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いつか自分の家族がここにやって来る
なつの言ったその言葉を信じ、吉法師は少しでも多くの知識を得ようと、今日も城を抜け出す
「若ぁー!」
お絹と傅役の政秀が、その吉法師を探し回る声が城に響き渡る

吉法師が那古野城城主に任命された翌年、美濃を追い出された土岐家に代わり出兵した父が、井ノ口の戦いで大敗を喫し撤退した
相手は梟雄の異名を持つ斎藤利政
良いようにあしらわれたと、尾張の民は好き勝手なことを口にしている
どれだけ優れた人物であろうと、戦に負ければ評価も下がる
当然の結果だった
それから度々美濃に攻め入るも、一度も勝てぬまま数年が経つ
吉法師は数え十三になり、元服の儀を迎えた
この時だけは父親の居る末森に足を運ばねばならない
気の重いことに吉法師は、傅役の平手政秀に連れられ末森城にやって来る
「兄上!」
表座敷に程近い中庭で兄を見付けた三法師が駆け寄った
「お久し振りです、兄上。正月以来ですね」
「三法師か、随分背が伸びたな」
「兄上ほどではありませんよ」
今年十一になる三法師も、吉法師に負けぬくらいの背の高さに成長していた
「今日はゆっくりできますか?」
「どうだろう、内容次第だな。どうせ親父から説教を食らわされるんだ。だったらさっさと帰りたい」
「そんなこと仰らず、ゆっくりして行って下さいよ」
「ああ」
「相変わらず、那古野の町をほっつき歩いてるんですか?」
笑顔でさらりと嫌味を言う
勿論それは、兄を怒らせるための言葉ではない
吉法師もそれを知った上で返事した
「そうだな、色々面白い噂話が聞ける」
「どんな噂話ですか?聞かせてください」
「ああ。この戦、織田の負けだろうと大方の民が予想している」
「織田の負け?斎藤には勝てないってことですか?」
「勝てないだろうな」
「どうしてですか。兵力ですか?」
「それは向うとは互角だ。斎藤も完全には土岐の旧臣らを纏め上げてるわけじゃない。抵抗勢力もまだ残ってる」
「それなのに、織田は勝てないんですか?どうして」
「知略の差だ」
「知略?」
「今では親父も尾張の半分に勢力を拡大してる。でも、国人衆を掌握してるわけじゃないんだ。引き換え斎藤は、土岐の抵抗勢力には困らされているが、国人衆を纏め上げている。その手腕や方法までは想像できないけど、国人衆の傾く側に国は動く。美濃は斎藤利政に傾き、尾張はまだ俺達には傾いてない」
「だから、斎藤には勝てないと?」
「ああ、そうだ」
「織田と斎藤、何処が違うのでしょう。聞けば斎藤の現当主は、何処の馬の骨ともわからない輩だとか。そんな人物に国人衆は傾くのですか?」
「生まれや氏じゃない。その人間の持つ知恵と采配に人は集まるんだ。美濃は斎藤に代わってから商業が活発になったと聞いてる。どんなものかこの目で見てみたいけど、じいが煩いからな、美濃にまでは脚を伸ばせんし、美濃に行くには清洲を通らねばならん。そこが難問だ」
「また城を抜け出す算段ですか?兄上は懲りませんねぇ」
それで年中父親から叱られているのを、兄は全く自覚していないどころか、寧ろ楽しんでいるようにも見受ける
実の兄弟とは言え、兄を良く理解できない三法師は羨ましいと想う反面、弟として恥しいとも感じ始めていた
「それより、母上がご立腹ですよ。この間からご機嫌が悪くて」
「そうだろうな」
三法師の言葉に、吉法師は苦笑いした
そうだろう
今日は元服を迎えるためにここに来た
なのに、来る意味を失くすようなことを、吉法師はやってのけたのだから

吉法師の元服の儀が始まる
烏帽子親は自身が務めた
市弥は反対したが、どうあっても自分がすると言って聞かない
機嫌が悪い原因はこれだった
武家の子息が烏帽子親に自分を選ぶだなど、前代未聞である
通常なら同盟を組んでいる先の当主か、あるいは親の家臣がそれを務めるものを、吉法師はそれを断り、自分の前髪は自分で切ると言い張って譲らない
市弥の不安、焦り、苛立ちがその心を苛む
吉法師では織田を守ることなど、できないのかも知れない
それなら、過分な期待を寄せその重圧に吉法師を押し潰してしまわないよう、今から別の後継者を育てなくてはならない
親・兄弟の甘い関係に溺れてしまわないよう引き離して来た三法師に、吉法師の分の期待も覆い被さったのが、この日のことである
市弥は吉法師に、父・信秀を越えるだけの男に育って欲しかった
なのに育った吉法師は、人との争いを嫌う傾向の強い子供になってしまった
世の中みんなが仲良くなれるはずなどない
どこかで反発し、いがみ合う
それを否定している吉法師に、明るい未来など見れるはずがなかった
武家の何たるかを全く理解せず育ってしまったのだから
身分上下のない世の中
いつからか吉法師は、それを口癖のように言葉にするようになっている
甘い夢や理想を追い求める吉法師に、市弥は母として絶望した

「織田吉法師改め、織田三郎信長。これからも精進し、世のため人のため、そして織田のため、尽力してゆく所存にございます」
上座の父に向って、烏帽子を被った吉法師信長がゆっくりと頭を下げる
さっきまでの自分と、これからの自分の違いなど、わかるはずもない
昨日の自分と、今日の自分の違いもわからないのだから
わからないまま前髪だけが軽くなった
ただ、それだけのことだった

