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どうなってもいい
自分など
ただ、知りたかった
夫の死んだ理由を
殺された訳を
美濃の実家の騒動に紛れて、どうして骨肉の争いの犠牲になったのか、を
帰蝶の躰から放たれる香りが強くなった

「義姉上・・・ッ!」
心の箍が外れたか、信勝は帰蝶を裸にし、貪るようにその肌に吸い付いた
帰蝶はこれに応えるかのように、自ら躰を広げる
信長に感じたのは、向うにもこちらにも『愛情』があったから
互いの想いに応えようと、躰が普通以上に反応していた
信勝に感じないのは、向うにもこちらにも『愛情』が存在しないから
ただ欲望だけでは女は熱くはなれない
躰が条件反射に動いているだけに過ぎなかった
夫のためとは言え、それでも口唇を重ねるだけでも死を覚悟するような決断に迫られた
今は
夫の死の真相を探るため、信勝の手に応えていた
感じようと感じまいと、帰蝶にとっては些細な問題にもならない
あの頃と違う帰蝶に信勝は気を良くしたのか、愛撫の合間に囁くような声で話し掛けた
「私は、あなたを欲していた。知っていましたよね?」
「それは、尾張を手に入れるため・・・」
感じる声に混じり合い、帰蝶も応える
「それが詭弁だと言うことくらい、気付いていたのでしょう?」
「え・・・?」
帰蝶に激しい愛撫を繰り返しながら、信勝は言った
信勝の手と躰の動きに翻弄され、帰蝶もその細い腰をくねらせる
その腰の動きが止まった
「私はずっと前から、あなたを気に入っていたのですよ」
          何・・・?」
信勝の言葉がわからない
何が言いたいのか理解できない
「兄上さえ死んでしまえば、あなたは自由になる」
                

遂に、本音を口にした
帰蝶の目がいっぱいに開かれた

「吉・・・法師様・・・を・・・」
その小さな呟きは、帰蝶の口唇の手前で消えてなくなった
信勝の耳にまでは届かない
「殺し・・・た・・・」
「義姉上様・・・ッ」
信勝の手が、柔らかな帰蝶の腿を大きく開かせる
その中央に居座ろうと
『賢い』信勝が、『ただの男』に成り下がった瞬間だった
その瞬間を、帰蝶は縋る想いで必死になって掴んだ
「吉法師様を殺せば、私は自由になれる・・・?」
「あなたは『信長妻』ではなくなる。そうなれば、あなたのこれからを私が保証します」
「私は、どうなるの・・・?」
「あなたは、私の妻になるのです」
「それで、尾張を手に入れるの?」
「言ったでしょう?尾張国主の妻になる気はないか?と」
                
抵抗する素振りも見せない帰蝶のその中心で、信勝は漸く履いていた袴を脱ごうと動く

お前を尾張国主の妻にしてみせると、舅殿と約束した
やっと、その約束が果たせる

優しい
どこまでも優しかった信長の笑顔が、帰蝶を照らす
その笑顔を守りたかった
ただ、それだけなのに                

「どうして          吉法師様を殺したの・・・・・・・・・」
「え?」
「どうして」
                 ッ」
信勝は、帰蝶の表情が変わっていることに気付き、さっと身を返し離れた
「殺した・・・?」
「殺したでしょう?あなた達末森の人間が!吉法師様を!」
「義姉上様?」
帰蝶は脱がされた小袖に腕を通す
「教えて。何故吉法師様は殺されなくてはならなかったの?殺されるような罪を犯したと言うの?」
          姦計、でしたか、これは。あなたらしくない」
「教えて!どうして吉法師様を殺したの!」
「兄上は、死んだのですか?いつ、どこで」
「どうして?どうして殺す理由があるの?どうして?!」
こちらの質問には一切応えず、自分の質問だけを押し付ける
そんな帰蝶を見て、心のゆとりがなくなっているのだと信勝は感じた
「生まれたのは、兄上の子、ですよね。あなたが産んだのですか?それとも、報告通り侍女が産んだ子でしょうか」
「だとしたら、どうなの」
帰命の話に及んだことで、漸く帰蝶がこちらの言葉に耳を傾ける
「あなたの子なら、生かしてはおけません。そうでしょう?後顧の憂いを残すのは、今後に差し支える。産んだのが侍女なら、今直ぐ出家させるべきです」
「どうして」
「兄上は死んだのでしょう?なら、あなたもそれ相応の対処があるでしょう。何故それを          。ああ」
信勝は、帰蝶が起き上がったことで漸く、その変化に気付いた
「髪、落とされたのですね。落飾ですか。しかし、それだけでは済まされないでしょう?兄上が死んだのなら、織田の家督は私の物だ。あなたはどうされますか。ご実家に帰られますか?それとも、          私の妻になりますか?」
「あなたの妻になれば、尾張国主の妻になれるとでも?」
「あなたが望むのなら」
「最初から、それが狙いだったの?」
「どうでしょうね。生まれた時からか、あるいは兄上が那古野城主になってからか、それとも」
信勝は真っ直ぐ、帰蝶を見詰めた
「あなたが、兄上に嫁がれてからか」
                
