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「姫様はもう、斎藤の人間ではない!」
「しかしッ!」
「このまま姫様を野放しにしていては、いつか殺戮の鬼となってしまう!姫様は、いつまでも斎藤の象徴でなくてはならんのだッ!」
「ならば、討つ以外に方法がございましょう!」
「くどいぞ!内蔵介!」
時代は流れる
人も流れる
川面に浮かぶ木の葉のように
「人間の仕業じゃねぇ・・・。こんなの、俺達が知ってる姫様じゃねぇ・・・」
「弥平次・・・」
「姫様は、変わっちまった・・・。もう、昔には戻れねぇ・・・」
月が同じ姿を決して見せぬように
人もまた、月のように変わる
「目指すは、本能寺」
「のう。そなたの主だが、もう既に手綱を取れる者はおらんのではないか?このままでは、田舎の武家に日、出る国を侵蝕されるぞよ?朝廷がなくなってしまえば、民が惑う。その混乱を、誰が収められるか。いいや、誰も収められぬ」
「いつか・・・、いつか俺達も飲み込まれちまう・・・。道三が斎藤を飲み込んだように・・・。俺達もいつか、姫様に飲み込まれちまう・・・。そしたら、もう二度と、斎藤は復興できねぇ・・・!」
「姫様・・・。あなたは変わってしまわれた。無邪気に笑った姫様は、もう、何処にもいらっしゃらない・・・」
「十兵衛。私は、海だ。じっとしておられん」
「姫様・・・」
「民が自由を掴むまで、私は海で居たい」
名は変われど、人は、人
あなたは、あなた
「姫様!どうか、ご容赦を・・・ッ!」
「ならんッ!」
「長宗我部には、清四郎の妹が嫁いでおります!」
「嫁入り先は私が用意する。お前は何も気に病むな」
「しかし、姫様・・・ッ!」
「力を付けた者は、やがて従うべき者に牙を剥く。長宗我部が本土を目指して侵攻中なのは、根拠を得ておる」
「それは、姫様に逢うため 」
人は
多くを手にすればするほど、臆病になる
「邪魔をするか、十兵衛」
誰もが敵に見える
「似てると想わないか?まるで、道三様の晩年にそっくりだ」
「このまま行けば間違いなく、わしも明智殿も粛清の対象になるでしょうな」
「荒木殿の一族が、見せしめの磔に」
誰もが鬼に見える
「越前に遠征中の柴田殿を粛清することは、不可能。そうなると、何れはわしか、明智殿」
「荒木殿は、姫様について行けなくなっただけでございます!決して謀叛を起こそうとしたわけではございません!助けを求めに、毛利に 」
「織田に仇成す者は、全て消し去る」
「姫様!それでは、父君と同じでございます!」
守る物が多ければ多いほど、尖った切っ先のようになる
「殺してやろうか?松永のように」
「 」
名、変われど、鬼は、鬼
「吉法師様と、約束したの。上下身分のない、みんなが笑っていられるような、そんな世の中にするって」
女は、女
「負の連鎖は、どこまでも続く」
人は、神や仏にはなれない
「あのお方さえ居なければ、姫様は、昔の姫様に戻れる・・・ッ!」
姫様
「敵は、織田総大将!」
あなたはやはり、蝮の娘なのですね・・・・・
「姫様!待ってくださいよ!」
「遅いぞ、お清(きよ)!置いてくぞ!」
「姫様ったらぁ!」
物心付いた時から、彼は自分の側に居た
それを「どうして」と想うことはないし、想ったこともない
ただ今日も、当たり前のように彼はそこに居た
先を歩くは、斎藤帰蝶
花も恥らう愛らしさは、美濃一の美女と呼び名も高い明智の那々姫を母に持ち、幼い頃は美童とも言われた斎藤の利政を父に持つが由縁
白い肌に桜が咲いたような淡い紅の頬
切れ長の目蓋はまるで人形のようで、見詰める者の魂を射抜く力を持っていた
少し薄めの口唇には少女らしく、ほんのりと色付いた紅が差されている
細身ながらも背は高く、義理とは言え兄利尚の背の高さを考慮すれば、なるほど、利政の子はどれも長身だった
女の帰蝶ですら、その遺伝の強さが伺える
帰蝶のやや後ろ隣でその背中を見守っている少年は、斎藤清(せい)四郎
帰蝶より三つ年上の、『元』主家の御曹司である
利政とは赤の他人になるため、清四郎の体付きは中肉中背
特にこれと言った特徴もないが、幼いながらも貫禄にも似た雰囲気を持つ少年で、腰の脇差も様になっており、帰蝶姫の信頼を一身に背負っているのか、辺りにはこの二人以外誰も見当たらない
利政の父が京都よりこの美濃に流れ着き、教養の深さから美濃守護代・土岐家の家臣、長井に仕えるようになったと聞かされていた
ところが、周囲が気付かぬ内に全くの他人であるはずの利政の父が、いつの間にか長井家の跡取りになっている
いや・・・
仕えていた主家を乗っ取ったと表現する方が正しい
そして、利政の時代になり、全く同じ流れで、長井家の主家である斎藤家を併呑した
清四郎は利政に乗っ取られた斎藤家の、本筋の御曹司である
その御曹司が、斎藤を乗っ取った男の娘の護衛として、何故かその後ろに控えている
これがこの時代の特徴であり、世にゆう『下克上』と言うものであった
細くか弱い木は大木にその根を巻き付かれ、養分を根こそぎ奪われやがて朽ちる
人の道理など通じぬほど、世の中は激動していた
斎藤家は好むも好まざるもなく、自分の家を食い散らした利政に仕えることで生き長らえるしかなかった
それが不条理だとしても、理不尽だとしても、抗う者に残された道は『破滅』か『自滅』だけである
是も非もなく傅くしかない
「お清」
帰蝶が後ろに居る清四郎に声を掛けた
「はい」
「ほら、あそこ」
細い指を、崖の上の方に差す
「咲いてる」
「花ですか?」
「桔梗よ。見えない?」
少し甲高い声は、やはり女の声でしかない
「どこですか?」
「ほら、少し出っ張ったところ」
「あ、ほんとだ」
「採って来て」
「無理です。今日は草鞋履きなんですから、滑って落ちたら怪我どころの騒ぎじゃなくなりますよ」
桔梗はかなり高い場所に咲いており、容易に手は届きそうにもなかった
「だったら、私が採って来る」
と、帰蝶は小袖の裾をたくし上げ、崖に攀じ登ろうとする
清四郎は驚いて帰蝶の袖を掴んだ
「待ってください。姫様が怪我したら、私の首が飛ぶんですよ?」
採って来いと命じられるよりも、採って来ると崖を登られる方が一大事だ
清四郎は慌てて止める
「大袈裟ね、そんなことないわよ」
「兎に角、桔梗が欲しいのなら他を当りましょう。ここじゃなくても、咲いている場所は他にもあるんですから」
「ふんだ。お清の意気地なし」
「はい、意気地なしで結構です」
決して、帰蝶の挑発には乗らない
乗ったところで勝てる相手でもない
もう馴れたものと清四郎は、背中でぶつくさ嫌味を言い続ける帰蝶の戯言を、はいはいと聞き流した
『桔梗』は、父・利政が追い遣っている土岐家の家紋である