美濃の斎藤との争いが激しくなる
前年奪った美濃・大垣城がその半年後、奪い返された
多くの家臣が無駄死にを遂げ、更には今川にも挟まれ信秀にしては珍しく困窮した情勢に陥る
今川に転ぶか、斎藤に転ぶか、その決断を迫られた
今川は名門、斎藤も名門には違いないが、その当主、名を道三に改めた国主の出自は低い
これが素直に頭を垂れられない要因だった
「このまま行けば、斎藤は今川と手を組むだろうな」
「自尊心の強い男だと聞き及びます。なんの後ろ盾もないまま土岐を追い出し、美濃の国主にまで上り詰めた人物。その手腕は想像を超えます」
末森の表座敷で会議が開かれる
「今川も東海一の弓取りの異名を持つ人物。弓取りと梟雄が手を組めば、恐ろしいことになるやも知れませぬ」
「ならば、まだ接触していない今の内に、斎藤と今川を同盟させぬよう考えねばなりませんな」
「ふーむ・・・」
家臣らの注進に、信秀は悩む
今川・斎藤の連合を阻止するには、こちらもそのどちらかと同盟を組む必要がある
だが、今川は三河の地を攻めて来ており、その三河をこの信秀が半分牛耳っているのだ
同盟を組むとなれば今川からどんな条件を提示されるか、わかったものではない
となると、斎藤に標準を合わせた方が得策か

          俺、が・・・?」
信秀は今川との争いを考慮し、斎藤を選んだ
今川と同盟を組めば、切り取った三河の三郡を奪われてしまうかも知れない
あちらは駿府の国主で大名家
こちらは尾張国主の家臣の、そのまた下の家臣で豪族家
釣り合いを取るには間違いなく、今川から奪った三河の返還を要求されると予想したからだ
斎藤との同盟を組むのに信秀が提示したのは、嫡男・信長だった
その嫡男の嫁をくれと、斎藤に頼んだ
今はまだ返事は来ていないが、最初に信長にそう話を政秀にさせた
聞かされた信長は、キョトンとした顔をしている
「相手は長らく美濃の国主であった土岐を追い出し、土岐、朝倉と連合を組んでいる我ら織田を何度も追い返した実力の持ち主。出自が低かろうと高かろうと、大人物には間違いございません。この縁談、お受けなさるな?若」
「縁談・・・・・」
「斎藤家から、妻を娶るのですよ」
「妻・・・。ってことは、俺に家族ができるのか・・・?」
「そう、なりますかな」
                
政秀の返事に、信長は顔を俯かせた
信長は自分が人身御供になったことに気付いたかと、政秀はやや心配になった
斎藤家から嫁をもらうとなれば、それ相応の人数が織田に入るわけである
もしも織田に粗相が起きれば、信長はその仕打ちとして命の危険に晒される場合もあるだろう
それを承知で父は斎藤に婚姻を申し込んだのだから、信長がその実情を理解できぬはずがない
「若・・・。分不相応とは言え、殿の躍進目覚しく、織田も何れは大名家に成長遂げることでしょう。そう気張らず」
慰めようとする政秀の言葉など、信長はこれぽっちも聞いていない
そうだろう
俯いた顔は嬉しさに壊れていた
ずっと待ち望んでいた家族が、やって来る
ただそれだけが嬉しくて仕方ない
「すまん、じぃ。少し一人にしてくれ」
「若・・・・・・・・・・・・」
いつも元気な信長の声に覇気がない
相当気落ちしているのだろうと政秀は、一度頭を下げ部屋から出た
残された信長はしばらくじっとし、それから立ち上がると声を張り上げる
「やったぞ!俺の家族が来る!家族が来るんだッ!」

だが、そんな信長の期待も空しく、斎藤からは断りの手紙が届く
身分不相応である以上に、評判も芳しくない倅の許に、大事な娘をやれるか、と言うものだった
斎藤の返事に、市弥は悔しさで手を握り締め、打ち震えた
「吉法師は、誰よりも優しい子なのに、それを見ようともせず、噂だけで判断するだなんて・・・」
その呟きは、決して夫には聞かせない
市弥の意地だった
親が弱いところを見せては、子供が不安がる
可愛い子供達に不安など感じさせたくない
夫に、弱い女だと想われたくない
「どうしたものか」
困り果てる信秀を、市弥はただ黙って見守った
この婚姻が纏まれば、信長も落ち着いてくれるかも知れない
今のように城主としての仕事を放棄し、傾(かぶ)いた姿で勝手気侭に町をうろつき、織田に泥を塗るような行動も慎んでくれるかも知れない
何より、相手はこの家よりももっと大きなところだ
織田にとっても決して損のある交渉ではない
斎藤の後ろ盾を拝領すれば、今川への対策も講じれる
家も繁栄するかも知れない
信長の代になって、織田は大きく発展したと世間に言わせたい
うちの子はうつけ者なんかじゃないと、大きな声で言ってやりたい
だけど、言えるだけの材料は、何一つ揃ってなかった
派手な姿で町をぶらつき、醜態を晒し、莫迦なことばかりを繰り返す信長に、掛けてやれる言葉が『愚か者』だけなのは、悲しかった

信長に、斎藤からの断りの話しをしなければならない
いつもは来たがらない信長でも、斎藤の話しになれば別だった
いつ家族が来るのか知りたい一心で、末森に足を運ぶ
「吉法師」
どこに行こうとも、呼ばれようとも、信長は変わらない
茶筅髷に袖裾のない小袖、半袴
腰には明から手に入れた虎の皮を引っ掛け、まだ背も小さい内の虚勢に引き摺っている
そんな信長と向かい合う信秀は苦虫を噛み殺した顔をし、隣に居る市弥は信長を見ようともしない
「斎藤の件だが」
「はい、どうでしたか?斎藤の姫君は、いつ那古野に来るのでしょうか」
ウキウキした気持ちを押し殺したいが、抑えても抑えても溢れて来る
そんな顔をしながら信長は聞いた
「姫君は来られん」
          え・・・?」
「お前の許にやる娘は居ないと、はっきり断られた」
                
そうだろうと、信長の顔がしょぼくれる
「だが、わしはこの縁談を諦めるわけには行かんのだ。わかるな?吉法師」
「はい・・・」
「そこでだ、吉法師。戦に出ろ」
「戦に・・・ですか?」
「武者始だ」
父の言葉に、信長は目を見開いた
「三河の吉良に今川が陣を敷いている。それを見事撃退して見せろ。そうすれば斎藤は、お前を見返すだろう」
                
