着いている弥三郎利親、新しく参入した可成と、美濃との連絡係である恵那の合計十人足す、可成の倅・傅兵衛が雁首揃えて座敷の真ん中で円陣を組む
「どこから漏れたのでしょうか」
「さぁな」
まさかとは想うが、信長には心当たりがある
帰蝶にもあった
だが、それを口にしてしまえば妻、そして自分自身の立場が危うくなるのを二人は知っていた
人選をして集めたとは言え、全てが全て全面的に帰蝶の味方、と言うわけではないのだから
この人数の中でそれを話せる相手は可成か、なつくらいなものだろう
残りは悲しいかな家臣らは『織田の人間』なのだから、疑いが掛かれば例え奥方であろうと詰問ぐらいは受けて然るべきだった
どれだけ織田に尽力しようとも、織田で生まれていない以上、帰蝶は『他人』でしかない
「それは兎も角、勘十郎が一枚噛んでないことを祈るしかないだろ」
「かかさま」
「しかし、もしも勘十郎様が関与されていた場合は、如何なさるおつもりですか」
「それはこれから決める」
「恵那の実家にも、情報を依存することになるけれど」
「こちらは全然構いません。父も承諾しておりますし」
「ところで、三左の実家の方はどうだ。無事、美濃で暮らして行けそうか?」
「万が一を考えて、母方の実家に身を寄せることになりました。森は既に私が継いでおりますので、異存なしとのことで」
「そうか、それを聞いて少しは安心できるな」
「ぱい」
「ちょっと待ってね、傅兵衛」
信長、帰蝶、一益、秀隆の会話が交差する中を、傅兵衛と恵那の会話が混じる
「では、当面の目標は、誰が清洲・鳴海に勝幡出陣を前以て知らせたかと言うことに、焦点を絞らなくてはならないんですが。でないと、話が先に進みません」
秀隆の至極まともな質問に帰蝶は俯き、信長も黙り込む
そんな緊張感漂う中を傅兵衛が
「かかさま、ぱい欲しい~」
と、駄々を捏ね始め、大胆にも母の懐に手を突っ込む
「ちょ、ちょっと待ってよ、傅兵衛」
焦る恵那は顔を少し赤らめて傅兵衛の手を引っ張り出した
「なんだ、傅兵衛はまだ乳離れができてないのか」
「申し訳ございません、少し甘やかし過ぎたかも知れません・・・」
謝る恵那に信長は平然とした顔で言ってのける
「構わん、吸わせても良いぞ」
「えっ・・・!」
まだ若い恵那には、そんな度胸はない
「吉法師様、それはさすがに無理かと・・・。せめて男衆が外に出るのなら兎も角・・・」
堪らず帰蝶が助け舟を出す
「それじゃ話し合いにならないだろ」
「かかさま、ぱい~!」
母親のおっぱいを恋しがる傅兵衛が、今にも泣きそうなほど声を張り上げた
「後でね、傅兵衛」
「いやぁ~!」
「しょーがねーな。なつ、お前のをやれ」
顔を顰めながら腕組みをし、信長は言う
なつとて、まだ女を捨てたわけじゃない
「出るわけないでしょ!子供生んで何年経つと想ってるんですか!」
眉毛を釣り上げて怒鳴る
なつの隣では息子の恒興が顔を真っ赤にしていた
「若けりゃいいのか、じゃぁ帰蝶
その瞬間、顔の中心目掛けて帰蝶の掌が飛んだ
パシーン!と、張り手の良い音がする
結局傅兵衛は局処の女に預けることになった
母から離れてしばらくは傅兵衛の泣き声が聞こえたが、徐々に遠ざかって行く
その内、母以外の女の乳房でも咥えたら大人しくなるだろうと、誰もが想う
母親である恵那だけは別だが
話の本題はどうしても、誰が信長の敵と繋がっているかに言及してしまう
じっと押し黙っていることに耐えられなくなったのか、帰蝶は俯いていた顔を上げ、自分の考えを話そうとした
その帰蝶の表情を見て、なつが先に口を動かした
「何処の誰が誰と繋がっているか、それを調べる術を決めるための軍議ではないのですか?何故皆様方は、まだはっきりと確定したわけではない答えを求めるのでしょう。この席の誰かが知っているとでも言いたいのでしょうか」