当然父は桔梗の花が嫌いだった
しかし、帰蝶の母は土岐家傍流の明智の出身で、明智家も家紋は土岐家と同じ桔梗であった
父の意固地なところは理解できないが、目障りだと感じる気持ちは理解できた
なんの後ろ盾もなかった父と祖父が、親子二代で美濃を乗っ取ろうとしている
長井家や斎藤家を乗っ取ったように
だが、無理強いをすれば人の心はどんどん離れて行ってしまう
そうすれば、この清四郎も離れて行ってしまうのだろうか
嫌だと、想った
「あ、姫様。桔梗、咲いてますよ」
「清四郎」
「採って来ますね」
「お清」
帰蝶は走り出す清四郎の手を掴んだ
「姫様?」
「お清は、帰蝶のこと、好き?」
「え・・・?」
相手を真っ直ぐ見詰めるのは、帰蝶の癖だった
澄んだ瞳で真っ直ぐ、相手を射抜く
「あの・・・?」
「帰蝶は、お清のことが好き。まるで兄弟みたいで、一緒に居て楽しい」
「あ・・・、そうですか・・・。どうも・・・」
一瞬ドキッとした分、実はそうではない言い回しをされ、ある意味肩透かしを食らったような気がする
「兄弟じゃ、夫婦にはなれないの?」
「なれませんね」
「そっか・・・」
力なく、清四郎の手を離す
「花、摘んで来ます」
居た堪れなくなり、清四郎は桔梗の咲いている岩壁に向かった
その背中に帰蝶は呟くように言う
「お清のお嫁さんになるには、どうしたら良いの?」
「 摘んで来ますね」
帰蝶の質問には応えず、清四郎は逃げた
夫婦になれるはずなど、ない
帰蝶は利政の正妻が産んだ娘で
自分は家を乗っ取られた斎藤の次男坊で
今はもう、身分が違っていた
利政が斎藤家の後を取る前だったなら、それも可能だっただろう
まだどちらもこの世に生を受けていなかったとしても
利政が長井のままだったなら、それも希望として持てただろう
だが今ではそれは、叶わぬ夢でしかなかった
兄弟のように育った二人は、一人は姫君で、一人は『家臣』に身を窶した家の生まれで、立つ場所すら同じくできるはずがない
帰蝶の指先に、清四郎の摘んで来た桔梗の花が揺れている
帰蝶、八歳
清四郎、十一歳の春のことだった
天文十一年
武家の惣領が北条から足利に移った古より、長きに渡り美濃の守護を務めていた土岐家にも、落日の瞬間が訪れた
その強大な力が故に幕府からも恐れられ、内部分裂を誘われ自滅の道を辿りつつもなんとか持ち堪えていた土岐家最後の当主、土岐頼芸が利政、入道し名を改めた道三によって美濃追放の憂き目に遭う
尾張に逃げた頼芸は、支城のある尾張へと逃げ込んだ
勿論、道三は頼芸を態と逃がしたのだが、それにより想いもしない事態が起きた
尾張豪族・織田信秀が頼芸の後援としてその二年後、越前・朝倉と同盟を結び美濃に攻め込んで来た
織田信秀は東西一の切れ者として名を馳せ、瞬く間に稲葉山に迫る
それ以来、斎藤は織田との争いに絶えない日々を過ごしていた
「姫様。織田がそこまで迫ってます。悠長に散歩など、洒落込んでる場合じゃありませんよ?」
あれから何年か経ったこの日も、清四郎は帰蝶の護衛として裏山の散策に付き合わされていた
帰蝶も清四郎も成長し、帰蝶はより女らしい様相になり、清四郎は変声期に入って、若干声が掠れている
「でも、ここまで来れるもんじゃないでしょ?」
「そうかもしれませんが、斥候とかち合ったりしたらどうするんですか」
「そのためにお清が居るんじゃない。しっかり守ってくれたら、それで良いの」
「無茶言わないで下さい。私はまだ戦にも出てないんですよ?」
「だったら」
清四郎の煮え切らない態度に、イラッとした
「私が守ってあげる」
「え・・・?」
振り返り、少女は凛とした眼差しを差し向け、年上の男に言い放った
「私が、お清を守ってあげる」
「 あの・・・」
それじゃ、護衛の意味がない
帰蝶の眼差しに胸をドキドキとさせながらも、清四郎は蛇に睨まれた蛙のような心境で、その視線から目が離せなくなってしまった
「ほら、いこ」
そんな清四郎を放って、帰蝶は勝手知ったる裏山を先に進む
「ひ、姫様!待ってください!」
人は時として、その運命から逃れようと流れに抗うこともある
もがけばもがくほどどんどんと深みに嵌り、それでも暗闇から逃げ出すために両の脚をばたつかせ、両の手で縋れる何かを掴もうとする
突然起きた騒乱
事態を把握できない
「どうして、こんな・・・」
自分の何が間違っていたのか、理解できなかった
人々を縛り付ける楔を解き放とうと
ただ、夫との約束を守ろうと
いつか、恋しい男と共に歩けるその日を夢見て
ただ、がむしゃらに時代を駆け抜けた
ただ、それだけだった
寄宿していた寺の周辺を取り囲む、水色桔梗の旗印
身内が敵に変わった瞬間
手勢の少ないこの状況で、窮地を脱することなど到底不可能であった
聡明な彼女には、自分の未来が見えた
「姫様ッ!」
子供の頃から自分の世話をしていた老女が駆け寄る
「お能・・・。逃げていなかったのか?」
「姫様を置いて、何処に行けましょうかっ?!」
「私は、良い。これが私の運命だったのだ」
「そんな・・・ッ」
諦めた様子の主に、お能と呼ばれた老女は酷く狼狽した
「お能、逃げろ」
「姫様もご一緒に・・・・・」
「私は、私の運命と立ち向かう」
「なりません・・・ッ」
お能を置き去りに表に出た彼女の目に、小姓達が食い止める明智の軍勢が見えた
この人数では到底、抗えない
「これまでか・・・」
諦めた彼女の許に、小姓達もが駆け寄った
「お屋形様!お逃げくださいッ!」
小姓の中でも特に目を掛けていた森乱丸が、弟の坊丸、力丸を連れて彼女の手首を掴む
「於乱。私は、良い」
「お屋形様・・・ッ」
「兄様は、決して私を逃さない。わかってる。どうしてこうなってしまったのかはわからないけれど、兄様は私を殺そうとしている。だから・・・」
「お屋形様・・・」
「どうせなら、お清の手で死にたい」
「 」
この場に相応しくない、美しい微笑みを浮かべて、彼女は言った
「於乱。お前達は逃げなさい。兄様が欲しがってるのは、私の首だけだ」
「そんな・・・。お屋形様を辱めることなど、黙って見過ごせません・・・ッ!」
「それが、けじめの付け方だ。この世に生きる武士(もののふ)の礼儀だ」
「お屋形様・・・」
「決して奥には立ち入らせるな。明智には投降しろ。無抵抗の者にまで手を掛けるほど、お清は卑怯な男ではない」
そう言い残すと、彼女は燃え盛る寺の奥に戻って行った
「お屋形様ッ!」
乱丸は彼女を引き止めようと手を差し伸べる
すると、まるでそれを邪魔するかのように、燃え尽きた欄干が崩れて落ち、行く手を塞いだ
「お屋形様ーッ!」
急激な改革は、それまで馴れていた人の気持ちと言う物を掻き乱す