結局は、斎藤も自分を世間の評価でしか見ていなかったのか、と、肩を落とす
その信長に市弥が声を掛けた
「吉良での武功、期待してますよ」
          は」
だが、相変わらず厳しい顔付きに冷たい眼差しの母に、感謝の言葉が出て来ない
「母上・・・」
何を言おうか悩む信長に、畳み掛けるような市弥
「お前が失敗をしでかせば、それは父上様に跳ね返ります。織田を背負う戦だと想い、気張りなさい。敗走は許しません。良いですね?」
                
何も言えなくなり、信長は黙って浅く頭を下げた
「それから、お前は元服したのですよ?いつまで子供のような格好をしているつもりですか。好い加減にしゃんとなさい。みっともない」
          これは・・・」
町に出るには、この恰好が一番馴染む
まだ子供の年齢である信長には、信長の世界がある
その世界には信長と同年代の子供らも大勢含まれ、馴染みの店で聞いた話、親が話していた噂、友達同士で流れている情報などを収集するには、自分も同じような、あるいはそれよりも奇抜な格好をして気を引いたり目を引いたりさせるのが一番溶け込みやすい
そう考え、実行している
いつの間にか、この恰好が楽で、武家の重く息苦しい仕来りから解放してくれるような感覚になり、好んでやるようにはなったが
在野の身分から美濃・可児の一部を統治するまでになった家で生まれた市弥には、それが寧ろ武家を馬鹿にしているとしか想えず、信長に対し冷たく当る原因にもなっていた
茶筅までは許せる
だが、下品な姿で町をぶらぶら練り歩き、その行動も目に余る
まるで破落戸のようなことしかしない信長に、元服の意味もその自覚も持とうとしない姿勢に腹が立つ
「お前がそんなだから、斎藤に軽く見られるのです。織田の子なら子らしく、しっかりなさい」
                

「兄上」
母のきつい言葉をいただき、ややしょぼくれた背中で帰ろうとする信長に、もうすぐ元服を迎える三法師がいつものように駆け寄って来た
「もう帰られるんですか?」
「用事は済んだからな」
「だったら少し話しませんか?」
「俺と一緒に居るところを母上にでも見付かったら、どやされるぞ?」
「構いませんよ。だって私達、兄弟じゃないですか。兄弟が仲良くしてるのを見て怒る母上がおかしいんです」
                
だとしても、その母上から叱りを受けるのはお前じゃなくて、俺だ
そう言ってやりたい気持ちになる
だけど三法師が悪いわけじゃない
悪くもない三法師を責めるような言葉は、口にできなかった

          え?初陣ですか?」
局処だと見付かりやすいと想い、信長は表座敷の中庭で三法師と肩を並べる
縁側に腰を下ろし、侍女が淹れた茶を飲みながら白菜の香の物を突付く
何気ないが、それでも『家族』の温もりを感じられる、掛け替えのない大切な瞬間だった
「今川が吉良に陣を敷いてるそうだ。それを追い返せとさ」
「今川ですか。父上ですらどうにもできないものを」
まだ子供のあなたに、どうにかできるんですか?とまでは、弟は言わない
だけど、どうにかできそうですか?と、聞きたそうな顔はしている
弟は徐々に自分を見下すような目をしていることに、自身気付いていなかった

「何か妙案はないか」
信長が部屋を出た後、入れ替わりに付き添った平手政秀が入り、信秀と向かい合った
男の話に女は無用と言いたげに、市弥はそっと席を離れる
それを確認したわけではないが、政秀は市弥が部屋を出ると同時に口を開いた
「若のお考えは、某には理解できるものではございません。ですが、無駄なことをしているようにも想えません」
「吉法師はこの世の理を破壊しようとしている」
「この世の理?」
信秀の言葉に、政秀は首を傾げる
「弱き者が強き者に飲み込まれる、この世の当然を破壊し、万民に平等な世を作りたいのだそうだ」
「そのような・・・」
強き者が弱き者を導くために武家がある
その武家に生まれながら、自分の家を否定するような考えを信長が持っているなど、政秀には想像もしていなかった
どこまで計り知れない思想を持っているのだと、ある意味驚かされる
「夢を志に持つなとは、言わん。だが、内容如何の問題もある。吉法師の志、実現させるわけには行かん。そのためにも、妻を娶り自覚を持たさねばならん」
「はあ・・・」
「そこでだ、平手」
「はい、なんでございましょう」
「斎藤との交渉、お前に任せても構わんか」
          は・・・?」
政秀は一瞬、キョトンとした
「お前はこんにちまでの吉法師を良く知っている。あれの教育にも携わっているのだからな、気質もわかっているだろう。吉法師の良いところを斎藤に知らせ、考えを改めてもらえるよう尽力せよ」
          承知しました・・・」
絶対の断りを許さない信秀の言い方に、政秀は承服するしかなかった
少し考えさせてくれとも言わせない強引さがなければ、勝幡織田をここまでにはできなかっただろう
嫁をもらうのがこの信秀だったなら、交渉も少しは楽だったものを、よりによってその対象が織田の鼻抓み者である信長なのだから、何を誉めれば斎藤も気を良くしてくれるのか傅役の政秀にもさっぱり見当が付かない
織田家当主の信秀が言って無駄なことを、家臣である自分が何を言えば道三の心も傾くのかすら、わからなかった