帰蝶は一瞬、言葉を失った
信勝の、信長への恨みはそんなにも以前から、胸に抱かれていたのかと
そうとも知らず、自分はなんと暢気な日々を過ごしていたのか、と
          あなたが望んでいるのは、自らの栄華・・・?」
震える声を抑えるために発した言葉は、とても低かった
「それとも、民の幸せ?」
「あなたは、不幸な人間が他人を幸せにできるとお想いですか」
時折見掛ける、相手を見下したような目
今の信勝がその目をしていた
帰蝶を上から見下ろし、北痩笑んでいる
そんな信勝に負けじと、帰蝶もきっと睨み付け、応えた
「自分は不幸だとでも?」
母の愛を独り占めし、ぬくぬくと育って来た感のある信勝に、夫の孤独感がわかるのかと怒鳴ってやりたくて仕方がない
「幸せとは限りません。だけど」
          あなたが側に居てくれるのなら
そう言いたげな目をする
信勝の想いは、帰蝶にも伝わった
所詮、信勝もないもの強請りをしているだけだったのだ、と・・・

          あなたは、吉法師様に憧れていたのね・・・・・・・・

だから、兄の持つ物が欲しくて仕方がなかった
ただ、それだけだった
それだけのために、夫は死んだのか
やり切れない想いに苛まれる帰蝶に、信勝は薄笑いを浮かべ告げた
「しかし、これは捨て身の作戦だったのですか?いや、私もまんまと引っ掛かったものですね。私を騙すとは、あなたも大した策士だ。もう少しで、男の本能が出て来るところでした」
「そうなる前に、あなたの口から聞きたかったの」
「何を、ですか」
「吉法師様を殺すつもりがあったと言うことを」
「そうですか。うっかり口を滑らせてしまいましたね。私としたことが、失態でした」
「斎藤と手を組み、その上岩倉とも組んで清洲を襲った理由は?吉法師様を長良川から遠ざけるため?」
「あるいは、紛れて兄上を亡き者に。そうですか、兄上はその長良川で死んだのですか」
信勝は突然高笑いをする
「あっはっはっはっはっ!」
「何が可笑しいの。自分の兄を殺すような真似をして、良く笑っていられるわね・・・」
「これが笑わずに居られますか。邪魔な兄上が、自分の想うとおりに死んだのですから。そう。兄上を暗殺する計画は、ずっと前から練っていましたよ。なのにそれを悉くあなたが邪魔をした」
「吉法師様の暗殺・・・・・・・・」
「村木砦攻略、山口親子に背後から兄上を襲わせるよう手筈も整っていたのに、何故か恵那の遠山一族が出張って来た。あれは、あなたの差し金ですね?大和守を焚き付け、兄上の暗殺を試みましたが、斯波が兄上に味方してしまった。その所為で事が露見してしまい、斯波が死んで兄上は生き残った。あれは悔しかったですよ」
          貴様・・・・・・・・・・」
「守山城主になった喜蔵を殺し、西尾張の荒尾を手に入れようとしたのに、その計画も頓挫してしまった。私は想いましたよ。あなたを敵に回すと恐ろしい、と」
「やはり・・・・・・・・・」
信時自害は信勝が絡んでいたのかと、帰蝶は悔しさに口唇を噛んだ
「織田を強固な家柄にする。何れは尾張の国主に上り詰める。なのに兄上と来たら、何の得にもならない庶民の味方ばかりをして、ちっとも財を蓄えようとはしない。見ていて腹が立ちましたよ。兄上では、織田はこれ以上成長しない。いつまでも豪族のままだと。ですが、斯波のお家断絶によりなんとか小大名には繰り上がった。下四郡を支配できるまでになった。それでも兄上はどうですか。岩倉や犬山に戦を仕掛ける様子もない、今川をも放ったらかしのまま。何もしようとしない。見ていて本当に、苛々しましたよ」
「吉法師様は、何もしなかったんじゃない。清洲の町を発展させようと、必死だった。商人達を保護し、その商業を手助けしていた。もっと活気溢れる町にと、毎日毎日奔走していた。何もしなかったのは、お前だ!」
          義姉上」
豹変した帰蝶に、信勝は驚いて目を丸める
しかし、冷静沈着な信勝は、直ぐに元の表情に戻った
「その容貌(かお)ですよ。私が求めていたのは」
          え・・・?」
「あなたは、『ただの女』ではない。綺麗な顔をしたその裏に潜む、禍々しい獣のようなあなたのその顔を、私は望んでいました。なのにいつも、涼しげな表情で私を見る。私が求めるのは、ありふれた、『普通の女』ではありません。あなたのような、『危険と背中合わせな女』をずっと、求めていたのです」
「だから・・・・・・・・・」
「そう。私はあなたが欲しかった。何処にも居ない、この世で唯一の『女』を。あなたを」
          それだけの理由で、吉法師様を殺したの・・・・・・・・?」
自分の今の気持ちをどう表現をすれば良いのか、帰蝶にはわからなかった
夫の死んだ理由が、余りにもくだらないからだ
そんなことで、夫は殺されたのか
そう想うと、悲しいだとか、悔しいだとか、そう言った当たり前の感情ではなく、何もかもが抜け落ちてしまった後のような脱力感だけが残る
「人聞きの悪いことを仰らないで下さい。兄上を殺したのは、斎藤ではないのですか?岩倉からはなんの報告も得ていません。しかも、兄上が死んだことなど今知ったばかりです。そうなると、斎藤の争いに巻き込まれて死んだと考えるのが妥当です。あなたのご実家が、兄上を殺したのではないのですか」
「それでも!あなたが岩倉を引き入れなければ、吉法師様は斎藤に背中を向けることはなかった。慌てて引き返さなくてはならないようなことは起きなかった」
「それは、結果論でしょう?」
「だけど!あなたがその手助けをした事実は、変わらない」
「言われれば、確かにそうですね。ですが死んでしまった者は生き返らない。何をしても」
信勝の、当たり前の言葉など、自分でも承知している
だからと言って、心が癒されるわけでもない
帰蝶は絞り出すような声で呟いた
「返して・・・」
「義姉上?」
「返して!吉法師様を返して!返して、返して、返して!」
喚く帰蝶に、信勝は呆れた
「義姉上、あなたはもっと賢い人かと想ってました。案外、底は普通の女と変わりませんね、がっかりです」
「吉法師様・・・・・・・!」
顔を伏せ、両手で覆う帰蝶のその肩を、信勝は抱くために手を伸ばした
その瞬間                
「私もよ。あなたは決して、尻尾を掴ませない人間だと想っていた」
布団の下に隠し持っていたのか懐剣が、帰蝶の手に握られている
          失望したわ」
避ける間もなく、その小刀が信勝の脇腹に突き刺さった
「あね・・・うえ・・・?」