当たり前の風習を突然断ち切ってしまっては、人は縋る物を失い、道に迷ってしまう
自分はそれを強要し過ぎた
急ぐ余り、周りが見えていなかった
あと、もう少し・・・と言うところで、一番信用していた人間に裏切られた
絶望よりも先に、落胆が彼女の心に覆い被さる
果てる場所を探し、しかしどこもかしこも骸ばかりが転がっているこんな状況でも、彼女は凛とした表情を崩さなかった
これは、罰
吉法師様以外の男に心を許した罰
きっとあの世で、吉法師様が怒ってるんだ
だから、こんなことに・・・
寺の本堂に差し掛かった時、その手前の部屋で人の声がしたような気がした
「誰か居るのか?」
逃げ遅れた者が居るのかと、彼女はその襖を開けた
その瞬間
「あぁッ!」
強烈な熱風が無数の塵芥を絡ませ、彼女に襲い掛かった
そして容赦なく、彼女の美しい瞳を焦がした
声にならない激痛
一瞬にして失われた光
倒れ込み、のた打ち回る彼女の耳に、愛しい男の声が聞こえた
「姫様ッ!」
お清・・・
「姫様ッ!」
暢気に散歩など、やはり止めておくべきだった
今更ながら後悔する
今、斎藤は、尾張の織田と争っている
一進一退を繰り返し、決着など未だ付きもしない状況
そんな中で織田の偵察隊と出くわしてしまった
「女だ・・・」
「取っ捕まえろッ!」
日照りが続いているのか、帰蝶を目にした男達がその手を伸ばして追い駆ける
「姫様!こちらです!」
清四郎は咄嗟に帰蝶の手を掴み、走り出した
山の中など、城へ通じるところでなければ舗装などされていない
増してや自分達が居たのは稲葉山の裏山で、獣道すら覚束ない場所である
逃げ道など、どこにもない
ただ、幼い頃より良く知る場所であるために、偵察隊の男達よりは土地勘がある
ただそれだけのことで、清四郎は宛てのない先を走り続けた
しかし、自分はそれなりの格好をしているが、帰蝶は普段の小袖姿のままで、全力疾走するには向いていない
「あっ・・・!」
足元が縺れ、帰蝶の手が清四郎の手の中から滑り落ち、地面に崩れた
「姫様ッ!」
「お清・・・ッ!」
帰蝶の背後に迫る、織田の兵士
清四郎は躊躇いもなく刀を抜き、倒れたままの帰蝶を庇うように前に立ちはだかる
「おい、小僧。痛い目に遭いたくなかったら、その女をこっちによこせ」
追い着いた兵士達も切れ味の悪そうな刀をちらつかせた
「断る。この方は、お前たち下賤の身で触れることなどできない存在だ。後悔したくなければ、さっさと立ち去れッ!」
「お清・・・」
いつも優柔不断で、苛々するほど軟弱に見えた清四郎の本来の姿を見て、帰蝶はこの状況に置いても胸が高鳴るのを覚えた
「何をーッ?!」
「この、クソ生意気な小僧めがッ!」
やっちまえとでも言わんばかりに、男達が一斉に斬り掛かった
相手は小部隊か五~六人ばかりの集団だが、こちらは年端も行かない子供が二人である
正に『多勢に無勢』の状態であった
相手の鈍ら剣を自分の刀でいなし、別方向から掛かって来る男に肩から体当たりを食らわす
しかし、その隙にも背後に回り、帰蝶に襲い掛かる男も居た
「姫様ッ!」
「 ッ」
生来、気の強い性格でも有名な帰蝶は、自分に手を伸ばす男の股間を、転がったまま想い切り蹴り上げ、別の男には手元にあった雑草を根っこごと引き抜き、顔面目掛けて投げ付けた
「うわぁッ!」
土が目に入り、見事、目潰しの役割を果たす
大事なところを蹴られた男は既にもんどり打ち、とりあえず二人は撃沈させた
そんな帰蝶の勇ましさを目の当たりにし、清四郎も男の矜持に懸けて負けられないと刀を揮う
「お清、こっち!」
素早く立ち上がった帰蝶は、清四郎の袖の袂を軽くはたき、走ることを促した
小さい頃から清四郎と共に、この裏山を縄張りに遊んでいた帰蝶である
地図などなくとも、どこに何があるかきちんと把握していた
「待ちやがれ!」
背中に追い駆けて来る男達の声を受けながら、帰蝶は併走する清四郎に言った
「この先に崖がある」
「ですが、その下は川です!落ちたら助からない」
「このまま留まっても、同じことだ。私は辱めを受け、お前は縊り殺される。だったら!万が一にも助かる可能性に縋って、何が悪い」
「姫様・・・」
生い茂る雑草の丈が長くなり始めた
逃げる方にも追う方にも、進みにくい場所に出る
欝蒼と重なる杉や楓が入り混じる林の中を、清四郎は帰蝶の手を掴んで走り続けた
「姫様、こっちです!」
いつの間にか、清四郎が先頭を走っている
二人が目指す方向から、水の流れる音が聞こえ始めた
一瞬にして暗闇が抜け、眩い光が二人の目を焼く
その先には、二人が想うとおり崖が広がっていた
下を流れる川は北上し、やがて長良川に合流する
「姫様、捕まって!」
「 ッ」
清四郎は帰蝶の体を抱き締め、帰蝶は清四郎に抱き付き、二人はその崖から飛び降りた
相当な高さがある
余程の度胸か、あるいは極限にまで追い込まれていなければ、飛び込もうと言う気など決して起きる高さではなかった
「うわぁぁぁぁーッ!」
今まで一度もこの崖から飛び込んだことのない清四郎は、想わず雄叫びを上げ、帰蝶はただ黙って清四郎にしがみ付いた
「うわっ!」
勢いに乗って、後を追い駆けていた男の一人もその崖に落ちる
覚悟していなかった分、助かる見込みもないだろう
どぼんと激しい水音が二つ続き、やがて川は三人を飲み込んで、広がった波紋も静かに消えて行った
残された二人の男は、ただ呆然と崖の上から川の流れを見ていた
この辺りには上陸できる川辺もなく、切り立った岩の壁が延々と続き、長良川へと流れ着く
清四郎の小袖も水を含み、更には気を失った帰蝶を抱き抱え、泳ぐこともままならない
手にしていた刀は、飛び降りた拍子に落としてしまったのか、片手は空だった
空手になった手で帰蝶の腰を抱き寄せ、兎に角水面に浮上する
「ぷはっ!」
やっと呼吸ができる
しかし、帰蝶は気を失ったまま目を覚まさない
今はどうにかできる状態でもなく、清四郎は早く長良川に出ようと流れに従い脚をばたつかせた
やがて目指していた長良川の合流する河口に出ると、広い川幅をひたすら泳ぐ
体力などとっくの昔に落ちているはずが、自分一人なら諦めて溺れることもできようものの、自分の両手には帰蝶の命もあった
手放すことなどできない
「はっ・・・、はっ・・・!」
荒くなる呼吸に合わせるように泳ぎ、ようやく川岸に辿り着く
「ひ・・・、姫様・・・ッ」
帰蝶の上半身を岸辺に横たえ、先ずは自分が上陸する
それから、余りにも重くなった帰蝶を引き上げるのが困難で、清四郎は帰蝶の両手を掴んで引き摺り上げた
「姫様・・・ッ?」
依然、意識を失ったままの帰蝶の口元に耳を寄せるも、息をしている音がしない
「姫様ッ!」
頬を叩いても、反応はなかった
白い肌が青く染まっていく