梅雨の晴れ間と言うものか、今年は雨の日が多い五月、信長の初陣が行なわれた
三河の湾岸、吉良に陣を敷き、織田への攻撃準備をしていた今川軍に対し、信長はそれに味方した村への焼き討ちを決行する
「今川への攻撃は?」
付き添った政秀が訊ねた
「そんなのやったって、焼け石に水だろ?」
「ですが殿は、今川を撃退するようにと」
「今川がここまで戦線を伸ばせたのは、それを援助する町や村があるからだ。駿府からここまでは相当の距離がある。間の遠江だって、完全に今川の手の中にあるわけじゃないし、反発してる国人の存在だってある。もしも三河で今川に歯向かう者の存在がはっきりすれば、それに連動して遠江でも今川から離反する国人や豪族だって出て来るかも知れないだろ?だったら、直接今川と戦うよりも、今川に援助を送る村を壊滅させれば、今川は三河には居残りにくくなるじゃないか。無駄に兵力を消費して追い出すよりも、こっちの方が手っ取り早い」
「なるほど」
地元の駿府から三河までは、信長の言うように相当の距離がある
戦線が伸びれば伸びるほど兵糧の届きも悪くなり、それを補うために遠征先の村に美味い話を持ち掛け味方させるのが世の習いであった
だから、今川に味方したその村を壊滅させれば、今川の先鋒部隊には兵糧が届かなくなり、戦どころではなくなる
先鋒隊に届くはずの兵糧も奪えば、完全に戦のできる状態ではなくなるのだから、信長のやった村への放火も満更ではないはずだった
だが、それでも斎藤からの返事は、良いものではなかった
器の知れぬ男に、大事な娘はやれぬの一点張りである
そして、市弥も、息子の初陣が村への放火だけで終わったことに不満を感じ、その怒りは夫である信秀へと向けられた

「吉法師では織田は支えられません。今から新しく後継者を選出し直すべきです!」
「しかしな、市弥・・・」
「吉良大浜での放火、世間がどれだけ吉法師を見下しているか。織田がどれだけ笑い者になっているか、ご存知なんですか?織田の若様は今川が怖くて、弱き者に刀を振り上げただけだと、嘲笑してるんですよ?」
「だが、吉法師は戦に出始めたばかりだ。これから先、どう成長するかわからんだろ?今はただ見守るしか」
「今まで見守って来た結果が、これじゃないんですか?あの子は私達の期待を裏切り続けています。これ以上あの子に、何が期待できますか。斎藤だってそれを見越しているからこそ、あなたの実力を認めながらも、こちらとの縁組を断り続けてるのではないでしょうか?吉法師では、何も期待できないと」
                
市弥の言うとおりなのかも知れない
互い、共通の敵である今川を前にしても、斎藤からは相変わらず断りの手紙しか届かない
その上、信長自身の噂も評価も芳しくない
吉良大浜での出来事は、その評価を落とすことに拍車を掛けるだけの結果になってしまった
早速政秀が末森に呼び出され、尋問を受ける

「お前が着いていながら、なんたる有様だ」
「お言葉を返すようでございますが、若には若の考えがございます。それを聞いていただけませんでしょうか」
一歩間違えれば、切腹を申し渡されてもおかしくない状況である
家臣が主君に意見すると言うのは、命懸けの行動だった
軽々しく主君に盾突くなど有り得ない
それを行動にすると言う覚悟を、信秀も受け取った
「何だ、言ってみろ」
「はっ、ありがとうございます」
政秀は深々と頭を下げ、自分の言い分を飲んでくれた信秀に話した
「若はただ今川を、三河から追い出しただけでございます。大軍を擁する今川に、正面からぶつかってもこちらが痛い目を見るだけ。それならば、今川を支援する村を壊滅させれば、今川は西三河には陣を張ることもできなくなります。若はそれを狙って、村への放火を慣行したまで。無論、村民は予め避難させておりますので、人的被害もなし。死者を出さず今川を駿府に追い返した若の手腕、どうか買ってくださいませ」
「それが生温いと世間は判断したのだ。追い返したところで、再び押し寄せて来たらどうする。また、放火で追い返すのか?」
「その時また、考えればよろしいかと存じます。生温いと申されましても、若もまだ十三、しかも武者始でございますれば、これが精一杯かと。縦しんば、果敢に今川に攻め込んだとて、戦死してしまえば元も子もなくなります。私は、若のやった今回の作戦、決して愚かなことではないように想えます」
「それは、自分が傅役としての責任から逃れたいと言うものではないだろうな?」
「殿にそのような評価を下されるのは不本意ではございますが、某は若の采配に唸る部分もございました」
「と言うと?」
「今川に懐柔された村を取り返すとなれば、こちらも相当の金銭を積まねばなりません。そしてそれは永続的に続けなくては意味もありません。村落に足元を見られるよりも、織田の恐ろしさを見せ付けるに良い機会だったと存じます。責めるは容易、されど、責められる部分から一筋の、誉めたる部分を見付けて下さいませ。それが、若を伸ばす方法にも繋がります。どうか、どうか、この爺の顔を立てると想い、若の功績、認めてあげてくださいませ」
床に額を擦り付けるように平伏する政秀に、信秀もこれ以上強くは言えなくなった
しばらく腕組みで顔を顰め、考え込む
その間政秀は、一度も頭を上げようとはしなかった

どう言うわけだろうか
信長の評価は両極端に分かれる
信長を好く者はとことん好き、信長を嫌う者はとことん嫌う
まだ武功も上げていない内から、信長に傅く家臣はこの末森にも大勢居る
太田資房が良い代表例だ
返って、母親である市弥は信長を毛嫌いしている
理由は簡単だった
武家の跡取りに相応しくない行動、思考
信長の今回の初陣の非を許す代わりに政秀は、斎藤との縁談を早急に纏めるよう言い渡された
帰りの足取りは重く、つらい
親からですら正当な評価をもらえぬ信長に、他人の道三にどう売り込めと言うのか
考えながら那古野に戻る政秀を、信長自ら迎えに出た

「お帰り、じい」
「ただいま戻りました。態々の出迎え、ありがとうございます」
「父上から何か言われたか?」
自分の所為で政秀が叱られたと想い込んでいる
目が申し訳なさそうに曇っていた
そんな信長に、本当のことなど言えない
          いいえ、そんなことはありません。まぁ、少し物足りないと言うようなことは言われましたが、若が気にすることではございません。しかし、少々勇猛さも必要だと」
「そうか。すまんかったな、じい。嫌な想いをさせた」
「いいえ、とんでもございません。これがじいの役目でございますから」
政秀は信長に優しい微笑みを向けた