聞かん坊だった信長を制し、荒くれ立った信秀をも制したなつの、挑む言葉は鋭い刃先のように恐怖心を駆り立てる
「若のお考えを先ず最初に述べてください。愚図愚図しているからみな、不安になるのです」
「す、すまん・・・」
なつに叱られ恐縮する信長に、帰蝶は少し眉間に皺を寄せ、すまなそうな顔をする
そんな帰蝶に信長は軽く笑顔を見せると正面を向き直し、自分の想うところを話した
「俺の考えでは、案外近い場所に居るんじゃないかと」
「心当たりは」
「あるようで、ない」
「それは話になりませんよ」
食い下がる秀隆に、信長の代わりを買って出たわけではないが、利家が告げる
「外れかも知れませんが、林様にもその疑いは拭い切れませんね」
「林殿が?」
今までずっと黙って話を聞いていた一益が、初めて声を出した
やや優男風な見掛けに因らず、随分と野太い声だった
「ここにお姿がないと言うことは、殿も薄々そうではないかと想ってらっしゃるのでは?」
「
「だから、こんな大事な話し合いの場に呼ばなかったのではありませんか?」
普段はどことなくぼーっとしていて、いつも女か食い物のことしか考えていないような雰囲気を醸し出している利家の、意外と的を射た意見に信長は返答できなかった
「直接繋がっているとは考えられませんが、ここのところの戦にも、林殿は必ず留守居をなさっておいでです。まぁ、先代様がご存命中、殿に戦の出番はありませんでしたから、林様は教育係としての役割しか持っておられませんでしたが、その先代様が亡くなられてから殿は、これで三度の戦をしておいでです。ですがその何れも林様の出馬はございません。別に林様を上げ槍にするつもりはありませんが、大事な局面に居ないとなれば自然と、林様に疑惑の目が行きます。それは殿御自身が林様を疑ってらっしゃる証拠ではないでしょうか」
「犬千代・・・」
利家はこんなにも饒舌だったのかと、信長は驚いた
見てくれは大きな少年で、しかしその分早熟で、どこかだらしなさが隠し切れない
そんな利家のすらすらと出る言葉に驚かされる
「私は・・・、誰を疑うとかそう言うことも重要だろうけど、それなら斎藤側に探りを入れた方が、案外簡単に見付かるんじゃないか・・・と」
恐る恐ると、帰蝶にしては珍しい口調で言った
「だからこうして、三左夫妻にも織田に来てもらったのだし、今は斎藤が動くのを待った方が賢明じゃないかと想います・・・」
「それはつまり、奥方様自身、斎藤をも疑ってらっしゃると言うことでしょうか」
秀隆に向かって、どうしたのだろう、帰蝶らしくない焦った表情を見せる
「この件、まさかとは想いますが、斎藤家が一枚噛んでいると?だからこうして森殿ご一家を尾張に呼んだ?そう言うことですか?」
「それは・・・」
「与兵衛、そのことは
妻を庇おうとする信長に、秀隆はきっと睨み顔を向けた
「殿、いい加減に信じてもらえませんか。さっきから話を聞いていたら、全く核心を突こうとなさらない。見ててじれったいですよ」
「与兵衛・・・」
「そもそも織田と斎藤は敵対してたんでしょうが。だから殿と奥方様の和睦婚姻が成立したんじゃないんですか」
早口で捲くし立てる秀隆に、さすがの信長も言い返す暇がない
「だったらこっちだってその覚悟があって迎え入れたんだって、いい加減気付いてくださいよ」
「与・・・」
「あのね、殿。まぁ確かに私は奥方様との付き合いも、高々二年でしかありませんよ。ええ、奥方様の人柄を知るには、まだまだ不十分な月日です。ですがね、おなつさんがこんなにも近くに居るんですよ。それが何よりの証拠じゃないですか」
「何を・・・?」
信長もそうだが、名指しされたなつも目を丸くして秀隆に向けた
「日頃からの奥方様とおなつさんを見ていたらね、とても織田の女と斎藤の女と区別できないんですよ。まるでね、ずーっと昔から付き合いがあるみたいに想えて、仕方ないんです」