赤かった口唇も青の色が強くなって来た
「くそッ!」
清四郎は躊躇うことなく、大きく深呼吸すると、急いで帰蝶の口唇に自分の口唇を宛がい、息を吹き込んだ
それを何度も繰り返し、それから漸く、帰蝶に呼吸が戻り酷く咳き込むのがわかった
「姫様ッ?!」
帰蝶の口から大量の水が溢れ出る
それでも、意識は戻らなかった
「体が冷えてる・・・。兎に角、どこか・・・」
辺りを見回す
稲葉山から随分流され、遠く見えた
「ここは、どこだ・・・ッ」
自分に苛立つ清四郎の目に、漁小屋らしきものが映った
「鵜飼小屋・・・か?」
夏場ならまだしも、今は春にも遠い
場所など選んでる場合ではなかった
折角助かった命
凍死で死んでは身も蓋もないと、清四郎は帰蝶を両手で抱き上げ、その小屋に向かった
清四郎自身、体力は消耗している
ふら付きながらも小屋を目指し、中に入った
美濃の長良川の鵜飼は祭りにもなるほど有名で、この辺りにはその時のための小屋がいくつか点在している
関を中心に美濃は西と東に分かれており、この辺りはまだ西美濃であるため道三の領地であろう、それが唯一の救いであった
東美濃は明智を一門に加えてはいても、その勢力は弱く遠山氏にも及ばない
前年、明智の倅が遠山氏の一門である妻木から娘を娶ったが、全ての遠山氏が斎藤の姫君の顔を知っているわけではなく、もしもその『斎藤の姫君を知らない』遠山方に捕まれば、自分は兎も角帰蝶の身が危険に晒される
それだけは絶対に避けねばならなかった
幸いなことに、火打石と薪が同じ場所に無造作に置かれており、清四郎は帰蝶を筵の上に寝かせると囲炉裏に薪をくべ、藁を束ねて石を打った
カチン、カチンと良い音がして、火花が散る
散った火花が程よく乾いた藁に引火し、小さな炎が生まれた
やがて炎は、みすぼらしい薪を飲み込み、暖かな色に変わった
それでも帰蝶は震えたまま目を覚まさない
「姫様・・・」
小屋は寝泊りできるようにはなっていないのか、寝具の類も見当たらない
このままでは帰蝶が死んでしまう
想いを巡らせ清四郎は、自分の着ていた小袖を脱ぎ捨て、乾きやすいよう囲炉裏の欄干に吊るし、次に帰蝶の帯を解き始めた
「無礼を許してくださいね、姫様。このままじゃ、死んじまう」
返事のできない帰蝶に謝りながら、遂にはその白い肌が晒された
まだ幼いため、乳房も未発達で、到底『女』と呼べる物ではなかった
下腹部も子供のままであり、清四郎を奮い立たせるような躰ではない
増してやこの状況で、浅ましい考えなど浮かぶはずもなく、清四郎は無我の境地でその帰蝶の裸に覆い被さり、肌を温めた
互いに冷えているとは言え、自分よりも清四郎の肌の方が暖かく、帰蝶は無意識のまま抱き付く
清四郎は真冬の水のように冷え切った帰蝶の細い躰を、冷たい想いをしながらも抱き締めた
どれくらい経っただろうか
ふと格子から空を見上げれば、薄暗い景色に変わり、雲も暗く染まりつつある
秋ではないため夕暮れもなく、突然夜に変わるのがこの季節であった
夜になれば織田が闇に乗じて動き出すかも知れない
そうなれば迂闊に稲葉山城に戻ることもできず、そして、未だ帰蝶が戻らないことで道三がどれだけ慌てふためくか目に浮かんだ
このことで、自分の家に災難が降りかからなければ良いのだがと、祈るしかなかった
今はただ
自分の頼りない細い腕に縋って、しがみ付いている帰蝶の華奢な肩を抱き、まるで半ば夢見心地のような気分に浸ることだけが許された
いつからだろう
互いが互いを愛おしいと想うようになったのは
それは生まれた時からのような気がするし、少し前のような気がするし、この日をきっかけに生まれた感情のような気もする
ただその想いは、決して実ることのない淡い雪のように儚い物だと言うことだけは、知っていた
叶うことのない想いほど崇高で高潔なものはなく、それに酔っていただけなのかも知れない
肌の色が少しずつ紅を戻し、帰蝶の躰にも体温が戻って来た頃、清四郎は許されないことと知りながらも、帰蝶のその口唇に自分の口唇を重ねた
朧気に浮かぶ言葉
愛しているのかも知れないと言う曖昧な感情を胸に抱き、清四郎は帰蝶の口唇の柔らかさを味わった
温もりの中
例え切れぬ幸福感
鼻腔から伝わる、心安らかな香り
花のような
月のような
「城介様は、織田上総介様の亡霊に過ぎん。城介様さえ亡き者にすれば、姫様の魂は解放される。昔の姫様に、戻られる」
「十兵衛様・・・ッ!」
光秀は、悲しげな目をしたまま、利三に微笑んだ
「そなたの手で、姫様を連れ戻すのだ。清四郎」
それは、誰が望んだことなのだろうか
帰蝶か
それとも、自分か
「しかしッ!」
「このまま姫様を野放しにしていては、いつか殺戮の鬼となってしまう!姫様は、いつまでも斎藤の象徴でなくてはならんのだッ!」
「ならば、討つ以外に方法がございましょう!」
「くどいぞ!内蔵介!」
時代は流れる
人も流れる
川面に浮かぶ木の葉のように
「人間の仕業じゃねぇ・・・。こんなの、俺達が知ってる姫様じゃねぇ・・・」
「弥平次・・・」
「姫様は、変わっちまった・・・。もう、昔には戻れねぇ・・・」
月が同じ姿を決して見せぬように
人もまた、月のように変わる
「目指すは、本能寺」
「のう。そなたの主だが、もう既に手綱を取れる者はおらんのではないか?このままでは、田舎の武家に日、出る国を侵蝕されるぞよ?朝廷がなくなってしまえば、民が惑う。その混乱を、誰が収められるか。いいや、誰も収められぬ」
「いつか・・・、いつか俺達も飲み込まれちまう・・・。道三が斎藤を飲み込んだように・・・。俺達もいつか、姫様に飲み込まれちまう・・・。そしたら、もう二度と、斎藤は復興できねぇ・・・!」
「姫様・・・。あなたは変わってしまわれた。無邪気に笑った姫様は、もう、何処にもいらっしゃらない・・・」
「十兵衛。私は、海だ。じっとしておられん」
「姫様・・・」
「民が自由を掴むまで、私は海で居たい」
名は変われど、人は、人
あなたは、あなた
「姫様!どうか、ご容赦を・・・ッ!」
「ならんッ!」
「長宗我部には、清四郎の妹が嫁いでおります!」
「嫁入り先は私が用意する。お前は何も気に病むな」
「しかし、姫様・・・ッ!」
「力を付けた者は、やがて従うべき者に牙を剥く。長宗我部が本土を目指して侵攻中なのは、根拠を得ておる」
「それは、姫様に逢うため
人は
多くを手にすればするほど、臆病になる
「邪魔をするか、十兵衛」
誰もが敵に見える
「似てると想わないか?まるで、道三様の晩年にそっくりだ」
「このまま行けば間違いなく、わしも明智殿も粛清の対象になるでしょうな」
「荒木殿の一族が、見せしめの磔に」
誰もが鬼に見える
「越前に遠征中の柴田殿を粛清することは、不可能。そうなると、何れはわしか、明智殿」