殺される
信勝は帰蝶を突き飛ばし、刺された腹を押え、必死で部屋を出た
元来た廊下をよたよたと歩き、玄関を目指す
「あ、勘十郎さ・・・ま・・・」
玄関で待っていたお能の顔が見える
          きゃぁぁぁぁぁぁ!」
信勝の様子に、お能はけたたましい悲鳴を上げた
その声は、帰蝶の部屋で待機していた秀隆の耳にも届く
「何だ?」
「どうかされましたか?」
お能の悲鳴が微かなものだったため、貞勝は気付いていない
そんな貞勝に説明することを省き、秀隆は裸足のまま中庭に躍り出た
          離れの方か」
自分の聴覚を頼りに駆け出す
秀隆の様子に驚いた貞勝も、慌てて表に出る

「た・・・すけ・・・」
自分に血塗れの手を差し出す信勝に驚き、お能が逃げ出した
「だ、誰か!誰かぁぁぁ          ッ!」
走り去るお能の背中に血に塗れた手を差し伸べる信勝の背後に、懐刀を掴んだままの帰蝶が迫る
「たす・・・けてくれ・・・」
「何を?誰を?あなたを?吉法師様を殺したあなたを、助けるの?誰が?私が?どうして?」
「あねう・・・え・・・様・・・」

綺麗な微笑みだった
この一年、自分を苛み続けていた苦痛から解放されるかのような、そんな綺麗な微笑みを、帰蝶は浮かべていた

局処が特殊な場所であることを、清洲の人間は忘れがちである
必要なら町の商人でも気安く招き入れる帰蝶が主では、格式と言うのも薄れているだろう
無条件で入れるのは、その城の城主、つまり信長だけである
後は局処から招き入れない限り、誰であろうと入ることは許されない
帰蝶の許可がなければ、親であろうとも入れないのだ
局処に於いては、『別格』は存在しない
限定された者だけが自由に入れると言う場所ではないのだ
だからこそ、帰蝶は局処を復讐の場所に選んだ
小姓も一緒に入所させることで、信勝の心に油断を起させた
信勝自身、まさかこんな事態になるとは予想もしていなかった
尚更、自分の考えが甘かったことを、信勝は身を以って知った

「ねぇ、知ってる?勘十郎様。私は、あなただけが許せないわけではないのよ?」
「義姉上・・・・・・・」
「大丈夫、心配しないで。あなたの隣に、斎藤義龍の首も並べてあげるから」
                

振り翳される懐剣
命懸けで走る信勝
だが、手負いの信勝に追い着くことは、脚の速い帰蝶にとって雑作もなかった

「あああぁぁぁぁぁ                 ッ!」

いつからだろう
兄の持っている物を欲しいと想うようになったのは
自分は何も持っていないと感じるようになったのは
兄の持っている物はどれもキラキラと輝き、本物の宝物のように想えた
なのに自分が手にしているものは、どれもくすんだ色をしている
どうしてだろう
この手にした瞬間、何もかもが色褪せて見えた
それでも幼い頃の記憶は光に満ち溢れ、その中央には兄が居た
誰にでも差し向ける満面の、輝いた笑顔を見せる
母にその心を酷く傷付けられても、兄は自分には絶えず笑い掛けてくれていた
その兄の笑顔を最後に見たのは、いつだろう
          兄上・・・・・・・・」
脇腹から流れる血に、体温がどんどんと抜け落ちて行った
目の前が掠れる
翳んだ風景の中で、母でもなく、妻でもなく、まだ幼い子らの顔でもなく、欲しがっていた帰蝶の顔でもなく、あんなにも憎んだ信長の、幼い頃の笑顔が浮かんだ
「兄上・・・、助けて・・・」