「与兵衛、お前・・・」
「河尻殿・・・」
「そうでしょ?奥方様」
「え・・・」
帰蝶がそう感じていたように、その疑念を秀隆が払拭してくれた
はっとして、秀隆に顔を向ける
少し厳しい顔付きだった
「奥方様はこれまで、織田のためになることはしても、織田のためにはならないようなことをしたと、聞いたことがありません。だから私はね、奥方様は斎藤の生まれでも、織田のことだけ考えておいでなんだって、安心してたんですよ。なのになんですか、さっきからずっと黙ったままで、何か隠し事でもしてるかみたいで薄気味悪くなっちゃって」
「薄気味て・・・」
大袈裟に言われ、帰蝶の頭から汗が浮かぶ
「下手な心配しなくても、少なくとも私は奥方様を疑っちゃいませんよ」
「河尻・・・」
帰蝶の目から、薄っすらと涙が浮かぶ
「それなら俺だって、奥方様を信じてますよ」
負けじと利家も口を挟む
「なんたってこの目で、奥方様の軍略を見たんですよ?」
「犬千代・・・」
今度は利家に目を向ける
「山口の鳴海を攻めた時、奥方様は織田にも山口にも損失を出さないよう、充分配慮なさいました。それは、謀叛を起こしたとて、山口はまだ織田の家臣だってことをきちんと考えておられてて、その結果のことだって想いました。だから俺も河尻様と同じく、いいえ、それ以上に奥方様を信じております」
熱い目をして語る利家に、少し引きながらも感謝の一礼をした
「何向きになってんだ、犬千代」
「私は、言うに及ばず。姫様・・・、いえ、奥方様の助けとなるべく参上したわけですから、論外扱いと言うことで」
「私も」
可成と恵那が続けて宣言する
となると、残りは二人になるわけだが
「
つまりは、帰蝶を疑うことはないと言っているようなものだった
「滝川・・・」
そうなると、残りの一人、恒興に視線が注がれる
「何か仰い、勝三郎」
母の怖い顔を目の当たりにしてしまい、恒興は玉袋が縮み上がりそうなほど震えた
「あっ、あのっ・・・、わっ、私はっ・・・」
「勝三郎!」
「
煮え切らない我が子に、なつは腹の底から声を張り上げる
信長と一つしか変わらないと言うことは、帰蝶には一つしか年が違わない
大の男でもある恒興が母に責められている姿など、これ以上晒したくなかった
「なつ、良いの。勝三郎は、私を疑ってはいないわ。そうでしょ?勝三郎」
「
母とは違う優しい眼差しを向けてくれる帰蝶に、恒興の目から薄っすらと歓喜の涙が滲む
「私は・・・、生涯を懸けて奥方様への忠誠を誓いま・・・」
「相手が違うわよ、勝三郎」
苦笑いする帰蝶に、信長も続ける
「緊張し過ぎだ、勝三郎」
それから、誘われるように周囲から笑い声が上がった
それに釣られるかのように、恒興自身も苦笑いする
息子の姿を見ながら、なつがふぅ・・・と溜息を零した
それを見て、帰蝶は恒興が自分に加担するよう態と威圧していたことを知り、なつにも苦笑いする
見透かされたと想ったなつは、年に似合わぬぺロッと舌を出した笑顔で応えた
弥三郎はと言うと、帰蝶の使いっ走りであることは周知の事実であるためか、誰も何も言わない
それが悲しい弥三郎であった
織田での帰蝶の立場がはっきりし、今後万が一斎藤と争う事が起きても帰蝶に疑いの目を向けたりはしないと誓い合う
今想えば、この面子が帰蝶にとって最良の側近たりえたのかも知れない
「漸く生まれたか」
隣には、生まれたばかりの我が子を抱く妻、椿
正面には、その祖父となる道三
対峙する利三はどこか、自分だけが別世界に居るような気分になった
「中々子ができんからな、杞憂しておった」
「申し訳ございません、父上。旦那様も中々忙しくて」
そう、自分を庇う妻の言葉に、利三は益々自分とは関係のない場所に座らされているような気になる