「荒木殿は、姫様について行けなくなっただけでございます!決して謀叛を起こそうとしたわけではございません!助けを求めに、毛利に
「織田に仇成す者は、全て消し去る」
「姫様!それでは、父君と同じでございます!」
守る物が多ければ多いほど、尖った切っ先のようになる
「殺してやろうか?松永のように」
「
名、変われど、鬼は、鬼
「吉法師様と、約束したの。上下身分のない、みんなが笑っていられるような、そんな世の中にするって」
女は、女
「負の連鎖は、どこまでも続く」
人は、神や仏にはなれない
「あのお方さえ居なければ、姫様は、昔の姫様に戻れる・・・ッ!」
「敵は、織田総大将!」
あなたはやはり、蝮の娘なのですね・・・・・
「姫様!待ってくださいよ!」
「遅いぞ、お清(きよ)!置いてくぞ!」
「姫様ったらぁ!」
物心付いた時から、彼は自分の側に居た
それを「どうして」と想うことはないし、想ったこともない
ただ今日も、当たり前のように彼はそこに居た
先を歩くは、斎藤帰蝶
花も恥らう愛らしさは、美濃一の美女と呼び名も高い明智の那々姫を母に持ち、幼い頃は美童とも言われた斎藤の利政を父に持つが由縁
白い肌に桜が咲いたような淡い紅の頬
切れ長の目蓋はまるで人形のようで、見詰める者の魂を射抜く力を持っていた
少し薄めの口唇には少女らしく、ほんのりと色付いた紅が差されている
細身ながらも背は高く、義理とは言え兄利尚の背の高さを考慮すれば、なるほど、利政の子はどれも長身だった
女の帰蝶ですら、その遺伝の強さが伺える
帰蝶のやや後ろ隣でその背中を見守っている少年は、斎藤清(せい)四郎
帰蝶より三つ年上の、『元』主家の御曹司である
利政とは赤の他人になるため、清四郎の体付きは中肉中背
特にこれと言った特徴もないが、幼いながらも貫禄にも似た雰囲気を持つ少年で、腰の脇差も様になっており、帰蝶姫の信頼を一身に背負っているのか、辺りにはこの二人以外誰も見当たらない
利政の父が京都よりこの美濃に流れ着き、教養の深さから美濃守護代・土岐家の家臣、長井に仕えるようになったと聞かされていた
ところが、周囲が気付かぬ内に全くの他人であるはずの利政の父が、いつの間にか長井家の跡取りになっている
いや・・・
仕えていた主家を乗っ取ったと表現する方が正しい
そして、利政の時代になり、全く同じ流れで、長井家の主家である斎藤家を併呑した
清四郎は利政に乗っ取られた斎藤家の、本筋の御曹司である
その御曹司が、斎藤を乗っ取った男の娘の護衛として、何故かその後ろに控えている
これがこの時代の特徴であり、世にゆう『下克上』と言うものであった
細くか弱い木は大木にその根を巻き付かれ、養分を根こそぎ奪われやがて朽ちる
人の道理など通じぬほど、世の中は激動していた
斎藤家は好むも好まざるもなく、自分の家を食い散らした利政に仕えることで生き長らえるしかなかった
それが不条理だとしても、理不尽だとしても、抗う者に残された道は『破滅』か『自滅』だけである
是も非もなく傅くしかない
「お清」
帰蝶が後ろに居る清四郎に声を掛けた
「はい」
「ほら、あそこ」
細い指を、崖の上の方に差す
「咲いてる」
「花ですか?」
「桔梗よ。見えない?」
少し甲高い声は、やはり女の声でしかない
「どこですか?」
「ほら、少し出っ張ったところ」
「あ、ほんとだ」
「採って来て」
「無理です。今日は草鞋履きなんですから、滑って落ちたら怪我どころの騒ぎじゃなくなりますよ」
桔梗はかなり高い場所に咲いており、容易に手は届きそうにもなかった
「だったら、私が採って来る」
と、帰蝶は小袖の裾をたくし上げ、崖に攀じ登ろうとする
清四郎は驚いて帰蝶の袖を掴んだ
「待ってください。姫様が怪我したら、私の首が飛ぶんですよ?」
採って来いと命じられるよりも、採って来ると崖を登られる方が一大事だ
清四郎は慌てて止める
「大袈裟ね、そんなことないわよ」
「兎に角、桔梗が欲しいのなら他を当りましょう。ここじゃなくても、咲いている場所は他にもあるんですから」
「ふんだ。お清の意気地なし」
「はい、意気地なしで結構です」
決して、帰蝶の挑発には乗らない
乗ったところで勝てる相手でもない
もう馴れたものと清四郎は、背中でぶつくさ嫌味を言い続ける帰蝶の戯言を、はいはいと聞き流した
『桔梗』は、父・利政が追い遣っている土岐家の家紋である
当然父は桔梗の花が嫌いだった
しかし、帰蝶の母は土岐家傍流の明智の出身で、明智家も家紋は土岐家と同じ桔梗であった
父の意固地なところは理解できないが、目障りだと感じる気持ちは理解できた
なんの後ろ盾もなかった父と祖父が、親子二代で美濃を乗っ取ろうとしている
長井家や斎藤家を乗っ取ったように
だが、無理強いをすれば人の心はどんどん離れて行ってしまう
そうすれば、この清四郎も離れて行ってしまうのだろうか
「あ、姫様。桔梗、咲いてますよ」
「清四郎」
「採って来ますね」
「お清」
帰蝶は走り出す清四郎の手を掴んだ
「姫様?」
「お清は、帰蝶のこと、好き?」
「え・・・?」
相手を真っ直ぐ見詰めるのは、帰蝶の癖だった
澄んだ瞳で真っ直ぐ、相手を射抜く
「あの・・・?」
「帰蝶は、お清のことが好き。まるで兄弟みたいで、一緒に居て楽しい」
「あ・・・、そうですか・・・。どうも・・・」
一瞬ドキッとした分、実はそうではない言い回しをされ、ある意味肩透かしを食らったような気がする
「兄弟じゃ、夫婦にはなれないの?」
「なれませんね」
「そっか・・・」
力なく、清四郎の手を離す
「花、摘んで来ます」
居た堪れなくなり、清四郎は桔梗の咲いている岩壁に向かった
その背中に帰蝶は呟くように言う
「お清のお嫁さんになるには、どうしたら良いの?」
「
帰蝶の質問には応えず、清四郎は逃げた
夫婦になれるはずなど、ない
帰蝶は利政の正妻が産んだ娘で
自分は家を乗っ取られた斎藤の次男坊で
今はもう、身分が違っていた
利政が斎藤家の後を取る前だったなら、それも可能だっただろう
まだどちらもこの世に生を受けていなかったとしても
利政が長井のままだったなら、それも希望として持てただろう
だが今ではそれは、叶わぬ夢でしかなかった
兄弟のように育った二人は、一人は姫君で、一人は『家臣』に身を窶した家の生まれで、立つ場所すら同じくできるはずがない
帰蝶の指先に、清四郎の摘んで来た桔梗の花が揺れている
帰蝶、八歳
清四郎、十一歳の春のことだった
天文十一年
武家の惣領が北条から足利に移った古より、長きに渡り美濃の守護を務めていた土岐家にも、落日の瞬間が訪れた