夕焼けは綺麗な茜に空を染めた
今が戦乱の世だなど、信じられないほどに
その夕焼けを眺めながら、政秀は本丸の中庭の縁側で、信長の小さな肩と並んで話した
「若は斎藤との縁談、如何お考えでしょうか」
「俺・・・は」
少し恥しさに顔を俯かせ、信長は応える
「今川と、こんな風に争ってる最中だ。今直ぐにでも成立させ、斎藤から妻を娶りたい」
「それは斎藤と同盟を組むと言うことでしょうか」
「それしか、織田を救う方法はないんだろう?今川との同盟は、無理だ。今川が尾張を欲しがってるのは目に見えてる。その次は、伊勢、あるいは近江。今川は試してるんだ。尾張か、美濃か、どちらを制すればより京に近いか、を」
「上洛ですな」
「斎藤は越前朝倉、尾張織田と土岐の連合軍を相手にしても、少しもびくつかない。そんな斎藤を相手に争っても、互いに疲弊するだけで終わるだろう。増してや美濃は斎藤のお膝元、兵力を温存しながら戦えるし、何より、稲葉山城は難攻不落の山の要塞だ。今川だって迂闊には手を出せない。その斎藤と手を組むと言うことは、織田にとっても大きな事業にもなる。だけど         
「だけど?」
          やっぱり、俺じゃ無理なのかな」
苦笑いする信長の気持ちを察し、政秀は何も言わず黙って、その茶筅の頭を撫でてやった
「若が斎藤の姫君を心待ちにするのならば、じいはいくらでも手助けしましょう。後は若のお気持ち次第でございます」
「俺の気持ち?」
「斎藤と手を組むことが織田のためになるとおわかりなら、ほんの少しで構いません。『本音』と『建前』を使い分けてくださいませ」
「だが、俺はなつから、物事の本質を知るには、本来の姿を見ろと教わった。だから斎藤だって、俺を見たら」
「ですから、『本音』と『建前』をと申し上げているのです。このままでは斎藤は、若の本質を知る前に撤退してしまいますぞ?」
「それは困る!俺は家族が来るのを楽しみにしてるんだ!」
「若・・・」
                 ッ」
素直な信長はつい『本音』を口にし、顔を赤くして自分の口を押えた
「そうでしたか。『家族』を」
                
気まずそうに、信長は俯く
「なら、『家族』を迎え入れたいと願うのなら尚更、『建前』を使いこなせるようにならねばなりませんぞ、若」
「それは、大人になれってことか?」
「その通りです。おわかりじゃないですか。何故、大人になることを拒まれます」
「それは・・・・・・・・・・」
言葉に詰まる
信長自身、わからないから
だけど、大人になれば重い物を背負い、大事な何かを手放さなくてはならないような、そんな強迫観念に押し潰されるのではないかと感じた
「俺は・・・・・・・、今のままで充分だ。無理に大人にはなりたくない・・・・・・・・」
「それではいつまで経っても、平行線が続くだけでございますぞ?斎藤は若の能力を知りたいと考えているはず。その能力を隠したまま、娘御を送り付けてくれる奇特な大名家など、この世には存在しません」
                

どうして、欲しいと願う物はこの手に入らないのだろう
母の優しい温もり
遠く離れた家族
来てくれるはずのない、妻
後どれだけ待てば、自分は『大人』になれるのか・・・

斎藤家との交渉を始めて一年
信秀では一向に埒が明かないと、政秀が代わりに道三へ手紙を送ることになって二ヶ月
恐らくは、それが信長の気持ちだろうと政秀は、若い頃の情熱を和歌にして送った
どう言うわけか道三は、その和歌を気に入り、娘を送ると返事が届いた
道三の手紙に織田家は上へ下への大騒ぎである
「遂にやったな、平手!でかしたぞ」
破顔する信秀に、政秀は平伏した
「どんな手紙を送ったんだ。聞かせろ」
「いえ、和歌を送っただけでございます」
「和歌?」
「まさか斎藤が、心動かしてくれるとは私自身、考えておりませんでした」

それでも良い
どんな理由だろうと、斎藤と縁を組めば世間も、信長の見る目を変えてくれる
市弥はそう信じていた
だけど                

天文十八年、春
美濃から一人の姫君が尾張にやって来た
城では朝から祝言の準備に余念がない
お絹も政秀も、あちらこちらとバタバタしている
表座敷に並べる料理の数、酒の数を数える台所の女達の声
待ちわびた家族が今日、とうとうやって来る
信長もソワソワして朝を迎えた
それから、ふと想い付く
「若、お早うございます」
部屋に政秀が顔を出す
「これより木曽川まで、斎藤姫君をお迎えに参ります」
「ああ、頼んだ」
「若はここでじっと、お待ちください。良いですか?」
「ああ・・・」
先を読まれたか、と、信長の顔も引き攣る
だが、政秀が城を出ると、信長もこっそり抜け出した
魚は台所が用意しているだろうが、どうしても自分の手でも用意したかった

太陽の日差しも強い日中、それは中々釣れない
水面の影も濃く、魚が逃げる
それでも信長は諦めず、漕いだ舟から竿の針を垂らす
どれだけ待ったか、漸く目的のそれが釣れた
意気揚々と城に帰る
自分を待ってくれている人の許へ

「若・・・・・・・・・・・・」
城の門前で政秀が、怖い顔をして自分を待っていた
「今日がなんの日か、ご存知でしたな?」
声が低く、尚更迫力がある
「すまんかった。だが、先にこれを手渡させてくれ」
          鯛?」
「これを妻になる女に渡したい」
「それを釣るために、祝言を?」
日頃から何を考えているのかわからない若様だが、益々わからなくなって来る
「説教は後でもらう。新鮮な内に見せたいんだ」
「何故ですか」
「だって、美濃は内陸だろ?川魚しか見たことがないと想うんだ」
                
まるで、お日様のような笑顔
無邪気な笑顔に、政秀は毒気を抜かれる
          わかりました。花嫁様は局処においでです。早くご挨拶してらっしゃいませ」
「すまんな、じぃ!」
自分の肩をポンと叩き、局処に駆け出す信長の背中を、政秀は苦笑しながら見送る
今日からは妻帯者
少しは落ち着いてくれるだろうと、政秀は、独身最後の勝手を許してやった