椿を娶った当初は、中々触れなかった
どこかで『怖い』と言う気持ちがあったのだろう
相手は帰蝶の異腹妹で、だから半分は帰蝶と同じ血が流れている
椿を介して帰蝶を抱いているような、そんな想いをしたことも一度や二度ではない
女として育ち切った椿の躰に、まだあどけなかった頃の帰蝶の裸体が重なる
それだけでもう、手が伸ばせなくなったことも屡だった
結婚して一年余りは椿の顔すらまともに見ることができない状態にあったが、それでも周囲から「子を」と言われ続け、そして、椿の誘惑にも負けた
抱いてしまえば簡単だった
あれほど嫌がっていた同衾も、一度情を交わせば何度でも繰り返せる
目を閉じてしまえば良い
帰蝶のことを忘れれば良い
だけど・・・・・・・
時々、椿の喘いだ顔の上に、最後に見た帰蝶の顔が重なる
その時だけは、帰蝶を抱いているような、そんな気分になれた
幸せで、しかしそれは苦痛を伴い、利三を苦しめた
この手にあるのは妻であり、帰蝶ではない
雲よりも高くなった帰蝶を未だ忘れられない自分の未練たらしさに、嫌気が差す
「しかし、こうなると帰蝶の子が待ち遠しいのお」
ふと、道三の口から出たその名に、利三の肩がピクンと震えた
「そう言えば、帰蝶姉様から懐妊の話は聞きませんね」
椿も姉の名を口にする
「如何なさったのでしょう」
まるで帰蝶が石女のような、それを遠回しに言っているような気がして不愉快になる
「楽しみにしているのだがな」
「はい、私もです」
その言葉は、夫の子を産んだ女の余裕から出た言葉だろうか
「織田とは今後も親密な関係で居たいですものね」
「
妻は知らない
織田を巻き込むほどの壮大な計画を
だが
聡明な帰蝶は、気付いているのかも知れない
最近、同僚である森可成が織田に鞍替えをしたと聞く
女だてらに戦の話を嬉々としていた帰蝶を想い出して仕方なかった
那古野の城下にある織田の武家長屋の一角に、空き部屋がある
森一家はそこに住まいを移した
革手の屋敷にあった家財道具は、大事な物以外全て処分して来た
移動するには身軽な方が便利だと恵那がそうした
衣類を仕舞う竹の長持ちを運びながら、可成は一人で引越しの準備を済ませた恵那を誉める
「それにしても姫様、すっかり変わってしまったわね」
「そうか?」
可成にはその違いがわからない
「相変わらずだと想うんだけどなぁ」
「やることは変わらないけれどね」
男のように武装して、自分を迎えに来た帰蝶の姿を想い出し、ふと笑う
「でも、変わったわ」
ご近所から手伝いの女房達が集まり、恵那は挨拶代わりに美濃の香の物を配る
その中の一人が気を良くして、傅兵衛をしばらくの間預かってくれることになった
今の内と、大きな荷物を運び入れる
後は整理だけで今日のところはとりあえず、寝る場所の確保だけが目下の目標になる
筵に包んだ布団を表に干し、掌でパンパンと埃を払う
そうしながら恵那は続けて言った
「旦那様、気付かなかったの?」
「何が?」
「姫様、女言葉になってる」
「え?」
改めて言われてみても、男の可成にはピンと来ない
「ほら。稲葉山に居た頃は、姫様っていつも男言葉使ってなかった?」
「そうだっけ?」
日常のことなど、人はそう記憶に残らない
当たり前のことは『習慣』となり、その『習慣』を『記憶』とすることのできない『人間』に、些細な違いなどそう滅多に気付けるものでもなかった
「姫様って、周り、いつも男の人に囲まれてたから、そう目立つこともなかったけど、局処に居ると物凄く違和感があって。見掛けはね、そりゃもう愛らしい姫様なのに、中身は若君なのよ。だから局処じゃ浮いた存在になっちゃって、それで姫様、いつもお城を抜け出してたのよね」
「そうだったのか」
その『姫様』を連れ戻す仕事をさせられていた可成には、妻の言う違いがいまいち意識として生きて来ない