その強大な力が故に幕府からも恐れられ、内部分裂を誘われ自滅の道を辿りつつもなんとか持ち堪えていた土岐家最後の当主、土岐頼芸が利政、入道し名を改めた道三によって美濃追放の憂き目に遭う
尾張に逃げた頼芸は、支城のある尾張へと逃げ込んだ
勿論、道三は頼芸を態と逃がしたのだが、それにより想いもしない事態が起きた
尾張豪族・織田信秀が頼芸の後援としてその二年後、越前・朝倉と同盟を結び美濃に攻め込んで来た
織田信秀は東西一の切れ者として名を馳せ、瞬く間に稲葉山に迫る
それ以来、斎藤は織田との争いに絶えない日々を過ごしていた
「姫様。織田がそこまで迫ってます。悠長に散歩など、洒落込んでる場合じゃありませんよ?」
あれから何年か経ったこの日も、清四郎は帰蝶の護衛として裏山の散策に付き合わされていた
帰蝶も清四郎も成長し、帰蝶はより女らしい様相になり、清四郎は変声期に入って、若干声が掠れている
「でも、ここまで来れるもんじゃないでしょ?」
「そうかもしれませんが、斥候とかち合ったりしたらどうするんですか」
「そのためにお清が居るんじゃない。しっかり守ってくれたら、それで良いの」
「無茶言わないで下さい。私はまだ戦にも出てないんですよ?」
「だったら」
清四郎の煮え切らない態度に、イラッとした
「私が守ってあげる」
「え・・・?」
振り返り、少女は凛とした眼差しを差し向け、年上の男に言い放った
「私が、お清を守ってあげる」
「
それじゃ、護衛の意味がない
帰蝶の眼差しに胸をドキドキとさせながらも、清四郎は蛇に睨まれた蛙のような心境で、その視線から目が離せなくなってしまった
「ほら、いこ」
そんな清四郎を放って、帰蝶は勝手知ったる裏山を先に進む
「ひ、姫様!待ってください!」
人は時として、その運命から逃れようと流れに抗うこともある
もがけばもがくほどどんどんと深みに嵌り、それでも暗闇から逃げ出すために両の脚をばたつかせ、両の手で縋れる何かを掴もうとする
突然起きた騒乱
事態を把握できない
「どうして、こんな・・・」
自分の何が間違っていたのか、理解できなかった
人々を縛り付ける楔を解き放とうと
ただ、夫との約束を守ろうと
ただ、がむしゃらに時代を駆け抜けた
ただ、それだけだった
寄宿していた寺の周辺を取り囲む、水色桔梗の旗印
身内が敵に変わった瞬間
手勢の少ないこの状況で、窮地を脱することなど到底不可能であった
聡明な彼女には、自分の未来が見えた
「姫様ッ!」
子供の頃から自分の世話をしていた老女が駆け寄る
「お能・・・。逃げていなかったのか?」
「姫様を置いて、何処に行けましょうかっ?!」
「私は、良い。これが私の運命だったのだ」
「そんな・・・ッ」
諦めた様子の主に、お能と呼ばれた老女は酷く狼狽した
「お能、逃げろ」
「姫様もご一緒に・・・・・」
「私は、私の運命と立ち向かう」
「なりません・・・ッ」
お能を置き去りに表に出た彼女の目に、小姓達が食い止める明智の軍勢が見えた
この人数では到底、抗えない
「これまでか・・・」
諦めた彼女の許に、小姓達もが駆け寄った
「お屋形様!お逃げくださいッ!」
小姓の中でも特に目を掛けていた森乱丸が、弟の坊丸、力丸を連れて彼女の手首を掴む
「於乱。私は、良い」
「お屋形様・・・ッ」
「兄様は、決して私を逃さない。わかってる。どうしてこうなってしまったのかはわからないけれど、兄様は私を殺そうとしている。だから・・・」
「お屋形様・・・」
「どうせなら、お清の手で死にたい」
「
この場に相応しくない、美しい微笑みを浮かべて、彼女は言った
「於乱。お前達は逃げなさい。兄様が欲しがってるのは、私の首だけだ」
「そんな・・・。お屋形様を辱めることなど、黙って見過ごせません・・・ッ!」
「それが、けじめの付け方だ。この世に生きる武士(もののふ)の礼儀だ」
「お屋形様・・・」
「決して奥には立ち入らせるな。明智には投降しろ。無抵抗の者にまで手を掛けるほど、お清は卑怯な男ではない」
そう言い残すと、彼女は燃え盛る寺の奥に戻って行った
「お屋形様ッ!」
乱丸は彼女を引き止めようと手を差し伸べる
すると、まるでそれを邪魔するかのように、燃え尽きた欄干が崩れて落ち、行く手を塞いだ
「お屋形様ーッ!」
急激な改革は、それまで馴れていた人の気持ちと言う物を掻き乱す
当たり前の風習を突然断ち切ってしまっては、人は縋る物を失い、道に迷ってしまう
自分はそれを強要し過ぎた
急ぐ余り、周りが見えていなかった
あと、もう少し・・・と言うところで、一番信用していた人間に裏切られた
絶望よりも先に、落胆が彼女の心に覆い被さる
果てる場所を探し、しかしどこもかしこも骸ばかりが転がっているこんな状況でも、彼女は凛とした表情を崩さなかった
吉法師様以外の男に心を許した罰
きっとあの世で、吉法師様が怒ってるんだ
だから、こんなことに・・・
寺の本堂に差し掛かった時、その手前の部屋で人の声がしたような気がした
「誰か居るのか?」
逃げ遅れた者が居るのかと、彼女はその襖を開けた
その瞬間
「あぁッ!」
強烈な熱風が無数の塵芥を絡ませ、彼女に襲い掛かった
そして容赦なく、彼女の美しい瞳を焦がした
声にならない激痛
一瞬にして失われた光
倒れ込み、のた打ち回る彼女の耳に、愛しい男の声が聞こえた
「姫様ッ!」
「姫様ッ!」
暢気に散歩など、やはり止めておくべきだった
今更ながら後悔する
今、斎藤は、尾張の織田と争っている
一進一退を繰り返し、決着など未だ付きもしない状況
そんな中で織田の偵察隊と出くわしてしまった
「女だ・・・」
「取っ捕まえろッ!」
日照りが続いているのか、帰蝶を目にした男達がその手を伸ばして追い駆ける
「姫様!こちらです!」
清四郎は咄嗟に帰蝶の手を掴み、走り出した
山の中など、城へ通じるところでなければ舗装などされていない
増してや自分達が居たのは稲葉山の裏山で、獣道すら覚束ない場所である
逃げ道など、どこにもない
ただ、幼い頃より良く知る場所であるために、偵察隊の男達よりは土地勘がある
ただそれだけのことで、清四郎は宛てのない先を走り続けた
しかし、自分はそれなりの格好をしているが、帰蝶は普段の小袖姿のままで、全力疾走するには向いていない
「あっ・・・!」
足元が縺れ、帰蝶の手が清四郎の手の中から滑り落ち、地面に崩れた
「姫様ッ!」
「お清・・・ッ!」
帰蝶の背後に迫る、織田の兵士
清四郎は躊躇いもなく刀を抜き、倒れたままの帰蝶を庇うように前に立ちはだかる
「おい、小僧。痛い目に遭いたくなかったら、その女をこっちによこせ」
追い着いた兵士達も切れ味の悪そうな刀をちらつかせた
「断る。この方は、お前たち下賤の身で触れることなどできない存在だ。後悔したくなければ、さっさと立ち去れッ!」
「お清・・・」
