Side ～お姫様～ ・・・1

お姫様は、朝から機嫌が悪かった
斎藤家のお姫様として、将来は天皇の妃になるのだと想っていたのに、よりにもよって尾張と言う田舎の、織田と言う田舎侍の嫁になることが決まったからだ
侍女達が機嫌を伺いに様々な品物を持って部屋を訪れても、お姫様はプイと横を向いて不貞腐れた可愛い顔を庭に向けるだけだった
南蛮渡来の鼈甲の簪も、ビードロのぽこぺんも、近江のガラス工芸にも関心を寄せない
「いらない」とでも言いたげに、爪先で蹴って遠くにやる
「姫様、姫様」
これは珍しいものでございますよ
と、明から取り寄せた日時計を差し出しても、お姫様はちっともこちらを向いてくれない
「どうして私が、あんな田舎に行かなきゃならないの？」
遂にはほろほろと涙を零し、みんなを困らせた
お姫様はまるで、お人形のよう
小さなお顔に、小さな口唇
瞳だけが妙に大きくて、淡雪のように白い肌が嗚咽に赤く染まった
「姫様、姫様」
乳母が仮名絵本を持ってやって来た
あなた様は、人妻になるのです
そう言って乳母は、絵本をお姫様に指し広げた
「きゃぁっ」
お姫様の口から、小さな悲鳴が聞こえる
それは、男と女の目合いを描いた春本だった
「恥ずかしがってはなりません」
でも、でもと、お姫様は泣くのを忘れて顔を手で隠し、指の間から絵本の挿絵を覗き見た
「ご用済みになった側室は、お殿様の機嫌次第で置物のように置いたり捨てられたりします。しかし、正室ともなれば、簡単に置いたり捨てたりはできぬのです」
末永く愛されるには、女として磨きをかけねばらないのです
「でも、でも」
と、それでもお姫様は恥ずかしがって、手を外さない
「姫様」
乳母は次の頁を開いた
「きゃああ」
大きく＜ピ-----------＞した＜ピ-----------＞が、女の穴に差し込まれていた
「なんなの、なんなの、それは」
「これは＜ピ-----------＞と申しまして、男性のそれはそれは大きく膨張し、しかも極端な硬度を持つ＜ピ-----------＞を差し込むと、赤ちゃんができます。その赤ちゃんがこの＜ピ-----------＞から出て来るのです」
丁寧に説明してくれる乳母に、お姫様は男と女の＜ピ-----------＞よりも、生命の神秘の方に興味が注がれた
「ばあや、男の大きくて固いその＜ピ-----------＞は、痛くはないのか？刺されて死ぬことはないのか？そんなものを＜ピ-----------＞とやらに入れられると、女は赤ちゃんができるのか？」
「入れた程度では、赤ちゃんはできません。しかし、この＜ピ-----------＞を＜ピ-----------＞に刺すことにより、双方で＜ピ-----------＞のような＜ピ-----------＞を感じ、男は腰を振ります」
「何故じゃ？」
「心地よいからです」
「心地よいのか？」
「そうです。そして、男は女の＜ピ-----------＞の中で蠢く＜ピ-----------＞に揉まれるような感覚になり、やがて＜ピ-----------＞します」
「＜ピ-----------＞すると、どうなるのじゃ？」
「赤ちゃんができます」
「そんな簡単に赤ちゃんはできてしまうものなのか？」
「はい、できます」
「ならば、父上と母上も＜ピ-----------＞をして、わらわができたのか？」
「はい、父上様と母上様が＜ピ-----------＞して＜ピ-----------＞され＜ピ-----------＞したので、＜ピ-----------＞がお生まれになられました」
「ばあや、何故わらわまで＜ピ-----------＞扱いなのじゃ？」
「すみません、うっかりして＜ピ-----------＞してしまいました」
「＜ピ-----------＞は、もうよい」
お姫様は、さっきまで泣いていたことを忘れ、ばあやに突っ込んだ
「では、その＜ピ-----------＞とやらは、刺されても痛くはないのじゃな？」
「はい、寧ろ天にも昇るような心地でございます」
「ばあやも、天に昇ったことがあるのか？」
「はい、遠い昔に」
「でも、生きておるの？」
「その＜ピ-----------＞ではございません」
「＜ピ-----------＞から離れろ」

こうしてお姫様は、天皇家に輿入れできなかった悔しさよりも、夫となる男の＜ピ-----------＞に興味がそそられた

「このようなものを刺して、赤子ができるのか。不思議じゃのう」

その、太くてうねうねとした奇妙な＜ピ-----------＞とは、一体どのような役割を果たしているのだろうか
ばあやはそれほど詳しくは教えてくれなかったが、置いて行った絵本には様々な男女が書かれており、中には男性同士の目合いの情景も描かれていた
「尻に＜ピ-----------＞を刺しても、子はできるものなのかのう？」
嫁いだら、試してみよう
そう心に想う、純粋無垢なお姫様なのであった