局処の端の廊下で、信勝は帰蝶に追い付かれてしまった
侍女の誰かに助けを求めようと伸ばした手が、虚しく宙を浮く
信勝の悲鳴を切り裂くように、その背中に馬乗りになった帰蝶の懐剣が突き刺さった
「ぐあッ!」
すぐさま抜き取り、再び刺そうとする帰蝶を、信勝は渾身の力を込めて振り落とす
「逃げないで。あなたの躰に、吉法師様と同じ傷を刻んであげる」
「やめ・・・て・・・・・・・」
「右の腰、骨盤の少し上よ。骨のない場所に、何発も鉄砲の玉を食らい、吉法師様は死んだの。同じ場所に同じだけの傷を付けてあげる。そしたら、あの世に行っても兄弟だってわかるでしょう?」
「誰か!」
「吉法師様は逃げなかった!どんな時だって、逃げなかった!自分の終焉ですら、静かに受け入れた!お前にはそれだけの器などない!そんなお前が吉法師様の代わりになるなど、片腹痛いわ!」

局処の片隅で起きた騒動に、侍女達が聞き付けるかと想っていた
だが、実際局処には誰も居なかった
それは秀隆も、局処で信勝の到着を待っていた貞勝ですら知らなかった
帰蝶が局処全体に『人払い』を行なっていたなど
ここに居たのは、お能だけ
菊子は本丸務めで最初から居なかった
そしてお能自身、こんなことが起きるなど知らされていなかった・・・・・・・・

「お能さん?!」
腰の抜けてへたり込んでいるお能を、秀隆が見付けて駆け寄った
「か、河尻様・・・ッ」
「どうしたんですか!何かあったんですか?!」
「か、勘十郎様が・・・」
「勘十郎様が、どうかされましたかッ?!」
「おく、奥方様に・・・!」
「勘十郎様が、奥方様に?」
「河尻様ー!」
追い着いた貞勝に、秀隆はお能を任せ走った
さっき、悲鳴のようなものが別の方向からしたような気がしたのだ
          まさか、・・・まさか」

信長が死んだ直後、信長の種子島式を掴んで一人、美濃に乗り込んだ帰蝶の背中を想い出した
また、一人で
そう直感した

上向きに倒れた信勝の腹に馬乗りになり、帰蝶は返り血を浴びた顔を微笑みに歪ませる
この世のものとは想えぬ壮絶な表情だった
「助けて・・・、義姉上様・・・。心を入れ替えます・・・。だから、どうか命だけは・・・」
「無理よ」
信勝の命乞いさえ、帰蝶は聞き入れるつもりもない
「だって、何をしたって死んだ者は生き返らないんでしょう?」
「義姉上・・・・・・ッ」
「吉法師様が生き返らない以上、私は誰も許さない!」

稲生で林美作守通具と対峙した時の、あの躊躇いの気持ちはどこにもなかった
戸惑うことも、迷うこともなく、帰蝶は両手で掴んだ懐剣を、信勝のその喉元に突き刺した

「奥方様!」
廊下の片隅で、男の上に馬乗りになっている帰蝶を見付けた
「何をなさっておいでですか!」
その帰蝶の下敷きになっているのが信勝で、全身が血塗れになるほど切り刻まれているのを目の当たりにし、秀隆は目を見張った
「お止めください、奥方様!」
「返して・・・。吉法師様を返して・・・。返して・・・。私の大事な人を、返して・・・」
ぶつぶつと呟きながら、息絶えた信勝の胸に何度も何度も刀を突き刺す
「奥方様!もう死んでます!」
秀隆は真後ろから帰蝶を羽交い絞めにし、その行為を無理矢理止めた
「あなたの復讐は終わりました!もう良いでしょう?!勘十郎様を殺して、それで殿が帰って来るんですか?!それで殿が喜ぶとでも想ってるんですかッ?!」
「離してッ!」
「奥方様!お願いします!          もう、これ以上、殿を悲しませないで下さい・・・・・・・」
                
耳元の秀隆の声に、帰蝶の躰から力が抜け、その手から懐剣が滑り落ちる
秀隆は帰蝶を信勝の上から降ろし、自分の腕に抱いた
「どうしてこんなことになっちまったんでしょうね・・・。殿も勘十郎様も、子供の頃はあんなに仲が良かったのに・・・。なんでこんなに歪んじまったんでしょうね・・・」
                