胸がざわめく
心が躍り出す
釣りに夢中になって、祝言のことなどすっかり忘れていた
花嫁は怒っているだろうか
実家に帰ると言い出したらどうしようか
そんな不安に脚が震えながらも、信長は花嫁の居る部屋を探した
「若!どこをほっつき歩いてたんですか!」
お絹に見付かり、怒鳴られる
「すまん!お絹!説教なら後で、じぃと一緒にしてくれ。それより、花嫁は何処だ」
「お部屋で待ってらっしゃいますよ」
その部屋は自分が、花嫁のために改装させた部屋だった
が、生憎信長は本丸暮らしであるため、部屋の場所がよくわからない
まるで道すがら、侍女達に聞き訊ね、部屋を探す
「それでしたら、こちらの部屋が」
と、教えてくれた侍女を押し退け、障子を開ける
                
すまんかった、と、最初に謝ろうと想った
だけど、立ち上がって自分と対峙する娘は、余りにも凛々しく、余りにも美しかった
          あ・・・」
絵に描いたような美少女に、信長は一瞬呆ける
『蝮の道三』と陰口を叩かれている男の娘だ
どんな毒々しさがあるのかと覚悟もしていたが、実際目にしてみれば、毒々しさどころか、華々しいまでの容貌だった

逢うまでは、自分をどう見てくれるだろうか、と、心配だった
嫌われたくはないが、だからと言って取り繕うように行き成り賢い真似などしたくなかった
ありのままの自分を見て、判断して欲しかった
だけどやはり、今日だけは賢い真似をして置けばよかったかと、心のどこかで後悔する
美しい姫君の側に居る女は当然のように、目玉が飛び出るのではないかと言うほど、自分を見て驚いていた
これが今までの、自分を見て来た者達の正しい表現だった
だけど、一人だけ
この世でたった一人だけ
今までとは違う表情をする女が居た
立ち上がっていた娘はすっと膝を落とし、自分に三つ指を付いて挨拶をくれた
「斎藤道三が三女、斎藤帰蝶でございます」
                
生まれて初めて、自分を受け入れてくれた女が居た
それが、自分の妻だった

「海と言うものは、どのようなものですか?」
自分にとっては詰まらないことでも、妻になった少女は食い入るような目をして、興味深げに聞いて来る
嬉しかった
「兎に角でかい!何もかも飲み込む大きさだ」
まだ月の物が来ていないため、女の躰ではないと言う妻を、無理強いさせたくないと言う想いで、この夜は眠くなるまで語り合った
「海は命の源だ。この世の全てが詰まってる」
「この世の全て?」
キョトンとしながらも、決して自分からは目を逸らさない
こんな女は、初めてだった
「ああ、そうだ。この世の全てだ」
                
ただでさえ印象的な瞳を、更に輝かせて迫るような雰囲気で自分の話に耳を傾けてくれる
美濃は山と川しかない
だから見たこともない海に、興味をそそられているだけなのかも知れない
見てしまえばいつかは飽きて、自分の話にも耳を貸してくれない日が来るかも知れない
それが怖いと感じながらも、今ある充実感も手放したくなかった
「いつか連れてってやろう」
そう言う自分に妻は、元気いっぱいの声で返事した
「はい!」
血の繋がった家族の誰も、自分には与えてくれない幸福感を、新しく家族になったこの妻はいくらでも与えてくれる
ただ、嬉しくて
ただ、幸せだった
その妻を連れ、次の日、信長は早速城を抜け出した
この日は織田家一門との顔合わせが行なわれる
それでも信長は、まるで暇がもったいないと想うかのように、妻・帰蝶を連れ馬を走らせた
信秀らが到着したのは、その後直ぐのことだった

「吉法師はどうした!」
信秀の怒った声が響く
「平手!貴様、何故吉法師を見張っておかなかった!」
「も、申し訳ございません・・・ッ!」
怒鳴られ、政秀は額を床に擦り付けて土下座した
兄の姿に政秀の弟が、信長への謀叛を決意したのは、それから数ヶ月後のことだった

家族だけが集まるわけではない
織田の親戚、一門が美濃から輿入れした帰蝶を見るために、態々集まるのだ
その顔見せに花嫁は居ない、花嫁を連れ出したのが花婿だと言うのだから、集まった親戚一門も、信長の日頃の行動は良く知っていようが呆れ果て、斎藤の家から嫁をもらったことなどどうでも良いかのように、口々に雑言を告げる
「これだから吉法師に、織田を任せるのは危ないと常日頃から言ってるのだ。全く、妻帯者としての自覚がないと言うよりも、持つ気がないと言うわけか」
「折角斎藤との同盟も、意味があるのか?尾張のうつけが、二人に増えただけじゃ」
「このようなことに、我らは何年も争っていた斎藤と、手を組まねばならんのか。ああ、嘆かわしい・・・・・・・・・」
「全く。親の顔が見たいものだとは、このことか。いや、もう知ってはおるが。ははははは!」
                
親戚達の話を、信秀弟信光は黙って聞いていた
ここでの話は、別室に逃げ込んだ信秀の耳にも届くだろう
局処の奥座敷で、花嫁を待っている市弥も、どんな想いで今を耐えているのか、想像に易い
部屋の外で侍女達が、小声で話し合っている
「変わり者の若様の許に嫁いで来られたのが、変わり者のお姫様。これじゃぁ、割れ鍋に綴じ蓋ね」
自分には聞こえないような声であろうとも、何を言っているかくらい、わからない市弥ではなかった
悔しさに市弥は小袖の膝をぎゅっと握り締め、眉間に皺を寄せ、じっと耐えるその目には、涙が溜っている
今まで息子には散々期待を裏切られて来たが、これは裏切りなどと言う生温い行為ではない
「この分じゃ、この政略も形式だけの物で、斎藤の援助とかも期待できないんじゃない?」
「いっそのこと、長男と次男が入れ替われば安心なのにね」
「ああ、それ言えてる」
お絹のがなり声が微かに聞こえたのは、その直後のことである

何も期待しないと言いながらも、それでも胸の内では信じていた息子に、心ごと裏切られた気分だった

自分の乳房を含む帰命に、ついさっき、義理の弟を殺したとは想えぬほどのたおやかな微笑みを浮かべる帰蝶
「良く飲んでる。たっぷりあげたつもりだったけど」
「ですが若様、一度もお泣きにならなかったんですよ?」
と、菊子が伝える
そんな、なんでもない顔をする菊子に、帰蝶は恐る恐る聞いた
「菊子。・・・私は、鬼の顔をしている?」
「奥方様が、ですか?」
                