「その姫様が、女として生きているのね。ご主人の上総介様が、姫様を変えてしまったのね、きっと。だとしたら、物凄い人物だと想わない?」
「そうだな、じゃじゃ馬な姫様を乗りこなしておいでなのだから、凄い人物なのだろうな」
「乗りこなす、て・・・」
恵那は夫の譬えに苦笑いする
「傅兵衛は、いつ戻る?」
「ああ、いけない。片付けに夢中になってて、迎えに行くの忘れてたわ」
恵那は襷を解いて表に出ようとする
その恵那の手首を掴み、熱い眼差しを注ぎ込む
「いつも想うんですが、殿方って一体どこで発情なさるんでしょうか」
「常に隠している部分でだな」
「それが答えですか?」
呆れながらも恵那は、夫の口唇を受けた
森可成が尾張に移ったことで、こちらの事情を探ろうとしていることを利発な義龍が気付かないはずがない
「帰蝶め、どこで誰と手を組んだのやら」
義理の妹とは言え可愛いことに違いはなく、義龍もまた、帰蝶の才知を愛していた
苦笑いのような笑みを浮かべ、妹を誉める
「父上は、手放してはならないものを手放してしまわれた。それが父上の誤算だ」
義龍の周りに居るのは美濃三人衆と、側近となりつつある利三、それから数人の小姓衆だった
「私が父上の立場だったら、身内に嫁がせるがな。年合いを考えれば、清四郎辺りか」
「ご冗談を・・・」
言われて、利三は戸惑う
義龍以外にも、それを口にする者は何人か居た
帰蝶の母もその一人だった
だが、道三はそれを許さなかった
奪った斎藤本家の力が復活することを恐れたからだ
それでも自分の娘を嫁がせたのは、利三の父・利賢を手元に縛り付けておくこと
帰蝶は『本妻の娘』、椿は『側室の娘』で、同じ娘としての立場ではあっても、立ち位置は全く違う
家臣の倅にくれてやるくらいなら、豪族だろうと他家にやった方が将来的に有意義だとでも想ったのだろうか
「織田の内部に不穏な動きを誘ってみたのだがな、これが中々動かん。さて、帰蝶め、何をしよったか」
亡き信秀の正室とは夫共々折り合いが悪いと聞く
しかし、信秀の側室の中でも抜きん出て権力を握るなつを手の内に入れたことで、少なくとも織田家の女達の多くは帰蝶に傅くようになった
さすがにその情報までは耳に届かない
しかし、信長に対し謀叛を起こさせようとした信勝も、ここのところ動きが鈍くなった
同じ尾張の豪族の娘を娶り、最近になって子が生まれたことは聞かされているが、それが原因で動きを封じられたとも考えにくい
義龍は織田の内部分裂を謀り、清洲大和守、岩倉伊勢守と手を組み、あまつさえ末森織田とも内応していた
こうして信長をぐるりと取り囲む包囲網を敷いたと言うのに、その網に信長が中々掛からないのが腹立たしい
妹が信長を守っているのだと那古野から戻った守就に聞かされた時、妹と亭主の仲が良好であることに悔しさを噛み締めた
「嫌になったらいつでも戻って来い」と言ったのは本心であり、義龍は誰よりも早く帰蝶のその才能を見抜いていたのだ
妹が戻って来たら、自分は父に対する抵抗力が高まると感じていた
勿論、帰蝶は道三の味方をするだろう
だがそれ以上に、妹は頭のいい女である
どちらに付けば有利かなど、個人感情抜きで考えられる冷静な頭脳を持っていた
義龍の計算が狂ったのは、妹が夫と良好な関係で居ることと、その夫が道三の側に付いたことである
最も、これは最近の夫婦間で上がった結果であるため、信長の周辺ですら知り得ない内容であるから、当然義龍にもまだ届かない
「帰蝶を美濃に帰す手立てと言うのは、ないものか」
「無理に連れ戻すのは不可能でしょうな」
と、守就が言葉にする
「信じ難いことですが、姫様は独自で軍隊を動かす力をお持ちです。それは夫である織田上総介が容認していることであり、上総介側の織田の人間も同義。帰って来いと言っても、姫様はお戻りにはならないでしょう」