自分の躰には匂いがすると、言われた
腕に抱かれ、顔が秀隆の胸元に押し付けられる
仄かに秀隆の香りがした
初めて知った
人には其々、違った香りがあるのだと言うことを
こんな時になって漸く、帰蝶は信長の香りを想い出した
それは当たり前で、今まで意識したこともなかった
信長の香りを
海の潮に混じって、柔らかなお日様の匂いがしていたことを、こんなことになって漸く想い出した
信長の残した小袖にも袴にも、潮とお日様の香りがしたことを
外に出ればそれは当たり前のようにそこかしこと漂っている
だけどそれは全部、表を歩き通した信長が、肌に付けた香りだったことを、漸く知った
だから
死ぬほど愛した信長が死んでも、信長の残した香りで生かされていたのだと言うことを

「奥方様!」
ぐったりとした帰蝶を、秀隆は腕から落ちてしまわないよう肩の下から抱き直した
そこへ騒動を聞き付けた貞勝が駈け付ける
「河尻さ         
目の前に転がる信勝の、血塗れの遺体に目を剥く
「こっ、これは一体・・・!          奥方様!」
秀隆の腕の中に、同じく血塗れの帰蝶の姿を見付ける
「河尻様!これは一体どう言うわけですか・・・!」
          俺だ」
「え?」
「俺が殺した」
「河尻様・・・?」
「俺が勘十郎様を殺した」
「何を仰って・・・・・・・・・・・」
「勘十郎様に再び謀叛の兆しあり!よって、その天誅を俺が下した!」
「河尻様・・・・・・・・」
それが、帰蝶を守るための秀隆の方便であることなど、貞勝にはわかっていた
だけどそれを否定することはできない
否定すれば、帰蝶に『義弟殺し』の罪を負わさねばならないからだ
できなかった                

信勝の遺体は、清洲城表座敷に運ばれた
帰蝶の凶刃から身を守ろうとしたのか、その腕にも深い傷がいくつも刻まれている
信勝は信長に対し再び謀叛を起さんとし、信長の腹心の部下でもある秀隆によって成敗されたと、世間向けの発表をすることにした
黒井川村の村民の証言と、勝家の証言により、秀隆の天誅は当然の結果だと認められたからだ
帰蝶も信勝の抵抗に遭ったらしく、湯で浴びた血を流してから初めて、顔や腕、首筋に深い引っ掻き傷がいくつもあったことがわかった
その帰蝶は脱力感が抜けず、本丸の寝室に敷いた布団の中に居る
側にはなつが座っていた
          そうまでしなければ、あなたのお気持ちは晴れなかったんですか?」
「そうよ」
横になったまま、帰蝶はなつに応える
「嘘仰い。全然晴れた顔をなさってないじゃないですか」
                
「どうしてご自分から、業を背負うような真似をなさるんですか」
「それしか考えられなかったからよ」
脱力感に襲われながらも、口はいつもどおりに動く
「どうして相談くらい、してくれなかったんですか」
「言えば協力してくれた?寧ろ私を止めようとするんじゃないの?」
「当たり前でしょう?こんなことして、何になるんですか。夫や父を殺され、深い悲しみを背負う者が増えるだけじゃないですか」
「それでも、やるしかなかった」
「どうしてですか」
「帰命を守るためよ」
「私達が若子様をお守りすると、約束したじゃないですか」
「それで戦を止められるの?それで安心して暮らせるの?」
「鏡でもご覧になりますか?今の奥方様、まるで『鬼』のようなお顔をなさっておいでですよ」
なつの言葉に帰蝶は布団から上半身を起こし、応えた
「鬼なら鬼で良いわ」
「奥方様・・・」
「そうよ。最初から殺すつもりだった。だから懐剣を用意して隠して、二人きりになれるよう図った。それでも、信じたいって気持ちはあったわ。吉法師様の弟だもの。決して無能ではないもの。吉法師様が骨肉の争いで敗れたのなら、私だって諦めが着いた。織田のためには仕方なかったって言葉が聞きたかった。でも!          自分の所為で死んだんだって知らされて、何も考えられなくなった」
「え・・・・・?」
「私みたいなちっぽけな存在の所為で、吉法師様が死ななきゃならないなんて、信じたくなかった・・・!」
「奥方様・・・」
頭を抱え身を丸める帰蝶に、なつはとうとう、信勝の真意を知ってしまったのかと、絶望にも似た感情が沸いた
「この想いを消せるのなら、私は鬼にもなれる。吉法師様の仇討ちがしたい。それしか、頭になかった。相手が誰かなんてもう、考える余裕もなくなってた」
          そう・・・でしたか」
「私が・・・・・・・・・吉法師様を殺したのよ・・・・・・・・・・」
呟くような小さな声に、なつは眉を寄せ否定した
「それは違います、奥方様。あなたが来られてから、若がどれだけ幸せだったか、あなた自身がわかっておられない。そんな悲しいこと、あってたまるもんですか・・・!」
「なつ・・・・・・・・・・」
「奥方様。若は那古野でずっと、あなたを、『家族』がやって来るのを、たった一人で待ち続けていたんですよ?」
「吉法師様、が・・・?家族・・・?」
「幼くして、家族から引き離された若が、たった一人、あの那古野の大きな城で、あなたが来るのを何年も何年も、待ち続けていたのですよ?死んで不幸だなんて、想わないで下さい。若は、幸せなまま死ねたと、少なくとも私は想ってます。あなたが看取ってくれたから、若は安心してゆけたのです。若が死んだのは自分の所為だなんて、これ以上重い荷物を背負わないで下さい・・・!」
                