返事はなく、黙って菊子を見詰める
そんな帰蝶に、菊子は応えた
「鬼、と言うよりも、菩薩様のようなお顔をなさっておいでですよ」
「え・・・?菩薩様・・・?」
「女とは、そう言うものです」
「そう・・・」
言葉少なに交わす会話に、帰蝶は答えを見付ける
人は簡単に、鬼にも仏にもなるのだと言うことを
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燠火とは
簡単に言えば、『炭火』のことらしいです
燃え盛る炎ではなく、柔らかい炎のことを燠火と言うのかと思い込んでいたので、タイトルと内容が少し違ってるかも知れません

信長と信勝の少年時代を丁寧に書き込んでいきたいと想っていたんですが、良く考えたら思い返すにもここでは信長はとっくの昔に死んでますので、思い返す思い出がないことに気付き、物足りないことになってしまいました
あと、無駄に文章が長くなると想ったので、かなり割愛してしまいました
ですが、二人の母・市弥は生きておりますので、彼女を通して二人の兄弟のことをこれから先、折々に語ってもらおうかと考えております
彼女が信長を嫌いになるまでには相当の経緯がありますが、それも割愛してしまいました
と言うか、考えにくいものだったので
実際、史実の信長生母・土田御前が信長を嫌っていたと言う史料が見当たらない物で
有名なエピソードもありませんし、普通に信長に保護されて清洲で暮らしてましたしね
彼女の悪役は、ここまでです
これからはなつ同様、帰蝶のため、織田のため尽力してもらう所存です
まぁ、初めはやはり蟠りがありますので、すんなりとは行かないでしょうが、尾張の英雄の妻なのですから、賢い女性のはずです
彼女にも如何なく活躍してもらいたいと願っております
そしてまた、例によって誤字脱字は発見次第訂正いたしますので、当面は読み流していただけるとありがたいです
こっそり教えてもらうほうが楽なんですが(苦笑
長く更新がなかったことも、ここでお詫びさせていただきます
一皮剥けた帰蝶を、これからもよろしくお願いします
Haruhi 2009/09/09(Wed)17:07:25 編集
5000Hitおめでとうございます
こちらのサイトで濃姫や、その周囲の人物・地域・関連性など興味深く、また勉強になる事も多々あり、このサイトを知ることになった自分の幸運や、Haruhiさんには本当に感謝しています。
最近の戦国ブームとでも言うのでしょうか、昔に比べると資料が探しやすくなった反面、逸話や小説で創作された話などがあたかも事実のように信じられていて、とても悲しい思いをしている事も事実です。(まあ何も考えず鵜呑みにしている人もいますが、中には地域振興や自身の主張を振りかざしたいだけの人もいて切ないと落ち込んでいますが)
またなかには、後世にワザと歪められて伝わるように作為されいることもあり(国や、政府、個人の思惑で)人間のすることは時代が変わっても・・・。
ああすみません。せっかくの記念に愚痴が多くなってしまいました。
そんな事を思う中でHaruhiさんのように愛情をもって、尚且つきちんと調べている方がいることがとても嬉しく、そのサイトに訪問される方が多い事がとても嬉しいです。
私もこれからもサイト訪問させていただこうかと思います(頻回にはこれないかと思いますが)
お体に気をつけてこれからも頑張ってください。
胡蝶の夢 2009/09/11(Fri)08:36:08 編集
ありがとうございます
ダラダラとしながらも、なんとか更新を続けていられるのも、影なり日向なり応援してくださる皆様のお陰です
5000Hitまでには『戦国無双3』(Wii)の濃姫の情報も公開されているかと思いましたが、どうやら小出しでやって行くようで、濃姫ファンとしてはまどろっこしいなぁと苛々しておりますが、さっさと更新してないわたしが言うもんじゃないなとも思っております

過去の出来事を改竄し、自分の都合の良いように解釈し、それをあたかも事実のように吹聴して回っても、結局は事実を知る人間によって覆される物です
武功夜話が偽書であることは、もう明らかになっており、それを覆すこと自体が不可能になってます
ただ、それを知らない人がまだ大勢居るというだけで、しかし、事実に近い事柄を知る人も増えつつある中、『偽物は所詮偽物』に過ぎないと言うことが浸透して行く事を願って止みません
正直、わたしは濃姫が信長にとって、どの位置に存在したのかなどは、どうでも良いと思い始めております
ただ、「信長が濃姫(帰蝶)に愛されていなかったら、あれだけ出世することはなかった」とは考えております
信長が濃姫に愛されたということは、信長もまた、濃姫を愛していたことに繋がるからです
生駒女を愛する現代人が何を言おうが、どう事実を捻じ曲げようが、信長の妻が斎藤帰蝶である事実までは覆せません
斎藤帰蝶が織田信長の妻であったことはどうあっても変えられない事実ですし、信長公記にですらしっかり書き残されていることです
それを、生駒女が信長の妻だったと改竄してしまうと言うことは、信長公記そのものを否定するということであり、信長を否定すると言うことにもなります
それをわかってないのが多いから、わけのわかんないことを言い出すアホが存在するのです
今期の大河ドラマが不評なのは、そう言った『偽書を史料として採用しているアホ』が作っているため、過去最悪の出来栄えになっているのですから、小説や出鱈目な事を信じているとどう言う目に遭うか自ずとわかるはず
まぁ、何が言いたいのかと聞かれましたら、わたしは迷わず「濃姫最高!」と応えるでしょう
ご静聴、ありがとございました

こちらもゆっくりの更新ですので、たま~のご訪問も大歓迎でございます
Haruhi 【2009/09/11 16:03】
愛した記憶
信長も帰蝶も本当はどんなだったか…今となってははわかりませんが、