「そんな莫迦な話が・・・」
同僚の稲葉一鉄良通が想わず言葉を漏らす
「いや。考えられなくもない。お前達は帰蝶との付き合いもそうなかろうから、想像もできんかも知れんが、帰蝶を侮っていると痛い目に遭うぞ?なあ、お清」
「
久し振りにそう呼ばれ、利三は小さな声で返事した
「当面の目標は、『帰蝶崩し』か。これは骨が折れる」
「どのようになさいますので?」
美濃三人衆の最後の一人、氏家卜前直元が聞く
「信長に色仕掛けは効くだろうか?」
「女を送り込むので?」
今度は守就が聞く
「二人の間には、まだ子が成されんと言う。ならば側室でも送り、どうぞ子を作ってくださいましなとは、どうだろう」
「それでは女は局処に縛られます。局処は姫様の活動の場、益々自由が効かないのでは?」
「ふむ、帰蝶は勘が良いからな、寧ろ女を縛り上げて、こちらの計画を知られては不味いか」
「上総介自身を殺すと言うのは?」
「その信長に、どうやって近付く」
「姫様がお側におられる間は、先ず、不可能・・・」
小さな声で利三が言った
脳裏には数年前、自分の目の前で信長の手を取り逃げ去る帰蝶の面影が浮かんだ
「そこなんだ、一番の問題点は」
腕を組み、義龍が唸り声を上げる
「まるで神社の狛犬の如く、信長の側に居て守りに入っている。その帰蝶の目を掻い潜って、どうやって信長に近付くか。色仕掛けが駄目なら、織田に寝返った森を利用するか」
「しかし、妻子共に尾張に行ってしまっております。森の父親は既に引退しており、こちら側の人間ではなくなってますし、その妻の実家は遠山のお膝元にあります。いくらこちらに仕えているとは言え、人質には難しい立場の人間です。娘婿を追って尾張にでも入られてしまっては、我々の計画が露見する危険もあります」
義龍側から迂闊に手を出せば、事を成す目論みありと自ら吹聴するにも等しい
「そもそもこの計画は、父を引退させることに当面の目標を置かれている。しかし、ただ引退させただけではしょうがない。美濃の象徴である帰蝶を手元に置いておかんと、次に私が継いだとしても土岐の残党が煩く啼くだけだ。しかしその点帰蝶には明智の血が流れている。明智を介して祖先を同じくする土岐の血も流れているに等しいのだからな」
そのためには、自分が帰蝶の保護者である必要があった
父を引退させ、美濃を手に入れる
美濃の後継者になれば、母の無念も浮かばれる
帰蝶を手に入れるには、信長が邪魔だった
信長を亡き者にして、戻った妹を美濃の誰かに嫁がせる
土岐に近しい者なら尚のこと
父と信長の両方を屠る計画が、練られている最中であった
「縦しんば信長を殺せても、帰蝶は素直に美濃に戻るだろうか。帰蝶の母君・小見の方は、女としての躾が厳しい。帰蝶を崩すには先ず、信長を亡き者にし、ここに帰らせるしか手立てがない。ちょっとやそっとで実家に帰る気など、まず起きないだろう」
帰蝶が大人しく実家に帰るか
あるいは、そのまま尾張に留まって出家し、夫の菩提を弔うか
それ以外の可能性を、この場の誰も想い付かないのは仕方がない
「そう言う風に育てられているからな。しかも、その躾を施した小見の方を育てたのが我が母上と来るもんだから、尚更頭が痛い」
義龍の母・深吉野は丹波一色の姫君である
美濃の名門・土岐家の惣領の側室としてここに来たものが、何故か道三に取り上げられ斎藤の側室に鞍替えしてしまった
男の手から手へと渡されるほど、母の美しさは際立っていた
絶世の美女とは、権力の象徴である
どれだけの美しい女が側に侍っているかで、その男の権力の大きさを物語る
母の美しさは小見の方の比ではないと、息子ながらに自負していた
その母が『正室』になれなかったのは、土岐頼芸の『側室』であったがためである
『正妻生まれの娘』と、『側室生まれの娘』の地位の違いが証明するように、『正室』と『側室』も地位は雲泥に違っていた