「いつかこの城に、あなたの家族がやって来ます。それまで、ここで待つのです。良いですか?」
「わしの家族?」
「ええ。あなたを支えてくれる家族が、必ずやって来ます。だからそれを信じて待ちなさい」
九歳で那古野城城主になった信長は、それと同時に『家族』と離れ離れになることを余儀なくされた
別れ際、なつは、泣きたいのを必死で堪える信長に、そう告げたことを想い出す

「若が誰よりも他人を大事にしていたのは、みんなを『家族』だと想っていたからです。血の繋がりはなくとも、『家族』の絆は何よりも強い。若はそれを信じて、みんなを大事にしていたんです。『家族』だから、自分を裏切った林殿を敬遠しながらも、放逐することはなかった。捨てたくても、捨てられなかった。平手殿の弟君が謀叛に加担していると知った時ですら、断罪しようとはしなかった。『家族』だと信じていたからです」
「吉法師様・・・」
「その『家族』の中心に、奥方様が座るようになって、若の世界はぐっと明るくなったと想います。あなたの存在が、若を支えていたのですよ?そのあなたが、自分の所為で夫が死んだと悔やんでばかりいたら、若は救われません。もう、そんな考えを口にするのは、お止めください。若のためにも、お願いします・・・」
                

泣けなかったのは、なつが自分の代わりに泣いてくれたから
もう泣かないと、夫に誓った約束を破らずに済んだのは、なつが自分の代わりに泣いてくれたから

「奥方様、末森城から大方様がご到着になられました」
龍之介の声に、なつはさっと後ろに振り返り、帰蝶は覚悟を決めた顔付きになった
          今、行きます」

信勝の遺骸を安置する表座敷に入る
一年と少し前にも、そこに信長の遺体が置かれていた
あの光景を想い出してしまう
いつも誰かに逢う時は、短く切った髪を悟られぬよう飾り帯で誤魔化して来た
この時だけはいつもそうしていたことをやめ、敢えて短いままの髪で市弥との対面を決意した
帰蝶の直ぐ脇には、戦刀の兼定を持った龍之介が控える
信勝を見守るように両脇に並んだ秀隆、恒興、長秀ら『信長家臣団』の誰もが、沈痛な面持ちで項垂れていた
「大方様、ご入室です」
龍之介とは違う別の小姓が知らせの声を上げる
やがて、憔悴しきった市弥が現れた
ほんの僅か、帰蝶と視線が合う
市弥の後から勝家が、市を連れて遅れて入った
以前は勝気な性格が滲み出ていたその表情も色褪せ、部屋の中央に置かれた布団の、そこに安置された信勝の顔に被せた布を剥ぐ
                
愛しい息子の死に顔が、そこにある
市弥は息を呑み、それから押し出すように信勝の名を叫んだ
          三法師!」

信勝の童名は『三法師』と言うのか
帰蝶は初めて知った
仲違いをしていた兄弟は、皮肉なことに『対の名』を持っていた
『吉』も『三』も、どちらも良い縁起を表す文字である

「可哀想に、可哀想に、三法師・・・!誰が三法師を!?」
涙ぐみながらも、市弥の目は怒りに満ち溢れ帰蝶を睨んだ
「吉法師はどこ?!吉法師を呼んで!」
「吉法師様は、おいでにはなられません」
「どうして?!お前が隠したの?!弟を殺し、逃げているの?!」
「吉法師様は逃げるような男ではございません」
「なら、逢わせて!」
「逢わせられません」
「河尻!吉法師を呼んで!」
帰蝶では埒が明かないと知り、矛先を別の人間に向けた
「ですが・・・」
秀隆は困惑した顔をして口篭る
「太田!」
                