帰蝶が信長を愛していたことは変わらない

そんなHaruhiさんの言葉がすごくすごく胸に落ちてきました。
その愛した事実も記憶も消えない。

例え一方通行の想いでも。←2人は相思相愛でしたが~♪

ちょっと元気になりました(笑)

明日また着物で舞台観に行きます。
帰蝶ってどんな雰囲気だったんだろう…?着物、お化粧(あんまりしなくても綺麗だったんだろうなぁ…)真似てみようかな、と思いました(笑)
mi URL 2009/09/12(Sat)23:45:42 編集
Re:愛した記憶
>その愛した事実も記憶も消えない。

だから、今も「信長の妻は帰蝶」が当たり前なのですよ♪

>帰蝶ってどんな雰囲気だったんだろう…?着物、お化粧(あんまりしなくても綺麗だったんだろうなぁ…)真似てみようかな、と思いました(笑)

確かな見聞はありませんが、当時の武家の女性は白粉で顔を真っ白に塗りたくり、滅多にお風呂に入らなかったので髪は香油(胡麻油)がべったり、眉を落として炭で描き直してと言うのが一般的な化粧法だったそうですが、出家した女性の肖像画を見る限りでは、そう言った公家かぶれな化粧は一部だけなのかなと想ってます
信長は公家嫌いでしたので、もしかしたらですが帰蝶もすっぴんだったかも知れないですね
お市の方は公家化粧でしたが(苦笑
Haruhi 【2009/09/13 16:26】
届きました
関係ないコメントですみませんっ。
Haruhiさんにお伝えしたくて…。
13日の舞台観劇、帰蝶のように強い気持ちで、と行ってきました。
公演中、観客をちょっといじるアドリブのコーナーがあるのですが…
「着物の…」としっかりいじってもらいました(笑)
ちゃんと届いた…と思うとあとから涙がポロポロと。
あの『1582』でもがっつり見られるというミラクル付の1日でした。
本当に本当に、愛した記憶は消えないと実感しました。
…と勝手に報告させて頂きましたが…関係なさ過ぎてすみませんっ。
mi URL 2009/09/15(Tue)12:12:52 編集
Re:届きました
>関係ないコメントですみませんっ。

いえいえ、とんでもない
嬉しい『想い』は、受け取ったこちらも嬉しくなりますから遠慮なさらずどうぞどうぞ

>Haruhiさんにお伝えしたくて…。

ありがとうございます

>公演中、観客をちょっといじるアドリブのコーナーがあるのですが…
>「着物の…」としっかりいじってもらいました(笑)

おめでとうございます
物凄い奇跡
いえ、miさんの強い思いと努力とアイデアの賜物でしょう

>ちゃんと届いた…と思うとあとから涙がポロポロと。

そうですよね
大好きな人に認めてもらう(見てもらう、と言う意味)ことは、生きる喜びです
それを実感できて嬉しくない人間などおりません

>あの『1582』でもがっつり見られるというミラクル付の1日でした。

もしかしたら、覚えてもらってるのかも知れませんね

>本当に本当に、愛した記憶は消えないと実感しました。
>…と勝手に報告させて頂きましたが…関係なさ過ぎてすみませんっ。

いいえ、貴重な体験をお教え頂き、こちらも嬉しい想いに溢れます
幸せは、周りの人間も幸せにできる、物凄いパワーを持ってます
miさんの周りの人も、miさんの幸せパワーをもらって、幸せな気分になっているのではないでしょうか
Haruhi 【2009/09/15 19:58】
濃姫(帰蝶)好きの方へ
本日は当サイトにお越しいただき、ありがとうございます

先ずはこちらのページを一読していただけると嬉しいです→お願い

文章の誤字・脱字が時折混ざっております
見付け次第修正をしておりますが、それでもおかしな個所がありましたらお詫び申し上げます

了承なしのリンクは謹んでご辞退申し上げます
管理人の独り言も混じっております
[11/04 Haruhi]
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ゲームブログ
千極一夜

家庭用ゲーム専用ブログです
『戦国無双3』が絶望的存在であるため、更新予定はありません

◇◇11/19 Nintendo DSソフト◇◇
『トモダチコレクション』

おのうさま(帰蝶)とノブ(信長)が 結婚しました(笑

祝:お濃さま出演 But模擬専…     (戦国無双3)


おのれコーエーめ
よくもお濃様を邪険にしおってからに・・・(涙

(画像元:コーエー公式サイト)
オンラインゲームにてお濃様発見


転生絵巻伝 三国ヒーローズ公式サイト:GAMESPACE24
『武将紹介』→『ゲーム紹介』→『Exキャラクター紹介』→『赤壁VS桶狭間』にてお濃様閲覧可
キャラクター紹介文
絶世の美貌を持つ信長の妻。頭が良く機転が利き、信長の覇業を深く支えた。
また、信長を愛し通した一途な妻でもあった。

(画像元:GAMESPACE24公式サイト)
勝手にPR
濃姫好きとしては、飲めなくても見逃せない

岐阜の地酒 日本泉公式サイト

(二本セットの画像)
夫婦セット 吟醸ブレンド(信長・濃姫)
本醸造 濃姫
カップ酒 濃姫®=爽やかな麹の薫り高い、カップとは想えない出来上がりのお酒です
吟醸ブレンド 濃姫® ブルーボトル=自然の香りのお酒です。ほんの少し喉を潤す程度でも香りが深く体を突き抜けます
本醸造 濃姫®=容量的に大雑把な感じに想えて、麹の独特の香りを抑えたあっさりとした風味です

今現在、この3種類を試しておりますが、どれも麹臭い雰囲気が全くしません
飲料するもよし、お料理に使うもよし
お料理に使用しても麹の嫌な独特感は全く残りません
奇跡のお酒です
何よりボトルがどれも美しい

清洲桜醸造株式会社公式サイト

濃姫の里 隠し吟醸
フルーティで口当たりが良いです
一応は『辛口』になってますが、ほんのり甘さも残ってます
わたしは料理に使ってます

清洲城信長 鬼ころし
量的に肉や魚の血落としや、料理用として使っています
麹の香りが良いのが特徴ですが、お酒に弱い人は「うっ」と来るかも知れません
どちらも一般スーパーに置いている場合があります
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