どれだけ美しかろうと、地位が低ければそれを『正室』としてしまうと男の価値が下がるのだから
母を決して認めない父にも、義龍が決別を決めた一つでもある
自身、出自の低さを考慮せず、名門・一色の姫君を下に置く父には許し難い想いがあった
美貌も教養も、母は小見の方と見劣りするところなど何一つない
負けるとすれば年齢くらいなものだろう
この、義龍の心理を上手く突いたのが誰かまでは、まだわからぬが・・・・・・
徐々に信長への魔手は伸びて行く
確実に、そして真っ直ぐに
この計画が達成された時、帰蝶はどんな想いを抱くだろうか
この世の常として潔く諦めて実家に戻るか、あるいは出家するか
実家に戻れば、また、以前のように顔を合わせられるだろうか
だが自分にはもう既に妻が居る
『正妻生まれ』の姫君が、『側室生まれの』妹の補佐として収まるはずがない
あるいは、椿を降嫁させて帰蝶を正妻とするか
いや・・・・・・
それを選べられる立場ではないことくらい、利三自身が良く知っている
義龍は実家に戻った帰蝶を有効に利用するだろう
『家臣ごとき』に嫁がせるほど、義龍もお人好しではない
もしも帰蝶が美濃に戻ったら、次は誰のところに嫁がされるのか
年齢を考慮するなら、一つ上の『姉さん女房』にはなるが今川義元の嫡男、氏真が妥当だろうか、それとも、同じ条件なら武田晴信の嫡男、義信か
いや、義信には既に妻が居る
正妻にはなれない
側室で収めるならば、相手はいくらでも居た
近江の浅井、あるいは六角
越前の朝倉
信濃の木曽
それから、信長の弟、信勝
信勝なら年齢的にも釣り合いが取れる
だが、それだと帰蝶は再び織田に嫁入りすることになるのだ
しかも夫を策略に嵌めた一味にもなる
答えなど決して出ない想いに、利三は長く留まっていたことに気付いた
「姫様・・・」
小さく呟く
それから躊躇うように、その名を口にした
「
死んでも口にすることなど許されぬ、禁忌の名を呟く
忘れよう
忘れよう
忘れよう
嫁いでからもずっと、そう心の中で繰り返す言葉は、未だ成就されなかった
繰り返すほどに想いだけが募る
それは利三を酷く苦しめ、甚振った
「姫様・・・」
夕焼けの茜に染まりつつある空を見上げ、想いの丈を吐き捨てた
「いつになれば、あなた様を忘れられますか・・・」
その時、自分の頭上を一羽の鴉が飛んで来た
真っ直ぐ、稲葉山城の上を飛び抜ける
鴉は、南に飛んで行った
帰蝶の暮らす、尾張に向って
「
自分も鴉になって
あの人の許に真っ直ぐ、飛んで行けたら
この心は軽くなるのだろうか
それとも
触れられぬ手に、ただ苦しむだけなのだろうか
また、答えの出ない想いが浮かぶだけだった
遠くで鴉の鳴き声がした
逢いたい、逢いたいと鳴いているような気がした
PR
濃姫(帰蝶)好きの方へ
本日は当サイトにお越しいただき、ありがとうございます
先ずはこちらのページを一読していただけると嬉しいです→お願い
文章の誤字・脱字が時折混ざっております
見付け次第修正をしておりますが、それでもおかしな個所がありましたらお詫び申し上げます
了承なしのリンクは謹んでご辞退申し上げます
先ずはこちらのページを一読していただけると嬉しいです→お願い
文章の誤字・脱字が時折混ざっております
見付け次第修正をしておりますが、それでもおかしな個所がありましたらお詫び申し上げます
了承なしのリンクは謹んでご辞退申し上げます
更新のお知らせ
(02/20)
(10/16)
(11/04)
(06/24)
(03/25)
◇◇プチお知らせ◇◇
1/22 『信長ノをんな』壱~参 / 公開
現在更新中の創作物(INDEX)
信長 ~群青色の約束~
こんな感じのこと書いてます
カウント(0)は現在非公開中です
管理人の独り言も混じっております