資房も応えられず、俯く
「佐久間!」
「私の一存では・・・」
「村井・・・・・・・・・・」
                
縋るような顔をする市弥に、貞勝は項垂れながら首を振る
「お前達・・・、みな、この女に従うのか・・・・・・・・・」
「大方様、あなた方末森派が裏で何を企んでいたのか、私達は全て掴んでおります」
「そんなもの、大名家では当たり前のことです。優れた者が家の頂点に立つ。そうやってみんな、家を大きくして来た。知らないわけじゃない。国主の家に生まれたあなたなら、尚更でしょう?どうして吉法師は三法師を殺したの。どうしてあなたは吉法師に逢わせてくれないの。企み?お前だって同じことをしただろうッ?!この、女狐がッ!」
叫ぶ市弥に、帰蝶は立ち上がり、すすす、と前に進み出た
「奥方様・・・」
なつはこの光景に胸をハラハラさせ、落ち着かない様子で見守る
「大方様。あなたの目は、何を見ていますか。この国の未来ですか?それとも、織田の未来。あるいは、勘十郎様の未来だけを見詰めておいでですか」
「何・・・を・・・」
間近に見る帰蝶は、この上なく凛々しい
この世の全てを背負う運命でも架せられているかのように、どうしてだか大きく見えた
「あなたは吉法師様を産んでくださったお方です。私も手荒な真似はしたくありません。ですが、私はあなたを許せない」
「何を言って・・・・・・・」
「何故、吉法師様を死に追い遣りました」
「吉法師・・・が・・・?」
帰蝶の言葉に、市弥はキョトンとした
思い当たる節がないからだ
「あなたはこの国に必要な二人の息子を、その手で死に追い遣ったのですよ?どうしてそれに気付かないのですか」
「私が・・・?吉法師は・・・・・・・・」
まだ理解できていない顔をする市弥の胸倉を、帰蝶は想わず掴んだ
当然、帰蝶のこの行動になつ以外の全員も驚く
「この国の将来と、織田の未来を真剣に憂いていた吉法師様と勘十郎様を、相容れない双極に追い遣ったのはお前だ、土田御前」
          私・・・が・・・?」
「息子の後を追って、潔く死ぬか、この私に生涯の忠誠を誓うか、選ばせてやる。じっくり考えろ」
                

信勝の死
その上に、信長の死と言う現実が覆い被さり、市弥はとてもではないが平常ではいられない状態に陥り、慌ててなつが介抱することになった
市弥が別室に移された後、信勝の葬儀の仕度をするため三々五々散って行く
残されたのは、帰蝶と勝家
それから、勝家の影に隠れていた市だけだった
勝家が黙って平伏する
「これでお前も、晴れて清洲織田の家臣になった。二度と裏切らぬと誓え」
          奥方様。以前お逢いした時と随分、印象か変わられましたな。勘十郎様の死が、あなたを変えてしまったのでしょうか」
「さっき、なつにも言われた。・・・鬼の顔をしていると」
「ははは」
勝家は苦笑いする
帰蝶は愛想笑いをする気力もなかった
その帰蝶に、もじもじと市が顔を覗かせた
          その姫君は」
「お市様です」
「ああ・・・・・・・・・。吉法師様の末妹君の」
市はおずおずと頭を下げた
「お市様、お久し振りでございます。と言っても、覚えてらっしゃらないでしょうが」
          いいえ」
市は小さく首を振った
「美濃の方様、市の五色豆を、美味しいとおっしゃってくださいました・・・」
「覚えてくださってましたか」
漸く、帰蝶も微笑む気になれた
相手がまだ年端も行かない少女だからだろうか
「美濃の方様、教えてください」
意外にも、市はしっかりとした口調で帰蝶に話し掛ける
「兄様は、どうして死ななくてはならなかったのでしょうか」
帰蝶は即座に応えた
「私の夫を殺す手助けをしたからです」
「そうですか・・・」
「帰蝶を、許せませんか?」
                 ?」
「私は、あなたの兄上様を殺しました。あなたにとって私は、憎い仇です。この場でこの兄上様の仇を取りますか?」
                
市は黙って首を振った
「市は、よくわかりません。兄様が死んだのは、とても悲しいことです。だけど、兄様が生きる運命(さだめ)にあるのなら、死ぬことはありませんでした。死んでしまったと言うことは、死ぬことが兄様の運命だったのだと、市は想います」
                
兄が殺された悲しいだろうに、それでも市は大人が考える以上の先のことを考えていた
なんて利発な子だろうと、帰蝶は心内で感心する
「権六」
「はい」
帰蝶は市を見詰めたまま、勝家に話し掛けた
「私は、とても悲しい。そして、とても恥しい」
「と、仰いますと?」
「私は吉法師様が死んだ時、悲しい気持ちしか持てなかった。この市姫様のように、冷静に周りを見渡すだけの余裕などなかった」
「奥方様・・・」
「大方様が、どれだけしっかりした教育を施しておられたのか、よくわかる。だから尚更、悲しい。どうして大方様は、吉法師様も愛してくださらなかったのか。もしも大方様の愛情が平等だったなら、こんなことにはならなかった」
「それは・・・・・・・・・」
「いいや。私は責任逃れをするつもりはない。例え河尻が私を庇ってくれたとしても、私が勘十郎様を殺した事実に変わりはない。咎は私が受ける」
「それこそ、責任逃れだと、某は想いますぞ」
「権六・・・」
「上総介様、勘十郎様、織田の双翼が揃って死んだとあっては、織田を守る壁がなくなってしまいます。勘十郎様を殺した時点で、あなたにはお二人に代わって織田を守り、大きくするという責務が負わされます。それを果たさぬまま、責任を負われるのは尚早。未熟者の考えです」
                