いつも優柔不断で、苛々するほど軟弱に見えた清四郎の本来の姿を見て、帰蝶はこの状況に置いても胸が高鳴るのを覚えた
「何をーッ?!」
「この、クソ生意気な小僧めがッ!」
やっちまえとでも言わんばかりに、男達が一斉に斬り掛かった
相手は小部隊か五~六人ばかりの集団だが、こちらは年端も行かない子供が二人である
正に『多勢に無勢』の状態であった
相手の鈍ら剣を自分の刀でいなし、別方向から掛かって来る男に肩から体当たりを食らわす
しかし、その隙にも背後に回り、帰蝶に襲い掛かる男も居た
「姫様ッ!」
「
生来、気の強い性格でも有名な帰蝶は、自分に手を伸ばす男の股間を、転がったまま想い切り蹴り上げ、別の男には手元にあった雑草を根っこごと引き抜き、顔面目掛けて投げ付けた
「うわぁッ!」
土が目に入り、見事、目潰しの役割を果たす
大事なところを蹴られた男は既にもんどり打ち、とりあえず二人は撃沈させた
そんな帰蝶の勇ましさを目の当たりにし、清四郎も男の矜持に懸けて負けられないと刀を揮う
「お清、こっち!」
素早く立ち上がった帰蝶は、清四郎の袖の袂を軽くはたき、走ることを促した
小さい頃から清四郎と共に、この裏山を縄張りに遊んでいた帰蝶である
地図などなくとも、どこに何があるかきちんと把握していた
「待ちやがれ!」
背中に追い駆けて来る男達の声を受けながら、帰蝶は併走する清四郎に言った
「この先に崖がある」
「ですが、その下は川です!落ちたら助からない」
「このまま留まっても、同じことだ。私は辱めを受け、お前は縊り殺される。だったら!万が一にも助かる可能性に縋って、何が悪い」
「姫様・・・」
生い茂る雑草の丈が長くなり始めた
逃げる方にも追う方にも、進みにくい場所に出る
欝蒼と重なる杉や楓が入り混じる林の中を、清四郎は帰蝶の手を掴んで走り続けた
「姫様、こっちです!」
いつの間にか、清四郎が先頭を走っている
二人が目指す方向から、水の流れる音が聞こえ始めた
一瞬にして暗闇が抜け、眩い光が二人の目を焼く
その先には、二人が想うとおり崖が広がっていた
下を流れる川は北上し、やがて長良川に合流する
「姫様、捕まって!」
「
清四郎は帰蝶の体を抱き締め、帰蝶は清四郎に抱き付き、二人はその崖から飛び降りた
相当な高さがある
余程の度胸か、あるいは極限にまで追い込まれていなければ、飛び込もうと言う気など決して起きる高さではなかった
「うわぁぁぁぁーッ!」
今まで一度もこの崖から飛び込んだことのない清四郎は、想わず雄叫びを上げ、帰蝶はただ黙って清四郎にしがみ付いた
「うわっ!」
勢いに乗って、後を追い駆けていた男の一人もその崖に落ちる
覚悟していなかった分、助かる見込みもないだろう
どぼんと激しい水音が二つ続き、やがて川は三人を飲み込んで、広がった波紋も静かに消えて行った
残された二人の男は、ただ呆然と崖の上から川の流れを見ていた
この辺りには上陸できる川辺もなく、切り立った岩の壁が延々と続き、長良川へと流れ着く
清四郎の小袖も水を含み、更には気を失った帰蝶を抱き抱え、泳ぐこともままならない
手にしていた刀は、飛び降りた拍子に落としてしまったのか、片手は空だった
空手になった手で帰蝶の腰を抱き寄せ、兎に角水面に浮上する
「ぷはっ!」
やっと呼吸ができる
しかし、帰蝶は気を失ったまま目を覚まさない
今はどうにかできる状態でもなく、清四郎は早く長良川に出ようと流れに従い脚をばたつかせた
やがて目指していた長良川の合流する河口に出ると、広い川幅をひたすら泳ぐ
体力などとっくの昔に落ちているはずが、自分一人なら諦めて溺れることもできようものの、自分の両手には帰蝶の命もあった
手放すことなどできない
「はっ・・・、はっ・・・!」
荒くなる呼吸に合わせるように泳ぎ、ようやく川岸に辿り着く
「ひ・・・、姫様・・・ッ」
帰蝶の上半身を岸辺に横たえ、先ずは自分が上陸する
それから、余りにも重くなった帰蝶を引き上げるのが困難で、清四郎は帰蝶の両手を掴んで引き摺り上げた
「姫様・・・ッ?」
依然、意識を失ったままの帰蝶の口元に耳を寄せるも、息をしている音がしない
「姫様ッ!」
頬を叩いても、反応はなかった
白い肌が青く染まっていく
赤かった口唇も青の色が強くなって来た
「くそッ!」
清四郎は躊躇うことなく、大きく深呼吸すると、急いで帰蝶の口唇に自分の口唇を宛がい、息を吹き込んだ
それを何度も繰り返し、それから漸く、帰蝶に呼吸が戻り酷く咳き込むのがわかった
「姫様ッ?!」
帰蝶の口から大量の水が溢れ出る
それでも、意識は戻らなかった
「体が冷えてる・・・。兎に角、どこか・・・」
辺りを見回す
稲葉山から随分流され、遠く見えた
「ここは、どこだ・・・ッ」
自分に苛立つ清四郎の目に、漁小屋らしきものが映った
「鵜飼小屋・・・か?」
夏場ならまだしも、今は春にも遠い
場所など選んでる場合ではなかった
折角助かった命
凍死で死んでは身も蓋もないと、清四郎は帰蝶を両手で抱き上げ、その小屋に向かった
清四郎自身、体力は消耗している
ふら付きながらも小屋を目指し、中に入った
美濃の長良川の鵜飼は祭りにもなるほど有名で、この辺りにはその時のための小屋がいくつか点在している
関を中心に美濃は西と東に分かれており、この辺りはまだ西美濃であるため道三の領地であろう、それが唯一の救いであった
東美濃は明智を一門に加えてはいても、その勢力は弱く遠山氏にも及ばない
前年、明智の倅が遠山氏の一門である妻木から娘を娶ったが、全ての遠山氏が斎藤の姫君の顔を知っているわけではなく、もしもその『斎藤の姫君を知らない』遠山方に捕まれば、自分は兎も角帰蝶の身が危険に晒される
それだけは絶対に避けねばならなかった
幸いなことに、火打石と薪が同じ場所に無造作に置かれており、清四郎は帰蝶を筵の上に寝かせると囲炉裏に薪をくべ、藁を束ねて石を打った
カチン、カチンと良い音がして、火花が散る
散った火花が程よく乾いた藁に引火し、小さな炎が生まれた
やがて炎は、みすぼらしい薪を飲み込み、暖かな色に変わった
それでも帰蝶は震えたまま目を覚まさない
「姫様・・・」
小屋は寝泊りできるようにはなっていないのか、寝具の類も見当たらない
このままでは帰蝶が死んでしまう
想いを巡らせ清四郎は、自分の着ていた小袖を脱ぎ捨て、乾きやすいよう囲炉裏の欄干に吊るし、次に帰蝶の帯を解き始めた
「無礼を許してくださいね、姫様。このままじゃ、死んじまう」
返事のできない帰蝶に謝りながら、遂にはその白い肌が晒された
まだ幼いため、乳房も未発達で、到底『女』と呼べる物ではなかった
下腹部も子供のままであり、清四郎を奮い立たせるような躰ではない