[11/04 Haruhi]
[08/13 kitilyou]
[06/26 kitilyou命]
[03/02 kitilyou命]
[03/01 kitilyou命]
ゲームブログ
千極一夜
家庭用ゲーム専用ブログです
『戦国無双3』が絶望的存在であるため、更新予定はありません
◇◇11/19 Nintendo DSソフト◇◇
『トモダチコレクション』
おのうさま(帰蝶)とノブ(信長)が 結婚しました(笑
家庭用ゲーム専用ブログです
『戦国無双3』が絶望的存在であるため、更新予定はありません
◇◇11/19 Nintendo DSソフト◇◇
『トモダチコレクション』
おのうさま(帰蝶)とノブ(信長)が 結婚しました(笑
祝:お濃さま出演 But模擬専… (戦国無双3)
おのれコーエーめ
よくもお濃様を邪険にしおってからに・・・(涙
(画像元:コーエー公式サイト)
オンラインゲームにてお濃様発見
転生絵巻伝 三国ヒーローズ公式サイト:GAMESPACE24
『武将紹介』→『ゲーム紹介』→『Exキャラクター紹介』→『赤壁VS桶狭間』にてお濃様閲覧可
キャラクター紹介文
「 絶世の美貌を持つ信長の妻。頭が良く機転が利き、信長の覇業を深く支えた。
また、信長を愛し通した一途な妻でもあった。」
(画像元:GAMESPACE24公式サイト)
勝手にPR
濃姫好きとしては、飲めなくても見逃せない
岐阜の地酒 日本泉公式サイト

(二本セットの画像)
夫婦セット 吟醸ブレンド(信長・濃姫)
本醸造 濃姫
カップ酒 濃姫®=爽やかな麹の薫り高い、カップとは想えない出来上がりのお酒です
吟醸ブレンド 濃姫® ブルーボトル=自然の香りのお酒です。ほんの少し喉を潤す程度でも香りが深く体を突き抜けます
本醸造 濃姫®=容量的に大雑把な感じに想えて、麹の独特の香りを抑えたあっさりとした風味です
今現在、この3種類を試しておりますが、どれも麹臭い雰囲気が全くしません
飲料するもよし、お料理に使うもよし
お料理に使用しても麹の嫌な独特感は全く残りません
奇跡のお酒です
何よりボトルがどれも美しい
清洲桜醸造株式会社公式サイト


濃姫の里 隠し吟醸
フルーティで口当たりが良いです
一応は『辛口』になってますが、ほんのり甘さも残ってます
わたしは料理に使ってます
清洲城信長 鬼ころし
量的に肉や魚の血落としや、料理用として使っています
麹の香りが良いのが特徴ですが、お酒に弱い人は「うっ」と来るかも知れません
どちらも一般スーパーに置いている場合があります
岐阜の地酒 日本泉公式サイト
(二本セットの画像)
夫婦セット 吟醸ブレンド(信長・濃姫)
本醸造 濃姫
カップ酒 濃姫®=爽やかな麹の薫り高い、カップとは想えない出来上がりのお酒です
吟醸ブレンド 濃姫® ブルーボトル=自然の香りのお酒です。ほんの少し喉を潤す程度でも香りが深く体を突き抜けます
本醸造 濃姫®=容量的に大雑把な感じに想えて、麹の独特の香りを抑えたあっさりとした風味です
今現在、この3種類を試しておりますが、どれも麹臭い雰囲気が全くしません
飲料するもよし、お料理に使うもよし
お料理に使用しても麹の嫌な独特感は全く残りません
奇跡のお酒です
何よりボトルがどれも美しい
清洲桜醸造株式会社公式サイト
濃姫の里 隠し吟醸
フルーティで口当たりが良いです
一応は『辛口』になってますが、ほんのり甘さも残ってます
わたしは料理に使ってます
清洲城信長 鬼ころし
量的に肉や魚の血落としや、料理用として使っています
麹の香りが良いのが特徴ですが、お酒に弱い人は「うっ」と来るかも知れません
どちらも一般スーパーに置いている場合があります
ブログ内検索
ご訪問、ありがとうございます
あまり役には立ちませんが念のため
解析