痛いことを言うな、と、帰蝶は勝家に苦笑いする
「私に務まるか?」
「務めてもらわねばなりません。これはあなたの義務です」
「そうか・・・・・・・。そうだったな」
「はい」
「悔やんでも、兄様達は戻らない。なら、前に進んでください、美濃の方様」
                
市の言葉に、帰蝶は目を見開いた
こんな幼い少女に諭されたからだろうか
「お市様。あなたは本当に賢いお子だ。女に生まれたこと、誤りましたね」
「お互い様です」
市の返事に帰蝶は笑った
帰蝶の笑い声に、市も笑った
間に挟まれた勝家は、信勝の遺骸を前にただ、苦笑いした

「三法師・・・、三法師・・・」
控えの間で、市弥は信勝の死を悼んで泣き暮れている
その市弥の背中を、なつは懸命に優しく優しく撫でてやった
「私が間違っていたの・・・?」
初めて、自分に縋る市弥を見た
なつの心境は複雑だった
「わかりません。私は、大方様のお立場がわからないので。ですが、今はまだ、結果が出たわけではありません」
「結果・・・?」
「確かに若も勘十郎様も、この世の方ではなくなってしまいました。ですが織田はまだ、生きてるんですよ。こうして確実に機能してるんです」
「それは、美濃の方のお陰・・・?」
「かも、知れませんね。ですが奥方様のお心にあるのは、若への想い。それが織田を生かしているのだとしたら、若をお産みになられた大方様の功績にもなりませんか?慰めには程遠い言葉に過ぎませんが」
                
市弥は黙って首を振った
「吉法師が死ぬなんて、考えてませんでした・・・」
「え?」
市弥の言葉に、なつは目を丸くして聞き返した
「大方様、今、なんと?」
「吉法師をただ織田の惣領から引き摺り下ろし、三法師に後を継がせ、吉法師をその補佐に据え置くことが、私の考えでした。確かに、会話の中には吉法師を亡き者にと揶揄する言葉もありました。でもそれは、あくまで吉法師を表舞台から引かせるための例えです。実際に手を下すことまでは考えていませんでした・・・ッ。まさか、その吉法師まで死んでいたなんて」
          大方様・・・。では、美濃の長良川での斎藤家の争いに、若が命を落としたことは・・・」
「私はそんな恐ろしいこと、図ってはおりません・・・ッ」
                

なら
信長は、義龍と信勝の謀略に嵌められたのか
市弥が関与していないとなれば、それしか考えられなかった
そう想うと自分は、帰蝶になんて酷いことを言ってしまったのだろうと、後悔の念に苛まれてしまう
帰蝶が行なった復讐は当然の仇討ちにしか過ぎない
なのに自分はそんな帰蝶に『鬼』と、言ってしまった

「大方様・・・」
「池田?」
自分を呼ぶなつに目を向けると、なつの目から涙がぼろぼろ零れている
「織田は大丈夫です。奥方様は織田の人間ではありませんが、織田の嫁に変わりはありません。大方様、織田の全てを奥方様にお任せしましょう」
「池田まで・・・」
「あの方なら、大丈夫です。きっと、織田を大きくしてくださいます。信じましょう、奥方様を」
                
女は、縋るものがなくては生きていけない
そう言う時代だった
なのに、縋るものを失っても立ち上がった帰蝶に、なつは家を任せろと言う
愛息を失った市弥には、それを拒否するだけの権限はもう、残っていない
頷くしかなかった
「私が、吉法師と三法師を殺してしまったのだもの・・・。私では、織田は動かせない・・・」
「大方様」
「いつから、吉法師を憎むようになったのかしら。覚えてないのよ・・・・・・・・」
                
なつは言葉を掛けられず、ただ黙って市弥の肩を抱いてやった

後悔しても、命は帰らない
過ちも、返せない
だから市は帰蝶に言った
          先に進め、と
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◇◇11/19 Nintendo DSソフト◇◇
『トモダチコレクション』

おのうさま(帰蝶)とノブ(信長)が 結婚しました(笑

祝:お濃さま出演 But模擬専…     (戦国無双3)


おのれコーエーめ
よくもお濃様を邪険にしおってからに・・・(涙

(画像元:コーエー公式サイト)
オンラインゲームにてお濃様発見


転生絵巻伝 三国ヒーローズ公式サイト:GAMESPACE24
『武将紹介』→『ゲーム紹介』→『Exキャラクター紹介』→『赤壁VS桶狭間』にてお濃様閲覧可
キャラクター紹介文
絶世の美貌を持つ信長の妻。頭が良く機転が利き、信長の覇業を深く支えた。
また、信長を愛し通した一途な妻でもあった。

(画像元:GAMESPACE24公式サイト)
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お料理に使用しても麹の嫌な独特感は全く残りません
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清洲桜醸造株式会社公式サイト

濃姫の里 隠し吟醸
フルーティで口当たりが良いです
一応は『辛口』になってますが、ほんのり甘さも残ってます
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量的に肉や魚の血落としや、料理用として使っています
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どちらも一般スーパーに置いている場合があります
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