増してやこの状況で、浅ましい考えなど浮かぶはずもなく、清四郎は無我の境地でその帰蝶の裸に覆い被さり、肌を温めた
互いに冷えているとは言え、自分よりも清四郎の肌の方が暖かく、帰蝶は無意識のまま抱き付く
清四郎は真冬の水のように冷え切った帰蝶の細い躰を、冷たい想いをしながらも抱き締めた
どれくらい経っただろうか
ふと格子から空を見上げれば、薄暗い景色に変わり、雲も暗く染まりつつある
秋ではないため夕暮れもなく、突然夜に変わるのがこの季節であった
夜になれば織田が闇に乗じて動き出すかも知れない
そうなれば迂闊に稲葉山城に戻ることもできず、そして、未だ帰蝶が戻らないことで道三がどれだけ慌てふためくか目に浮かんだ
このことで、自分の家に災難が降りかからなければ良いのだがと、祈るしかなかった
今はただ
自分の頼りない細い腕に縋って、しがみ付いている帰蝶の華奢な肩を抱き、まるで半ば夢見心地のような気分に浸ることだけが許された
いつからだろう
互いが互いを愛おしいと想うようになったのは
それは生まれた時からのような気がするし、少し前のような気がするし、この日をきっかけに生まれた感情のような気もする
ただその想いは、決して実ることのない淡い雪のように儚い物だと言うことだけは、知っていた
叶うことのない想いほど崇高で高潔なものはなく、それに酔っていただけなのかも知れない
肌の色が少しずつ紅を戻し、帰蝶の躰にも体温が戻って来た頃、清四郎は許されないことと知りながらも、帰蝶のその口唇に自分の口唇を重ねた
朧気に浮かぶ言葉
愛しているのかも知れないと言う曖昧な感情を胸に抱き、清四郎は帰蝶の口唇の柔らかさを味わった
例え切れぬ幸福感
鼻腔から伝わる、心安らかな香り
花のような
月のような
「城介様は、織田上総介様の亡霊に過ぎん。城介様さえ亡き者にすれば、姫様の魂は解放される。昔の姫様に、戻られる」
「十兵衛様・・・ッ!」
光秀は、悲しげな目をしたまま、利三に微笑んだ
「そなたの手で、姫様を連れ戻すのだ。清四郎」
それは、誰が望んだことなのだろうか
帰蝶か
それとも、自分か
PR
濃姫(帰蝶)好きの方へ
本日は当サイトにお越しいただき、ありがとうございます
先ずはこちらのページを一読していただけると嬉しいです→お願い
文章の誤字・脱字が時折混ざっております
見付け次第修正をしておりますが、それでもおかしな個所がありましたらお詫び申し上げます
了承なしのリンクは謹んでご辞退申し上げます
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更新のお知らせ
(02/20)
(10/16)
(11/04)
(06/24)
(03/25)
◇◇プチお知らせ◇◇
1/22 『信長ノをんな』壱~参 / 公開
現在更新中の創作物(INDEX)
信長 ~群青色の約束~
こんな感じのこと書いてます
カウント(0)は現在非公開中です
管理人の独り言も混じっております
[11/04 Haruhi]
[08/13 kitilyou]
[06/26 kitilyou命]
[03/02 kitilyou命]
[03/01 kitilyou命]
ゲームブログ
千極一夜
家庭用ゲーム専用ブログです
『戦国無双3』が絶望的存在であるため、更新予定はありません
◇◇11/19 Nintendo DSソフト◇◇
『トモダチコレクション』
おのうさま(帰蝶)とノブ(信長)が 結婚しました(笑
家庭用ゲーム専用ブログです
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◇◇11/19 Nintendo DSソフト◇◇
『トモダチコレクション』
おのうさま(帰蝶)とノブ(信長)が 結婚しました(笑
祝:お濃さま出演 But模擬専… (戦国無双3)
おのれコーエーめ
よくもお濃様を邪険にしおってからに・・・(涙
(画像元:コーエー公式サイト)
オンラインゲームにてお濃様発見
転生絵巻伝 三国ヒーローズ公式サイト:GAMESPACE24
『武将紹介』→『ゲーム紹介』→『Exキャラクター紹介』→『赤壁VS桶狭間』にてお濃様閲覧可
キャラクター紹介文
「 絶世の美貌を持つ信長の妻。頭が良く機転が利き、信長の覇業を深く支えた。
また、信長を愛し通した一途な妻でもあった。」
(画像元:GAMESPACE24公式サイト)
勝手にPR
濃姫好きとしては、飲めなくても見逃せない
岐阜の地酒 日本泉公式サイト

(二本セットの画像)
夫婦セット 吟醸ブレンド(信長・濃姫)
本醸造 濃姫
カップ酒 濃姫®=爽やかな麹の薫り高い、カップとは想えない出来上がりのお酒です
吟醸ブレンド 濃姫® ブルーボトル=自然の香りのお酒です。ほんの少し喉を潤す程度でも香りが深く体を突き抜けます
本醸造 濃姫®=容量的に大雑把な感じに想えて、麹の独特の香りを抑えたあっさりとした風味です
今現在、この3種類を試しておりますが、どれも麹臭い雰囲気が全くしません
飲料するもよし、お料理に使うもよし
お料理に使用しても麹の嫌な独特感は全く残りません
奇跡のお酒です
何よりボトルがどれも美しい
清洲桜醸造株式会社公式サイト


濃姫の里 隠し吟醸
フルーティで口当たりが良いです
一応は『辛口』になってますが、ほんのり甘さも残ってます
わたしは料理に使ってます
清洲城信長 鬼ころし
量的に肉や魚の血落としや、料理用として使っています
麹の香りが良いのが特徴ですが、お酒に弱い人は「うっ」と来るかも知れません
どちらも一般スーパーに置いている場合があります
岐阜の地酒 日本泉公式サイト
(二本セットの画像)
夫婦セット 吟醸ブレンド(信長・濃姫)
本醸造 濃姫
カップ酒 濃姫®=爽やかな麹の薫り高い、カップとは想えない出来上がりのお酒です
吟醸ブレンド 濃姫® ブルーボトル=自然の香りのお酒です。ほんの少し喉を潤す程度でも香りが深く体を突き抜けます
本醸造 濃姫®=容量的に大雑把な感じに想えて、麹の独特の香りを抑えたあっさりとした風味です
今現在、この3種類を試しておりますが、どれも麹臭い雰囲気が全くしません
飲料するもよし、お料理に使うもよし
お料理に使用しても麹の嫌な独特感は全く残りません
奇跡のお酒です
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濃姫の里 隠し吟醸
フルーティで口当たりが良いです
一応は『辛口』になってますが、ほんのり甘さも残ってます
わたしは料理に使ってます
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